院長の健康情報コラム
バイデンも行うコロナワクチン4回目接種:限定的効果
日本でコロナ4回目接種が、はじまりました。80歳近いバイデンさんも接種したようです。
Biden second booster shot 2022年3月30日 Youtube
当院ではコロナワクチン4回目接種予定はありません。
4回目接種は3 回目から 5 か月経過した 60 歳以上 とハイリスク者が対象です。
若い人が多い医療従事者やエッセンシャルワーカーは入っていません。
なぜでしょうか?
健康成人には期待できないから?
最近の信頼性が高いデータとして、健康成人の方への接種ですが、2022年4月7日にNEJMで報告されたイスラエルからのデータがあります。この報告では、コロナワクチン4回目接種の感染予防効果はあまり期待できない内容です。
◆オミクロン株へ の有効性については、 60 歳以上の保険情報をもとにした後ろ向き コホート研究で、
ファイザー製ワクチン 4 回 接種から 7~30 日後の有効率は、3 回接種群 に比べて、
感染予防 45%、
発症予防 55%、
重 症化予防 62%、
死亡予防 74%でした。
70~79 歳の死亡が 72%、80~100 歳の死亡が 80%減 少しており、
超高齢者でも有効です。
このうち 感染予防効果は2~3 か月後には著明に低下しま すが、
超高齢者でも重症化予防効果は維持されます(長期には不明)。
New: 2022年5月24日 BMJ イスラエルからの同様の10週間の報告では
感染予防効果、3週間後ピーク 65.1% 10週間後 22%
重症化予防効果、 3週後 77% 10週間後 86% (10週以降の長期は不明)
👉 感染予防効果は、接種しても一ヶ月で効果はすぐに低下して、費用対効果が悪いことがわかります。
今のオミクロン株は以前の新型コロナに比べ重症化率や死亡率はかなり低下していますので、重症化の可能性が高い人へ絞った対応の方がワクチンの有効率を発揮します。
超高齢者でも重症化予防効果は、いつまではか不明ですがしばらく維持されますので、
*75歳以上の後期高齢者や全身状態が悪い高齢者および
*癌の治療中の方や、免疫抑制の疾患の方、免疫抑制薬などを服用している方
*重い基礎疾患がある方が
積極的に接種推奨の対象になるように思われます。
60歳以上の元気な方への効果は限定的と考えて接種推奨と考えられます。
米国では50歳以上の方が対象になっています。
◆オミクロン株への4回目接種のNEJM 2022年4月7日での報告
一方、18 歳以上の医療従事者を対象とした 前向き臨床研究では、接種後 1 か月までの感 染予防効果はファイザー製 30%、モデルナ製 11%でしたが、いずれも統計学的有意差はなく、若く健康な人では 4 回目接種の有効性は 限定的とされています。この結果から、オミクロン株に対しての感染予防効果は、健康成人には効果はあまり期待できないようです。
この研究には、高齢者や基礎疾患がある方は含まれていません。
◆ハイリスク者(通院および入院中の基礎疾患あり)への接種について
*慢性の呼吸器の病気 (COPDなど)
*慢性の心臓病(高血圧を含む。)
*慢性の腎臓病 (透析など)
*慢性の肝臓病(肝硬変等)
*インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
*血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)
* 免疫の機能が低下する病気(治療や緩和ケアを受けている悪性腫瘍を 含む。)
* ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
*免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
* 神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
*染色体異常 • 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態) • *睡眠時無呼吸症候群
*重い精神疾患
*およびBMI 30以上を満たす肥満の方
とされています(厚労省)。
担当の先生と相談して接種するか検討して下さい。
60歳未満の基礎疾患者は自己申告が必要です。
👉 まとめ
2019年の年末に新型コロナが報告されて以来、様々な変異株(アルファ、デルタなど)の出現で死亡率(ワクチン未接種65歳以上4%程度)の増加や人工呼吸器の使用が増加していましたが、ワクチンの普及による死亡率の低下(1%以下)認められるようになりました。
現在のオミクロン株では死亡率(0.13%)は低いが、インフル(死亡率0.01~0.05%)よりは少し高い死亡率を維持しています。
インフル同様の状態に近づきつつあり、感染力が強いため、学校内や家族内感染が広がっています。
上気道が主の感染のため肺炎や人工呼吸器使用の方は減少して死亡率が低下、咽頭痛による嚥下障害の方が多くなっています。嗅覚味覚障害はほとんどみられなくなりました。オミクロン株による後遺症についてはまだわかっていません。
現在、2020年の初期のコロナワクチンをもとにして作られた現在のmRNAワクチンの方針転換が求められています。現在の方針では、ワクチンだけでの家族内や学校での感染予防は難しいと思われます。
イギリスなどのように、重症化率が低下した新型コロナに対して、インフル同様としての考えに変えれば、2類から5類に変えてもっと規制緩和していくことも可能でしょう。経済も上向きになります。国民の感染率が上がれば、ゆっくりと自然に感染が抑制されることは予想されます。外国との日本の大きな違いは、日本は高齢化率が非常に高いことが大きな問題となります。
規制緩和をすすめることは、重い基礎疾患を持っている方や、超高齢者への対応を医療体制でもっとカバーする必要性が出てきます。
『今後の問題点』
*オミクロン株に特化、またはオミクロン株および予測される株を入れたワクチン(2価)を作るのか
*mRNAワクチン以外のワクチンに期待するのか(組み換えタンパクなど)。
*インフル同様に副反応が少ないワクチンで重症化予防を目的に年に一回程度の定期接種で対応するのか。
*2類から5類(インフル同様)にいつ変更するのか
今年から来年にかけて新型コロナ感染対策行政の変化が待たれます。
『身近な感染予防』
また、新型コロナの接触感染の可能性はかなり低いことがわかっていますので、現在の過剰な感染対策として過剰なアルコールや次亜塩素酸消毒、スクリーンによる空気の流れの滞りなども問題となってきています。
結局、緩和されつつある感染対策を行い、必要な換気、石鹸での手洗い、必要な時のマスク、十分な睡眠、栄養管理、運動習慣を維持することは必要でしょう!!
耳鼻咽喉科医からみた片頭痛:関連めまい
片頭痛は国民の約800万人、子供も含めると1000万人程度の方がいると言われています。国民の10人に1人程度で非常に多い疾患です。
頭痛が主の訴えであれば、
不安になり脳外科や大きな病院でCTやMRIなど検査に行かれると思います。しかし片頭痛は、検査ではわかりません。医学的には一次性頭痛に分類され、筋緊張性頭痛(肩こり頭痛)、群発頭痛なども同様に、頭痛そのものが疾患であり、検査で異常をみとめません。命にかかわることもある二次性頭痛(クモ膜下出血、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、副鼻腔炎など)を除外するために検査を行っています。
経過や症状を確認して、必要があれば頭痛ダイアリーを記載してもらい、診断していきます。片頭痛の診断には、問診が最も重要になります。
頭痛ではなく、めまいの訴えが主であればどうでしょうか?
高齢者や最初のめまいであれば、脳を心配して病院でCTやMRIで精査をされることが多いと思います。しかし、めまいの半分はBPPV(良性発作性頭位めまい症)で、明らかな脳からの異常が認めるは、2~5%程度と考えられています。耳鼻咽喉科関連のめまいが60%程度で、他は体調・身体・循環・自律神経などからのめまいが考えられます(報告する医療機関で異なることあり)。めまいの場合は、脳梗塞や脳腫瘍が原因の可能性は低く、耳の奥の内耳の可能性が半分以上となります。
めまいで、片頭痛が原因と自分で判断できる方はいるでしょうか?
最近まで、医者の間でも片頭痛関連めまい(前庭性片頭痛)の認識は乏しく、メニエール病や原因不明のめまい症として対応されていることが多くありました。中には、メニエール病や良性発作性頭位めまい症と前庭性片頭痛が併存していることもあるため診断を難しくしています。近年まで、めまい患者さんが、頭痛を訴え、脳卒中や脳腫瘍を疑うことは当然のことですが、片頭痛との関連を疑うことはあまりありませんでした
前庭性片頭痛という疾患単位として診断基準が確立されたのは近年(2012年)のことです。
◆複雑な前庭性片頭痛の診断
特徴
*現在または過去に片頭痛症状がある
*頭痛と同時またはその後にめまいがある
*めまい症状は、自発性めまいや視覚刺激・頭部運動で誘発される回転性めまいや浮動感である
*5回以上の日常生活を妨げるめまい発作がある
*5分~72時間の間で持続する日常生活を妨げるめまいがある
*めまい発作の少なくとも50%に1つ以上の片頭痛兆候(頭痛、光・音過敏、視覚性前兆:前兆に前庭症状含めない)がある、頭痛が無いめまい発作のこともあり
*めまい発作時は、高度難聴はなく、耳鳴・耳閉感のあることは多い
*めまい発作が先に起こり、続発して片頭痛発作が起こった場合、メニエール病などの前庭疾患と片頭痛が別個に存在する可能性あり
前庭性片頭痛の診断は、非常に複雑です。診断するには前庭性片頭痛をについて熟知する必要があります。
片頭痛の診断には問診が重要で、前庭性片頭痛でも同様に問診が最も重要で、検査を参考にしながらの対応になります。
◆意外と多い前庭性片頭痛
*頭痛外来の片頭痛患者の61%に何らかのめまい症状があります。
*片頭痛は、外国の耳鼻咽喉科外来の高齢者のめまいの原因で13%の報告。
*日本の耳鼻咽喉科外来のめまい症例中、片頭痛合併例は13.6%と報告。
*肩こり頭痛(緊張性頭痛)もふらつきを認めることがあり、片頭痛におけるめまいの有病率は緊張性頭痛の約10倍です。
◆前庭性片頭痛の診断が難しい理由
*めまいが主の場合、自分が頭痛持ちの方は、頭痛はいつものことと思い、本人からの頭痛の訴えが無い。
*片頭痛は更年期以降改善する方も多くなるため、過去に片頭痛だったことを忘れている方も多い。
*頭痛がない前庭性片頭痛発作が存在するため、片頭痛を想定することが難しい
*前庭性片頭痛という疾患単位として診断基準が確立されたのは最近(2012年)のため、診察した医者の認識不足。
*前庭性片頭痛発作に耳鳴りや耳閉感の訴えがあり、しかも聴力検査でも実際に聴力低下も認めることもあるので、メニエール病との鑑別が難しい、またメニエール病や良性発作性頭位めまい症との併存例もあるため更に診断がむずかしくしています。
◆小児にも多い前庭性片頭痛
当院コラム:お子さんのめまい・ふらつき・立ちくらみを参考に
◆前庭性片頭痛への対応
治療
*めまい発作時は、トラベルミン、セファドール、ナウゼリンなど
トリプタンのめまい効果は認めないようですが、頭痛には屯用で使用。トリプタンは、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、重度高血圧、重度肝臓病では使えません。
*片頭痛の予防治療が発作の予防に有効
ミグシス、トリプタノール、インデラル、デパケン、SSRI(抗うつ薬)、呉茱萸湯など
*めまいのリハビリ:片頭痛症状も改善することが報告あり
*認知行動療法
*近年では、CGRP抗体やCGRP受容体抗体製剤が注目されています。
片頭痛そのものが、本質的に改善することは難しく、誘因があれば回避する生活を行い、頭痛やめまいの閾値をあげ起こしにくい状態を作ることが重要です。
生活で注意点と対策
*強い光、騒音、人混みを避ける
*空腹、水分不足、寝過ぎ寝不足を避け、休日も普段通り
*ストレス回避
*ワイン、チーズ、アルコール、チョコは避ける
*片頭痛発作時は、静かな暗い場所で安静または睡眠、冷たいタオルで痛む箇所を冷やします
*サプリ(Mg, ビタミン B2:リボフラビン , コエンザイムQなど)
➡ 注意すべき特殊な片頭痛関連めまい
脳底型片頭痛(脳幹前兆を伴う片頭痛)
前兆のある片頭痛の特殊型です。前庭性片頭痛との鑑別が必要になります。生命維持に大事な脳幹に関連した前兆がおこり30分以内に頭痛が発生します。トリプタン、エルゴタミンは使用禁止、頭痛治療の第一選択のトリプタンで脳梗塞発生の危険性があります。
前兆で最も多いのが、回転性めまい(60%以上)です、次に構音障害が多く、他に耳鳴り、難聴(耳閉感ではない)、意識低下、複視、運動失調など認めることがあるようです。少なくとも二つ以上の脳幹症状としての前兆があります。脱力、網膜症状は認めません。ミグシスやワソランで予防を行うようです。
👉
現在の耳鼻咽喉科専門医は、めまい相談医を中心に、片頭痛のことを理解してめまいが主症状の前庭性片頭痛の診断を行っています、必要な場合は脳外科・脳神経専門医や頭痛専門医と協力しながら対応しています。
運動・感覚まひや言語障害を伴う場合や、頭痛が主の片頭痛は脳外科・脳神経専門医や頭痛専門医での治療をお勧めいたします。
花粉飛散情報の変化&知っておくこと!!
鹿児島の2022年春のスギ花粉症は、寒波のためか例年より飛散が遅く、2月17日ごろ少し飛び始めた後は、本格飛散が2月26日~27日ごろからとなりその後も、雨の影響もあり3月5日ごろからピークの飛散になりそうです。
患者さんも、いつもの時期に花粉症状がなかったため、『治ったのかなと思っていた』と言われ来院される方もあります。
ここで大事になるのがリアルタイム花粉情報です。
➡ 以前のリアルタイム花粉飛散情報の主役は、『はなこさん』!!
環境省のHPから: 環境省では、花粉自動計測器を全国120地点に配置し、花粉の飛散シーズンである2月から5月にかけてリアルタイムで観測した花粉の飛散状況について、毎年、情報提供してきました。今般、これを最後に「環境省花粉観測システム(愛称:はなこさん)」事業を廃止し、花粉自動計測器を用いた花粉観測を終了します。2021年
最近ではウエザーニュースが全国に花粉観測機(ポールンロボ)を設置し、環境省よりも多数の地点で花粉の飛散についての情報を提供していることや、各地方公共団体でも独自の観測による花粉飛散情報を発信していることなどを考慮して、2021年をもって、花粉自動計測器を用いた花粉観測を終了することになったと説明しています。株式会社ウェザーニューズは、はなこさん事業の廃止で2022年から花粉飛散データの取得が出来なくなったことを受けて、独自のIoT花粉観測機「ポールンロボ」の観測・解析による全国の花粉飛散数のリアルタイムデータを無料で公開しています。
➡ 今のリアルタイム花粉飛散情報の主役は、『ポールンロボ』
全国の花粉飛散数のリアルタイムデータを無料で公開はこちら
ウエザーニュースのアプリをDLして、スマホでリアルタイム花粉飛散情報を確認しましょう。
ポールンロボの問題点は、
ポールンロボは花粉状粒子を測定しています。ヒノキ花粉との判別はつきません。
ポールンロボは粒子径30~40μmの粒子をレーザー光で測定しているとのことです。
スギ花粉の粒子径が約30μm、イネ科花粉が約20~40μm、スギ花粉の時期の花粉はカウントしていると思われます。ただし黄砂粒子は5~10μmですが、粒子間付着で粒子が複数個固着している場合には 黄砂もカウントするようです。鹿児島の場合は、火山灰の影響もでるかもしれません。
ポールンボロの詳細はこちら➡ ウエザーニュースのHP: ポールンロボとは?
➡こちらで確認を 医師会の花粉情報
国立病院機構福岡病院と医師会の花粉情報です。スギ・ヒノキ区別して時系列でも確認できます。
測定方法は従来からの方法です。
➡こちらで確認を 気象庁の花粉・黄砂情報
当日の花粉飛散量(スギ・ヒノキ) 花粉飛散予報 天気、 気温、 降水確率、 PM2.5 など幅広く確認できます。
➡ 知っておきたい花粉飛散予測知識
ポールンロボのリアルタイムの花粉情報はほぼ正確のようですが、花粉飛散予報はあてにならないことが多くあります。
自分で、気象情報から花粉飛散を予測する知識も大事です。
【花粉飛散情報の要注意日】
1:天気が晴れまたは曇り
2:最高気温が高い
3:湿度が低い
4:やや強い南風が吹き、その後北風に変化したとき
5:前日が雨
以上から、前日または当日の未明まで雨で、その後天気が急に回復して晴れ、南風が吹いて気温が高くなる日が要注意日となります。
1日のうち飛散の多い時間帯:正午~3時頃 夕方(地域によって差があります)の外出をなるべく控えましょう。
外出しやすい時間帯は8時PM~9時AM
早くから始めるスギ花粉症治療:初期療法(鹿児島)
2022年2月6日現在、2022年のスギ花粉症はもうすぐです。2月9日は福岡での予測飛散日、鹿児島は2月中旬以降が予測されます。飛散ピークになれば、目がかゆく、くしゃみ、鼻水がひどくなり夜はひどい鼻閉で眠れなくなります。また花粉飛散には地域差が大きく関与します。
鹿児島市の標高200mの山沿いにある当院(鹿児島市川上町)クリニックの場合、毎年の患者増加統計では、2月の最後の週と3月初めの週が最も多くなります。発症すれば急に悪化するため、薬をフル(点鼻、点眼、二種類以上の内服など)に使い、積極的なセルフケアを行わなければなりません。
急な悪化とピーク時の症状を少しでも緩和する目的で行うのが初期療法です。
◆初期療法とは
そこで、発症前に行うのが抗ヒスタミン薬による初期療法です。鎮静作用が少ないお薬を使用するのが一般的です。市販の風邪薬に入っている抗ヒスタミン薬は第一世代の薬のため、車運転禁止薬であり、眠気、便秘、口渇が強く出るため初期療法には合いません。
➡推奨される抗ヒスタミン薬としては
フェキソフェナジン(アレグラ)
ロラタジン(クラリチン)
ビラノア
デザレックス
エピナスチン(アレジオン)
レボセチリジン(ザイザル)
など服用するのが一般的です。一部の薬はOTCとして薬局で購入できます。
➡鼻閉が強い方は、
喘息にも使用される抗ロイコトリエン薬(プランルカスト、モンテルカストなど)を使います。
➡外用薬の
ステロイド点鼻や抗ヒスタミン薬の点鼻や点眼を前もって少なめに使用しても効果が期待できます。
◆初期療法開始のタイミングは?
服用のタイミングは、毎年の花粉症の重症度によって判断しましょう。
*スギ以外にダニにも感作されて(ダニに反応する人)いる人は早めに開始することをすすめます。
*また1月の天気が良い日に、少し花粉を感じる方々は、早めに開始する必要性があります。
*通常は、飛散開始予測日の1週間前から開始します。
*症状が強い方は飛散開始予測日の1週間前よりもっと前で、症状を感じてすぐに開始します。
*症状が軽い方は、飛散開始予定日や予定日を過ぎても症状を感じてすぐでも構いません。
鹿児島は関東圏と違い、早く症状が終わる方が多い県です。
鹿児島ではスギ花粉症だけの影響は、約一ヶ月程度、関東圏では2か月程度覚悟しなければならないようです。
◆初期療法のメカニズム(インバースアゴニスト inverse agonist 逆活性薬)
花粉が飛んで体内の粘膜が触れると、体ではヒスタミンが放出され症状が出てきます。このヒスタミンが体の受容体にくっつかないようにするため、前もって先回りして抗ヒスタミン薬で受容体を占拠して花粉に関連して出現するヒスタミンが体内の受容体にくっつかないようにするのが原理になります。
専門的には、ヒスタミン受容体は活性型と非活性型に分かれて存在しています。ヒスタミンが体内で放出されると活性型のヒスタミン受容体が反応するのですが、非活性型が増えていればヒスタミンによる 影響、すなわち花粉症の症状を減らすことができます。抗ヒスタミン薬には「インバース アゴニスト」という考え方があり、ヒスタミンが放出される前に使用すると非活性型の受容体が増加しています。
重要 👉 初期療法に依存し過ぎない!!
花粉量は増加すれば、症状が悪化します。軽症な方は初期療法の延長で、そのまま飛散後の維持療法に移行できますので続けて使用します。
本格飛散後は、初期療法だけで対応できない方も多くいらっしゃいます。この場合、初期療法に見切りをつけて、積極的な薬による治療やセルフケアを行う必要性が出てきますので、耳鼻咽喉科専門医にて鼻内局所や副鼻腔の状態も確認しながら治療が必要になります。また、結膜炎や副鼻腔炎の合併、皮膚の痒み・のどの症状・咳や喘息の悪化を認める方は、アレルギー専門医と耳鼻咽喉科専門医両方兼務したクリニックでの対応、または眼科、呼吸器科、皮膚科も同時に診察を勧めます。
関連当院のコラム
新型コロナワクチン後の頭痛・倦怠感の8割弱は心の問題!!
子供は、ストレスや緊張で、血管迷走神経反射が出現することが多くなります。若い女性はPEGの影響なのかアナフィラキシーが多くなります。若い男性の心筋炎もワクチン接種が進行する中でわかりました。マスコミ・SNSでは、ワクチン後の原因不明の死亡の問題も多く取り上げられています。ワクチンの副反応については、徐々に整理されてきましたが、いまだに色々な情報が氾濫しています。ファイザー製のワクチン供給が少ないため、最近は、ファイザー製からモデルナ製への3回目交互接種への副反応への不安が、マスコミで大きく取り上げられています。
最近のクリニック受診者は、ネットで調べてくる方がほとんどです。情報過多による不安が治療や予防接種に影響する弊害も考えられますが、これを科学的に証明するのは難しい領域です。
👉 心の問題が新型コロナワクチンの副反応に関与するのか、科学的な研究が、米国から報告されました。
結論
1回目接種の新型コロナワクチンの76%の全身有害事象(頭痛や倦怠感など)はワクチンそのものによるものではない:ノセボ効果と考えられる。
注射部位の痛みの原因の大半はワクチンそのものによるもの。
➡プラセボ効果:実際には薬効のない薬剤でも、「薬が効く」と信じることで本当に効果が現れることがあります。
➡ノセボ効果:これとは反対に、例えば薬や担当医に対する不信感があると、薬剤の効果が落 ちることがあります。
【具体的な研究報告内容】
偽薬で生じる反応をワクチン接種群との比較をするために過去の複数の報告を統計的に適切に集め、系統的解析を行います。
具体的には16歳以上で、約45000人の対象者を半分は偽薬を用いるランダム化比較試験(個人の考えを入れずにランダムに接種の対象を振り分ける)で行います。
解析量が多く、信頼性が高い報告になっています。
JAMA Netw Open. 2022;5(1):e2143955.
全身有害事象:頭痛、倦怠感など
接種部局所反応:注射部位の痛みなど
➡初回接種
偽薬接種 全身有害事象35.2% 接種部局所反応 16.2%
ワクチン接種 全身有害事象46.3% 接種部局所反応 66.7%
初回接種ノセボ効果は?
全身有害事象76.0% 接種部局所反応 24.3%
➡2回目接種
偽薬接種 全身有害事象31.8% 接種部局所反応 11.8%
ワクチン接種 全身有害事象61.4% 接種部局所反応 72.8%
2回目接種ノセボ効果は?
全身有害事象51.8% 接種部局所反応 16.2%
➡注射部位の有害事象はワクチンによるものが大半,
1回目接種の新型コロナワクチンの76%の全身有害事象(頭痛や倦怠感など)はワクチンそのものによるものではなくノセボ効果である
2回目のノセボ効果が低い理由は不明ですが、2回目のため安心感が加わった可能性があります。
執筆者の一人のコメント@DIMEライフスタイル20220129
『頭痛や倦怠感といった非特異的な症状は、COVID-19ワクチン接 種に関するリーフレットの多くに、接種後によく生じる症状として記載されている。われわれは、これらの 症状は特にノセボ効果として現れやすいことを突き止めた。しかし、そうした情報の接種者への提供が裏目に出ることも考えられる。例えば、日常的に感じることのある些細な違和感をワクチン接種によるものと曲解したり、不安や心配から有害事象に対する身体感覚が過敏になったりする可能性がある』
ワクチンの副反応についてよく理解することは重要です。
考えすぎないことも重要です。
◆当院スタッフの接種へのためらい
当院は他の医療機関より、コロナワクチン接種が少し遅れました。当初、当院のスタッフは、ワクチン接種を最初はしたくない意見が多かったからです。次第にワクチンの現状がわかりだすと接種をうける意見に変化していきました。
当初から、不安な状態で接種していたら、うちのスタッフにも全身性の有害事象が多くなっていたかもしれません。納得の上で接種したので通常の副反応のみ終わっています。
◆インフルワクチンの例
インフルワクチン接種の場合、特別に注射嫌いでなければ、アッという間に終わり、注射しても皆さん平気です。少し痛いだけです。
毎年の若年者のインフルエンザワクチンで、ストレスによる血管迷走神経反射を起こす人は、ほとんどいません。少しチクっとするが何も起きないとわかっているからです。インフルワクチンもコロナワクチン同様に、帰宅して接種部の痛みと腫れは出現します。
コロナワクチンも、接種は少しチクっとするだけ何もインフルワクチンと変わりません。帰宅してから免疫をつけるための反応で、痛みと発熱がインフルワクチンより少し強く出るだけです。注射部位が肩筋肉になる点がインフル(主に前腕皮下)と違います。
◆もうすぐ始まる5歳~11歳の子供のワクチン
成人製剤と比べmRNA量が1/3、接種液量は2/3になっているため米国での副反応の報告は少ないようです。重篤なものとして発熱と心筋炎となっていますが、全員回復しています。現時点では、オミクロンに対しての予防効果および後遺症への効果は不明です。重症化予防は期待できると思います。周囲への感染抑制効果もある程度は期待できると思います。
2歳未満なら別ですが、重症化しない5~11歳の世代への接種については、メリット・ディメリットをよく考えて対応が必要です。重度な基礎疾患があれば接種は推奨されます。
日本小児科学会からコメントも参照を
接種するときはインフルワクチン程度のものだと考えてみてください。
特に5歳~小学低学年は、緊張感によるストレスなどで、接種に協力できないお子さんも多くなるとおもいますので、接種時の抑制も大変になる場合もあります。接種は3週間隔で2回あります。
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