吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

院長の健康情報コラム

意識しないとわからない嗅覚障害:sniff & smell

2022-09-18

健康で幸せな生活が送るためには、自分の健康に関心を持ちことから始まります。

生活習慣病や癌は、自分では知らずに少しずつ進行するため検診や人間ドックを定期的に受けて確認する必要性があります。中年近くになるにつれ自分の健康に関心を持つようになり、定期的に検査を受けてみようと考える人が増えてきます。

においを感じることができなくなる嗅覚障害は,その先の豊かな生活や人生の選択肢を奪ってしまうこともありますが、生活習慣病、癌、脳血管疾患に比べると、主婦、料理人の一部の人を除き関心がもたれることが少なかった領域です。

 

子どもでは、匂いがしない訴えを自ら発することは少なく気づかれていないことがあります。

高齢者では、フレイル(虚弱 筋力低下)、食欲低下、うつ傾向の原因として嗅覚障害が見落とされていることもあります。

米国の報告では、65歳以上の検査による報告50%以上に嗅覚障害を認めた報告がありますが、同国のアンケート調査では、65歳以上で数%の嗅覚障害の報告です。つまり、多くの高齢者は、自分に嗅覚障害がある事に気づいていない可能性があります。

日本でも男女ともに50歳代から徐々に嗅覚が低下し,その後年代が進むに連れてその低下度が大きくなることを報告されています。

コロナ禍となり、後遺症として関心を集め、嗅覚障害が急に意識されるようになっています。

 

嗅覚障害のメカニズムと治療可能な障害は

治療可能な嗅覚障害は、二種類に分けられ、

鼻の通気障害に対する治療(気導性)と、

嗅粘膜の嗅細胞再生(嗅神経性)に対する治療です。

鼻の通気には鼻の前方からと、風味と関係する鼻の後方から通気が重要になります。

気導性

花粉症、アレルギー性鼻炎、鼻風邪、副鼻腔炎などの鼻の通気障害の治療は、鼻粘膜腫脹が改善すればよくなるため、薬の使用または鼻風邪・副鼻腔炎が自然に改善しても数週間以内に匂いが戻ります。鼻ポリープや副鼻腔の炎症が強く閉塞が強い時は、長期に治療を要し手術加療が必要になることもあります。一部には嗅神経性の要素が混ざっていることもあり治療が難しくなることもあります。

嗅神経性

嗅粘膜の嗅神経へ影響する感冒後嗅覚障害新型コロナ後の嗅覚障害は、嗅細胞再生が必要になるため、数ヶ月から数年以上かかり、中には改善しないこともあります。加齢性・外傷性の嗅覚障害は、改善は難しくなりますが、一部の方は回復可能な嗅神経障害の要素は入っていることもあり、治療を試す価値はあります。中枢性の要素が大きいと改善は難しいでしょう。この嗅神経嗅覚障害の改善目的に嗅覚刺激法は世界的に注目されています。

認知症やパーキンソン病関連の中枢性嗅覚障害などは、中枢疾患の早期診断として注目されていますが、現時点では、治療対象ではありません加齢性は、嗅細胞の減少と中枢性の両方の関与が考えられますので、嗅細胞の減少に対しては治療可能となります。

風味と新型コロナについて

食事の風味は嗅覚が7割、味覚は3割といわれており、呼気(呼吸ではく息)によってにおいが鼻の後ろから運ばれて嗅粘膜を通ります。このように、鼻の後方からの空気の流れ方は、におう・味わう という動作において重要な意味を持ち、食欲とも関連しています。

食べ物や飲み物を口に入れた際に感じる香り味わい風味です。風味は特有の味わいに香りを含めたものです。ワインを例えると口の中に広がる香りで、口の中から鼻に抜けていく香りをイメージしてみましょう。ハーブやスパイスで、食べ物に風味を加えることも可能です。このように、鼻の後方からの空気の流れも風味、嗅覚、味わいに大きく関与しています。

鼻を摘んで比べて食べると風味、味わいのことがよくわかります。新型コロナの味覚障害の60~70%程度は、風味障害と報告されています。

50代の中年女性に多い感冒後嗅覚障害より、30代に多い新型コロナ後の嗅覚障害の方が、同じ嗅神経性嗅覚障害ですが、はるかに回復は早いと報告されています。

新型コロナ9割程度は半年以内に回復しています。大半は数ヶ月以内の回復が多い

感冒後嗅覚障害軽症では半年程度で回復することもありますが、中~高度の障害では数年以上、3年で60%程度の回復の報告があり。若年者の方が高齢者より回復が早い報告があります。

現在の新型コロナに対する治療は、以前からある感冒後嗅覚障害への治療が応用されています。

子供の嗅覚障害

子どもは、匂いがしない訴えを自分から発することは少なく気づかれにくい。

大学嗅覚味覚専門外来:子供の受診はわずか(産業医大:嗅覚味覚外来報告)

患者比率では子供はほとんどいない

嗅覚障害は50歳ごろから多くなり、特に女性が多い。味覚より嗅覚障害の方が女性の割合が多くなる。10~20代は、嗅覚障害の女性が少し増加するが10歳未満受診は全体の中ではわずかである。

嗅覚障害の原因比率:嗅覚障害の原因疾患は子供の鼻の病気に多い (産業医大)

副鼻腔炎21% アレルギー性鼻炎 7%(気導性)  感冒後35%(嗅神経)頭部外傷性9%(一部嗅神経性) 不明22% 認知症1% 先天性2% アルツハイマー パーキンソンなど

幼稚園・学童のこどもに多い、風邪、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎による嗅覚障害は多くの子供も罹患しているはずです。子供の場合、嗅覚の訴えで病院を受診するほど困ってないか、自ら匂わないと訴えることが少ないため、親も含め嗅覚障害に気づいていない可能性があります。

子供の風邪や副鼻腔炎は繰り返すが、大多数は回復も早く、10歳以降は、風邪や副鼻腔炎は、起こしにくくなります。アレルギー性鼻炎は大人まで持続しますが、大多数は薬でコントロール可能ですので、持続的な嗅覚障害は、少ないのかもしれません。

子供の嗅覚障害で注意すべきは、稀な先天性嗅覚障害

先天性嗅覚障害の診断においては問診における生来においを 感じないとの訴えが重要。また先天性嗅覚脱失症例は臭いに対する概念がなく,自身の嗅覚症状に気付くのが容易でなく、そのため発見が遅れる場合も珍しくありません。

よく知られたKallmann症候群は中枢性性腺機能低下症と嗅覚異常を中核症状とする先天性疾患で,男性では停留精巣,小陰茎,二次性徴の欠如,女性では思春期遅発症,二次性徴の欠如がみられる。その発症頻度は,出生男子の 1万人に1人,出生女子の5万人に1人とされているようです。

性腺機能異常を伴う先天性嗅覚障害の診断は比較的容易ですが,性腺機能異常を伴わない場合では 幼少時の副鼻腔炎,頭部外傷等の後天的要因による嗅覚障害を否定することは難しく,先天性嗅覚障害 の診断は容易ではありません。MRIにて嗅球,嗅索,嗅溝の低形成あるいは無形成を確認します。2次成長が認められない場合は,ホルモン補充 療法が必要です。

新型コロナと嗅覚障害

新型コロナウイルス感染症(COVID―19)患者の多くが嗅覚障害の自覚症状を有するため,嗅覚障害の診断と治療の重要性がクローズアップされてきました。以前のデルタなどの比べオミクロンは嗅覚・味覚障害の訴えは減少していますが、無くなってはいません。

新型コロナによる発生メカニズムもわかってきました。嗅粘膜上皮においては ACE2 受容体と TMPRSS2 の発現を認めるのは、におい分子と結合する成熟嗅細胞ではなく,主に支持細胞 。COVID―19 感染では鼻腔の嗅裂粘膜の明らかな腫脹を認めない場合、嗅粘膜上皮の支持細胞障害により二次性に嗅細胞が減少し嗅神経性嗅覚障害を合併している可能性が考えられます。

新型コロナの嗅覚障害では、嗅神経性で治りにくい印象ありましたが、オミクロンでは副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎の合併での嗅覚障害も多く認め治療で数週間以内に回復することも多くあります。嗅神経性の要素が強い方は症状は持続しています。今までの報告では数ヶ月以内の回復が多く、6ヶ月以上持続する方は少ないと考られれていますが、一部の方は長期に持続しますので、従来からある感冒後嗅覚障害に準じる治療漢方や嗅覚刺激法適応されます。

 

匂いがしないと何が困る

食品腐敗に気づかない

危険なガス漏れ、火事になる煙に気づかない

食事がまずく、食べ物、植物の香りがわからず豊かな生活が送れない

調理の味付けができない、塩分・糖分の過剰摂取の恐れ

嗅覚・食欲低下から高齢者はフレイル、筋力低下、うつ傾向になる可能性

子供さんは、食育教育で本来の嗅覚味覚がわからないまま行われる可能性

食育について

食育と嗅覚・味覚:食育とは食事をめぐる教育のこと。 食に関する正しい知識・適切な食習慣を子どものうちから身につけることです。生活習慣病・肥満を予防するため、よく噛むこと、不規則な食事は控え、バランス良い食事をとる。食物アレルギー教育。学校給食での地場産物の活用、米飯給食の充実。食文化の継承など掲げられています。学校での食育のプログラムに、子供の嗅覚・味覚は問題ないのかの視点の記載は見かけないようです。

👉 嗅ぐ習慣の必要性 sniff & smell

犬はヒトの5000~1億倍嗅覚が優れているといわれています。散歩中は、いつも地面を嗅いでいます。これは犬の情報収集と好奇心のためのようです。

我々も犬までとはいかなくても、毎日の生活の中でもっと嗅ぐ(sniff)習慣を身に着けるとことで嗅覚障害の回復に役立つことがわかってきました。

嗅覚刺激法(olfactory training)について

ドイツの耳鼻咽喉科医が開発した異なる種類の嗅素を嗅ぐ治療法です。レモン、ローズ、ユーカリ、クローブを朝、夕15秒程度嗅ぐ治療を3ヶ月以上持続します。日本では馴染みのない嗅素もあり、日本式は現在、大学などで開発中です。現在、嗅覚刺激法は、日本での保険適応はありません。

九州の大学で唯一嗅覚・味覚外来を持つ北九州の産業医大では、湿布、材木、ココナッツ、バニラを使用して行われているようです。全国的に、国立長寿医療研究センターなど他の大学との日本式嗅覚刺激法の効果の共同研究がこの方法で進行しています。

以下のYoutube を参考にしてみてください。レモン、ローズ、ユーカリ、クローブを、毎日朝夕嗅ぎ、3ヶ月以上行います。

1)日本耳鼻咽喉科学会 嗅覚刺激法

2)Fauquier ENT 嗅覚トレーニング実際

市販の精油を直接嗅ぐのは刺激が強いので、市販の精油(レモン、ローズ、ユーカリ、クローブ)を使い水彩紙と褐色瓶を利用した方法をわかりやすく説明しています。水彩紙の代わりのコットンで代用できます English。

3)生活の木:嗅覚トレーニング

はじめての嗅覚トレーニングセットとして、4000円弱 1ヵ月分で市販されています。褐色ボトル付きです。継続希望の方は4個リフィル用も2600円程度で購入できます。

馴染みのある、特色ある異なる香りを嗅ぐことが大事です。

基本的な現在世界的に行われている嗅覚刺激法を参考にすれば、柑橘系、花の香り、木の香りなどの香りのアロマなど選ぶとよいと思われます。

アロマなどが手元にない方は、

身近な方法では、自分にとって馴染みのある好きな香りを選ぶ方法で始めて良いと思います。朝食では、コーヒー、納豆、レモン、味噌汁、かつおだしや昆布だしの汁ものなど、自分流の匂いを考えて良いでしょう。カレー、イタリア料理のバジル・オレガノなどのハーブやスパイス、ニンニク料理など、工夫をすれば匂いはいくらでも見つけることは出来ます。庭や公園で、季節の花や草木を意識して嗅ぐ、香水、肩こり腰痛あれば手持ちの湿布を嗅ぐこともできます。但し、嗅ぐ物の匂いの程度によっては、匂いの強さが足りないこと、治療としての規則性や再現性が問題です。

匂いがまったくしなくても、そのものがどんな匂いだったかを思い出して嗅いでみましょう。

海外の報告では、週3回汗をかくような運動も嗅覚障害の予防に役立つようです。

2017年に書いたにおいと学習効果当院コラムも参考にしてください。コロナ前の嗅覚障害が、今ほど注目されていなっかた時に書いています。

においを楽しむ対策

鼻の病気にならないようにする

意識してにおいを嗅ぐ習慣を

定期的な運動

タバコは止める

料理の盛り付けの色合いなど工夫してにおいを意識すること

 

参考資料

123回日本耳鼻咽喉科学会総会 2022年4月

嗅覚障害ガイドライン2017年

 

新型コロナ後遺症:どうしたらよいの?

2022-09-02

日本において2022年9月2日時点で、新型コロナ感染者数が、約1924万人報告されていますが、これよりもっと多くの方がすでに罹患しているとおもわれます。2022年7月中旬から感染者がここ約45日程度の間に倍になっています。第7波がいかに多かったかがわかります。

新学期を迎えクリニックの発熱外来問い合わせも少なくなってきました。今後、一時的には学校での感染の広がりから家庭内感染の悪化が予測されますが、全体としては落ち着く方向へ向かうと思われます。11月以降の寒くなると、今後の変異株やインフルなど感染の可能性があり予測は難しいでしょう。

隔離解除後の症状持続

隔離直後から、症状が持続する患者さんの受診が増えています。稀ですが、自宅隔離で検査できず、肺炎で受診の方もいます。

新型コロナ隔離解除後、問題ない方も多いのですが、咳、痰が絡む感じやのどの違和感が持続する方は多く認めます。喘息やアレルギー体質をお持ちの方は、鼻炎、咳や喘鳴が持続しています。ブレインフォグの症状は無くても、倦怠感や息切れ感が持続する方もみられます。オミクロン以前の株のように多くはありませんが嗅覚・味覚異常の訴えの方もあります。

8月31日報道の東京都でオミクロン株の後遺症では、咳や倦怠感が増加して、嗅覚・味覚障害は減少しています。隔離から少し時間が経って症状が出現する方もあります。

WHOの後遺症(本当の後遺症)の判断は、2か月以降となりますので、通常の風邪をこじらせると、コロナ後と同様の症状が1~2か月持続することは、今までの疾患でも経験してきたことです。3週間以上続く咳・痰を感染後咳嗽と呼んでいます。このような症状は1~2か月の間に自然軽快していきます。少しずつ改善することが、ほとんどですので、睡眠をよくとり、3食バランスを考えて食べ、無理をせず気長に改善する過程を待ちましょう。改善傾向がない、日常生活に支障がある、急に悪化してきた方は医療機関受診が必要です。

ネット情報ばかり見ていると不安なことの方が脳にインプットされ、回復にマイナスに作用しますので、公園の散歩や、無理しない程度で有酸素運動を行い気持ちのリフレッシュも考えましょう

👉 当院のコロナ後遺症対応(耳鼻咽喉科専門医、アレルギー科専門医、漢方専門医、めまい相談医)は、

今までの診療の延長上で行います。

嗅覚味覚障害への加療

長引く咳や痰、のどの違和感の精査加療

オミクロン株流行以降は上気道・喉頭・気管の耳鼻咽喉科領域の炎症が多く認めます。隠れ喘息やファイバーでの副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、上咽頭炎、喉頭炎、嚥下機能障害、声帯萎縮の確認および加齢や膠原病で増加する上咽頭・口腔・喉頭のドライマウス関連疾患の確認をします。

コロナ後遺症ではありませんが、3密回避のため、マスク、声を出さない、活動の低下のため、特に高齢者は声帯萎縮が悪化して、嚥下機能低下、痰の絡みなどの進行が問題となります。逆に喉の衛生が良くなり声帯炎や声帯ポリープは減少しています。

肺炎後遺症、心疾患の関与は呼吸器・循環器内科でお願いします。

ふらつき、倦怠感への対応及び漢方での加療

内耳などの耳からのめまいや自律神経症状・起立障害の確認および採血での全身評価を行います。

強い倦怠感、Brain fogや慢性疲労症候群疑いは、内科や大学、総合病院で加療お願いします。 鹿児島での筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群ME/CFSの専門医:鹿児島大学病院心療内科

睡眠障害(睡眠時無呼吸症など)

睡眠時無呼吸疑いはアプノモニターにて評価を行い、不眠へは睡眠生活指導や依存が少ない薬や漢方での睡眠対応。

難治な不眠症やうつ、PTSDなどは心療内科や精神科受診をお願いします。

急性や慢性上咽頭炎

後鼻漏、頭痛、肩こり、咳痰、のど違和感、倦怠感など起こす急性や慢性上咽頭炎のファイバーでの確認と一般治療

採血、胸写、心電図などから、全身状態を把握しての必要な専門医への紹介

などが当クリニックでできる事と思われます。

鹿児島県での後遺症の外来対応医療機関が、公表されました。

こちら

 

詳細は以下を参照して下さい

罹患後症状の頻度(報告の大半はオミクロン流行前)

米国CDCからの報告2022年5月27日:

大規模調査約200万人では、罹患後症状は20%以上で発症

⇒ 2020年3月~2021年11月の期間、過去にCOVID-19の診断、または検査で陽性群症例群(35万3,164例)におけるコロナ罹患後に26の対象症状の発生率と、コロナ既往歴がない群(対照群:164万776例)に おける対象症状の発生率について:後ろ向きコホート)の比較

コロナ既感染者の成人では、18~64歳の5人に1人、65歳以上の4人に1 人が、コロナの既往に起因すると考えられる症状を経験していることが示された。若年者 に比べ高齢者のほうが、リスクが高く、感染から1年後まで持続することが報告されている

日本 厚労省発表2022年6月1日(オミクロン流行以前:入院患者の調査)

対象:2020年9月~2021年9月にCOVID-19で入院した中等症以上の患者 男性679例、女性387例 退院後12ヵ月後でも13.6の対象者に何らかの罹患後症状が存在

12か月後の罹患後症状

疲労感・倦怠感(13%)、呼吸困難(9%)、筋力低下(8%)、集中力低下(8%)、睡眠障害(7%)、記憶障害(7%)、関節痛(6%)、筋肉痛(6%)、咳(5%)、痰(5%)、脱毛(5%)、頭痛(5%)、味覚障害(5%)、嗅覚障害(5%)。

感覚過敏、味覚障害、嗅覚障害、脱毛、頭痛は若年者に多く 咳、痰、関節痛、筋肉痛、皮疹、手足のしびれが男性で高頻度

3ヵ月時点では女性で男性と比べて咳、倦怠感、脱毛、頭痛、集中力低下、睡眠障害、味覚障害、嗅覚障害などさまざまな症状が高頻度で認められた

1つ遷延症状が存在すると健康に関連したQOLは低下し、不安や抑うつ、COVID-19に対する恐怖、睡眠障害を自覚する傾向は強まった。
代表的な24症状(例:倦怠感、呼吸困難、筋力低下など)の多くは経時的に低下傾向を認めた。

日本では罹患後症状10%以上とすると、少なくとも2022年9月2日時点200万人程度が何らかの罹患後症状で悩んでいる方がいると考えられます。

厚労省から2021年12月1日に暫定版、2022年4月28日に第1版がCOVID-19診療の手引き別冊:罹患後症状の手引きとして発行されました。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 罹患後症状のマネジメント第1版 罹患後症状に不安をもち悩む患者の方々の予後の改善に役立てること目的に作成されています。

 

医療者側の患者さんに寄り添う姿勢が求められる

2020年1月から、この2年半の間に、感染性が消失し主な症状は回復したにもかかわらず “ 後遺症 ” と呼ばれるような症状, あるいは新たな,または再び生じて持続する症状など(もぐらたたきのように出たり引っ込んだりする)に悩む患者が少なからずみられるようになりました。実際に “ 後遺症 ” が現れた患者にとっては,日常生活や仕事・学業などの支障が出てくることもあります。このような症状は 3 カ月ほどで約 2/3 は回復をしますが,不安が募るとさらに持続・悪化することがあります。

長期化することによる不安に伴う新たな症状も含め、標準化された診療やケアの方法はまだ確立されていません新しい未知数が大きい新型コロナに罹患した思い込みも症状の遷延に関与します。医療者側も、新しい疾患の後遺症のため、診療方針もまだ手探りの段階で、診察に躊躇する傾向がみられます。この診療の手引き:罹患後症状のマネジメントを参考に、医療者側も患者さんに寄り添う姿勢が求められています。

厚労省の第1版では、後遺症という言葉を使わず、単に罹患後症状としてます。新型コロナ罹患後の後遺症の半分以上は、通常の感冒後の症状と同様に自然に回復することが多く、後遺症という言葉を使うとずっと残ってしまう印象を与えてしまいます。新型コロナの場合は、通常より罹患後症状の持続期間が長くなる傾向にあります。

WHOの定義:新型コロナCOVID-19罹患後症状

WHOの後遺症の定義 は、新型コロナウイルス感染症後の症状は,少なくとも2カ月以上持続し,また,他の疾患による症状として説明がつかないもの。通常はCOVID-19の発症から3カ月経った時点にもみられる。 症状には,倦怠感,息切れ,思考力や記憶への影響などがあり,日常生活に影響することもある. COVID-19 の急性期から回復した後に新たに出現する症状と,急性期から持続する症状がある。また,症状の程度は変動し,症状消失後に再度出現することもある(もぐらたたきのように出たり引っ込んだりする症状)。

オミクロン後遺症の大規模調査が進行中

ここ2年半の間に、原因ウイルスの変異に伴い罹患後症状も変遷しています。現在のオミクロンの後遺症について、日本での大規模調査はなく各医療機関の小規模な報告にとどまっています。 オミクロン株の場合、嗅覚味覚障害が少なく今までと罹患後症状が異なっています。2022年5~7月に大阪の豊中市で、忽那医師を中心に感染者3万人規模の調査が始まりますので、報告に期待したいと思います。

罹患後症状の問題解決の指針

罹患後症状の中で、治せる病気が隠れていることがあります。

回復に時間を要する罹患後症状なのか、コロナ罹患が誘因となり発症した治療可能な病気なのかを、受診して確認することから始まります。

罹患後症状は、様々の訴えがあり、

総合内科、神経内科、呼吸器内科、整形外科、循環器内科、消化器内科、耳鼻咽喉科、皮膚科、心療内科、精神科、眼科など様々専門医の関与が必要になります。

他県ではコロナ後遺症外来について各医療機関の役割分担を公表

2022年9月2日時点では、鹿児島県ではかかりつけ医で相談および対応医療機関公表。➡こちら

 

 

 

👉 各専門医での対応可能な疾患(診療の手引きを参考)

 呼吸器専門医

オミクロン流行以前は肺炎発症が高率です。呼吸困難、息苦しさ、咳、痰、咽頭痛、低酸素血症などが持続する場合や肺血栓塞栓症を疑う場合は、呼吸器専門医や病院での精査が必要。オミクロン株流行以降でも、持続する咳・痰の場合に受診。

 循環器専門医

COVID-19 罹患に伴い,急性冠症候群(急性心筋梗塞や不安定狭心症),心不全,不整脈, 脳梗塞,血栓塞栓症などの循環器病が合併したという報告があります。動悸・息切れ、胸部不快、胸痛、四肢のむくみや失神などの症状に対して受診。

 

神経内科・心療内科 大学や総合病院

疲労感・倦怠感・brain fogは、後遺症として最も多い症状の一つです(2か月以上)。時間経過とともに症状が消失する可能性があります。

brain fog は,「脳の中に霧がかかったような」広義の認知機能障害の一種で,倦怠感、記憶障害,集中力低下などを伴うと戸惑いや焦りだけでなく,日常生活や就学・就労,職場復帰などの妨げにもなり得ます。オミクロン株感染でも,初発症状として咳に次いで疲労感・倦怠感が多い。感染したという思い込みが,持続的な身体的症状を引き起こし得るとの報告もあります。

brain fogは、うつ病の一部、認知症の初期や筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)でもみられます。精査しても原因が不明で、後遺症としての治療法や治療薬は確立していないためリハビリによる対症療法や心理的サポートが中心になることもあります。

新型コロナの後遺症の一つして筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群ME/CFSの問題(日本では0.2~0.3%)があります。

コロナ以外でも様々な原因で生じ、ストレスが契機で発症することがあります。日常生活が著しく損なわれるほどの強い全身倦怠感、慢性的な疲労感が休養しても回復せず6ヶ月以上の長期にわたって続く状態で、慢性疲労とは違います。買い物に行くなどの軽い負荷で5時間~48時間後に急激にだるくなり動けなくなる(PEM)がある倦怠感は、ME/CSFへの移行の可能性があり運動は控えます。

急増“オミクロン後遺症- NHK クローズアップ現代 全記録(2022年6月7日)

オミクロン後遺症チェックシート(慢性疲労症候群の診断基準を参考:平畑医師)はこちら

鹿児島での筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群ME/CFSの専門医:鹿児島大学病院心療内科

紹介された治療法について

r-TMS治療(自費診療:一部のうつ病は保険適応)

上咽頭擦過療法Bスポット:痛みと出血を伴う治療、頻回通院必要、稀に嗅覚異常出現:効果に関する科学的根拠は現時点では不十分、データの蓄積が必要な治療、最近コロナ後遺症で注目され、今年になり英語論文報告続く

→IgA腎症の血尿に効果、腎機能変化なし(2022年5月もぎたて耳鼻科の英語論文はこちら

→新型コロナ後遺症に効果 4回の治療で倦怠感、頭痛など効果あり 2022年4月 今井、西 英語論文はこちら

→Bスポット後、上咽頭の新型コロナ受容体ACE2など低下 2022年1月福岡歯科大 西 英語論文 In Vivo Jan-Feb 2022;36(1):371-374

Bスポット治療施行を情報公開している施設は慢性上咽頭炎 | 日本病巣疾患研究会 (jfir.jp)HPから確認を2022年5月時点 鹿児島では3医療機関

 

 心療内科 精神科

ウイルスによる炎症や免疫異常による影響及び未知の病気に対する不安や恐怖,自粛要請や失業などによる社会的孤立など,いくつもの心理的負荷がのしかかり,急性ストレス反応から過剰適応に陥り,やがてうつ病を発症する精神症状 うつ傾向 睡眠障害 PTSD 高齢者での認知症の新規発症などで受診

受診前に、治療可能な身体疾患がないか内科や耳鼻咽喉科で確認も必要。

 

 整形外科 神経内科 ペインクリニック

痛みの部位は頭痛,喉の痛み,頸部痛,胸背部痛,腹部痛,腰痛,関節痛など様々。要因には,ウイルスによる身体ダメージや集中治療後症候群,床上安静などを含めた治療プロセスによる影響などが考えられ,時間経過とともに改善する傾向がみられます。しかし,痛みが持続すると筋力が衰え心身に不調をきたして 慢性化する可能性もあります。

当該疼痛部位により診療科を決めます。

筋・関 節の痛み→整形外科,腹部痛→消化器内科、咽頭痛→耳鼻咽喉科、頭痛→脳外、神経内科

 消化器内科

持続する腹痛 下痢 嘔吐 食欲不振

 皮膚科

COVID-19 の皮膚症状の頻度は 0.2 ~ 20.4 %と幅があり実際の頻度は不明。

様ざまな皮疹と回復後の脱毛症

 

抗原定性検査の利用拡大:コロナ診療の現場から

2022-08-21

オミクロンBA5の感染拡大がお盆明けで進行しています。

信頼性と感度が高いリアルタイムPCRを検査機関に依頼すると、以前は半日以内に結果が出ていたのが、BA5が流行してきた7月中旬以降は報告をもらうのに1日以上かかることも稀ではありません。医療機関への負担軽減目的で、研究用ではない医療用抗原定性検査での新型コロナの自己診断、陽性者登録が各自治体ではじまりました。医療用抗原定性検査も同時にネット販売解禁が2022年8月17日に厚労省で了承されました。

 

👉 迅速抗原定性検査の有効性や使用する上での注意点、検査の限界、利用法など医療現場の立場から説明したいと思います。

 

迅速抗原定性検査の注意点

最近の医療用抗原定性検査は優秀でコストも安く、多くの患者さんで、数分で新型コロナを判断できます。薬局でも、医療用のキットが販売され、最近はネット販売も解禁されました。

皆さんには朗報ですが、医療現場では医療用検査キットが入らなくなり困っています。

しかし、検体が不十分では、検査結果は信頼できません。自分で検体採取が、きちっとできていることが重要です。

➡ 検体採取について

医療機関で行うように鼻の奥からしっとりした検体を採取することが理想です。

当院は耳鼻咽喉科なので、鼻腔内を確認して、鼻の状態を確認して、鼻汁や鼻の彎曲をチェックして、適切な検体を、できるだけ痛くないように摂取する配慮をしています。盲目的にただ綿棒を挿入するわけではありません。

➡ 自分で行う鼻前方からの採取の場合

鼻前方は乾燥していることも多く検体が不十分のことがあります。この場合、マニュアルより鼻腔内挿入時間を少し長くして下さい。鼻汁症状があれば鼻前方からでも容易に採取可能と思われます。私自身も自己採取のマニュアル通りに綿棒を使って行ってみましたが、鼻炎症状がないときは、しっとりとした検体は取れませんでした。

両鼻腔から同様の操作を行い採取する方法もありますが、不快感や鼻出血のリスクは高くなります。しっとりした検体であれば片方だけで問題ありません。医療機関では、鼻の奥から採取しますので両側を行うことはほとんどありません。

最近、医療用の唾液の抗原定性検査が今年の4月に承認されましたので、唾液の方が安定した検体が確保できると思われます。2022年8月21日現在、売り切れ状態のようです。

但し唾液の場合、幼稚園以下のお子さんは唾液採取が難しくなります。。お子さんの場合、鼻からの採取のほうがとりやすいかもしれません。日頃から鼻水を頻回に認め、泣けば鼻水も増えますので容易にとれると思いますが、固定をしっかり行わないと、鼻出血の恐れがあります。

高齢者や病気や薬の影響で唾液が出にくい方も唾液からの採取は難しくなります。

➡ 研究用抗原定性検査キットについて

ここで、注意することは、以前から出回っている評価不十分な唾液・鼻腔の研究用の検査キットが、ネットや薬局、ストアーで出回っていますので、医療用か研究用か、十分判断して購入しましょう。

コロナ患者の自己診察、陽性登録が各自治体で始まってきました。使用できるのは、研究用ではなく医療用の抗原定性検査のみです。研究用は、医療用より少し安く購入でき、医療用とわからないような説明がされていますので、よく説明書を読んで購入して下さい。

研究用の抗原定性検査でも、陽性がでて受診される方もあります。研究用は評価が不十分であることが問題です。

コロナ検査を行う郊外の一般クリニックの現場(当院)から

診療では、患者の症状、背景、咽頭などの所見を確認し、総合的にコロナの臨床診断を行います。コロナ以外の病気も想定した診断を行い対症療法などの処方も同時に行います。

当院は通常のクリニックですが、発熱外来を、入り口を別にして、別の診察室を設けて車から直接来院できるような体制で行っています。一般の患者さんと、接触することはありません。当院は、コロナ患者さんへの点滴加療は行っていません。往診も行っていません。

病状や家族背景から自宅療養が難しい方は、HERsys 登録後、保健所に連絡の上の対応となります。基礎疾患をお持ちの方は、かかりつけの担当医に相談の上対応を検討してしてもらいます。

➡ 症状がある方は、

迅速抗原定性検査を使用して、鼻の奥から綿棒で採取を行います。しっとりした綿棒の検体をもとにした抗原定性検査結果を参考に、発病初日から、臨床および身体所見も参考に、その場で新型コロナの迅速臨床診断を行います。

➡ 症状がない方は、

症状ない方への診断目的の抗原定性検査の適応はありません。

濃厚接触の方であればPCRなどの精密検査での対応が必要になりますが、症状が出現してからの受診をお願いしています。感染していれば、多くは接触後1~3日以内に症状が出現してきます。濃厚接触解除目的の検査や隔離解除時の検査は、当院ではおこなっていません。

➡ 隔離解除について

陽性者の隔離解除の原則は、解熱剤使用せず解熱して呼吸器症状が改善傾向であれば、発症翌日からの10日まで隔離、その後解除、無症状の検査陽性者は検査日翌日から7日まで隔離、その後解除となります(2022年8月21日)。

抗原定性検査は、濃厚接触者の早期解除のため2日、3日目(5日→3日までに変更可能)やエッセシャルワーカー継続従事の目的のため使用されます。

解除時、解熱すれば症状があっても検査の必要性はありません。会社や学校、幼稚園、保育園希望のコロナの検査は、当院では行っていません。

 

迅速抗原定性検査が陰性の時

典型的な症状の発症でも初日は、抗原定性検査陰性になることもあります。この場合は、抗原定量検査やPCRなどの核酸増幅法の追加検査を行いますが、PCR、抗原定量検査でも陰性のことも頻回にあります。

前日陰性でも翌日抗原定性検査を再検すれば、典型的な症状のコロナの方であれば、多くの場合陽性になります。

但し、抗原定性検査のラインの発色が薄い場合は、慎重な判断が求められます。陰性の時は、他の病気(インフル、RSV、溶連菌、アデノなど)も想定して検査、採血などを進めることもあります

精密検査の抗原定量検査やPCRなどの核酸増幅法が必要な場合は

無症状や症状が軽い方は、抗原定性検査では、診断が難しいことを経験しますので、この場合は精密検査の抗原定量検査、PCRなどの核酸増幅法が必要になります。

抗原定性検査のラインの発色が薄く判断を迷うときは、精密検査を追加します。

稀な抗原定性検査の偽陽性を疑う時も精密検査の適応になります。

発病初日は、抗原定性検査陰性になることもあり、この場合は精密検査を追加検査する必要性が出てきます。

👉 最後に、隔離解除後の症状持続について

新型コロナ隔離解除後、問題ない方も多いのですが、咳、痰が絡む感じやのどの違和感が持続する方は多く認めます。喘息やアレルギー体質をお持ちの方は、鼻炎、咳や喘鳴が持続しています。ブレインフォグの症状は無くても、倦怠感や息切れ感が持続する方もみられます。オミクロン以前の株のように多くはありませんが嗅覚・味覚異常の訴えの方もあります。

後遺症の判断は、2か月以降となりますので、通常の風邪をこじらせると、コロナ後と同様の症状が1~2か月持続することは、今までの疾患でも経験してきたことです。3週間以上続く咳・痰を感染後咳嗽と呼んでいます。このような症状は1~2か月の間に自然軽快していきます。少しずつ改善することが、ほとんどですので、睡眠をよくとり、3食バランスを考えて食べ、無理をせず気長に改善する過程を待ちましょう。ネット情報ばかり見ていると不安なことの方が脳にインプットされ、回復にマイナスに作用しますので、公園の散歩や、無理しない程度で有酸素運動を行い気持ちのリフレッシュも考えましょう

バイデンも行うコロナワクチン4回目接種:限定的効果

2022-05-29

日本でコロナ4回目接種が、はじまりました。80歳近いバイデンさんも接種したようです。

Biden second booster shot 2022年3月30日 Youtube 

当院ではコロナワクチン4回目接種予定はありません。

4回目接種は3 回目から 5 か月経過した 60 歳以上 とハイリスク者が対象です。

若い人が多い医療従事者やエッセンシャルワーカーは入っていません。

なぜでしょうか

健康成人には期待できないから

最近の信頼性が高いデータとして、健康成人の方への接種ですが、2022年4月7日にNEJMで報告されたイスラエルからのデータがあります。この報告では、コロナワクチン4回目接種の感染予防効果はあまり期待できない内容です。

 

オミクロン株へ の有効性については、 60 歳以上の保険情報をもとにした後ろ向き コホート研究で、

ファイザー製ワクチン 4 回 接種から 7~30 日後の有効率は、3 回接種群 に比べて、

感染予防 45%、

発症予防 55%、

重 症化予防 62%、

死亡予防 74%でした。

70~79 歳の死亡が 72%、80~100 歳の死亡が 80%減 少しており、

超高齢者でも有効です。

このうち 感染予防効果2~3 か月後には著明に低下しま すが、

超高齢者でも重症化予防効果は維持されます(長期には不明)。

 

New: 2022年5月24日 BMJ イスラエルからの同様の10週間の報告では

感染予防効果3週間後ピーク 65.1% 10週間後 22%

重症化予防効果、 3週後 77% 10週間後 86% (10週以降の長期は不明)

 

👉 感染予防効果は、接種しても一ヶ月で効果はすぐに低下して、費用対効果が悪いことがわかります。

今のオミクロン株は以前の新型コロナに比べ重症化率や死亡率はかなり低下していますので、重症化の可能性が高い人へ絞った対応の方がワクチンの有効率を発揮します。

 超高齢者でも重症化予防効果は、いつまではか不明ですがしばらく維持されますので、

75歳以上の後期高齢者や全身状態が悪い高齢者および

癌の治療中の方や、免疫抑制の疾患の方、免疫抑制薬などを服用している方

重い基礎疾患がある方が

積極的に接種推奨の対象になるように思われます。

 60歳以上の元気な方への効果は限定的と考えて接種推奨と考えられます。

米国では50歳以上の方が対象になっています。

 

オミクロン株への4回目接種のNEJM 2022年4月7日での報告

一方、18 歳以上の医療従事者を対象とした 前向き臨床研究では、接種後 1 か月まで感 染予防効果はファイザー製 30%、モデルナ製 11%でしたが、いずれも統計学的有意差はなく若く健康な人では 4 回目接種の有効性は 限定的とされていますこの結果から、オミクロン株に対しての感染予防効果は、健康成人には効果はあまり期待できないようです。

この研究には、高齢者や基礎疾患がある方は含まれていません。

 

ハイリスク者(通院および入院中の基礎疾患あり)への接種について

慢性の呼吸器の病気 (COPDなど)

慢性の心臓病(高血圧を含む。)

慢性の腎臓病 (透析など)

慢性の肝臓病(肝硬変等)

インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病

血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)

免疫の機能が低下する病気(治療や緩和ケアを受けている悪性腫瘍を 含む。)

ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている

免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患

神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)

染色体異常 • 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態) • *睡眠時無呼吸症候群

重い精神疾患

およびBMI 30以上を満たす肥満の方

とされています(厚労省)。

担当の先生と相談して接種するか検討して下さい。

60歳未満の基礎疾患者は自己申告が必要です。

👉 まとめ

2019年の年末に新型コロナが報告されて以来、様々な変異株(アルファ、デルタなど)の出現で死亡率(ワクチン未接種65歳以上4%程度)の増加や人工呼吸器の使用が増加していましたが、ワクチンの普及による死亡率の低下(1%以下)認められるようになりました。

現在のオミクロン株では死亡率(0.13%)は低いが、インフル死亡率0.01~0.05%)よりは少し高い死亡率を維持しています。

インフル同様の状態に近づきつつあり、感染力が強いため、学校内や家族内感染が広がっています。

上気道が主の感染のため肺炎や人工呼吸器使用の方は減少して死亡率が低下、咽頭痛による嚥下障害の方が多くなっています。嗅覚味覚障害はほとんどみられなくなりました。オミクロン株による後遺症についてはまだわかっていません。

現在、2020年の初期のコロナワクチンをもとにして作られた現在のmRNAワクチンの方針転換が求められています。現在の方針では、ワクチンだけでの家族内や学校での感染予防は難しいと思われます。

イギリスなどのように、重症化率が低下した新型コロナに対して、インフル同様としての考えに変えれば、2類から5類に変えてもっと規制緩和していくことも可能でしょう。経済も上向きになります。国民の感染率が上がれば、ゆっくりと自然に感染が抑制されることは予想されます。外国との日本の大きな違いは、日本は高齢化率が非常に高いことが大きな問題となります。

規制緩和をすすめることは、重い基礎疾患を持っている方や、超高齢者への対応を医療体制でもっとカバーする必要性が出てきます。

 

 

今後の問題点

オミクロン株に特化、またはオミクロン株および予測される株を入れたワクチン(2価)を作るのか

mRNAワクチン以外のワクチンに期待するのか(組み換えタンパクなど)。

インフル同様に副反応が少ないワクチンで重症化予防を目的に年に一回程度の定期接種で対応するのか。

2類から5類(インフル同様)にいつ変更するのか

今年から来年にかけて新型コロナ感染対策行政の変化が待たれます。

身近な感染予防

また、新型コロナの接触感染の可能性はかなり低いことがわかっていますので、現在の過剰な感染対策として過剰なアルコールや次亜塩素酸消毒、スクリーンによる空気の流れの滞りなども問題となってきています。

結局、緩和されつつある感染対策を行い、必要な換気、石鹸での手洗い、必要な時のマスク、十分な睡眠、栄養管理、運動習慣を維持することは必要でしょう!!

耳鼻咽喉科医からみた片頭痛:関連めまい

2022-03-16

片頭痛は国民の約800万人、子供も含めると1000万人程度の方がいると言われています。国民の10人に1人程度で非常に多い疾患です。

頭痛が主の訴えであれば

不安になり脳外科や大きな病院でCTやMRIなど検査に行かれると思います。しかし片頭痛は、検査ではわかりません。医学的には一次性頭痛に分類され、筋緊張性頭痛(肩こり頭痛)、群発頭痛なども同様に、頭痛そのものが疾患であり、検査で異常をみとめません。命にかかわることもある二次性頭痛(クモ膜下出血、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、副鼻腔炎など)を除外するために検査を行っています。

経過や症状を確認して、必要があれば頭痛ダイアリーを記載してもらい、診断していきます。片頭痛の診断には、問診が最も重要になります。

頭痛ではなく、めまいの訴えが主であればどうでしょうか

高齢者や最初のめまいであれば、脳を心配して病院でCTやMRIで精査をされることが多いと思います。しかし、めまいの半分はBPPV(良性発作性頭位めまい症)で、明らかな脳からの異常が認めるは、2~5%程度と考えられています。耳鼻咽喉科関連のめまいが60%程度で、他は体調・身体・循環・自律神経などからのめまいが考えられます(報告する医療機関で異なることあり)。めまいの場合は、脳梗塞や脳腫瘍が原因の可能性は低く、耳の奥の内耳の可能性が半分以上となります。

めまいで、片頭痛が原因と自分で判断できる方はいるでしょうか

最近まで、医者の間でも片頭痛関連めまい(前庭性片頭痛)の認識は乏しく、メニエール病や原因不明のめまい症として対応されていることが多くありました。中には、メニエール病や良性発作性頭位めまい症と前庭性片頭痛が併存していることもあるため診断を難しくしています。近年まで、めまい患者さんが、頭痛を訴え、脳卒中や脳腫瘍を疑うことは当然のことですが、片頭痛との関連を疑うことはあまりありませんでした

前庭性片頭痛という疾患単位として診断基準が確立されたのは近年(2012年)のことです

複雑な前庭性片頭痛の診断

特徴

現在または過去に片頭痛症状がある

頭痛と同時またはその後にめまいがある

めまい症状は、自発性めまいや視覚刺激・頭部運動で誘発される回転性めまいや浮動感である

5回以上の日常生活を妨げるめまい発作がある

5分~72時間の間で持続する日常生活を妨げるめまいがある

めまい発作の少なくとも50%に1つ以上の片頭痛兆候(頭痛、光・音過敏、視覚性前兆:前兆に前庭症状含めない)がある、頭痛が無いめまい発作のこともあり

めまい発作時は、高度難聴はなく、耳鳴・耳閉感のあることは多い

めまい発作が先に起こり、続発して片頭痛発作が起こった場合、メニエール病などの前庭疾患と片頭痛が別個に存在する可能性あり

前庭性片頭痛の診断は、非常に複雑です。診断するには前庭性片頭痛をについて熟知する必要があります。

片頭痛の診断には問診が重要で、前庭性片頭痛でも同様に問診が最も重要で、検査を参考にしながらの対応になります。

 

意外と多い前庭性片頭痛

頭痛外来の片頭痛患者61%に何らかのめまい症状があります。

片頭痛は、外国の耳鼻咽喉科外来の高齢者のめまいの原因で13%の報告。

日本の耳鼻咽喉科外来のめまい症例中、片頭痛合併例は13.6%と報告。

肩こり頭痛(緊張性頭痛)もふらつきを認めることがあり、片頭痛におけるめまいの有病率は緊張性頭痛の約10倍です。

 

前庭性片頭痛の診断が難しい理由

めまいが主の場合、自分が頭痛持ちの方は、頭痛はいつものことと思い、本人からの頭痛の訴えが無い。

片頭痛は更年期以降改善する方も多くなるため、過去に片頭痛だったことを忘れている方も多い。

頭痛がない前庭性片頭痛発作が存在するため、片頭痛を想定することが難しい

前庭性片頭痛という疾患単位として診断基準が確立されたのは最近(2012年)のため、診察した医者の認識不足。

前庭性片頭痛発作に耳鳴りや耳閉感の訴えがあり、しかも聴力検査でも実際に聴力低下も認めることもあるので、メニエール病との鑑別が難しい、またメニエール病や良性発作性頭位めまい症との併存例もあるため更に診断がむずかしくしています。

 

小児にも多い前庭性片頭痛

当院コラム:お子さんのめまい・ふらつき・立ちくらみを参考に

 

前庭性片頭痛への対応

治療

めまい発作時は、トラベルミン、セファドール、ナウゼリンなど

トリプタンのめまい効果は認めないようですが、頭痛には屯用で使用。トリプタンは、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、重度高血圧、重度肝臓病では使えません。

片頭痛の予防治療が発作の予防に有効

ミグシス、トリプタノール、インデラル、デパケン、SSRI(抗うつ薬)、呉茱萸湯など

めまいのリハビリ:片頭痛症状も改善することが報告あり

認知行動療法

近年では、CGRP抗体やCGRP受容体抗体製剤が注目されています。

片頭痛そのものが、本質的に改善することは難しく、誘因があれば回避する生活を行い、頭痛やめまいの閾値をあげ起こしにくい状態を作ることが重要です。

生活で注意点と対策

強い光、騒音、人混みを避ける

空腹、水分不足、寝過ぎ寝不足を避け、休日も普段通り

ストレス回避

ワイン、チーズ、アルコール、チョコは避ける

光過敏には赤系サングラスを選ぶ

片頭痛発作時は、静かな暗い場所で安静または睡眠、冷たいタオルで痛む箇所を冷やします

サプリ(Mg,  ビタミン B2:リボフラビン , コエンザイムQなど)

➡ 注意すべき特殊な片頭痛関連めまい

脳底型片頭痛脳幹前兆を伴う片頭痛

前兆のある片頭痛の特殊型です。前庭性片頭痛との鑑別が必要になります。生命維持に大事な脳幹に関連した前兆がおこり30分以内に頭痛が発生します。トリプタン、エルゴタミンは使用禁止、頭痛治療の第一選択のトリプタンで脳梗塞発生の危険性があります。

前兆で最も多いのが回転性めまい(60%以上)です、次に構音障害が多く、他に耳鳴り、難聴(耳閉感ではない)、意識低下、複視、運動失調など認めることがあるようです。少なくとも二つ以上の脳幹症状としての前兆があります。脱力、網膜症状は認めません。ミグシスやワソランで予防を行うようです。

👉

現在の耳鼻咽喉科専門医は、めまい相談医を中心に、片頭痛のことを理解してめまいが主症状の前庭性片頭痛の診断を行っています、必要な場合は脳外科・脳神経専門医や頭痛専門医と協力しながら対応しています。

運動・感覚まひや言語障害を伴う場合や、頭痛が主の片頭痛は脳外科・脳神経専門医や頭痛専門医での治療をお勧めいたします。

 

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