吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

メニエール病の新しい治療法:中耳加圧療法

2021-09-20

メニエール病の新しい治療法の中耳加圧療法は、2018年9月に保険収載されてから、初期の段階の大病院に限定された治療の段階から、次第に開業医のクリニックの耳鼻咽喉科専門医(めまい相談医など)にも普及してきています。但し、適応が厳密のため、メニエール病を疑われている方にすぐできる治療ではありません。耳鼻咽喉科専門医(内科・脳外科ではありません)で診断を受けて初めて適応できることになっています。また、外科的治療の一歩手前で、めまいを伴い、内服加療・生活睡眠指導を行っても数ヶ月以上コントロール不可能なメニエール病確実例および遅発性内リンパ水腫確実例のみが対象です。

  中耳加圧療法とメニエール病:NHK健康チャンネル(中耳加圧の患者体験談:サイト

メニエール病の全員ではありませんが、かなりの方にこの体験談と同様の効果が期待されています。

 メニエール病:NHK健康チャンネルサイト

簡単にメニエール病について知りたい方はこれで確認して下さい。

 昔の安易なメニエール病の診断

まず、メニエール病は稀な疾患であることを理解して下さい。(人口10万人に15~18人、最近は元気な高齢者で増加傾向)

最近はめまい疾患で脳の可能性が低ければ、耳鼻咽喉科専門医を受診するように説明される内科・救急・脳外科の先生が多くなってきています。メニエール病ではなく、耳からの良性発作性頭位性めまい(BPPV)が、めまい疾患の半数ちかくを占める最も多いめまい疾患であることが一般内科の先生にも普及してきています。

この最も多いBPPVは、急性期以外は薬や点滴で治療する疾患ではなく、運動生活習慣の改善、前庭リハビリ、耳石置換療法など動きを主体に対応する病気です。しかし、内科の先生のなかには急性期過ぎても、めまいの訴えがあればすぐに点滴加療を行い、あるいはずっと抗めまい薬を数か月以上、年単位で処方されていることも散見されます。10年以上前までは、BPPVの概念の認識が低く、めまいで受診された場合、耳鼻咽喉科紹介は無いことが多くメニエール病疑いと説明をうけて、点滴、長期内服、安静指導がよく行われていました中高年以上のめまい経験者のなかには、めまいイコール点滴そしてずっと薬と安静と考えている方が、今も多くいらっしゃいます。この治療をめまい疾患すべてで行うと、運動・前庭リハが主体のめまい疾患で最も多いBPPVを治療する上で、治りを悪くすることになります。最近では、新井先生のめまいは寝てては治らないシリーズの本が、めまいへの運動や活動の重要性を一般の方へ知ってもらうのに役に立っています。

 BPPVのグルグルめまいは、朝を主に1~2時間程度で自然に回復し、嘔気・ふらつき感が持続します。メニエール病のめまいは半日から1日で自然に回復し、嘔気・ふらつき感が長期に持続するのが通常の経過です。ほとんどは点滴が必要なのは一部の症状がひどい方で一時期に(1~2日程度)限られます。メニエール病の前庭リハは、回復期に、症状が落ち着いてから慎重に行います。

 

メニエール病とBPPV(良性発作性頭位性めまい)の見極めの重要性

BPPVは、薬・点滴ではなく運動習慣、前庭リハなど運動・活動を主に対応する疾患で、ぐるぐるめまいは朝が主で比較的早く回復に向かい、軽い方は自宅で自己管理できることもあります。

メニエール病は、急性期は点滴および長期にくすりの服用が必要になり難治性疾患です。めまい・難聴を反復し進行すれば難聴・耳鳴りが進行して回復が困難となり後遺症が残ります。自律神経症状や心因性の問題・不眠症の管理も必要になることが多く、難治化すれば治療は容易ではありません。

最近、難治性のメニエール病に対して、難治者への中耳加圧療法が注目されてきています。

メニエール病とBPPVは治療方針で大きく違いますので、専門医での最初の診断が重要になります。メニエール病とBPPVが併存していることもあります。

 ➡ 中耳加圧療法の治療対象は:

保存的治療に抵抗してめまい発作を繰り返し、外科的治療を考慮するメニエール病確実例および遅発性内リンパ水腫確実例(stage4)です。耳鼻咽喉科専門医のみが実施できます。

中耳加圧療法の動画 YouTube(第一医科 管理会社

中耳加圧療法の治療の実際 YouTube動画

中耳加圧療法の開発経過MEDIC

👉 ポイント!!

ここで大事なのは、診断確実例のみが対象となることです。

 複数の医療機関で、数ヶ月から半年あるいは数年以上のあいだ、反復している方が多く、前医での治療経過、眼振の有無や眼振の性状、聴力の変化とめまい症状の出現の確認が必要になることがあります。頭部MRI(聴神経周辺など)結果はどうだったのかの情報も必要です。

お持ちであれば、前医耳鼻咽喉科での検査記録を持参して下さい。

 内科でメニエール病の治療をされている方は、まず、近くの耳鼻咽喉科専門医(めまい相談医)に相談して下さい。

 片頭痛関連めまい、心因性めまい、PPPDとの鑑別や併存の確認が必要です。前述のBPPVの合併例も多く、本当のメニエール病かの見極めが大事です。

 実施要領:

貸し出しの中耳加圧装置(シリコンゴムチューブを介して、圧波を、外耳道を通して鼓膜に送る装置)を1回3分1日2回行い、月間の症状を日誌に記載してもらいます。月1回通院して1年後に評価を行います中耳加圧治療器(第一医科)の貸し出しには予約が必要です。2021年12月、予約には半年かかっています(半導体不足のため?)。

詳細は、日本めまい平衡医学会適正使用指針サイトで確認して下さい。