院長の健康情報コラム
2025年スギ花粉症どうする?鹿児島
舌下免疫療法など体質改善は数年以上かかるため間に合いません。
免疫療法の希望者はスギ花粉が終了してから開始します。飛散中に開始すると副反応が強く出る可能性があるためです。現在、維持量で継続中の方はこのまま継続して問題ありません。
今年は長期寒波の影響で、2月23日現在、鹿児島では、飛散はわずかで、予防投与もかねて服用または軽症の患者さんの受診のみで、ひどいスギ花粉症による患者さんの受診はありません。寒波や気温差による鼻風邪症状、またはダニ合併の鼻炎、咳、後鼻漏、眼のかゆみなどの訴えが多いのが現状です。ご本人はスギ花粉症と思い受診されれ方が多くみられます。
通常はバレンタインの2月14日あたりから飛散が多くなることが例年では多いのですが、今年はあてはまらないようです。
しかし25日から気候が急に変わり暖かくなり一気にスギ花粉飛散が増えそうです。
鹿児島のスギ花粉症は、2月最後の週末からから3月中旬頃までの短期決戦となるようです。3月中旬以降は、ヒノキ花粉に移行しますが、鹿児島市周辺はヒノキ植林は少なく遠方からの飛散となるため、3月後半は花粉症による影響の患者さんは急に少なくなります。この点は関東や他県と違うところです。
スギ花粉症のピークになると、初期療法の服用では効果が乏しくなり、追加の対応が迫られます。
➡3月になりスギ花粉症の後半は、通常の花粉症症状以外にも注意が必要!!
副鼻腔炎、咳、喘息、皮膚炎など合併して幅広い対応が必要になる方が増えます。
スギ花粉症が長くなると、くしゃみ、鼻水、鼻閉、目の痒みのような典型的な症状以外の病状が出現してきます。鼻副鼻腔炎の合併、咳や痰の増加、咳喘息・喘息が悪化する方が増えてきて、花粉が付着しやすい目の周囲や顔に花粉皮膚炎も発症しやすくなってきます。
合併症が増えてくれば、単純に、スギ花粉症の治療を行っても効果は期待できません。
鼻副鼻腔炎の治療、喘息に準じる治療、アトピー性皮膚炎に準じる治療が必要になってきます。眼・鼻・のど・呼吸器・皮膚それぞれ臓器別に治療を行うのではなく、アレルギー全般および上下気道のアレルギーとしてとらえ治療を行い、感染症の合併も考えなければなりません。
【鹿児島スギ花粉症対策】
➡初期療法を考えましょう 当院HP『早くから始めるスギ花粉症治療;初期療法』を参照
スギ花粉症の方の1/3程度は飛散開始日前に軽い症状を感じています。
*通常は、飛散開始予測日の1週間ほどから服薬など開始します。
*または飛散開始前後で症状を感じてすぐに開始します。
➡スギ花粉の回避策や回避行動を行います
めがね、マスク着用、花粉が飛びやすい時間帯の外での行動を控えること
【花粉飛散情報の要注意日】
1:天気が晴れまたは曇り
2:最高気温が高い
3:湿度が低い
4:やや強い南風が吹き、その後北風に変化したとき
5:前日が雨
以上から、前日または当日の未明まで雨で、その後天気が急に回復して晴れ、南風が吹いて気温が高くなる日が要注意日となります。
1日のうち飛散の多い時間帯:正午~3時頃 夕方(地域によって差があります)の外出をなるべく控えましょう。外出しやすい時間帯は8時PM~10時AMごろとなり 外活動は午前に済ませます。 洗濯の外干しは控えます。
➡スギ花粉飛散情報が重要となります
九州地区のスギ、ヒノキ花粉 手間がかかる従来の方法で測定 信頼性が高いデータです。週末は休みです。
週刊予報 PM2.5 天気などと総合的に判断できる情報満載。
ポールンロボによる機械で測定するためリアルタイムで情報提供 当日のWeb症状アンケートも記載されます。
➡鹿児島での例年の花粉飛散の動きを把握します。
鹿児島は関東圏など比較すると、飛散が早く減少する県です。
2019年の全国調査では、鹿児島県のスギ花粉有病率は約20%程度、東京等の関東圏では約50%程度ですので全国的に患者数は、かなり少ない県になります。もっと少ない県は、スギ花粉がほとんどない、沖縄、北海道および奄美などです。関東圏ではスギ ヒノキ植林以外の排気ガス,PM2.5と花粉粒子との関連での重症化、コンクリート環境により花粉が停滞しやすい環境も影響していると思われます。
一般的には、鹿児島のスギ花粉症だけの影響は、例年2月中旬から3月中旬ごろまでで、3月中旬以降はヒノキ花粉に少しずつ移行します。通常は、約一ヶ月程度つらい時期ですが、関東圏では2か月程度つらい時期を覚悟しなければならないようです。鹿児島の場合、飛散開始後7~10日頃に花粉飛散のピーク(本格飛散)を迎え、このピークが2-3週持続して少しずつ減少していきます。
➡特殊な治療
*注射1本で治る治療:これは、長期作用のステロイドの注射による治療のため、将来的な副作用の懸念から勧められていません。
*定期注射で、症状をを抑える高額医療(ゾレア)
希望者全員が対象にはなりません。重症者のみが対象で、1本数万円する高額医療です。通常の治療での加療1週間程度観察期間(患者による症状の記録が必要)を設けて採血なども行い開始されるため、つらい症状が出現して1~2週間後から開始されます。鹿児島の場合、治療開始後、すぐに飛散がピークアウトするため対象者は限定されます。関東圏では、対象者は多いようです。
当院では、前者の両方の治療(ゾレア、注射ステロイド)は行っていません。
鹿児島での当院の患者さんの9割以上は、年に1回内服または外用治療目的での受診で、その年によっては、ピーク時に追加治療でほとんど対応可能です。
花粉関連の合併症(副鼻腔炎、咳、後鼻漏、喘息の悪化)を併発する方は多く、しばらく花粉症ピーク後も、継続治療を行います。
インフル感染爆発:どう対応?
インフル感染爆発:どう対応?
2020年~2023年
2020年コロナ渦の感染対策のため、インフルエンザなどの通常の感染症も流行しなくなり、2023年から感染対策が緩和されてから、急に通常の感染症の流行が始まり、
2023年夏にはインフルが流行するなど 様々な感染症の流行を予測できない状態となっています。コロナは、軽症化して定着した感染症のようになり、消えることはありません。
2024年はどうか?
夏ごろまではコロナの流行が多く、温暖化の影響による夏の酷暑ともに発生して熱中症の影響もあってコロナ感染がきっかけの重症化した患者さんが増加していました。
暑い夏が終わることから、若い人中心にマイコ感染が爆発的に増加して、多くの若い方の肺炎患者さんが急増しています。暑い秋から、寒冷順化できていないうちに、12月から急に寒くなると、急にインフルの爆発的感染がおこり、今までに経験したことがない数のインフルの患者さんの治療を行うことになりました。
2024年12月初めから2025年1月初旬インフルの爆発的流行起こる
感染拡大が急な原因は?
1)集団免疫低下
コロナ禍のコロナ以外の感染症の流行の減少で、インフルなど様々な免疫を持っている人が減少したこと(集団免疫低下)が大きな原因と思われます。
2)流行株が、抗体保有が少ないA(H1N1)pdm09型
2009年に世界的流行した新型ウイルスであったことです。その後 通常ワクチンにこのタイプも加えられ、通常の季節性インフルとなっていたウイルスです。
しかし、このタイプのインフルの歴史15年程度と歴史が浅く、集団免疫が少ないところに、コロナ禍のこともあり、2000年以降4年ほど流行がありませんでした。2023年のインフルA型の流行は、違うタイプのA(H3N2)型でした。
コロナワクチン接種に疲れ、最近のインフルワクチン接種率の低下も要因と考えられます。
➡国立感染症研究所による2024年夏の以下の4つのインフルエンザ抗体保有調査で、
『A(H1N1)pdm09型、 A(H3N2)型、B型(山形系統)、 B型(ビクトリア系統)』
0~4歳を除くと、4つのサンプル調査で、昨年12月流行したA(H1N1)pdm09型の抗体保有は最も低く10~30%程度、A(H3N2)型は20~60%程度、B型(山形系統)は20~70%程度、B型(ビクトリア系統)10~40%程度。
0~4歳はすべてのインフル抗体で非常に低くなっています。
3)家族内感染者が多かった
家族内で、一人インフル感染者が出現すると2~3日のうちに、次々に発熱して、ドミノ倒しのように患者さんが急増します。通常はインフルの家族内感染率は10~20%程度と考えられていていますが、今回は家族内感染が非常に多く見られました。この状態はオミクロン株などのコロナでも多く見られています。インフル流行当初は成人の患者から、高齢者、学校へ広がり、学校と家族内で急速に広がっています。
当院の場合、
12月第1週は普通のインフル感染程度で、1日に数人程度のインフル患者が、
2週目は警報レベルの5~7人程度、
3週目には、前週の4倍の20人以上
4週目の学校の冬休み前からは1日に40人程度のインフル患者さんを診察する状態となりました。
20年以上の開業でここまでの急速で爆発的なインフル流行の経験は初めてです。
『インフルの警報レベルは、1医療機関1日に6人程度です(週30人以上)』
☞インフル感染爆発へどう対応?
今回インフルの感染爆発をもたらしたA(H1N1)pdm09型の抗体保有が低かったことが大きな原因ですので、毎年インフルワクチンを行うことが基本。
特に小さい子供さんや体力が弱った高齢者がいるご家庭は、家族内感染予防のためにも全員が接種することです。
通常の家族内感染の予防としては
手洗いの徹底、家族内でもマスク着用、感染家族の別部屋への隔離(子供の場合は近くで見守り必要)、タオルやコップを共有しない、部屋の換気と加湿 など考えられています。
家族内感染予防の難しさ
家族とは、3密が重なったような場所のため感染予防が難しいところです。
インフルの場合は発症の前日から感染力があり、潜伏期間は短く1~2日程度が多く(1~5日程度)、家族内に感染者が一人出ると、その後1~2日のうちに発熱、関節痛での受診を多く認めます。
最初の家族内感染者は、最初の発熱などの発症者の直前に、感染して短期間の潜伏期で発症していると思われ、家族内にインフル感染者が出てから行う通常の家族内感染予防を行っても難しいでしょう。4日程度以降の家族内発症については、家族内感染予防対策で、ある程度は、予防可能かもしれません。
2025年スギ花粉症 飛散早い
『2025年スギ花粉症 飛散早い』
鹿児島の場合、例年2月中旬ごろからの飛散が予測されています。今年も同様の時期からの予想で、2024年の酷暑と長い日照時間の影響もあり、飛散量は、例年比1.5~2倍程度多い予想です。
関東:東京も、鹿児島と同様に2月中旬ごろからの飛散が予測されています。
今週、2025年1月20日以降、東京は、気温13度程度、晴れが多く日本気象協会の東京の花粉飛散情報によると、少ないながら花粉飛散が報告されました。
鹿児島市では、2025年1月20日以降、晴れになり気温が昼は15~18度と例年より高くなりました。
日本気象協会の鹿児島での1月20日以降の花粉飛散情報では、飛散なしになっています。
しかし、鹿児島市川上町の当院では、1月20日以降、飛散を感じる患者さんが、急に増加しています。
患者さんの症状は、すごく軽症です。
東京の早い花粉飛散のニュースによるアナウンスメント効果もあるかもしれませんが、今週(1月20日~25日)は、温暖な天気のため鹿児島でもわずかに花粉飛散しているように思われます。
逆にインフルエンザの患者さんは、1日数人以下または、ゼロの日もあり、急に少なくなりました。
今年は、早めの予防投与なども含め対応を考えましょう。
感染対策を整理すると、基本は三つ:重要なのは手洗いと免疫!!
感染対策を整理すると、基本は三つ:重要なのは手洗いと免疫!!
①空気環境対策:
一つは コロナ感染対策で注目された 3密(密閉、密集、密接)を回避する、対面で食事しない、まめな室内換気などウイルスへの空間環境対策
②進入路対策;
加湿器、マスク、手洗い、うがい、まめな飲水など、粘膜の乾燥を抑制して人へのウイルスの侵入を防ぐ対策 最も重要なのは手洗い
③免疫の維持;
体内へのウイルスと接触しても体内への感染させない対策(ワクチン、十分な睡眠、適度な運動、腸内細菌を整える)
☞ 医師はどうやって感染を防ぐか?
最近 昼のワイドショーでは、医師はどう感染対策しているかの特集が組まれています。
具体的な話では、
*まめな手洗い、
*ワクチン接種
*腸活(食物繊維、海藻、キノコなど食べる)
*ブクブクうがい、カテキンお茶うがい
*まめな飲水
*睡眠
*適度な運動、水泳など
皆さんと同様に、医師も一般的なことを心掛けているだけのようです。
家族がみんなインフルになっても、ワクチンを接種していなくても、その中にかからない人がいるわけです。
どういうことでしょうか?
最終的には、本来からある自然免疫が強いか、後天的な獲得免疫をもっているかによると思われます。
2024年12月の今までにないインフルの感染爆発も、コロナ禍では、通常の感染症が流行せず、インフルなど感染症に対しての集団免疫の低下が原因と考えられています。
乳幼児は別として、大人になれば、ある程度の様々な免疫を備えています。ワクチンで免疫を強化し、獲得することも大事ですが、
常日ごろからの免疫を落とさない生活習慣や食生活も大変重要です。
感染対策の基本①
空気感染対策 コロナ禍の時には、感染拡大を目的に3密(密室、密集、密接)を回避する行動が求められていました。現在は、コロナ禍と違い、飲食店のお客さんは多く、3密を回避するのは難しいでしょう。ここで室内換気が重要になってきます。寒くなると、自宅での窓換気は、気密性が低下して寒くなるので行うのは難しいと思われます。換気扇をしっかり使うこと以外良い方法が見つかりません。
感染対策基本②
進入路対策
まず皆さんが心掛けていることは、マスク、うがい、手洗いの三つだと思います。
➡ マスクの感染予防としての効果は限定的です。マスクと顔の皮膚のすき間から入ってくるからです。ご存じのように、布、ウレタン、不織布など効果は材質にも依存します。不織布が最も効果的です。
発症した方が、マスクをつけると飛沫飛散が抑制されるので非常に効果的です。
高価なN95マスクは、感染予防にも効果が高く推奨されますが、息苦しくなるため日常使用するには問題があります。
マスクは、鼻やのど加湿効果があるので粘膜の感染防御の維持に効果あります。
➡ うがいの効果が限定的またはほとんどないこともあります。
ウイルスは鼻やのどから侵入すると20分以内に粘膜から感染してしまうと考えられています。15分ごとのうがいは、日常では行いません。おそらく朝と帰宅時にする程度と思いますので、うがいによる効果は期待できませんが、うがい時の一時的にウイルスを流してくれる効果はあるでしょう。また、粘膜の加湿効果も少しあるでしょう。
例外として、高齢者の肺炎予防としての口腔ケアの一つとしての、うがい、歯磨きなどを行うのは効果があると思われます。
2024年12月から2025年1月初期までに、高齢者のインフルの感染者が多く、インフル後の肺炎での救急搬送の増加および受け入れ困難ケースが多数報告されています。うがい、歯磨きなどの口腔ケアは、高齢者の肺炎予防として効果が期待できます。
➡世界共通で、もっとも推奨されているのは、手洗いです。
【液体石鹸と流水】
手洗いの考え方で 除菌するのか殺菌するのか考えます。
液体石鹸と流水による手洗い、細菌、ウイルスほとんどにおいて効果を認めます。物理的に洗い流す除菌しての効果です。
流水で、ウイルスは1/100程度に減少、石鹸で泡立てた流水だと1/1000~1/10000程度ウイルスを減少することが可能なようです。
【アルコール消毒】
除菌・殺菌も行ってくれるのが、アルコール消毒です。最も短時間で消毒できる方法のため最も普及しています。
*アルコール消毒の注意点
アルコール消毒に効果を認めは、エンベロープの層を持つウイルスのみです。コロナ、インフル、RSなどたいていのウイルスに効果あり、マイコ、溶連菌にも効果あります。
アルコール消毒は、エンベロープを持たない、おなかの風邪ウイルスの、ノロ、ロタウイルスには効果ありません。秋に多い鼻風邪ウイルスのライノウイルスや夏風邪のアデノウイルスにも効果はありませんが、石鹸と流水の手洗いは、エンベロープを持たないウイルスにも効果があります。ハイターなどの塩素系消毒は効果があります。
また、アルコール消毒は、乾燥しないと効果が期待できません。インフル患者の鼻水がついた手にそのままアルコール消毒しても乾燥していないので効果は低く、鼻水など分泌物を石鹸・流水手洗いで落として、自分用タオル、ペーパータオルで拭いて乾燥させてアルコール消毒すると効果を発揮します。
➡鼻のどの乾燥予防も、進入路の粘膜の防御能を維持するのに重要
*ウイルスの進入路のとしての、鼻とのど
ウイルスの侵入は、鼻やのど、眼の粘膜に侵入して感染することから始まります。鼻の粘膜に炎症を起こせば、鼻水、鼻閉、くしゃみが出現、のどに炎症起こせば、咽頭痛やのどの違和感を、感じるでしょう。
のどや鼻の粘膜が乾燥すれば、粘膜の防御能が低下してきます。
*鼻の粘膜乾燥は気づきにくい
のどの乾燥感は実感することは容易ですが、鼻の乾燥を実感するのは意外に難しいと思います。
鼻の入り口にカサブタや鼻水に血が混じるときは鼻の粘膜はかなり乾燥していると思ってください。耳鼻咽喉科医は毎日のように多くの患者さんの鼻の中をみていますので、エアコンを使用するような時期の冬から春にかけて鼻の粘膜が乾燥する患者さんが急に増えます。患者さんは、実際に自分で鼻の粘膜を見ることは難しいので、自分で気づく方はほとんどいません。内視鏡で乾燥して荒れた鼻の粘膜をお見せして納得されます。
鼻や気管より下の下気道、肺は呼吸上皮のため粘膜線毛機能が備わっていて、ウイルスや菌が粘膜に付着しないように常に動いていて外へ排出するように働いています。
粘膜が乾燥したり冷えたりすれば機能が低下して 感染しやすくなります。
感染対策基本③
免疫の維持
これが最も重要で、最も難しい対策です。
日ごろからの生活習慣、食習慣を心掛けなければなりません。インフルワクチンの場合、効果が出るのに、2週間ほどかかります。比較的早く免疫を上げるためには、それぞれのワクチンを接種することになります。乳幼児は免疫の発達段階のため、ワクチンは特に重要です。
成人も、重症化しやすい高齢者や免疫を落とす治療中の方などワクチンは重要です。
普通の健康な大人は新型ウイルスでなければ、以前にどこかで感染していて、または以前ワクチンを接種している人も多いため、免疫の記憶は残っていると思われ、免疫を落とさない生活習慣・食習慣がもっと重要な要素と思われます。
マイコ検査は、総合診断で
マイコ検査は、コロナと違い迅速検査の感度が悪く、迅速検査は参考に、迅速検査以外の他の検査や症状を考えて総合診断を行います。
今年(2024年)は、夏以降マイコの患者さんが増えています。咳・発熱・咽頭痛などあれば以前はコロナ検査希望が多く、最近は、若い人や子供さんがいる保護者からは、マイコを心配される方が増えてきました。
➡潜伏期間を考えた検査
コロナ・インフルなどは、感染者と接触後、数日以内に発症することが多く、同じ感覚でマイコ感染者に接触後、すぐに検査希望されて受診されます。
マイコの潜伏期間は2~3週間と長く、接触したことを忘れたころに発症してきますので、潜伏期間を考慮して検査を考えましょう。
➡マイコ迅速検査は感度が低い
マイコの検査をコロナ・インフル同様に、診察時の迅速検査をすれば、すぐにわかると考えている方が多くいらっしゃいます。
マイコの抗原検出免疫クロマト迅速検査は感度が低く、臨床的にマイコを疑っても陰性になる場合が多くありますので、陽性であればマイコとして対応し、陰性でも検査結果は参考にしながら総合診断とします。最近は、この迅速検査キットが不足しています。
マイコ迅速検査の感度が低い理由は、菌は下気道の線毛上皮に定着増殖するため、線毛上皮がない咽頭では増殖しません。菌は、咳に伴い気道から咽頭へ排出さます、咽頭の菌量は下気道の1/10程度と考えらています。のどから菌で判断するには非常に感度が良い検査が必要になります。
➡マイコの検査は総合診断
周りの感染状態、臨床症状を参考に、その他の精度が高いDNAを検出するLAMP法を用いると診断の精度が上がります。
1週間以内の急性期の段階では、当日わかる咽頭ぬぐい液を用いるマイコ迅速検査または3日以上して結果判明するLAMP法を選択します。
または採血のPA法など組み合わせて総合診断を行います。このPA法、発症1週間以上してから陽性率が高くなりますので、急性期は陰性になることがあります。1回採血測定では抗体価320倍以上 2回採血(例:1週間と3週間後)ではペアで、4倍上昇で陽性と判断しますので、臨床的には治療が終わっているときに判明することもあります。
LAMP法やPA法はすぐに判明する検査ではなく、ともに結果で出るまで3日以上かかるのが問題です。
肺炎を疑えば、胸部レントゲンや精度が高いCTが必要になります。
検査結果を待ってはいられませんので、臨床症状からマイコを想定して治療を開始します。
マイコ感染による肺炎の確率は約10%程度です。マイコ感染症、マイコ肺炎は基本的に自然治癒する病気ですので、必ずしも抗菌薬を使わなくても、軽症の方は、体力の回復を待てば改善する病気です。
喘息などの合併症や体力・年齢などを参考に個別に治療を考えていきます。
➡マイコを疑う臨床症状・検査(成人肺炎診療ガイドライン2024から)
*60歳未満
*基礎疾患がないか軽微
*頑固な持続する咳
*聴診上所見に乏しい
*採血で白血球が1万未満
*迅速診断法で原因菌が証明されない
5項目以上合致すれば、マイコプラズマ肺炎を強く疑います。
初発症状は頭痛・発熱・倦怠感などで3~5日ごろから痰を伴わない頑固な咳に移行していきます。1か月近く咳が持続することもあります。発熱はないこともよくあります。喘息様の喘鳴が出現し喘息様気管支炎を呈することもあります。
➡注意すべき合併症
肝機能異常が4割程度、消化器症状1割程度、または発疹が出現することがあります、稀ですが髄膜炎・脳炎や心筋炎の報告もあります。
もし以下のような症状が出た場合は注意が必要です。
*黄疸
*疲れやすい
*発疹
*けいれん、意識障害
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