院長の健康情報コラム
舌下免疫療法(スギ・ダニ)
舌下免疫療法とは、スギ花粉症とダニ通年性アレルギー性鼻炎の体質改善のための、自宅で行う注射でない口腔舌下の治療です。次世代の新治療として期待されている治療法です。程度の差はありますが、改善率は70~80%と言われています。全員に効果がある治療ではありません。
➡スギは1~4月以外に、開始します(スギ花粉の直前と飛散期は行いません);
スギのシダキュア錠は5歳以上
➡ダニは通年いつでも開始しますが、スギ花粉もお持ちの方は、上記スギの開始に準じます;
ダニのミティキュア錠は5歳以上
舌下免疫療法(口腔保持後服用)は、従来の皮下免疫療法(皮下注射)と比べ、アナフィラキシーなどの重度の副作用がほとんどなく自宅で行う痛くない治療です。
しかし、口腔の痒みや軽度の口腔の腫れは初期を中心に認めます。
お子さんの場合、当院では、シダキュアとミキティアは、5歳以上で適応としていますが、口腔内の保持(1分)と服用前後いくつかの行動制限ができることが必要ですので、守れるお子さんが対象になります。
➡最低3年、3~5年間できるだけ毎日行える方で、月1回通院が原則ですが、副反応を確認しながら間隔をあけての通院となります。開始当初は2週間後の受診が必要です。
➡開始初日は、使用説明を丁寧に行い、実際の使い方を院内で行います。
使用後の観察期間をみての帰宅になるため、時間を要します。時間的余裕がある早めの時間帯の受診予約になります。
➡採血で原因抗体を確認して、スギやダニで明らかに症状が出現する方が対象です。
➡通常の薬のようにすぐに効果は期待できず、 免疫をつけることが目的のため開始1~2か月は、口腔の痒みや軽度の口腔の腫れが認めることがあります。しかし継続することでこの副反応は消失していきます。
副反応が強い方は、継続できないこともあります。副反応は個人差が大きく、何も起きない方も多くいます。
➡スギとダニを両方行う(dual)こともできますが、まずはどちらかを先に行い最低1~2か月経過をみて、もう一つを開始します。
👉 以下の方は対象外となります。
◆高血圧薬のβ遮断薬服用している方
◆近いうちの妊娠希望および妊娠中の方
◆喘息症状がコントロールされていない方または重度の気管支喘息の方
◆重い心臓病・肺疾患・高血圧症や癌の治療中の方
⇒アトピー性皮膚炎が重度でコントロールできていない方も適応が慎重になります。
スギ:シダキュア 2000JAUから開始、5000JAUで維持
ダニ:ミティキュア 3300JAUから開始、10000JAUで維持
➡ 舌下免疫療法の詳細は下記のサイトをご覧ください。
鳥居薬品アレルゲン免疫療法情報サイト(サイト)
➡ スギ花粉症について学びたい方は次のサイトを見てください
自分で行うスギ花粉対策(セルフケア・黄砂・PM2.5):(当院コラム)
スギ花粉症の低年齢化
2019年n報告では、子供5~9歳のスギ花粉症有病率は、20年前の4倍増加 全国平均では約30%。成人では約50%弱。
◆スギ花粉の20年間の年齢別増加率
有病率の比較:年齢層別・20年間隔の比較
*子供(5~9歳)2019年30.1% 20年前の4倍 小学生の増加率が顕著
*年長・思春期(10~19歳)2019年49.5% 20年前の2.5倍
最も多い年齢層(中高生)
*成人(20~59歳)2019年45~48% 20年前の約2倍
*中高年(60~60歳)2019年36.9% 20年前の3.5倍
*高齢者(70歳~)2019年20.5% 20年前の約4倍 高齢化による増加
『コメント』
スギ花粉症は、20年前は20%程度の成人の有病率でしたが、2019年の成人では約50%弱となっています。学童の増加が顕著で、中高年から高齢者の増加率も多くなっています。中年以降の増加はより若い年齢で発症した人たちの加齢による移行と思われます。増加の主体はより若い世代にあります。
鹿児島の場合、2019年で、有病率は18.2%程度で、全国の中でも少ない県になっています。
学童から思春期および若い世代の増加に抑制をかけないと今後もっと増加すると思われます。
スギ花粉症の自然寛解率は12%程度(10年間:20-40歳)と低い報告ですので本質的な対応が早急に必要とされています。
『なぜ増加?』
◆乳幼児からの皮膚感作
スギ花粉症もアトピーや食物アレルギーが増加しているのと相関
アレルギーマーチの流れで発症 乳幼児からのスキンケアが重要です。
アレルギーマーチの予防と対策:当院HPを参照![]()
乳児湿疹・アトピー性皮膚炎➡食物アレルギー➡気管支喘息・アレルギー性鼻炎・結膜炎の順に成長につれて発症し、アトピー性皮膚炎・乳児湿疹がアレルギーマーチの出発点であるとされています。
アトピー性皮膚炎の1/3に気管支喘息を発症、1/2にアレルギーマーチが続発すると考えられています。
アトピー性皮膚炎があると、アレルギー性鼻炎2~3倍、喘息2~3倍、食物アレルギー6倍のリスクがあります。
アトピー性皮膚炎の乳幼児早期発症、重症・持続性やアレルギー疾患の家族歴があるとアレルギーマーチが発症しやすくなります。
近年小児のアレルギー疾患が増加する中で、この『アレルギーマーチ』の発症、進展を予防することが重要な課題となっています。
➡ダニ対策
アレルギーの原因となるアレルゲンが、乳児期から幼児期にかけて、食物からダニやハウスダストなどに変化していくとされています。そのため、ダニ対策を中心とした環境整備を行うことが、アレルギーマーチの予防につながる可能性があります。
➡腸内環境の改善
科学的根拠はまだ、不十分な領域ですが、一般的には、ヨーグルトなど腸内環境を整えるとアレルギーなど色々な病気の予防や改善につながるのではと期待されています。
科学的にはビフィズス菌が産生する酢酸は酪酸生産菌の栄養源となり腸内の酪酸生成を促します。酪酸は制御性T細胞の活性を促進してアレルギーを抑制すると考えられています。実際、アトピー性皮膚炎の予防・改善目的で、ヨーグルト、オリゴ糖など使用されています。
以下に述べる衛生仮説との関連していますが、幼少期の感染症ではない外来微生物にさらされると消化管粘膜の制御性T細胞が活性されアレルギー症状における免疫寛容(アレルギー反応をおこしにくくすること)および抗炎症の役割を担っているという考えがあります。
◆鼻腔粘膜・気道感作対策
アレルギー性鼻炎 喘息など半分以上はアトピー性皮膚炎や乳児湿疹が無くても発症しています。鼻・気道粘膜からの感作が考えられます。スギ花粉飛散の直接の回避が重要。
若年からスギ飛散にさらされるとスギ花粉症のリスク高まります。春生まれの赤ちゃんは花粉症発症リスク高くなります。
学童では、スギ花粉症シーズンのマスク着用で、スギ花粉症発症率低下が、最近報告されています。低年齢から、スギに暴露されるとスギ花粉症になりやすいことがわかります
◆衛生仮説
先進国では、微生物や寄生虫がいなくなり免疫のバランスが乱れ、アレルギーの増加、自己免疫疾患が増加しています。
米国の農耕民族のアーミッシュは、アレルギーの発症は1/10。年長児から、鼻水など感染源の微生物などをもらうことが多い末っ子はアレルギーが少ない。
外国の大規模調査(2019年)の結果、1歳前に家畜小屋に出入りして、搾りたての生乳を飲んだ子供はアレルギーの発症が有意に少ないことがわかりました。1歳以降の同様の体験ではアレルギー発症の予防効果は弱くなるようです。
家でのゲーム、タブレット鑑賞より、幼少時からの外遊び 土いじり、田舎での生活も必要です。
◆抗生剤の頻回使用や帝王切開は喘息のリスクと関連
2歳までに抗菌薬を使用したことがある児は、5歳時の気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患のリスクが高まることが分かりました。一般的な風邪のほとんどはウイルス感染であり、抗菌薬は効果がないことからも、不要な抗菌薬の使用は避ける必要があります。
感染対策で手洗いしてもアレルギーが増えるわけではありません。し過ぎると手荒れの原因にはなりますので、皮膚感さによるアレルギーの原因の可能性はあります。手洗いのし過ぎはよくありません。
👉 どうしたらよいのか
*スギ舌下免疫療法で体質改善(スギ花粉症自然寛解率12%程度と少ない)
舌下免疫療法(スギ、ダニ)当院HPを参照
*スギ飛散シーズン中は、スギに暴露されない生活を送る マスク着用も一つの選択肢
マスクで発症予防:小学生スギ花粉症:当院HP
*若年からスギ飛散に遭遇しない生活をする
*幼少時からのスキンケア
*継続した外遊び、乳児期から農家の生活も体験
*不要な抗菌薬使用控える
*腸内環境の改善:オリゴ糖、ヨーグルト、豆腐、納豆など食べる
など総合的な対応が必要です。
あなたの副鼻腔炎は何タイプ?
副鼻腔炎は、風邪をひき鼻症状が強ければ、急性鼻副鼻腔炎として日常的にみられる病気です。40~50年以上前までは、長引く鼻副鼻腔炎は、蓄膿と呼ばれる慢性化膿性副鼻腔炎がほとんどでした。衛生環境や生活習慣の変化からアレルギーを主とした疾患が増加し、ここ20~30年間に、新型副鼻腔炎とよばれる難治性の好酸球性副鼻腔炎が急に増えてきています。
ステロイド、抗菌剤の使用、高齢化に伴い糖尿病・悪性腫瘍の増加、免疫の低下によるカビが原因の副鼻腔炎も問題となっています。副鼻腔炎は、子どもに多い病気でなく、子供から成人・老人までだれもが罹患する病気と考えてください。
副鼻腔炎は、長引く咳、中耳炎の悪化、喘息など下気道の症状の悪化をもたらします。アレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎は、喘息と関連します。(one airway, one diseaseと呼ばれます)好中球中心の炎症は副鼻腔気管支症候群として注目されています。
一般に、発症から4週間以内の鼻副鼻腔炎感染症を『急性』3か月以上持続すれば『慢性』とされます。
👉 副鼻腔炎には様々な病態が存在しています。
鼻が悪くて、耳鼻咽喉科を受診して副鼻腔炎または蓄膿と言われたら次のどれに該当するか(➊ ❷ ❸)、担当医に聞いてみてください。
真菌や歯性は、CTや歯科受診が必要になります。それぞれの病態に応じて、治療方針が変わります。
➊急性鼻副鼻腔炎
❷成人慢性鼻副鼻腔炎
*慢性鼻副鼻腔炎(蓄膿)
*好酸球性副鼻腔炎(新型鼻副鼻腔炎)
*アレルギー性鼻炎に副鼻腔炎の併発
*副鼻腔真菌症
*アレルギー性真菌性副鼻腔炎
*歯性上顎洞炎
❸小児慢性鼻副鼻腔炎
➡実際の診療では、風邪に伴う急性副鼻腔炎の反復と慢性鼻副鼻腔炎の急性増悪での病院受診が多くみられます。
後鼻漏と遷延する咳あり。
➊急性鼻副鼻腔炎とは
急性鼻副鼻腔炎は、誰もが経験する最も多い疾患で、副鼻腔の中を外から見えませんので、感冒の鼻症状が強い場合を想定して下さい。
感冒の一般的な自然経過は、まず微熱や倦怠感、咽頭痛を生じ、続いて鼻汁や鼻閉、その後に咳や痰が出てくるようになり、発症から 3日目前後を症状のピークとして、7~10日間で軽快していきます。咳は3週間ほど持続することがあります。
海外の報告では、ウイルス性感冒のうち、2%未満が細菌性鼻副鼻腔炎を合併し、鼻汁の色だけでウイルス性か細菌性か区別できないとされています。急性ウイルス性鼻副鼻腔炎は10日以内に自然治癒すると考えられています。
急性鼻副鼻腔炎に関しては、細菌性鼻副鼻腔炎が疑わしい場合でも、抗菌薬投与の有無に関わらず、1 週間後には約半数が、2 週間後には約7 割の患者が治癒することが報告されています。
また、抗菌薬を服用すると7~14 日目に治癒する割合は高くなるものの、副作用(嘔吐、下痢、腹痛)の発生割合も高くなります。
◆成人急性鼻副鼻腔炎は、
軽症は抗菌薬投与しない
中等症~重症は抗生剤使用:まずはアモキシリン5~7日間服用
◆小児急性鼻副鼻腔炎(学童期以降)は、
軽症は抗菌薬の投与を行わないが、以下の場合は抗菌薬投与
①10 日間以上続く鼻汁・後鼻漏や日中の咳を認めるもの。
②39℃以上の発熱と膿性鼻汁が少なくとも 3 日以上続き重症感のあるもの。
③感冒に引き続き、1 週間後に再度の発熱や日中の鼻汁・咳の増悪が見ら れるもの。
上記の場合は、アモキシリン7~10日間服用となっています。
❷成人慢性鼻副鼻腔炎
以下の疾患のすべてに共通することは、慢性炎症による副鼻腔自然口の狭窄または閉塞で生じますので、難治で高度な場合は、外科的には内視鏡下鼻内副鼻腔手術では自然口を開大して副鼻腔粘膜の正常化を期待することです。アレルギー鼻炎が合併する場合は、抗アレルギー薬、ステロイド点鼻、免疫療法などの保存的治療が中心になります。
☞ 慢性鼻副鼻腔炎(好中球の炎症が中心)
風邪から細菌感染を起こし慢性化すると発症します。
日本発症の非抗菌作用によるマクロライド抗生剤の少量長期療法(3ヶ月程度)を日本ではよく行われています。日本ではマクロライドの使用が海外に比べ極端に多く、この治療は、耐性菌対策(AMR)に逆行する治療となりますので、適応を厳選することが重要です。
急性増悪時は、抗菌作用を期待して通常の抗生剤を一時的に使用します。保存的加療で効果がない難治例は手術適応となります。
☞ 好酸球性副鼻腔炎
(新型鼻副鼻腔炎:好酸球の炎症;2型炎症が中心)
粘り気のある鼻水が特徴で、嗅覚障害、鼻ポリープが多発します。白血球の一種でアレルギーの病気を起こすと増える好酸球が副鼻腔粘膜に増加してきます。ダニ・スギアレルギーなどの獲得免疫とは違う、自然免疫の関与が考えられています。
以前の慢性鼻副鼻腔炎より難治で、手術を行っても再発が多くみられます。
治療は、ステロイドや抗ロイコトリエン薬が主になります。一部の重症例は指定難病として認定されている病気です。難治性の好酸球性中耳炎、気管支喘息、アスピリン喘息などが、多くの症例で合併します。
☞ アレルギー性鼻炎に合併した副鼻腔炎
ステロイド点鼻や抗ヒスタミン薬による保存的治療が主となります。上顎洞陰影が、びまん性のタイプに抗ヒスタミン薬にマクロライド療法併用の効果を認める報告もあります。
☞ 副鼻腔真菌症
(CT精査が必要)
侵襲型と非侵襲型が存在し、骨破壊を伴い頭蓋内・眼窩内合併を伴う侵襲型は稀。
非侵襲型は、①真菌塊性と②アレルギー性があります、どちらも副鼻腔の片側発症がほとんどですので腫瘍との鑑別が必要になります。
①最も多いのは真菌塊性の副鼻腔炎で、服薬の効果は乏しく手術加療となります。無症状で偶然に画像診断で見つかることもあります。
②アレルギー性真菌性副鼻腔炎:通常は片側発症のアレルギー性真菌性副鼻腔炎が両側発症すると、前述の好酸球性副鼻腔炎との鑑別が難しくなります。手術加療が第一選択で、術後ステロイド使用します。欧米に多く20代の若い人に多い疾患です。アトピーや喘息の合併を多く認めます。
*疾患説明は次のサイトで確認を➡日本口腔外科学会:歯性上顎洞炎
歯根の慢性炎症が原因で、上顎洞炎を起こす病態です。最近は、コーンビームCTの導入で診断が容易になってきました。治療していない齲歯(虫歯)が原因となることは減り、歯科治療後の歯が原因となることが多くなっています。インプラント後の歯性上顎洞炎も認められます。
治療:
従来の歯科治療、原因歯の抜歯の他に、副鼻腔症状が主であれば内視鏡下副鼻腔手術で、歯やインプラントを抜去せず症状を改善させる治療も選択肢になっています。
子どもは風邪をひきやすいため、自然変動が激しく、増悪と寛解を繰り返します。
小児における慢性鼻副鼻腔炎の病態は、成人のそれとはかなり異なっているため,同一の疾患として取り扱うべきではないと考えられています。また、アレルギー性鼻炎の合併が多く同時に治療をすすめます。
8~10歳ごろから自然治癒傾向が認められ、以前の報告では、思春期ごろには約50%は自然治癒すると言われています。実際には、もっと多くの方が自然治癒しているように思われます。
副鼻腔炎は改善しても、ダニなどによるアレルギー性鼻炎の改善は、思春期になってもあまり認めず、アレルギー性鼻炎や花粉症の治療が中心に変わっていきます。最近では、ダニ・スギの舌下免疫療法が、体質改善として注目されています。
このように小児の場合、保存的治療が主で、鼻茸による鼻閉が高度な場合などが手術適応になります。
小児へのマクロライド抗生剤の少量長期療法(2か月)も一定の効果を認めるようですが、子供はすぐに風邪をひき急性増悪を繰り返すため、鼻漏の消失や副鼻腔陰影の消失を目標にすると投薬終了の決定が困難になります。このため、抗生剤の長期服用に対して親御さんが心配されることも多く経験します。
👉 手術適応
中鼻道が狭く保存的治療で改善しないもの
中鼻道に大きな鼻茸(鼻ポリープ)
副鼻腔真菌症
難治な好酸球性副鼻腔炎(術後再発も多いと理解して下さい)
においと学習効果:嗅覚刺激法
五感(聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚)の中で、耳鼻咽喉科では、聴覚、嗅覚、味覚の三つの分野を担っています。最も多い訴えは聴覚に関するもので、次に嗅覚、味覚の順番になります。
普段の生活では、嗅覚を意識していない方が多く、動物や人間の赤ちゃんにとってはすぐ生命活動と結びつく重要なものとなります。
嗅覚低下は、高齢になると、意欲、筋力低下、食欲不振につながり健康寿命を短くする原因になり、
認知症の早期症状のマーカーとしても注目されています。
鼻が悪くなると、風味がわからなくなり、味覚障害をまねき、料理をする主婦や料理人の方にとっては、毎日の料理の味付けに影響し大変な問題となります。
料理をしない方も、香りがわからず、おいしい料理を味わえない状態となり人生の楽しみを失うことになります。
2004年に匂いの分野で米国人にノーベル賞が受賞され、香水やアロマセラピーを中心に研究が盛んになっています。
狩り、食べ物の峻別、敵・味方の判別など生きるため、
犬の嗅覚は人間の数千から百万倍程度の香りの認識能力を持ち、
ネコは嗅覚を利用して狩りはせず、犬より劣るものの、
においで食べ物をかぎ分け、ネコの鼻風邪で鼻が利かなくなると、食欲が落ち大好きな魚さえ食べなくなることもあります。
【赤ちゃんの嗅覚について】
赤ちゃんはママの匂いが大好きです。匂いの情報処理を行う嗅球は受胎6週で働き始め、20週で嗅覚細胞が出来上がり、自分の回りの羊水の匂いがわかるようになります。
母親が食べたり嗅いだりしたものの臭気を運ぶ分子は胎盤を通って赤ちゃんに届き、赤ちゃんは周囲の環境の匂いがわかるようになります。
出生後すぐから敏感に嗅ぎ分けるのが母親の母乳の匂いです。
新生児の五感の中で最も発達しているのは嗅覚です。視力はまだ弱いので、嗅覚を頼りに母親の胸を探し当て初乳に備えます。
嗅覚は赤ちゃんの生命線となります。
母親のアロマセラピーは、赤ちゃんにとって、母の匂いをわからなくするので控えましょう。
【においの学習効果について】
◆新生児・乳児の赤ちゃんの鋭い嗅覚は数年後には大人と同じレベルまで、落ちていきます。
その後、人間の嗅覚は20~30歳でピークを迎え徐々に衰えていくと考えられています。
幼児になると、色々な食べものや周囲の環境のにおいの違いの学習が重要となり、学習を通じて嗅覚を少しずつ発達させていくようです。
◆嗅覚を職業や趣味にしているソムリエの方は、匂いと飲み物を学習することにより、普通の人より優れた匂いとその記憶の能力を得ることが出来るようになります。
~匂いと記憶・感情~
脳の中で記憶に関する海馬と、嗅の神経と関連して情動反応の処理と記憶の調節を行う扁桃体は近接していて、においと記憶・感情は密接な関係があります。
皆さんも昔懐かしい匂いと共に昔の記憶が思い出される経験(フラッシュバック)をされることがあると思います。最近では、嗅覚は、認知症の早期症状のマーカーとしても注目されています。
嗅ぐ力が衰えると、
●覇気がない
●時間がゆるむ
●筋肉量が減る
●虚弱体質になる
●地域活動への参加が減る
これらは、においがわからないと風味と味わいが落ち、食欲が低下するため悪循環に陥った結果です。
さらに嗅覚は、喜怒哀楽などの感情とも深く結びついていたり、記憶や空間を認識する力とも関係していたりするため、思いがけない影響につながると考えられています。
~日常生活で、食べ物や草花など、身の回りのにおいを『何のにおいか意識しながら』嗅ぐだけで、においセンサー(嗅神経細胞)の数が増え、脳内回路のネットワークが強まると考えられています。
例えば、 キッチンで『これはリンゴだな』と思いながら、嗅ぐ。食事の時『みそ汁のおいしいにおい』と思いながら嗅ぐ。
仕事の合間にも『コーヒーのいい香り』と思いながら嗅ぐ。習慣づけていれば嗅覚低下の予防になりますし、一度衰えても、嗅覚が回復することが期待されています。
神経再生が少しでも促されるとと、本来と違うにおいを感じることになります(錯嗅)。
少しでもにおえば、においを言葉で表現してみると脳の活性化につながるでしょう。
外傷や感冒後の嗅神経性嗅覚障害に効果があると考えられています。
医療機関では以下の方法が試みられています。
『嗅覚刺激法(olfactory training)について』
ドイツの耳鼻咽喉科医が開発した異なる種類の嗅素を嗅ぐ治療法です。
レモン、ローズ、ユーカリ、クローブを朝、夕15秒程度嗅ぐ治療を3ヶ月以上持続します。日本では馴染みのない嗅素もあり、日本式は現在、大学などで開発中です。現在、嗅覚刺激法は、日本での保険適応はありません。
以下のYoutube を参考にしてみてください。レモン、ローズ、ユーカリ、クローブを、毎日朝夕嗅ぎ、3ヶ月以上行います。
市販の精油を直接嗅ぐのは刺激が強いので、市販の精油(レモン、ローズ、ユーカリ、クローブ)を使い水彩紙と褐色瓶を利用した方法をわかりやすく説明しています。水彩紙の代わりのコットンで代用できます 。
馴染みのある、特色ある異なる香りを嗅ぐことが大事です。基本的な現在世界的に行われている嗅覚刺激法を参考にすれば、柑橘系、花の香り、木の香りなどの香りのアロマなど選ぶとよいと思われます。
アロマなどが手元にない方は、
身近な方法では、自分にとって馴染みのある好きな香りを選ぶ方法で始めて良いと思います。
朝食では、コーヒー、納豆、レモン、味噌汁、かつおだしや昆布だしの汁ものなど、自分流の匂いを考えて良いでしょう。
カレー、イタリア料理のバジル・オレガノなどのハーブやスパイス、ニンニク料理など、工夫をすれば匂いはいくらでも見つけることは出来ます。庭や公園で、季節の花や草木を意識して嗅ぐ、香水、肩こり腰痛あれば手持ちの湿布を嗅ぐこともできます。
但し、嗅ぐ物の匂いの程度によっては、匂いの強さが足りないこと、治療としての規則性や再現性が問題です。
匂いがまったくしなくても、そのものがどんな匂いだったかを思い出して嗅いでみましょう。
文献:Hummel T, et al: Effects of olfactory training in patients with olfactory loss. Laryngoscope 2009; 119:496-499.
肥満と喘息:ダイエットで喘息が治る?
➡ 肥満は万病のもと
肥満が生活習慣病、血管の病気、睡眠時無呼吸症など全身に影響を及ぼすことはご存知だと思います。その他にも関節の疾患、月経異常、不妊、癌の発症にも関連しているとことがわかってきました。脂肪細胞から分泌される生理活性物質のバランスの崩れが原因と考えられています。
*閉経後の乳がん
*大腸がん
*肝がん
は肥満との関連がほぼ確実とされています。
➡ 肥満と喘息の関連
肥満とアレルギーとの関連では、喘息に関して、肥満が女性の喘息を悪化し、中年女性では特に顕著、また肥満でアトピー性皮膚炎の重症者が多くなると報告されています。
アレルギー性鼻炎は喘息のリスクファクターですので、アレルギー性鼻炎がある肥満の中年女性は喘息が悪化しやすいと考えられます。
【喘息フェノタイプ 新分類】
『好酸球増加タイプ』
⇒早期発症アレルギー性 アトピー型(IgE高値):乳幼児期から発症して、子どもさんや若い人に多く、ダニの関与が高い。 アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎の合併が多い。
⇒後期発症好酸球性 非アトピー型:成人発症 好酸球性副鼻腔炎合併 自然免疫が関与します。
⇒アスピリン喘息 非アトピー型:成人女性に多い 嗅覚障害・好酸球性副鼻腔炎合併 ロイコトリエンが関与します。
⇒運動誘発性:アスリート喘息、通常の喘息のコントロールと抗ロイコトリエン薬が効果を発揮します。
気道粘膜の脱水と冷却、気道上皮損傷による気道過敏性の亢進が出現。
『非好酸球性タイプ』
⇒肥満性(肥満喘息):中年女性に多く、しばしば重症化します。好中球が関連するが 好酸球の関与もあり。主に内臓脂肪が関与し、ダイエットが重要です。非2型炎症。
⇒好中球性:喫煙者に多く、しばしば重症化します。
大気汚染や好中球性の慢性鼻副鼻腔炎が関与が考えられ、マクロライドの効果が期待されています。
ステロイドの効果は弱い。
『肥満喘息発症メカニズム』
最近、脂肪細胞は、生理活性物質の分泌臓器と考えられるようになってきています。
⇒脂肪細胞からの生理活性物質
*レプチン(食欲抑制ホルモン)増加やアディポネクチン(善玉ホルモン 血統や血圧下げる)の低下による気道過敏症の亢進
*PAI-1増加による気道リモデリング 血液を固まりやすくする
*TNF-α増加による慢性炎症悪化と気道過敏性の亢進 血糖値上昇
*IL-16 肥満細胞から増加 好中球性炎症に関与
等の分泌物質が関与しています。
⇒The17型リンパからのIL-17A増加による肥満喘息・好中球炎症の悪化
⇒肥満による肺機能低下
⇒運動不足による気道過敏性の亢進(運動は気道過敏性へ効果の報告あり)
⇒肥満や睡眠時無呼吸症による胃食道逆流症
⇒うつ
なども関与します。
➡ 肥満対策
日本ではBMI25以上となっていますが、ダイエットの必要性は、内臓脂肪型肥満かどうか生活習慣病に伴う肥満かどうかを考えることが重要です。高齢者の場合のダイエットによる痩せすぎは、サルコペニア(筋肉萎縮・減少)をまねき骨折からの寝たきりなど、病気を発症しやすくなります。東アジア人は、食べ物からのエネルギーを皮下脂肪ではなく内臓脂肪としてためやすく、女性より男性のほうが内臓脂肪としてたまりやすくなります。欧米人は、皮下脂肪にたまりやすいため、欧米での肥満はBMI30以上となっています。
👉 以下の脂肪の種類により、健康効果が異なりますので、自分はどのタイプかを確認してみましょう。
『肥満の種類』
内臓脂肪型肥満:肥満喘息 高血圧 糖尿病 脂質異常症と関連
異所性脂肪: 脂肪肝(肝がんが進行)、脂肪筋(糖尿病へ進行)、脂肪膵(糖尿病へ進行)
ダイエットにより内臓脂肪と異所性脂肪から減少し、皮下脂肪の減少は1年以上かかりますので、根気よく続けます。
『ダイエットの方法』
◆肥満タイプの確認方法
⇒おなかに軽く力を入れ、へそまわりの肉をつかめるかどうかチェックします。つかめる人は皮下脂肪型肥満
⇒簡易的には、へそ周りの腹囲 男性85cm以上 女性90cm以上の方は、内臓脂肪型肥満されていますが、ウエストでの評価は相関が低く、腹部CTでの評価が必要と言われています。
内臓脂肪型肥満は、3~6ヶ月で体重3%減らす、皮下脂肪型肥満は、6~12か月で体重の3~5%減らす目標達成すれば、また3%ダイエットを試みます。
◆毎日体重測定:なぜ体重が増加したのか毎日考えます。
◆リバウンド対策:
*筋肉は糖を取り込む作用がありエネルギーを多く消費するので、筋肉量を増やしながらできる運動を勧めます。
インターバル速歩, 自転車こぎ, 水中歩行など筋肉が落ちない運動を行います。
*急激な減量をしない事
極端な食事制限で大幅に体重を減らすと、脂肪だけでなく筋肉量が減ります。筋肉量が減ると消費エネルギー量が減り、糖質や脂質がたまりやすくなり、痩せにくくなります。
*糖質制限ダイエット
*地中海式ダイエット
*時間栄養学ダイエット
(お金をかけない肥満&健康対策:当院コラムを参考に対策を)
◆ 肥満喘息への効果
ダイエットで肥満の改善に伴い、脂肪細胞からの悪い生理活性物質の減少、肺機能の改善、胃食道逆流症の改善などで喘息症状の改善が期待できます。
◆ 食生活の改善
魚油 オメガ3脂肪酸の摂取
腸内細菌の改善: 酢酸 酪酸 プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を高める
短鎖脂肪酸は、善玉菌が 発酵食物繊維とオリゴ糖を餌に作りだします。
ごぼう 納豆 味噌 わかめ キノコ 豆腐 キムチ ヨーグルトなど
具体的には 豆腐にショウガなど薬味入れた納豆とタレをかけ食べる































