吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・鼻内レーザー治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

院長の健康情報コラム

プールに入ってよいですか?耳・鼻の病気

2019-07-18

習い事ランキングの一番は、スイミングのようです。
今年は、涼しい梅雨と梅雨明けが遅れる中、学校のプール授業が行われました。
鹿児島では、大雨警報のため行事の中止や学校の休校もあり、
本格的な夏のプールや海水浴は夏休みに入ってからになりそうです。

風邪をひきやすく、耳・鼻の問題が多いお子さんがいる

ご家庭では、プールや水遊びを行ってよいのか心配になります

耳・鼻の病気で通院中のお子さんの場合、
担当医師によって、プールの可否に対して対応が違うこともあります。
岐阜県医師会:プール水泳許可基準
目安になりますので参考にしてください。

耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、心電図異常について記載されています。
耳鼻咽喉科医は一律に事務的に水泳を禁止するのでなく、その時点での生徒や児童の症状を把握し、
教育的観点からできるだけ許可するように指導することが適切である
とコメントされています。

岐阜県医師会の指針、他の耳鼻咽喉科医などHP、一般医療情報などからまとめると
以下のようになると思います。

耳鼻咽喉科領域では
急性の発熱、疼痛時などの急性炎症の時は禁止

外耳炎:
急性期(耳漏、耳痛、強い搔痒感)禁止中耳炎
耳の中を触らない事。
普段からの耳いじりのし過ぎが原因となります。

中耳炎:
急性期と耳漏が多量の場合禁止

穿孔や鼓膜チューブ挿入の場合は

耳栓・水泳帽を使用し潜水や飛び込みは控える

急性中耳炎(耳痛と発熱などあり)では
最低1~2週間禁止

膿性鼻漏を認めるときは再発のリスクが高いと認識することです

滲出性中耳炎はプールは可能。

滲出性中耳炎の鼓膜チューブ挿入の場合の別の考え

2015年滲出性中耳炎ガイドラインでは、
付記として
湖・海での水泳や潜水をしなければ耳栓なしでプール可能
耳漏・耳痛反復すれば耳栓使用となっています。
鼓膜チューブの内径は小さく
耳栓なしでも表面張力で中耳まで水が入り難いと考えられています。
これは、岐阜県医師会の指針と異なっています

滲出性中耳炎鼓膜チューブ留置中の場合、上記二つの意見があり担当医と相談しましょう。

鼻・副鼻腔炎
急性副鼻腔炎:疼痛や発熱時禁止
多量な鼻汁や鼻出血が頻回な時禁止
多量な鼻汁はプールの水の汚染になります。
鼻汁が減少し、水泳の前に鼻をかみプール可能。

アレルギー性鼻炎:
プールの消毒用塩素や浸透圧の影響で悪化の場合がありますが禁止ではありません。
症状に応じて、
鼻かみや必要な方は薬の服用・点鼻でコントロールしてプール可能。

実際の現場では、
鼓膜切開や鼓膜チューブ留置直後の対応。

鼻が悪いお子さん(鼻炎や鼻・副鼻腔炎)が、
反復する急性中耳炎や滲出性中耳炎を起こしやすくなる事実

限られた期間で行う学校プールの可否の判断を迷う時は、
お子さんのプールへの意欲や、ご両親の考え方。

などを考慮する必要性があります。

プールの判断は単純ではなく、担当医と相談して決めることになります。

 

👉 以下のことを理解してもらえば
プールや水遊びの判断がしやすくなります。

 外耳炎と中耳炎は原因が異なります。
外耳炎は、普段からの耳掃除や耳いじりのし過ぎで

外耳道の防御機能が低下しているところに、

高温多湿やプールなどの水が外耳内に入ることがきっかけで起こしてきます。

耳いじりをし過ぎなければ、予防可能となります。

次の当院院長コラムを参考にしてください。
 耳掃除は必要か?外耳炎・カビ・事故当院コラム

中耳炎は鼻炎や鼻・副鼻腔炎の炎症や菌・ウイルスが

耳管を介して中耳内へ波及したり

耳管機能不全で中耳内の浸出液の排出が悪くなることで生じます。

鼻の奥にある中耳とつながった、耳抜きを行う耳管機能の役割が重要です。
乳幼児までは、この耳管構造の未熟性のため中耳炎を起こしやすくなります。

また風邪を予防する免疫グロブリン(IgG)は
2~4歳で上昇しはじめ15歳で成人同様になるため、
2~3歳ごろまでは頻回にかぜをひき急性中耳炎を反復します。
おむつが取れる3歳ごろまでは、中耳炎の発症の点では
プールは望ましくありません。

最近は、プール用おむつをして、親子のスキンシップを目的とした

ベビースイミングもあるようですので、上記のことを参考に担当医と相談しましょう。

中耳炎の予防は風邪をひかない、鼻炎を悪くしない事です
 鼻と子供の中耳炎当院コラ)も参考にしてください。

 プールや川・海の水質の問題
最近は、自宅で鼻洗を行う方も増えています。
この鼻洗水が望ましい水と考えて下さい。
望ましい鼻洗水は

人肌に温めたもの

生体の浸透圧に調節したもの

0.9%程度の生理食塩水

を使用します。

塩分能度は、海水:約3% 身体:0.9% 淡水:0%
となり海水と川やプールでは浸透圧による影響がでてきます

鼻の粘膜の防御機能である粘液繊毛機能は体温に近い温度で活発となり低いと機能が低下します
川の水は冷たく、海水も冷たいことがあります。
学校の屋外プールでも23℃以上ですので、水温による影響が出ます

プールの水は細菌やウイルスの消毒目的に
淡水に消毒用塩素が水道水より多く使用され、pHが調節されています。
消毒用塩素の濃度が濃くなると鼻への影響が出てきます。

海水・川・プールの水は、水温と浸透圧の点で
理想の鼻洗水とはかけ離れたものになっていますので、
鼻や外耳に影響を与えます。

海水や川では汚染の問題や雑菌が多数入っています

参考図書

JOHNS 2010 Sep. Vol.26 No9 お母さんへの回答マニュアル

岐阜県医師会HP:プール水泳許可基準

子供のかぜウイルスと季節性:その対策

2019-07-06

今年は、夏かぜの手足口病が例年以上に流行しています。

子どもさんは、大人より風邪を引き易く、

子どもさんから両親や祖父母までうつることはよく経験します。

小児科外来受診の約7割が感染症で、その半数以上が呼吸器感染症です。

 

かぜの90%は、ウイルスによる感染で、

3日前後で改善しはじめ7~10日で改善し自然治癒する疾患です。

咳だけは、1週間までにピークを迎え、2~3週間かかることもあります。

日本人の成人の年間かぜの回数は、年間男性2回 女性2.5回程度のようです

 

4日以上持続する発熱や、一度解熱して5~7日で再度発熱するときは、

細菌感染(中耳炎、副鼻腔炎、肺炎、扁桃炎など)の併発を疑います。

 

ウイルス性感冒のウイルス数は200種類以上あり、

インフルエンザ、ヘルペス以外、薬はありません。

 

抗生物質は細菌を退治する薬のため、

ほとんどがウイルス感染のかぜを治す薬はありません。

西洋薬では、対症療法の薬のみです!!

漢方薬を考慮することもあります。

 

症状に対してつらいときは西洋薬を服用して、

免疫を落とさないようにしながら自然治癒を待ちます

漢方薬では、自然治癒力をサポートします。

 

ウイルスではない細菌性感染では、

溶連菌感染の扁桃炎、重い中耳炎、細菌性肺炎には

抗生剤をしっかり内服することは重要です。

 

安易な抗生剤の使用は腹痛、下痢、アレルギー症状を発症させ、

腸内・口腔などの細菌の乱れを招き、

社会的に問題な薬剤耐性菌の出現を助長します

 

👉 今回は、何百種類もあるウイルス性感冒の特徴を知り、

普段からできることを考えてみましょう。

時間が無い方は、最後の対策のまとめで確認を。

 

RNAウイルス不十分なインフルエンザワクチン効果

ウイルスはDNAウイルスとRNAウイルスがあり、

天然痘ウイルスなどのDNAウイルスは遺伝子が安定で、

変異は遅く、ワクチンで撲滅できました。

 

RNAウイルスは遺伝子構造が不安定で、変異スピードは速い特徴があります。

変異スピードが速いとヒトの免疫応答が追い付けなくなります。

アデノウイルス以外、インフルエンザなどの風邪ウイルスのほとんどは、

RNAウイルスです。

 

インフルエンザワクチンを接種しても、罹患することが多くなる理由も

RNAウイルスであることが問題の背景にあります。

 

高齢者(65 歳以上)を対象に、インフルエンザワクチンの発病阻止効果は34〜55%

インフルエンザを契機 とした死亡阻止効果は82%と報告されています。

現在のワクチン皮下注射では、分泌型IgAは誘導せず、血清IgG抗体を上昇させます。

血清IgG抗体は、鼻・口腔・気管での侵入を防ぐ効果や交差防御効果はありませんが、

生体内でのウイルス活性を弱める効果がありますので

感染後の症状発現予防や重症化予防は期待できます

ワクチン製造に使用されたウイルス株と異なるウイルス株が流行すると、

現在の不活化ワクチンの効果は期待できません。

その年の流行インフルウイルスが製造ワクチンのウイルス株とすこし異なると、

ワクチンを打っても効果があまり期待できない年があるのはそのためです。

現在のインフルワクチンは重症化予防に効果が高いと考えて下さい。

発病阻止効果を高めるため、経鼻弱毒生粘膜ワクチンが試みられていますが、

まだ十分な効果とは言えないようです。

 

エンベロープ(外側を覆う膜)が無いウイルスは:

夏かぜ、プール熱、ノロ・ロタウイルス、

鼻かぜ(ライノ)など

消毒用エタノール・石鹸での効果が弱い

 

ウイルスに

脂質・タンパク質・糖たんぱく質でできたエンベロープという膜で覆われているウイルス

エンベロープが無いウイルスが存在しています。

 

*エンベロープを持つウイルスは、

消毒用エタノール・石鹸でエンベロープを壊すと失活します。

感染力は強くても消毒に弱いウイルスです

 

*ノンエンベロープウイルス(外側の膜が無い)は、

消毒用エタノールや胃酸にも強く予防しないと防ぎにくいウイルスです

 

エンベロープウイルス

種類:

インフルエンザ、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、

ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、

コロナウイルス、麻疹・風しんウイルス、エイズウイルス、B型肝炎ウイルスなど

対策:

ワクチン(インフル、水痘、麻疹、風疹、B型肝炎)

石鹸で手洗い 消毒用エタノール

10~20分に一回水を飲む

咽頭のインフルエンザウイルスは20分以内に体内に侵入しますので、

10~20分に一回水を飲み、胃酸に弱いので死滅します。

最近、粘性が強い分泌物の中では、インフルエンザウイルスも

腸管内で感染力を保つことがわかってきました。

腸管内で、すべてのインフルウイルスが死滅するわけではないようです。

 

 

ノンエンベロープウイルス

種類:

ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス

エンテロ(腸)ウイルス

(エコー・ポリオ・コクサッキー、ライノウイルスの総称)

ライノウイルス(100種以上血清型)

A型肝炎ウイルスなど

夏風邪の代表例

手足口病(コクサッキーA16,エンテロ71)

ヘルパンギーナ(コクサッキーA群:2,3,4,5,6,10型)

アデノウイルス

51種類以上の血清型あり

咽頭結膜炎は主に3型、流行性角結膜炎(8,19,37型)、

肺炎(3,7型)、胃腸炎(30,40,41型)、

出血性膀胱炎、肝炎、膵炎、乳幼児咽頭炎(1,2,5型)など多彩

7型は乳幼児・老人で重篤

 

ノンエンベロープウイルスは、

主に夏風邪と感染性胃腸炎のウイルスと

鼻かぜのライノウイルスです。

 

対策:

手洗いが重要です。

ヒトーヒト感染では、手、嘔吐物、便からです。

ワクチン

(ロタウイルス、A型肝炎)

普通せっけんと流水による手洗いで物理的除去

消毒用エタノール・石鹸だけでは弱い

医療機関では

ウイルステラVHサラヤ(酸性にしたエタノールでは効果あり)で対応するところもあり。

 

プールでの感染を拡散させないように、プールの塩素濃度を適正維持。

タオルを共有しない、ペーパータオルなど使用。

夏風邪のエンテロウイルス(ヘルパンギーナ、手足口病、)

おしめ替えで手をよく洗います。

 

感染性胃腸炎の粉塵感染予防のため

嘔吐物を素早く、乾燥させないで、床を消毒(次亜塩素酸:ミルトン)して処理します。

食中毒では、カキ・アサリは十分に加熱、野菜を流水で洗うなど調理に注意が必要です。

 

逆性石鹸(オスバン)は、ウイルスには効果なし。

 

ありふれた風邪ウイルスの特徴と季節性を学びましょう。

 

夏のウイルス

夏風邪(ヘルパンギーナ、手足口)のエンテロ(腸)ウイルスは、

鼻水、咳少なく、咽頭・腸で増殖し便で拡散します。

 

ヘルパンギーナ(咽頭炎 稀に心筋炎、髄膜炎)

足口病(咽頭炎 重症化で髄膜炎、脳炎)

 

プール熱のアデノウイルス3型

(プール以外の感染も多く一年中発生)

流行性角結膜炎:アデノウイルス8型

(はやり目:プール以外の感染も多く 一年中発生)

パラインフルエンザ3型(喘息、気管支炎:初夏)

エンテロD68ウイルス

(咳 発熱 筋肉痛 喘息 重症化では麻痺:飛沫・接触感染2015年夏流行)

 

秋のウイルス

ライノウイルス

喘息 鼻かぜ アレルギー性鼻炎悪化)

パラインフルエンザ1、2型(クループ)

 

冬のウイルス

ンフルエンザワクチンあり

コロナウイルス

(鼻かぜ 胃腸炎 重症ではSARS、MERS)

鼻かぜのコロナウイルスは、ヒト・動物で感染をおこし、MERS, SARSの原因ウイルスです。

ヒトのかぜの10%程度で認めます。症状は上気道症状が主で下痢もあり、糞便で感染することもあります。

ロウイル

(食中毒二枚貝 食事とヒトーヒト感染 胃腸炎 老人で重症)

ロタウイルス

食事とヒトーヒト感染 胃腸炎 2~3月 

乳幼児で重症の可能性あり

5歳まで100%感染 乳児にワクチンあり:任意 

 

春のウイルス

イノウイルス

喘息 鼻かぜ、中耳炎、アレルギー性鼻炎悪化)

ウイルス排泄は通常は10日程度

ヒトメタニューモウイルス(3~6月 主に1~3歳に多い)(咳 肺炎)

小児の5~10%、成人の2~4%の呼吸器感染で認め

高齢者では重症化あり

反復感染で免疫獲得できるようになり、軽くて済みます。

生後6ヶ月頃から10歳までにほぼ全員が感染します。

熱は4~5日

咳は7日程度持続します。

発熱4日以上は細菌感染も疑います。

ウイルス排泄は1~2週間持続します。

 

から春のウイルス

RSウイルス

(鼻かぜ、中耳炎、咳 細気管支炎 肺炎:2歳までに全員感染

生後一か月では無呼吸あり、2~5か月齢で入院が多く

約7割は数日で改善することもあります。

成人までに、複数回感染で軽くて済むようになっていきます。

乳幼児の感染期間は3~4週間持続することあり。

 

1年中のウイルス

ノウイルス 51種以上あり

咽頭結膜炎(プール熱)3型、

流行性角結膜炎 8,19,37

重症肺炎 7型、気管支炎、

胃腸炎31,40,41型(3歳以下)

出血性膀胱炎、肝炎、膵炎など多彩

 

プール熱は39前後の発熱と咽頭痛が3~5日持続、

目の充血や目ヤニあり。

流行性角結膜炎は、耳前リンパ節や結膜充血あり、

感染力強くプールで感染。眼科で診断。

サポウイルス(食中毒二枚貝 胃腸炎 主に乳幼児、集団感染あり)

 

ウイルス感染迅速検査の役割

かぜウイルスの中で、クリニックですぐできる迅速検査があるのは

インフルエンザ(発症2日以内保険適応)

RSウイルス(1歳未満で保険適応)

ヒトメタニューモウイルス

(6歳未満 聴診で肺炎疑う例で保険適応)

アデノウイルス感染

(プール熱 流行性角結膜炎 感染性胃腸炎)

ロタウイルス(2~3月で多い 乳幼児重症あり)

ノロウイルス(3歳未満、65歳以上保険適応 冬に、老人で重症あり)

上記検査で、薬があるのはインフルエンザのみです。

他の疾患は、治療法が特に変わることなく対症療法だけになります。

ロタウイルスは乳幼児の重症化の可能性が高く、ワクチンがあります。

 

疾患がわかれば、病気の経過を推測した対応を行います。

ウイルス感染とわかれば、初期は抗生剤を使わない対応を行い、

耳・鼻・呼吸器感染で、発熱など持続すれば二次感染を疑い抗生剤の追加を検討します。

 

ウイルス感染で重要なのは、自宅、幼稚園、保育園、学校などでの予防です。

 

対策のまとめ

学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説(2018年)

日本小児科学会 (サイト)

上記サイトは、登校(園)基準、感染経路・期間・症状

などまとまっていますのでその都度確認して下さい。

 

うがいの予防効果

風邪には、水うがいで、40%の予防効果が報告され、

イソジンうがいでは、10%程度のようです。

イソジンが、のど粘膜細胞や細菌叢に影響を与えることが原因と推測されています。

 

インフルエンザは、20分以内に鼻・のどの粘膜から侵入するため、

うがい効果はありません

少しの水をこまめに飲み胃酸に弱いので死滅を期待します。

粘度が高い分泌物中では、腸管内でも生存するようです。

 

マスクの効果 飛沫感染予防

マスクの性能に依存します。

不織布マスクは、保温、保湿効果で増殖予防とのどの保護効果

くしゃみ・咳による飛散予防咳エチケット

マスクによるウイルスの侵入予防は限られます

 

手洗い 接触感染予防

石鹸と流水での手洗いによる物理的除去はすべてのウイルスに効果を認めます。

接触感染予防の基本です。

鼻かぜ(ライノウイルス)・夏風邪や感染性腸炎ウイルスには、

消毒用エタノールや石鹸だけでは効果は減弱します。

 

部屋の換気 飛沫核(空気)感染予防

インフルエンザは、密閉、低温、乾燥の条件がそろうと、部屋にいるだけで感染します。

いったん付近のものに付着した後、

乾燥して水分を含まない微粒子(直径5/1000mm)の感染を

飛沫核感染と言います。

2µ以下の飛沫核は長時間空中をただよう事ができるため、

同じ部屋に一緒にいるだけでも感染します。

部屋の換気は重要です。

➡ かぜウイルスではありませんが、結核、水ぼうそう、麻疹空気感染の代表例です。

 

 

 

『 冬の嘔吐下痢(ウイルス性感染性胃腸炎)冬将軍

頻度が高く問題になるのはノロ・ロタウイルスです。

厚労省 ノロウイルスサイト

東京都福祉保健局 ノロウイルス対策:詳細サイト

厚労省 ロタウイルス:Q&Aサイト

で確認しましょう。

ノロ・ロタウイルスは、経口・接触・飛沫感染で

急性期は最も感染力が強く、便中に3週間以上排泄されることもある。

消毒用エタノールの効果は弱く石鹸による流水に手洗いが重要です。

 

 粉塵感染予防

感染性胃腸炎の粉塵感染予防のため:

嘔吐物を素早く、乾燥させないで、

床を消毒(次亜塩素酸:ミルトン ハイター)して処理します。

 

👉 子さんへの実際の対応

吐き気の症状が強いときは、吐き気止めの坐薬をいれます。

薬の効果が出るまで1~2時間かかりますので、飲水は我慢してもらい

口をしめらせる程度にください。

早く飲ませると飲んでは嘔吐を繰り返すことになります。

 

吐き気が治まれば、スプーン1杯程度を数分おきに

少量頻回に与えます。

経口補水液(OS-1 アクアライトORS)が望ましい。

スポーツドリンクは、Naが少なく、糖質と浸透圧が高く、

水中毒や下痢を助長しかねません。

軽度脱水では、点滴より経口補水液が効果的で有用性が見直されています。

脱水補正後は、バナナ、すりおろしリンゴ、お粥、軟らかいうどんなど食べさせましょう。

ご両親の看護が大事です

 

冬のインフルエンザ対策

広く啓発活動が、行われています。

以下のHPで確認下さい。

厚労省HP (サイト)

鹿児島市インフルエンザHP (サイト)

公共施設の入り口のどこにでもある消毒用エタノールで効果認めます

 

ライノウイルスと春と秋の喘息対策

ライノウイルスは、小児から大人のかぜの3~5割をしめています。

33℃でしか増殖しないとされ、

上気道に限定した症状(頭痛、咽頭痛、鼻水、鼻閉など)を呈し、

水様鼻汁から濃い緑色鼻水に変化し、発熱は軽微で咳は2週間ほど持続します。

ライノウイルスは、付着した器具で、数時間程度生存できるようですので、

接触感染が主です。

消毒用エタノールの効果は弱く、石鹸による流水による手洗いが重要です。

 

100種以上あるのでワクチンは期待できません。

学童における喘息発作の80%以上、成人の約半数が

気道ウイルス感染に起因する報告があります。

 

ライノウイルスは春と秋に多くなり、喘息や鼻炎の悪化をもたらします。

喘息の悪化と最も関連するウイルスと考えられています。

 

春と秋は喘息やアレルギー性鼻炎をお持ちの方は

前もって気道過敏性を安定させるため

ステロイドの吸入や点鼻、抗ロイコトリエン薬などを用います

 

子供の夏風邪対策:主に1~6歳 成人にも感染

以下の手足口病・ヘルパンギーナはエンテロ()ウイルスのため、

ウイルスは、咳・鼻汁から1~2週間

便から数週~数ヶ月排泄します。

経口、飛沫、接触感染、糞口感染

アデノウイルスの排泄は、初期数日が最も多く、

その後数ヶ月排泄が続くことがあります。

接触、飛沫、プール感染、糞口感染

 

夏風邪の症状の特徴は、

咽頭痛、発熱はあるが、咳・鼻汁はほとんどないことです。

一ヶ月以上の排泄と糞口感染です

 

手足口病は

感染力が強く、38以下の発熱、下痢もあり、1週間で自然治癒。

手・足の裏、口、肘、膝、おしりの水泡皮疹。

まれに脳炎、髄膜炎を合併。

ヘルパンギーナ

咽頭奥の水泡、咽頭痛と発熱3日で解熱し1週間で回復、稀に心筋炎、髄膜炎

プール熱アデノウイルス主に3型

39℃前後の発熱が3日~5日、腹痛、下痢あり、1週間で回復、目が充血

流行性角結膜炎アデノウイルス主に8型(プール感染あり)

耳前リンパ節や結膜充血あり、眼科で診断します。感染力は強い。

 

手足口病とヘルパンギーナはエンテロウイルスで、腸管で増殖。

アデノウイルス同様に、

ノンエンベロープウイルスのため

消毒用エタノールでは弱く

普通せっけんと流水による手洗いで物理的除去が重要です。

ウイルスの排泄が長く、おしめ替えでうつりますので、手洗いを行いましょう

タオルを共有しない、ペーパータオルなど使用。

 

参考資料

こどもの感染症の診かた MEIJI

耳掃除は必要か?外耳炎・カビ・事故

2019-06-24

 

6月に入って梅雨になり、高温多湿と紫外線が強くなると最も多くなる診療科はどこでしょうか?

それは皮膚科です。

 

耳鼻咽喉科でも、耳の皮膚疾患であ

外耳炎、外耳湿疹、外耳道真菌症(カビ)の患者さんが多くなりました

例年涼しくなる10月頃までこの傾向が続きます。

このような病気になり易い方は

日頃から耳掃除をまめに行っている方です。

 

耳の衛生を保つためや気持ち良いからやっている

耳掃除が、耳垢栓塞の原因となること、

外耳炎、外耳湿疹、外耳のかびを生じさせてしまうことをご存知でしょうか?

耳掃除による事故も多く、救急車を呼ぶこともあるようです。

 

👉

今回、耳掃除に対しての正しい考えや弊害を学んで,

必要性を考えてみましょう!!

 

耳垢には外耳での重要な役割があり、

外耳道には自浄作用と

その皮膚には保護作用があります

耳あかの役割

その酸性やタンパク分解酵素で抗菌作用を有する
脂肪が含まれ外耳道を保護しています。
外耳道への昆虫の侵入を防いでくれます。

 

外耳道の自浄作用

耳あかの正体は、古くなった表面皮膚の剥脱、ほこり、汗腺の一種で耳垢腺や皮脂腺の分泌物があわさったものです。

耳垢腺や皮脂腺は外耳の外側1/3(軟骨部外耳道)に存在し、その奥(内側2/3骨部外耳道)にはありません。
耳の穴の皮膚は常に新陳代謝を繰り返し、少しずつ外側へ向かい、顔やあごの動きや咀嚼・あくびに合わせ耳垢も自然に外に排出されます。

鼓膜と外耳道の表皮の移動速度は、1日に約1mmと言われています。

 

外耳道は3cmほどあり、耳垢は外から耳垢腺・皮脂腺がある1cmまでしかできず、

それ以上奥にあるものは綿棒などで押し込んだものが殆どです。

つまり耳あかは外耳道のなかで必要なもので、

通常は自然排泄し除去する必要はありません

 

外耳皮膚の保護作用

皮膚の表皮はケラチンというタンパク質が主体となって、角質層を形成して外部から物理的・化学的な作用に対する保護作用をしています。

皮膚の表面は酸性を示す皮脂膜が形成されていて、

このため細菌の繁殖が抑制され、その毒性が減弱されています

 

耳・外耳をいじり過ぎると、皮膚が傷つけられ皮膚のバリア機能が低下して、

痒み、痛み、浸出液の原因となり、細菌や真菌の感染を助長します。

 

酸性である耳垢は、細菌や真菌の発育を抑制しています。

除去すると保護作用が低下して、耳いじりによる浸出液や高温多湿で湿気が増えると、

外耳道入り口から耳介の表皮の浸出液は培地となり、皮膚の㏗は5から7へとアルカリ化に伴い組織内への細菌の侵入を容易になってきます。

 

耳掃除による事故

国民生活センターから平成28年に

油断しないで!耳掃除サイト

で発表されていますので確認して下さい。

具体的事例が多く記載されていますので見てみましょう。

身近なことだと理解できます。

 

 耳かき棒と綿棒も同等に事故が生じています

 

アドバイスとして以下のことが記載されています。

耳掃除をするときは

周囲の状況(子供やペット)に注意し、安定した姿勢・場所で行いましょう。

また、耳かき棒や綿棒を奥に入れ過ぎないようにしましょう

耳かき棒や綿棒を乳幼児の手が届く場所に放置しないようにしましょう

子どもに耳掃除をするときは

動いたらけがをするおそれがあることを理解させましょう。

動いてしまう可能性があるときは、無理に耳掃除を行わない方が良いでしょう

耳掃除中のけがにより後遺症が残ることもあります。

けがをした場合は直ちに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳の中に綿棒の綿体や耳かき棒の一部が残って取り出せなくなった場合は、

医療機関の受診を検討しましょう。

 

東京消防庁 耳かき中の事故に注意サイト

 

☞ 平成21年から5年間に380件に耳かき関連救急搬送があり、

その中で0~4歳のお子さんが150名と約半分に相当する報告があります。

 

米国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会から出た耳垢栓塞診療手順ガイドラインサイト

(2017年 生後6ヶ月以上の方に適応)

ネットのコメントの中で、日本の耳鼻咽喉科医師を含めた多くの医療関係者が参考にしている指針です。

重要な部分を抜粋しました。

Your body makes earwax to protect your ear canal skin and kill germs.

Know that earwax is normal.

Earwax that does not cause symptoms or block the ear canal should be left alone.

Among those who may be helped are the elderly, people with hearing aid, and those with a history of too much earwax.

Most people do not need a regular schedule for preventing earwax buildup.

There is no standard course of action for preventing earwax buildup.

Most people do not have to do anything unless too much earwax develops.

Do not over-clean your ears.

Too much cleaning may bother your ear canal, cause infection, and may even increase the chances of earwax impaction.

Cotton swab can remove some wax, but they often just push the wax deeper into the ear and may worsen an impaction or injure the ear canal.

要点は上記以外の内容も追加記載

耳垢は、正常なもの(不要な老廃物ではない)で外耳道の保護や抗菌作用を有する。

症状を起こさない耳垢はこのまま放置してよい。

耳閉感、難聴、耳漏、耳痛、痒み、臭い、耳鳴り、咳などあれば専門医で治療

外耳道の上皮の動きと、咀嚼やあくびの際の顎の動きなどによって、

耳垢は開口部に向かって徐々に移動していきます。

ほとんどの人は、耳垢予防を定期的に行う必要はない

耳垢予防の標準的なやり方は存在しない。

耳掃除はしすぎる

耳掃除のしすぎは、外耳道に負担をかけ感染を生じさせ、耳垢栓塞の原因となることもある

より奥に耳垢をおしこむと自浄作用が働かなくなり症状が出てくる。

綿棒は一部の耳垢を取り除くが、耳垢を深く押し込み耳垢栓塞を悪化させ外耳の損傷を生じさせることもある。

耳掃除が必要な人たちは、高齢者、補聴器使用者、耳垢が充満して症状があった方たちのみ

このような方たちは、年に1~2回専門医で予防的耳掃除を勧める

 

👉 耳垢には乾型とアメ状の湿型が存在

日本人の湿型は、報告の平均では16.3%となっています。

一方、白人、黒人は湿型耳垢が多く、9割程度のようです。

 

アメ状耳垢のほうが、乾型より耳垢は自然に排泄しにくい傾向にあります。

アメ状耳垢が多い米国の指針で上記の内容ですので、

乾型耳垢が多い日本人の耳掃除のし過ぎはご理解いただけるかと思います

 

アメ状耳垢が多い米国や欧米の家庭では、イヤーシリンジ(大型のスポイト)での耳洗で

耳の衛生を保つ方法があります。

日本では一般的ではありません。

家庭医も同様の方法で耳垢除去を行うようです。

 

MSDマニュアル(世界的オンライン医学事典)耳垢除去(耳洗) 動画

 

耳掃除が起こす病気(弊害)

 

耳垢栓塞症

耳垢除去のつもりで綿棒など奥に入れていると、外耳道の奥に押し込み自浄作用は働かない耳垢栓塞が生じ、難聴、耳閉感が出現します。

 

外耳炎

日本では、夏季に急増するのが急性外耳道炎です。

原因のほとんどは、耳かき棒や爪による外部刺激による感染で、外耳前方の一部が腫れたものは外耳せつと呼ばれ、耳の中にできたおできと考えてください。

自然に自壊して改善に向かうこともあります。

黄色ブドウ球菌が主な原因菌です。

 

外耳の奥の骨部外耳道まで及ぶと急性びまん性外耳道炎となります。

耳痛あるいは灼熱感が強く、漿液性の耳漏流出を認めます。

黄色ブドウ球菌や緑膿菌が主な原因菌です。

 

外耳炎が反復するときは、糖尿病などの基礎疾患の確認が必要です。

 

外耳道・耳介湿疹

やはり耳の機械的刺激が誘因として多いのですが、

外耳の奥手前の湿疹で分けて考えます。

 

外耳の奥の湿疹は、中耳炎や鼓膜炎が背景にあり、浸出液によるカサブタや耳漏が関係します。

綿棒を耳の奥に入れると刺激になり起こしてやすくなります。

 

外耳の手前から耳介にかけての湿疹は

綿棒を奥に入れなくても外耳の手前だけでの耳掃除だけでも起こしてきます。

アトピー性皮膚炎、乾癬、ピアスかぶれなどの関与や、シャンプー・毛染めによる接触性皮膚炎も原因となることがあります。

 

特に乳幼児は皮膚が弱く、夏になるとよく汗をかきます。

いつも同じ向きで寝かせていると、外耳から耳介にかけてかぶれて湿疹が悪化してきます。

冷房の使用や寝かせ方の工夫が必要です。

 

外耳道真菌症

外耳道の中にカビ(真菌)が生える現象です。

自宅でも、換気が悪く高温多湿の空間では、風呂や畳にカビが生えることはよく経験します。

真菌の培養条件に適した温度は35~36℃です。

ヒトの深部体温37℃台ですので外界に近く換気が悪い外耳道の中で好発します。

健常な外耳道にも、常在菌として約3%真菌をみとめますが、悪さはせず繁殖に適した条件が必要です。

 

原因は、頻回な耳掃除で、皮膚のバリア機能の低下が生じ、かきすぎで知覚鈍麻がおこりさらに感染防御機能を低下させます。

その結果、外界からの浮遊真菌が外耳の奥の炎症を起こした骨部外耳道から鼓膜に寄生します。

アスペルギルスやカンジダが主な原因菌種となります。

外耳道の奥を強く掻く竹製の耳かきは、真菌が付着しやすく生じやすいと言われています。

 

外耳炎や外耳湿疹の治療で使用するステロイド軟膏や、抗生剤の点耳や内服も原因となることもあります

難治な場合は、糖尿病などの全身疾患の関与も考えます。

 

耳掃除の在り方のまとめ

耳鼻咽喉科での耳掃除が必要な方

高齢者

特に在宅や施設で活動が低下した高齢者や認知症の方は、

外耳の自浄作用の低下があり蓄積しやすくなります。

補聴器使用者

自分の耳の訴えが十分にできない乳幼児・学童

風邪をひき易い乳幼児は中耳炎の確認が必要です。

鼓膜の確認のため、必要な方は耳掃除を行います。

 

耳垢が心配であれば受診し、耳垢除去が必要な時は

保険適応で耳垢栓塞症として耳垢除去も認められています。

 

乳幼児の場合外耳道が狭く、動くため、耳垢除去は難しく、人数と労力を必要とします

 

、耳垢充満があった方

外耳炎や外耳道湿疹・真菌などの治療後

耳閉感、難聴、耳漏、耳痛、痒み、臭い、耳鳴りなどある方

メ状湿型耳垢で、耳閉感をくりかえす方

 

耳掃除の回数

日本のネットの記事では家庭では月に1~2回程度の耳掃除がよく記載されています。

前述の米国のガイドラインでは通常の人の耳垢は症状が無ければ放置してよいとなっています。

これは米国と日本の医療事情の違いも考慮する必要があります。

 

耳垢形成には、個人差が多く、乾型、湿型の違いでも異なります。

年少では皮膚の新陳代謝が高く、高齢者は自浄機能低下のため耳垢が蓄積しやすくなります。

自宅で対応できるのか、耳鼻科受診で除去が望ましいのか、年に何回程度か、

担当医と相談して決めるのが望ましいと思われます。

 

家庭での道具

綿棒、先を細くした布、固くこよりにしたティッシュなど

耳かき棒は耳掃除事故が心配です。

綿棒も耳掃除事故の可能性がありますので、奥に入れません。

 

ネットでは、内視鏡付き画像対応、LED付きなど売られているようです。

アメ状耳垢が多い海外では、イヤーシリンジ(耳洗)が使われるようです。

道具より、まずは耳掃除の必要性と安全性を考えましょう。

イヤーキャンドルは禁止です。

 

自宅ではどのように行うか?

外耳道の自浄作用により、外耳道の外まで運ばれてきた耳垢を取るだけにします。

外耳道入口部から1cm以内の見える範囲の清掃にとどめます

それより奥にたまった耳垢は、耳鼻咽喉科で取ってもらうことを勧めます。

湿型耳垢は家庭で取るのは難しいことも多く、耳鼻咽喉科での除去も考えましょう

綿棒や布等で、皮膚を擦ったりしないで、そっと拭き取る程度としましょう。

乾型耳垢は、綿棒にベビーオイルやワセリンを付けるとくっつき易くなります。

 

綿棒を外耳の奥にいれると、耳垢栓塞を作り耳垢が外へでてこなくなります。

また、外耳損傷や鼓膜外傷の事故の可能性が出てきます。

耳掃除の報告では、耳かき棒と綿棒は同等の事故発生数が報告されています。

参考資料

Johns 1998 No.8外耳道をめぐって

外耳道真菌症の診断と治療 日耳鼻会報2019.5 796-798

女性とめまい・ふらつき・転倒

2019-06-12

鹿児島市は6月に入り、梅雨にはいりました。

めまいは気象病の一つでもあり、最近は女性のめまい・ふらつき・耳閉感を訴える方が多くなりました。

当院の待合室は、風邪や中耳炎の子さんを連れたお母さんと共に、

めまい・ふらつき・耳閉感長引く咳女性外来のようになっています。

 

エストロゲンの変化と性差医療の普及

女性は、思春期、成熟期、更年期(45~55歳)、老年期の人生の過程があり、エストロゲンの変化が生活に大きく影響を与えます。

思春期は、エストゲンが急に増加し、日本人の平均閉経50.5歳で、40代半ばごろから急にエストロゲン低下します。

60歳を過ぎると、女性のエストロゲンは男性より低下していきます。

エストロゲンには、心筋血管保護、骨量維持、糖脂質代謝、脳細胞の保護など重要な役割を持っています。

急なホルモンの変化も女性の体調に影響しています。

日本ではここ20年間に性差医療が普及してきました。

初めて2001年に鹿児島大学に女性外来ができ、心疾患領域から、乳腺、泌尿器など急速に広がりを見せています。

性差医療情報ネットワークのサイト

 

28年度の国民生活基礎調査(厚労省)の自覚症状の報告貧血や全身状態を把握するため

耳鼻咽喉科領域では、耳鳴りと難聴は男女ほぼ同率ですが、めまいは女性が男性の約2.5倍高くみられます。

男女ともめまい症状は、加齢変化のため、70代で増加しています。

めまいについて、女性は、10歳代から増加し30~50歳代が多く70歳から再度増加してきます。

加齢女性ホルモン(エストロゲン)の影響および社会・心理的背景の関与が考えられます。

 

福岡県の久山町研究では、中枢性めまいの原因になる脳梗塞は男性が女性の2

70歳以上になると性差が縮小します。

60歳代までの女性のめまいは中枢性以外のめまいが多く、

内耳性、自律神経性、貧血、立ちくらみ、肩こり関連めまい、片頭痛関連めまい、心因性めまいなど多彩な原因が考えられます。

男性のめまい70歳以上の女性のめまいは中枢性の脳からのめまいの可能性が高くなります。

 

👉 更年期症状とめまい

更年期症状は

血管運動神経症状冷えのぼせ、発汗、動悸

不眠、不安、イライラ、抑うつ気分、情緒不安定

腰痛、関節痛、しびれ、むくみ

めまい浮遊感、肩こり、頭痛、疲労感 などの

自律神経、精神、運動器、皮膚、泌尿生殖器、消化器領域に及ぶ多彩な症状を認めます。

ホルモンの低下だけでなく、環境の変化による心理社会的変化が複雑に関与して表現されると考えられています

治療:

ルモン補充療法

漢方療法:

当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸など証を見極めた治療

向精神薬療法

不安・不眠・抑うつに対して、SSRIなど使用、心療内科と相談

環境の変化による心理社会的変化を考慮した、心因・家庭・職場の問題を確認しながら傾聴

 

ホルモン補充療法(HRT)は

血管運動神経症状(冷えのぼせ、発汗、動悸)の第一選となります。

この治療は血栓・乳がんのリスクもあるため次のサイトで確認して下さい。

ホルモン補充療法の実際(日本産婦人科医会)

更年期障害の基本事項(日本産婦人科学会)

更年期障害の簡単チェックは次のサイトでチェックを

SMI(簡略更年期指数)

 

副作用が少ない漢方療法は、更年期の不定愁訴に汎用されています。漢方

漢方療法は、HRTと同等の効果がある報告あります。HRTは、めまいへの効果は乏しいといわれています。

漢方療法は、特に、めまい、心悸亢進、咽頭症状に効果が高いと報告されているようです。

 

 

👉 耳鼻咽喉科でのめまい関連疾患と性差

施設により、めまいの原因疾患の統計はかなり違います。

徳島大学病耳鼻咽喉科の統計(2005年)では

末梢前庭性(内耳)65%

BPPV(良性発作性頭位めまい症) 32%

メニエール病 12%

突発性めまい、前庭神経炎、突発性難聴など21%

原因不明めまい症 21%

中枢性めまい 7%

血圧異常 4%

心因性 1%

院長紹介

 

開業の一般耳鼻咽喉科クリニックでは、

大学耳鼻咽喉科よりBPPVがもっと多く、メニエール病と中枢性は少ないと思われます

開業医では、ふらつき・立ちくらみの訴えの患者さんは多く、

原因疾患は様々で、感冒、自律神経性、起立性調節障害、心因性、筋緊張性・肩こり、片頭痛関連めまい、貧血、低血糖、食事摂取不良、脱水症、低血圧、熱中症など多彩です。

高齢化に伴い、平衡機能低下や筋力低下・関節障害(フレイル・ロコモ)などの加齢によるふらつきの患者さんは増加しています。

 

BPPV,メニエール病、自律神経障害、片頭痛関連めまい、筋緊張性・肩こり、貧血は男性より女性に多い疾患です。

メニエール病は、男女差もありますが、ストレス、睡眠不足、几帳面との関与が大きい病気です。

更年期障害の方にメニエール病が多い報告があります。

 

BPPV良性発作性頭位めまい症

(男性より3倍女性に多く外来で最も多い回転性めまい)

回転性めまいの内耳疾患で、めまいの1/3以上から半分程度を占めるBPPVは、中高年の女性に多い疾です。

内耳の耳石が何らかの理由で剥がれ落ち、それが動くことで半規管を刺激してめまいが起こります。

運動不足、長期臥床、外傷後に起こり易くなります。

長期間寝たきりになっていると、半器官へ耳石が溜まってしまったまま動かなくなります。それが原因となりBPPVを発症してきます。

また耳石もカルシウムであるため、閉経後の女性に多い骨粗しょう症との関連も考えられています。

更年期障害とBPPVが併存することも多くあります。

BPPVは、サッカーの澤穂希が罹患した病気です。外傷が原因と言われています。

 

治療:

浮遊耳石置換法自宅でのめまい体操です。

発症機序から、薬で治す病気ではありません

2~3週間で自然治癒することも多い疾患です。

枕を高くすると起こしにくくなると言われています。

対症療法として嘔気、めまいに対しての薬物療法は一時的に行う程度です。

更年期障害や心因性など併存疾患への薬物療法は行われます

(但し、薬物療法は担当医により対応が異なることがあります)

再発率も高いため普段から運動を心がけ、動くことを意識する必要があります

朝のラジオ体操、NHK教育テレビの体操など生活習慣の一つに取り入れてみましょう。

BPPVの基本事項は次のサイトを見てください

メディカルノート BPPV

(新潟大学耳鼻咽喉科 堀井教授 監修)

MSDマニュアル(世界的オンライン医学サイト) BPPV

 

 NHK健康チャンネルの動画を参考にめまい体操にチャレンジしましょう。

半器官結石(右、左)BPPVのめまい体操(Epley)

BPPV全般の寝返り体操 BPPV全般のめまい体操

(特に外側半規管結石)

平衡感覚を鍛えてめまいを解消

 

動画、BPPVだけでなく、内耳性めまい(前庭神経炎、メニエール病)の急性期後のリハビリとしてのめまい体操や加齢変化による平衡機能の低下予防にも応用できます。

 

👉 フレイル・ロコモを意識した高齢女性のふらつき・転倒への対応

女性は閉経後、急速に骨粗鬆症が進行します。脊椎圧迫骨折の亀背は女性に多く、高齢になれば、転倒のリスクが急に高まります。

女性は男性の約2骨粗鬆症が多く2倍弱転倒の危険性が高いと言われています。

睡眠薬や安定剤の服用者は、転倒の危険がさらに増えます

骨密度は20歳ごろがピークと言われ、若いときの過剰なダイエットや痩せすぎは、閉経後の骨粗鬆症の悪化が予測され、骨折予備軍と考えられています。

フレイルとは、海外の老年医学で使用されているです。

生活機能障害と心身の脆弱性の意味で用いられ、

期発見、早期介入で生活機能の向上を図ります

以下の3項目以上該当するとフレイル

1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します

  • 体重減少: 6か月間2~3kg以上の(意図しない体重減少
  • 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
  • 歩行速度の低下:1m/秒未満の場合
  • 握力の低下:利き手の測定で男性26kg未満、女性18kg未満の場合
  • 身体活動量の低下:1週間に運動や農作業を何もしない

フレイルの簡易チェックは、ふくらはぎの指輪っかテストで隙間ができることで判断します

➡ ふくらはぎの指輪っかテスのサイト

原因は、筋肉量の低下(サルコペニア)と低栄養です。

ロコモティブシンドローム

2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、

運動器機能の障害で移動機能が低下をきたした状態を意味します。

以下の事項が原因となり、変形性関節症・脊椎症の進行や骨折を起こし重症化していき寝たきりの原因となります。

  • 運動不足・肥満による腰・膝への負担または痩せすぎ
  • 骨粗鬆症
  • サルコペニア(筋肉減弱)
  • 外出回数や活動量の低下
  • 無理な姿勢や使い過ぎによる障害

 ふらつき・転倒へ予防のため、耳鼻咽喉科整形外科老年内科での総合的対応が必要

めまい・平衡障害があると転倒骨折のリスクは2.9倍高まる報告があります。

老人性平衡障害とフレイル・ロコモが重なり転倒・骨折の可能性がさらに高くなります。

対策➊食事、運動、生活

ロコモ体操:兵庫県立尼崎総合医療センター(youtube)

運動はスクワット、壁で支え片足立ち、壁で支えヒールレイズ(かかと挙上)、水中歩行などのレジスタント運動を行い、

食事は、バランスの良い3食を食べ、肉・魚・大豆・卵・牛乳・小魚・きのこ・鮭などタンパクやカルシウム・ビタミンDをよく食べましょう。

レジスタント運動で筋肉量を維持し、骨密度の減少に効果があります。

ビタミンDを維持するには日光浴も大事です。

肥満者は少しずつ減量を試みます。急な減量は、筋肉量の低下をもたらします。

喫煙や過度の飲酒も骨粗鬆症を早めます。

対策❷小脳・前庭機能

耳鼻咽喉科・めまい平衡医学領域からは、小脳・前庭機能の平衡感覚を鍛えるめまい運動

目で指の左右追い、振り返り、継足し歩行

前述のNHK健康チャンネルの動画を可能な範囲で行うとよいでしょう。

継足し歩行は、歩行器やシルバーカーの使用を勧めます。歩行が無理なら、両足を前後一直線上にそろえ立ちます。手を壁にあて支えてかまいません。

日常生活での注意点

急な立ち上がりや急に振り向くことを避ける

階段の降りる時は手すりを使い慎重に

両手フリーで歩行、荷物は背中に背負うか手押し車に入れる

戸外では杖や手押し車を使用

室内の障害物の整理、バリアフリー、トイレや廊下を明るく

参考資料

加齢によるめまい・ふらつきは自分で治そう!五島 杏林医会誌 291~293 2018年12月

更年期女性のめまい症状に対する検討 日耳鼻 115:534-539 2012

更年期障害の診断と治療 沖縄医報 Vol42, No2 2011

 

あなたの副鼻腔炎は何タイプ?

2019-06-02

副鼻腔炎は、風邪をひき鼻症状が強ければ、急性鼻副鼻腔炎として日常的にみられる病気です。

40~50年以上前までは、長引く鼻副鼻腔炎は、蓄膿と呼ばれる慢性化膿性副鼻腔炎がほとんどでした。

衛生環境や生活習慣の変化からアレルギーを主とした疾患が増加し、

ここ20~30年間に、新型副鼻腔炎とよばれる難治性の好酸球性副鼻腔炎が急に増えてきています。

ステロイド、抗菌剤の使用、高齢化に伴い糖尿病・悪性腫瘍の増加、免疫の低下によるカビが原因の副鼻腔炎も問題となっています。

副鼻腔炎は、子どもに多い病気でなく、子供から成人・老人までだれもが罹患する病気と考えてください。

 

副鼻腔炎は、長引く咳、中耳炎の悪化、喘息など下気道の症状の悪化をもたらします。

アレルギー性鼻炎好酸球性副鼻腔炎は、喘息の関連します。

one airway, one disease

好中球中心の炎症副鼻腔気管支症候群として注目されています。

 

一般に、発症から4週間以内の鼻副鼻腔炎感染症を

急性3か月以上持続すれば慢性とされます。

 

日本耳鼻咽喉科学会HPから、次のサイトで基本事項は確認して下さい

 鼻と副鼻腔の解剖  

副鼻腔炎について  Q&A

 

👉 副鼻腔炎には様々な病態が存在しています。

鼻が悪くて、耳鼻咽喉科を受診して副鼻腔炎または蓄膿と言われたら

次のどれに該当するか(➊ ❷ ❸)、担当医に聞いてみてください。

真菌や歯性は、CT歯科受診が必要になります。

それぞれの病態に応じて、治療方針が変わります。

 

急性鼻副鼻腔炎

成人慢性鼻副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎(蓄膿)

好酸球性副鼻腔炎(新型鼻副鼻腔炎)

アレルギー性鼻副鼻腔炎(またはアレルギー性鼻炎に副鼻腔炎の併発)

副鼻腔真菌症

歯性上顎洞炎

小児慢性鼻副鼻腔炎

実際の診療では、風邪に伴う急性副鼻腔炎の反復と慢性鼻副鼻腔炎の急性増悪(急性副鼻腔炎の合併)での病院受診が多くみられます。

 

疾患解説

急性鼻副鼻腔炎

急性鼻副鼻腔炎は、誰もが経験する最も多い疾患で、副鼻腔の中を外から見えませんので、感冒の鼻症状が強い場合を想定して下さい。

感冒の一般的な自然経過は、

まず微熱や倦怠感、咽頭痛を生じ、続いて鼻汁や鼻閉、

その後に咳や痰が出てくるようになり、発症から 3日目前後を症状のピークとして、7~10日間で軽快していきます。

咳は3週間ほど持続することがあります。

 

海外の報告では、ウイルス性感冒のうち、2%未満が細菌性鼻副鼻腔炎を合併し、

鼻汁の色だけでウイルス性か細菌性か区別できないとされています

急性ウイルス性鼻副鼻腔炎10日以内に自然治癒すると考えられています。

 

急性鼻副鼻腔炎に関しては、細菌性鼻副鼻腔炎が疑わしい場合でも、抗菌薬投与の有無に関わらず、1 週間後には約半数が、2 週間後には約7 割の患者が治癒することが報告されています。

また、抗菌薬を服用すると7~14 日目に治癒する割合は高くなるものの、副作用(嘔吐、下痢、腹痛)の発生割合も高く、抗菌薬投与は欠点が利点を上回る可能性があることが報告されています。

 

2017年抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 (厚労省)では、

成人急性鼻副鼻腔炎

2010年急性鼻副鼻腔炎ガイドライン(日本鼻科学会)の方針に基づき

軽症は抗菌薬投与しない

中等症~重症は抗生剤使用:まずはアモキシリン5~7日間服用

 

小児急性鼻副鼻腔炎(学童期以降)は

抗菌薬の投与を行わない

(但し、遷延性または重症の場合を除く

遷延性または重症例とは

10 日間以上続く鼻汁・後鼻漏や日中の咳を認めるもの。

39℃以上の発熱と膿性鼻汁が少なくとも 3 日以上続き重症感のあるもの。

感冒に引き続き、1 週間後に再度の発熱や日中の鼻汁・咳の増悪が見ら れるもの。

上記の場合は、アモキシリン7~10日間服用となっています。

 

2010年急性鼻副鼻腔炎ガイドライン(日本鼻科学会)では、小児も成人同様に中等症~重症は抗生剤使用となっていますので、

2017年抗微生物薬適正使用の手引き(厚労省)では、耐性菌対策を考慮した内容になっています

 

成人慢性鼻副鼻腔炎

以下の疾患のすべてに共通することは、慢性炎症による副鼻腔自然口の狭窄または閉塞で生じますので、

難治で高度な場合は、外科的には内視鏡下鼻内副鼻腔手術では自然口を開大して副鼻腔粘膜の正常化を期待することです。

アレルギー鼻炎が合併する場合は、抗アレルギー薬、ステロイド点鼻、免疫療法などの保存的治療が中心になります。

 

 慢性鼻副鼻腔炎(好中球の炎症が中心)

風邪から細菌感染を起こし慢性化すると発症します。

日本発症の非抗菌作用によるマクロライド抗生剤の少量長期療法(3ヶ月程度)を日本ではよく行われています。

最近は欧米でも慢性鼻副鼻腔炎の治療としてガイドラインに紹介されてきています。

日本ではマクロライドの使用が海外に比べ極端に多く

この治療は、耐性菌対策(AMR)に逆行する治療となりますので、適応を厳選することが重要です

 

急性増悪時は、抗菌作用を期待して通常の抗生剤を一時的に使用します。

保存的加療で効果がない難治例は手術適応となります。

 

 好酸球性副鼻腔炎

(新型鼻副鼻腔炎:好酸球の炎症が中心)

粘り気のある鼻水が特徴で、嗅覚障害、鼻ポリープが多発します。

白血球の一種でアレルギーの病気を起こすと増える好酸球が副鼻腔粘膜に増加してきます。

ダニ・スギアレルギーなどの獲得免疫とは違う、自然免疫の関与が考えられています。

以前の慢性鼻副鼻腔炎より難治で、手術を行っても再発が多くみられます。

治療は、ステロイドや抗ロイコトリエン薬が主になります。

一部の重症例は指定難病として認定されている病気です。

難治性の好酸球性中耳炎、気管支喘息、アスピリン喘息などが、多くの症例で合併します。

 

 アレルギー性鼻副鼻腔炎

(アレルギー性鼻炎に合併した副鼻腔炎)

ステロイド点鼻や抗ヒスタミン薬による保存的治療が主となります。

上顎洞陰影が、びまん性のタイプに抗ヒスタミン薬にマクロライド療法併用の効果を認める報告もあります。

 

 副鼻腔真菌症

(CT精査が必要)

侵襲型非侵襲型が存在し、骨破壊を伴い頭蓋内・眼窩内合併を伴う侵襲型は稀。

非侵襲型は、①真菌塊性②アレルギー性があります、どちらも副鼻腔の片側発症がほとんどですので腫瘍との鑑別が必要になります。

最も多いのは真菌塊性の副鼻腔炎で、服薬の効果は乏しく手術加療となります。

無症状で偶然に画像診断で見つかることもあります。

アレルギー性真菌性副鼻腔炎:通常は片側発症のアレルギー性真菌性副鼻腔炎が両側発症すると、前述の好酸球性副鼻腔炎との鑑別が難しくなります。

手術加療が第一選択で、術後ステロイド使用します。欧米に多く20代の若い人に多い疾患です。アトピーや喘息の合併を多く認めます。

最近の報告では、日本人の鼻茸の真菌を調べると、好酸球性副鼻腔炎の中で、多くのアレルギー性真菌性副鼻腔炎が混ざっていると言われています

 

 歯性上顎洞炎(歯科との共同作業)

疾患説明は次のサイトで確認を日本口腔外科学会:歯性上顎洞炎

 

歯根の慢性炎症が原因で、上顎洞炎を起こす病態です。

最近は、コーンビームCTの導入で診断が容易になってきました。

治療していない齲歯(虫歯)が原因となることは減り、歯科治療後の歯が原因となることが多くなっています。

インプラント後の歯性上顎洞炎も認められます。

治療:

従来の歯科治療、原因歯の抜歯の他に、内視鏡下副鼻腔手術で、歯やインプラントを抜去せず症状を改善させる治療も選択肢になっています。

 

小児慢性鼻副鼻腔炎

子どもは風邪をひきやすいため、自然変動が激しく、増悪と寛解を繰り返します。

小児における慢性鼻副鼻腔炎の病態は、成人のそれとはかなり異なっているため,

同一の疾患として取り扱うべきではないと考えられています

また、アレルギー性鼻炎の合併が多く同時に治療をすすめます

 

8~10歳ごろから自然治癒傾向が認められ、以前の報告では、思春期ごろには約50%は自然治癒すると言われています。

実際の最近の診療では、もっと多くの方が自然治癒しているように思われます。

副鼻腔炎は改善しても、ダニなどによるアレルギー性鼻炎の改善は、思春期になってもあまり認めず、アレルギー性鼻炎や花粉症の治療が中心に変わっていきます

最近では、ダニ・スギの舌下免疫療法が、体質改善として注目されています。

このように小児の場合、保存的治療が主で、鼻茸による鼻閉が高度な場合などが手術適応になります。

 

小児へのマクロライド抗生剤の少量長期療法(2か月)も一定の効果を認めるようですが、

子供はすぐに風邪をひき急性増悪を繰り返すため、鼻漏の消失や副鼻腔陰影の消失を目標にすると投薬終了の決定が困難になります。

このため、抗生剤の長期服用に対して親御さんが心配されることも多く経験します

 

👉 手術適応

中鼻道が狭く保存的治療で改善しないもの

中鼻道に大きな鼻茸(鼻ポリープ)

副鼻腔真菌症

難治な好酸球性副鼻腔炎(術後再発も多いと理解して下さい)

 

👉 薬剤耐性菌対策(AMR)

2016年から国を挙げて行われている薬剤耐性菌対策(AMR)は、

次のサイトで確認して下さい AMR: かしこく治して、明日につなぐ(厚労省)

 

ガイドラインや指針は、作成者により変わってくるものです。

2010年急性鼻副鼻腔炎ガイドライン(日本鼻科学会)耳鼻咽喉科の専門医や教授が作成していて、

鼻かみ回数や鼻汁の量が、抗生剤の使用判断となる重症度に強く反映された内容です。

2017年抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 厚労省(急性鼻副鼻腔炎)は、感染症専門医が作成したもので、

発熱、症状の経過や持続時間が重要視された内容です。

 

2010年急性鼻副鼻腔炎ガイドライン(日本鼻科学会)では、

軽症中等症重症:となり、スコア以上が抗生剤の適応となります。

重症度分類スコアリングでは、臨床的に重要な発熱、症状持続、発症後5日程度での悪化のことは含まれていません

 

鼻汁・後鼻漏中等量あれば点、頻回な鼻かみ点、咳がある

合計点:重症となり、高用量の抗生剤の使用となります

鼻汁・後鼻漏が中等量で点となり、疾患分類中等症では常用量の抗生剤の適応となります。

学童のお子さんでは、アレルギー性鼻炎の合併も多く、風邪をひけば上記3つはよくみられる症状ですので、

2010年急性鼻副鼻腔炎ガイドライン(日本鼻科学会)の基準では、風邪の学童のほとんどに抗生剤を使用することになりかねません

 

2017年抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 厚労省(小児急性鼻副鼻腔炎

発熱、症状の経過や持続時間が重要視された内容ですので、耐性菌対策として進んだ内容になっています。

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