院長の健康情報コラム
回転性めまいの話題
めまいを訴える患者さんは高齢社会を反映して増加の一途をたどっています。麻痺が無い短期のふらつきは風邪症状、不眠、疲れ、肩こり、脱水など日常生活に問題あることも多く、自己対応で済ませる方も多いと思いますが、ぐるぐる回る回転性のめまいは、びっくりして救急車を呼ばれる方も多くいらっしゃいます。
👉今回は、耳鼻咽喉科医が診察することが多い回転性のめまいの最近の話題です。
三つの話題
①良性発作性頭位めまい症(BPPV)と骨粗鬆症
②メニエール病の中耳加圧療法
③片頭痛とめまいの関係
ふらつきをめまいと考えてない方もいるので、ふらつきも含めてめまいと呼んでいます。
めまいを➊回転性のぐるぐる回るめまいと❷ふらつき(浮遊性めまい)に分けて考えています。
めまいの原因を考える時 ➊末梢前庭性(耳鼻咽喉科疾患に多い)❷中枢性(脳卒中、脳腫瘍など) ❸その他(不整脈、貧血、自律神経、薬剤性、筋力低下、肩こりなど)に分けます。回転性めまいは末梢前庭性に多く、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎、めまいを伴う突発性難聴、内耳炎が代表疾患です。
中枢性では、脳卒中・脳腫瘍以外では、近年、片頭痛に関連するめまいが、前庭性片頭痛という疾患単位として確立され、症状として回転性めまいとふらつきを認めます。
話題➊ 良性発作性頭位めまい症(BPPV)と骨粗鬆症
耳鼻咽喉科が扱うめまいには末梢前庭性が多く全めまいの60%を占めます。その中で最も多いのが良性発作性頭位めまい症です。回転性めまいの内耳疾患で、半分程度を占め、男性より3倍女性に多く、中高年の女性に多い疾患です。
内耳の耳石が何らかの理由で剥がれ落ち、それが動くことで三半規管を刺激してめまいが起こります。運動不足、長期臥床、外傷後に起こり易くなります。寝たきり・運動不足など動かないでいると、半器官へ耳石が溜まってしまったまま動かなくなります。それが原因となりBPPVを発症してきます。また耳石もカルシウムであるため、閉経後の女性に多い骨粗しょう症との関連も考えられています。![]()
治療:
浮遊耳石置換法と自宅でのめまい体操です。発症機序から、薬で治す病気ではありません。対症療法として嘔気、めまいに対しての薬物療法は一時的に行う程度です。
通常は、2~3週間で自然治癒することも多い疾患ですが、再発例や難治例も多く認めます。再発率も高いため普段から運動を心がけ、動くことを意識する必要があります。難治例で、毎晩耳石が剥がれて三半規管を刺激して遷延・再発する方には、めまい体操や耳石置換法では間に合わず、上半身を少し高くしての就寝、枕を高くすると起こしにくくなると言われています。
☞ BPPVの基本事項は次のサイトを見てください。
- メディカルノート BPPV(新潟大学耳鼻咽喉科 堀井教授 監修)
BPPVの難治化要因としての骨粗鬆症との関係:
難治化や再発例は、長期臥床後、二次性(メニエール病後、外傷後)に多いと言われています。骨密度が低下した方に、再発例が多い報告があり、耳石が脆弱化している耳石粗鬆症とも考えられています。今後、若いころからから骨粗鬆症への対応がBPPV発症の予防につながる可能性があります。
骨粗鬆症への対応:
骨密度は20歳ごろがピークと言われ、若いときの過剰なダイエットや痩せすぎは、閉経後の骨粗鬆症の悪化が予測され、骨折予備軍と考えられています。
食事、運動、生活はどうするか?
運動は背筋運動、スクワット、壁で支え片足立ち、壁で支えヒールレイズ(かかと挙上)、水中歩行などのレジスタント運動を行います。食事は、バランスの良い3食を食べ、肉・魚・大豆・納豆・卵・牛乳・小魚・きのこ・鮭などタンパクやカルシウム・ビタミンD・ビタミンKをよく食べましょう。
レジスタント運動で筋肉量を維持し、骨密度の減少に効果があります。ビタミンDを維持するには日光浴も大事です。肥満者は少しずつ減量を試みます。急な減量は、筋肉量の低下をもたらします。喫煙や過度の飲酒も骨粗鬆症を早めます。
話題❷メニエール病の中耳加圧療法
耳のめまいの病気のメニエール病は内耳のリンパ水腫でめまいを起こす疾患です。内リンパ水腫を起こす理由はまだわかっていません。メニエール病はストレス、睡眠不足、几帳面との関与が大きい疾患です。月経はメニエール病の誘発因子となり、更年期障害と合併しやすいと考えられています。急性期のめまいに対して、回転性めまいの持続時間は10分程度から数時間程度ですので、内服または点滴加療、急性の聴力低下はステロイド治療などを行います。
この疾患は反復するので予防が重要です。生活習慣の改善、睡眠指導、軽く汗を流す運動をすること、飲水指導を行います。難治例に対して外科的治療は後遺症を残す可能性が高く慎重に検討する必要があります。後遺症を残さない新しい中耳加圧療法が外科的治療の前段階治療と位置づけられます。
難治・再発するケースは多く、難治例(stage4)を対象に、2018年9月から中耳加圧療法が、保険収載されました。
中耳加圧療法の治療対象は:
保存的治療に抵抗してめまい発作を繰り返し、外科的治療を考慮するメニエール病確実例および遅発性内リンパ水腫確実例(stage4)です。耳鼻咽喉科専門医のみが実施できます。
実施要領:
貸し出しの中耳加圧装置(シリコンゴムチューブを介して、圧波を外耳道を通して鼓膜に送る装置)を1回3分1日2回行い、月間の症状を日誌に記載してもらいます。月1回通院して1年後に評価を行います。
話題❸ 片頭痛とめまいの関係(前庭性片頭痛、メニエール病との併存)
日本では約840万人と推計、ほとんどは30歳までに発症し、6割程度は生理中に悪化、妊娠中は改善、更年期初期に悪化し年齢とともに罹患率は低下します。20台から50台の女性に多く、エストロゲンの関係が考えられています。
めまい患者さんが、頭痛を訴えても、脳卒中や脳腫瘍以外では片頭痛との関連を疑うことは今まではあまりありませんでした。最近では、頭痛外来の片頭痛患者の半数以上に何らかのめまい症状があり、片頭痛とメニエール病の共存率も高いと知られています。前庭性片頭痛という疾患単位として診断基準が確立されたのは近年のことです。片頭痛関連めまい(前庭性片頭痛)は、今まであまり知られていなかったため、難治性や原因不明のめまいの患者さんの中にかなりの割合で含まれていると考えられています。外国の耳鼻咽喉科外来の高齢者のめまいの原因で13%の報告があります。
◆診断
*過去も含め片頭痛症状がある
*めまい前後に頭痛がある
*めまい症状は、自発性めまいや視覚刺激・頭部運動で誘発されるめまいや浮動感(回転性めまいが多いが、一部に浮動感あり)
*少なくとも5回のめまい発作で、5分~72時間持続
*めまい発作の少なくとも50%に1つ以上の片頭痛兆候(頭痛、光・音過敏、前兆)がある
*めまい発作時は、高度難聴はなく、耳鳴・耳閉感のあることは多い
◆治療
*めまい発作時は、トラベルミン、セファドール、ナウゼリンなど
トリプタンのめまい効果は認めないようですが、頭痛には屯用で使用。トリプタンは、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、重度高血圧、重度肝臓病では使えません。
*片頭痛の予防治療が発作の予防に有効
ミグシス、トリプタノール、インデラル、デパケン、SSRI(抗うつ薬)、呉茱萸湯など
*めまいのリハビリ(片頭痛症状も改善することが報告あり)
◆生活で注意点と対策
*強い光、騒音、人混みを避ける
*寝過ぎ寝不足を避け、休日も普段通り
*ストレス回避
*ワイン、チーズ、アルコール、チョコは避ける
*赤系サングラスを選ぶ
*片頭痛発作時は、静かな暗い場所で安静または睡眠、冷たいタオルで痛む箇所を冷やします。
のどの溶連菌感染症
溶連菌感染は、夏に少なくなるも1年を通して多い感染です。特に秋から冬にかけて多くなり、季節的に多くなるインフルエンザ以外では、通常、冬では感染性胃腸炎の次に多く、4歳ごろから学童に好発する疾患です。
👉 溶連菌は、発症時の症状の他に、その後の毒素や免疫反応による様々な疾患が生じ、死に至る病気(人食いバクテリア)となることもあるため、自分でも知識を持ち、早期発見に役立てる必要があります。
~溶連菌感染を簡単に要約すると以下になります~
溶連菌感染症とは、A群β溶血連鎖球菌(グラム陽性嫌気性菌)という細菌によって起こる感染症です。
無治療で、発症後3週間で抗体が産生され、2週間以内に自然治癒することもあります。
*溶連菌そのものによる組織障害(咽頭炎)
*溶連菌が出す毒素による疾患(猩紅熱)
*免疫異常による疾患(リューマチ熱・腎炎など)
など多彩な疾患発症メカニズムがあります。
◆感染経路
*飛沫感染(口や鼻から感染)…咳やくしゃみ等で飛び散った菌を吸い込むことで感染します。
*接触感染(皮膚から感染)…皮膚と皮膚が触れたり、タオルや食器等を介して感染します。
*親子兄弟の家族内感染を起こします(兄弟の感染率25~50%、流行期の両親の感染率20%程度)。
*潜伏期間 咽頭炎は約2~5日 とびひ(伝染性膿痂疹)では、7日~10日
一般的に4歳~学童の子供に感染しやすい病気です。大人でも感染します。一度感染して治っても、繰り返しかかることがあります。
適切な薬をきちんと服用すれば、24時間以内に感染力がほとんどなくなります。
学校保健安全法では、適切な薬を内服後24時間たち、状態が良ければ登校可能となっています。
◆症状
発熱・のどの痛み・腹痛・発疹・苺舌吐き気
これらの症状が全てあらわれるわけではなく、人により症状は異なりますが、高熱、のどの痛みが出て、扁桃腺が腫れ、その後、全身に発疹が出たり、舌にイチゴのようなブツブツが現れることもあるのが特徴です。
成人では 上咽頭に強く炎症が出ることも多い(上記写真)。下記写真は同人物の咽頭扁桃写真
◆診断と治療
クリニックでは、迅速検査(10~15分程度)を行い、陽性であれば、アモキシリン10日間内服加療を行います。
*軽症ペニシリン(PC)アレルギーではケフレックス(狭域セフェム)
*重症PCアレルギー クリンダマイシン 10日間服用
広域セフェム系(フロモックス、メイアクト、トミロンなど)の5日投与方法が日本で研究されましたが、除菌率82%、10日間アモキシリンでは91.7%、再発率では差は認めていません。
広域のセフェム系は常在菌に変化をもたらすため、アメリカでは推奨されません 日本では、クラリスロマイシンなどのマクロライド系は耐性の可能性があります。
保菌者(検査は陽性、無症状)は治療はしません。周囲に感染するリスクは低く、合併症を起こす危険性は低いからです。
除菌療法を検討する場合*家族が複数回A群溶連菌咽頭炎*リウマチ熱の家族歴*慢性のA群溶連菌保菌状態で扁桃摘出を検討などです。
◆合併症(免疫反応による)
●リューマチ熱:発熱と関節痛、心炎、輪状紅斑、舞踏病あり、その後心臓弁膜症となることがあります。咽頭炎後1~5週で発症します。現在先進国では、稀です。2008年日本では推計100人程度。抗生剤内服で予防可能です。外国人の来日による輸入感染症やワクチン普及や安易に抗生剤を使用しない流れでの、再興感染症として今後増える可能性があります。好発年齢は4歳~15歳。
●急性糸球体腎炎:浮腫 血尿 タンパク尿 高血圧 が出現。2歳未満は稀で、40歳以上は少なく、2歳~15歳と60歳以上は注意が必要です。
●アレルギー性紫斑病:小血管炎で、紫斑と関節痛、浮腫、腎炎、腹痛あり。20歳以下で4~10歳に好発します。溶連菌感染後1~3週間で発症することがあります。
その他に皮膚疾患として、
●発赤毒による猩紅熱発疹は 体幹に始まり、末梢に広がります(発疹:咽頭炎発症1日後:翌日~7日、イチゴ舌:発症2日~など)、脇の下や鼠径部にも多く認めます。口の周囲や手のひら足の裏はあまり認めません。
皮膚落屑(手や足の指先のかわ剝け)は、発疹が消失後から現れますが、自然治癒します。
●急激に発症して数日で死に至ることもある(人食いバクテリアと壊死性筋膜炎)
2017年6月西部ライオンズの森投手コーチが体調不良からわずか3日で、劇症型溶血性レンサ球菌感染症による敗血症で死亡。死亡率30%。(徳州新聞ダイジェスト 2017年7月31日)2015年では日本で500人程度の報告があります。発症はよくわかっていませんが、A群溶連菌への好中球による貪食能が抑制されて起こると考えられています。リスク因子として、高齢者、飲酒、男性が少し多いとなっています。子供には稀な疾患です。若年者では、外傷、針刺し事故がきっかけで発症することがあります。高熱、全身不良、局所の腫脹、激痛、四肢末端から1時間に数センチで壊死が進行します。早期の診断と治療が重要です。抗生剤による集中治療の他、外科処置が必要です。
●丹毒:真皮組織の上層の溶連菌の感染で、1~2mm程度の境界明瞭発赤腫脹を認めます。顔や手足に発症することが多い。
●蜂窩織炎:真皮組織の深い部分の感染、黄色ブドウ球菌が多く、溶連菌も原因となります。境界不明瞭な発赤、腫脹で下肢に多く認めます。
●伝染性膿痂疹(とびひ):黄色ブドウ球菌が主の原因、溶連菌も原因となります。アトピーがあると重症化します。
そのた重症合併症
●扁桃周囲膿瘍: 激しい咽頭痛、嚥下困難、開口障害があり。溶連菌による咽頭炎を無治療では重症化して、入院や外科的処置が必要となることがあります。
●急性喉頭蓋炎: 嚥下困難、呼吸苦、人生最悪の咽頭痛があり。救急車搬送が必要なことがあります。
👉 自分で行う溶連菌感染による咽頭炎、扁桃炎および合併症の急性糸球体腎炎の判断として
下記の基準と症状を参考にしてください。
◆溶連菌などによる細菌感染ではないウイルス感染の場合は、咽頭痛・発熱の他に、鼻汁、鼻閉、咳、口内炎、結膜炎などの多彩な症状が同時に出現することが多くなります。
溶連菌感染では、発熱、咽頭痛、時々腹痛・嘔気が出現し、症状は限られたものになります。
【Centor/McIsaacの基準】
*発熱 38℃以上 1点
*咳がない 1点
*圧痛を伴う前頚部リンパ節腫脹 1点(あごの直下で前方のリンパの腫れ)
*白苔を伴う扁桃腺炎 1点(のどの奥の扁桃に白い物が見える)
*年齢:3~14歳 +1点、15~44歳 0点、45歳~ -1点
スコア (溶連菌感染の確率)JAMA 2004
0 2%
1 7.5%
2 14%
3 31%
4 52%
スコア4であっても、EBウイルスなどによる伝染性単核症の区別が難しいことがあります。この指標は、医師が迅速検査の適応や、抗生剤の必要性を検討するときの資料です。
◆各年齢による症状を知ること
*3歳以下:鼻水、鼻炎症状のみで、咽頭炎の所見は認めないことが多い。通常の感冒と区別がつきません。感染後の急性糸球体腎炎は、2歳未満は稀です。米国ではリューマチ熱は、3歳未満は稀。
*4歳~14歳:
咽頭の充血した暗赤色の発赤、赤い斑点状紅斑を呈することが多く、経験ある医師であれば、咽頭を視診するだけで判断できます。好発年齢です。
*思春期~成人~高齢者:さまざまな咽頭所見を呈するため咽頭の視診だけ判断するのは難しくなります。
血尿 タンパク尿 浮腫 高血圧が、咽頭炎後10日以降に発症します。好発年齢の3歳~14歳のお子さんたちでは、発症数週間後の
*ワイン色尿(血尿)
*泡立った尿(タンパク尿)
*眼瞼浮腫(浮腫)
は、お子さんにも教えてよく観察して下さい。クリニックにて、発症2~3週間して、検尿で確認します。
ドライマウス(耳鼻咽喉科)
『ドライマウスとは』
唾液は1日1~1.5L毎日排出され、口腔内の重要な役割を担っています。
最近、口腔乾燥症の患者さんが増えてきています。
口腔乾燥感と唾液分泌低下は、 高齢者に多く、加齢変化で唾液分泌能は落ちていきます。
60歳以上の3~4人に一人はのどの渇きを感じています。
下記の症状あれば、ドライマウスを疑ってください。
➡ドライマウスの症状
*のどの中のねばつき
*頻回な飲水
*舌の痛み、ひりひり
*乾いた食品が食べづらい
*飲み込みづらくなる
*虫歯や歯周病が多くなる
*入れ歯不調
*口臭
*味覚低下
*咳払い
*声がれ
歯科の定期受診は60歳以上では、60%になります。歯科や口腔外科で、ドライマウスを相談されることが多くなっているようです。
60歳以上の耳鼻咽喉科受診は、定期で行くより悪い時だけの受診のことが多く、ドライマウスを気にして受診されるより
飲み込みにくさ、咳払い、痰の増加、声がれ、ノドの異常感、味覚異常などで受診され、本人が気づいていないドライマウスが関連していることを多く認めます。
鼻閉があれば、口呼吸との関連を疑います。
薬の影響によるのどの渇きは、もっとも多い原因です。皆さんが普段から使用される風邪薬、咳止めは最も多い原因です。
高齢者が長期に服用されている薬の影響も無視できませんが、必要性があって服用されていることが多く、やめるのも難しくなります。
唾液の役割
良い点:
アミラーゼを含み消化機能の一部を担う
洗浄液として抗菌成分を含み、口腔内の細菌・ウイルス・真菌の増殖抑制
潤滑液として嚥下を助ける
虫歯予防
悪い点:
病気になると唾液は感染の媒体となり咳などでインフルエンザなどウイルス・細菌をばらまきます
唾液低下の原因と対策
●ストレス 現代社会では、常に交感神経の緊張状態で唾液低下をおこします。
⇒ 睡眠をとり、リラックスできる生活を送ることは、自分次第で自宅でできます。
●薬剤が原因 抗うつ薬 抗ヒスタミン薬 精神薬 高血圧薬の一部 風邪薬
⇒ 最小限の薬になるように担当医と相談
●噛む筋力の低下
人と話さない 笑いがない 軟らかいものばかり食べるなどの生活習慣があると、四肢の筋肉を使わないのと同様に、口腔や喉頭の筋力も低下します。
⇒ 社会参加を積極的に行い、新聞などの朗読、一口30回噛むなど自宅でできます。
●病気 シェーグレン症候群や糖尿病など
⇒ 病院で長期的に加療、または軽症は経過観察や食事療法などを行います。
●口呼吸や鼻呼吸障害 睡眠時無呼吸症が背景にあることもあり
⇒ 鼻の治療
その他に、毎日自宅でできる歯みがきを3回しっかり行い、唾液分泌を促します。
👉うま味を用いた、唾液分泌の改善が注目を集めています。
食べ物で唾液分泌を促すのはレモンなどの酸味刺激ですが、効果は短時間となります。
うま味は、酸味に比べ持続的に長時間、唾液分泌を促すことがわかりました、うま味のもつ後味が関係しています。
うま味は、口腔粘膜に広く分布する小唾液腺の分泌を促します。
◆細かく刻みを入れた昆布を、水500mlに対して30gの分量で、一晩、水に浸して昆布だしを作ります。ペットボトルに入れて冷所保存し2日以内に使い切ります。
◆小さいペットボトルや水筒に入れて持ち歩き、口の渇きを感じたときに、昆布だしうま味ドリンクで口を30秒ほどすすぎ、そのまま飲む、または吐き出します。1日10回ほど、こまめに行います。 数か月持続して、行ってみてください。
甲状腺の病気や心不全などで水分制限がある方は吐き出してください。
◆ 市販の昆布茶を 通常の3倍ほどに薄めて作り 同様に行う。通常の濃さだと塩分の取りすぎになります。
こんなものに「うまみ」が多く含まれます
うまみ物質には、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などがあります。
<グルタミン酸>
昆布、
<イノシン酸>
カツオ節、煮干し、
<グアニル酸>
干しシイタケ
●唾液腺マッサージ YouTube
(唾液腺分泌を促す効果があります食前に勧めます)
唾液腺マッサージは、高齢者の口腔ケアの一つとして行われます。
皆さん、がんばってやってみましょう。
胃酸の逆流と喉頭
➡胃酸の逆流と喉頭症状
胃酸逆流の喉頭所見として、喉頭肉芽腫(上記写真)(通常片側)や喉頭の炎症・発赤・浮腫から声門下の炎症などを認めます。
咽喉頭酸逆流の症状として、咳嗽・声がれ・咳払い・のどの異常感が胃酸逆流の影響で生じます。
対策:逆流症の治療(PPI:プロトンポンプ阻害薬)の効果は限定的です。
咽喉頭酸逆流では、弱酸~無酸の逆流による発症の場合あり、初期治療から増量や投与期間の延長を考える必要があります。無酸の逆流のことあり、PPIによる酸のコントロールだけでなく逆流そのものの改善を目的にモサプリドや六君子湯の併用や生活・食習慣の改善も考えます。
◆胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)とは
胃食道逆流により症状や合併症が引き起こされる疾患です。脂っこい料理を食べお酒を飲む人に多く、胸やけやげっぷなどの症状があります。
通常は胃液や胃の食べ物が食道に逆流しないようになっていますが、逆流防止機能障害があると生じます。食道粘膜は胃酸の刺激を防ぐ機能は備わっていません。食道裂孔ヘルニアはリスク因子です。
胃カメラで食道粘膜障害がないことを確認されると非びらん性胃食道逆流症(nonerosive reflux disease:NERD)と診断され、逆流症状を訴える患者の60~70%に認めます。生活の欧米化、ピロリ菌感染率低下、肥満の増加に伴い日本人の酸分泌は急速に増加しています。GERDの重症例では、食道狭窄・出血、バレット食道からの癌の発症もあります。
妊婦、乳幼児、肥満傾向、高齢者(背骨は曲がる亀背)、お酒飲みすぎる人、食べ過ぎる人、咳が長引く人、ベルトを締めすぎる、コルセット使用者、ストレスが多い人(NERD)など
☞ 腹圧がかかりやすいと起こります。一部にはストレスの関与もあります。
*Ca拮抗薬(降圧薬)テオフィリン(ぜんそく薬)硝酸薬
☞逆流を防止する下部食道括約筋を緩めます。
*抗コリン薬
☞消化管運動低下させ、胃酸がたまりやすくなります。
抗コリン薬の例:デパス セルシン 三環系抗うつ薬 抗精神病薬ブスコパン パーキンソン病薬 風邪薬 第一世代抗ヒスタミン薬 など
◆生活習慣の改善による対応
★お金をかけない肥満&健康対策:当院コラム
*過食を避ける 食後2~3時間就寝しない
*食後前屈み姿勢を避ける
*高脂肪食やアルコール・甘い物・コーヒー、ミント、柑橘類などを避ける
*就寝時頭部を15cmほど挙上し、上半身を少し上げて就寝する。挙上の仕方は、次のサイトも参考にしましょう。
*ベルトなど腹部の締め付けを避ける
*長時間の農作業などを避け、普段から背筋を伸ばすようにする
生活習慣の改善は、以下のPPIの治療と併用して効果を認めます。
◆治療は?
*PPI:プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール)
作用には少し時間(5日ほど)がかかります。8週間投与。
非びらん性のNERDではPPIの効果は低くなります。ストレスの関与も疑います。
*PPIの併用治療
→六君子湯:PPIへの追加投与で上乗せ効果あり
→モサプリド:NERDやPPI抵抗性GERD)にはPPIにモサプリドの上乗せ効果あり
*P-CAB:タケキャブ タケプロン(ランソプラゾール)の改良版で、タケプロンより効果が早く酸性環境下でも安定性があり、作用持続が長く、タケプロンよりピロリ菌除去が高いなどの特徴があります。
『PPIの弊害』
*胃酸分泌抑制により腸管感染症のリスクがわずかに増大
*胃酸分泌低下による胃内細菌の増殖とその逆流物の肺への吸引で市中肺炎が増加する可能性が考えられますが、GERD自体が肺炎の危険因子でもあるので肺炎のリスクはわずかに増大
*PPIの骨代謝への影響とカルシウムの吸収障害により、服用1年以内は骨折のリスクはわずかに増大
*ランソプラゾールによる難治性下痢の可能性
運動誘発性喉頭閉塞症(EILO)
➡運動誘発性喉頭閉塞症(EILO:exercise-induced laryngeal obstruction)
思春期のアスリートに多く女性は7割程度と男性より多い疾患です。激しい運動中に生じるVCD(声帯機能不全)、本来開大すべき吸気中に声帯が内転し呼吸困難を来します。EILOは、運動が最も激しいときに発症して、運動終了後、数分で改善します。喘息の治療では改善しません。
運動誘発喘息(EIA)では、呼気時の呼吸困難で、運動終了後も15分程度は発作が持続し30分程すると回復に向かいます。EILOとEIAの合併も40%程度に認めるため鑑別を難しくします。この場合まずは喘息の治療を行います。
EILO の方は,発作時に突然のどが詰まり呼吸困難になることでパニックになり過換気を合併することがあるとされ注意が必要です。精神的要素が強い過換気症候群との鑑別も必要です。典型的な過換気症候群では、手足のしびれなどのテタニーが出ることが多い点で鑑別することが出来ます。過換気はプレッシャーがかかる競技会での発症が多いとされています。また、最近はEILOと喉頭軟弱症との類似性が指摘されています。
日本ではまだ認知度が低い疾患です。北欧の健康若者の有病率は5.7%~7.5%、アスリートでは35.2%といわれています。
診断:喘鳴は吸気時に頸部主体に認め運動終了後1~5分で改善。安静時の喉頭には異状は認めず、運動負荷中の持続的喉頭内視鏡検査にて声帯の観察(Continuous laryngoscopy during exercise : CLE)を行い診断します。
Olympus corporation EILO 動画 (You Tube)
National Jewish Heaithの動画(You Tube)
アメリカでは、CLEは用いず、安静時、過剰換気時、高負荷の運動直後の三つの喉頭内視鏡検査で診断することもあるようです。
治療:リラックスした正しい呼吸法(腹式呼吸)や口すぼめ呼吸の習得、エルゴメーターで運動負荷をかけて、持続的喉頭内視鏡を用いて運動負荷中の声帯を観察して、リアルタイムで視覚的フィードバックを行い呼吸法の修正を行います、
日本で持続的喉頭内視鏡(運動負荷)検査や視覚的フィードバックを行うところを探すのは難しいと思われます。
和歌山県立医科大学 運動誘発性喉頭閉塞症(EILO)外来あり
重症例には、喉頭の余剰粘膜を切除する選択肢もあるようです。
下記の疾患との鑑別が必要
➡運動誘発性過換気症候群
喘息の検査や喉頭ファイバーによるVCD(vocal cord dysfunction)などの検査では異常なく、ランニングなどの運動負荷を行い、呼吸苦・過換気・テタニー(手足のしびれ、筋肉けいれん)の症状が出現時に、聴診で喘鳴無く呼気二酸化炭素の低下、動脈血液ガス検査などで診断を行います。心理的ストレスが原因となることが多く、抗不安薬、病態説明、腹式呼吸、認知行動療法、リラクゼーションなど心身医学的治療を行います。ペーパーバッグ呼吸法は、現在は行いません。
➡運動誘発喘息(EIA:exercise induced asthma)
運動により一時的に咳・喘鳴や呼吸困難が起こる現象を運動誘発喘息(EIA)と言います。喘息でない者にも起こりえるため、運動後に気管支が収縮する現象として運動誘発気管支攣縮(EIB: exercise induced bronchoconstriction)と呼ぶこともあります。運動による気道粘膜の脱水と冷却、過剰な換気量や大気汚染物質などによる気道過敏性の亢進が考えられています。EIBの頻度は10%程度ともいわれていて、体調や環境によって誰にでも起こる病態と言えます。
冷たく乾燥した環境でマラソンなどの持続的な運動を続けた場合に起こりやすく、運動を始めて数分で起きて、運動を終了すれば治療をしなくても20~30分で回復します。中には運動を中止しても回復せず、重症の発作をおこしてしまうこともあります。
*予防
①10~20分のしっかりとしたウオーミングアップ;EIAは十分な準備運動で起こさなくなる期間(不応期:準備運動後の1~4時間)の存在が知られていて、目的とする運動のEIAを軽くすることが出来ます。
②普段から、喘息のコントロールをしっかり行い気道過敏症を抑制することです。コントロールが出来ていればEIAを起こしにくくなります。
③薬剤による予防;
➡運動15分前の短期作用吸入β2刺激薬(SABA:メプチン、サルタノールなど)の吸入、SABAの連用は気道過敏性の亢進をもたらすため短期使用にする。
➡DSCG(インタール)の運動15分前の吸入、
➡普段から自宅で、ロイコトリエン受容体拮抗薬(プランルカスト、モンテルカストなど)の服用と定期吸入ステロイドで日常からコントロール:学校で運動前の吸入薬を使うことは難しいことが多く、これが最も学校活動では望ましい対応と思われます。
④普段からの適切な運動,運動の継続でEIAが起こしにくくなります;水泳が起こしにくい運動と言われますが、なんでもよいので運動習慣を持つことが重要です。1日20分以上の早歩きでかまいません。マラソン、サッカー、ラグビーなどは、冬に外で走る運動量が多いスポーツに起こしやすくなります。徐々に強度が上がる運動はおこしにくいと言われています。スキューバーダイビングは、タンク内の乾燥冷気や海水由来の高浸透圧の海水を吸引することで気管支攣縮が起こしやすく生命の危険につながる恐れがあります。トップアスリートでは、競泳はアスリート喘息の有病率(約20%)が高いと報告されていて、塩素による気道上皮障害や長い持続的運動の関与が推測されます。
⑤マスク;湿度と温度の保持および水分喪失の防止
⑥運動中は鼻呼吸を行い、寒いときは室内で行います。
*EIAが起こったとき
運動をやめ鼻で息を吸いと腹式呼吸をします、水があれば飲むと加湿効果に役立ちます。治療しなくても20~30分で改善するのが通常です。改善なければSABA:メプチン、サルタノールなどの吸入を行い医療機関へ
運動誘発喘息:腹式呼吸;環境再生保全機構(サイト)
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