吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

急増するスギ花粉症にどうする?(舌下免疫療法:Afterコロナ)

2021-08-13

 

今はコロナ禍のため、通常のニュースや関心事はワクチン・変異株などに向けられています。変異株の流行による入院ひっ迫・通常医療の制限が現実となりつつあります。

With コロナ

耳鼻咽喉科・アレルギー領域の気道症状として、咳・鼻水・くしゃみ・鼻閉・咽頭痛・咽頭違和感・発熱の訴えなど毎日の診療でよく経験しますが、圧倒的に通常の風邪や風邪ウイルス感染、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、咽喉頭炎、喘息などがほとんどです。他科の内科領域では、生活習慣病の患者さんが定期通院を行い、整形外科領域では慢性の痛みの患者さんが、いつものようにリハ通いを続けています。マスコミ報道ではコロナ一色ですが、実際のクリニックでは、コロナ以外の対応を今まで通り行っています。

Withコロナでは、一部のコロナを疑う患者さんに注意しながら、すべての患者さんへのマスク着用のお願い、手指消毒、院内感染対策を行い、一般患者さんと別の導線または時間をずらして通常診療と別室または車内での発熱患者やコロナを疑う患者さんへの対応を行っています。

After コロナの耳鼻咽喉科

もう少しコロナワクチンが子ども以外の全年齢層に普及し、毎年インフル予防のような新型コロナ予防のためのワクチン接種が一般化して、外来で対応できる内服薬または注射薬の開発がすすめば今までの日常が取り戻せます。それがいつになるのかはわかりませんが、1年後なのかそんなに遠くではありません。

After コロナの耳鼻咽喉科では、ワクチン・感染対策が浸透して、特殊な感染症以外は流行しなくなり、感染症による中耳炎、鼻・副鼻腔炎、呼吸器疾患は激減したままの状態が持続すると思われます。開業医での感染症の対応はVPD:ワクチンで感染予防にシフトしていくでしょう。難聴・耳鳴・めまい・嚥下機能障害・口腔乾燥・嗅覚味覚障害・睡眠時無呼吸症・悪性腫瘍は高齢化と生活習慣の変化のため減少することはなく、コロナ後の健康不安や生活不安などからストレス・不安による耳鳴・ふらつき・口腔咽頭の心身症は少し増えると思われます。感染症が減少すれば、体の免疫反応は外へ向かわず体の内部へ向かう可能性が高くなります。外への免疫反応も感染病因のウイルスや細菌に向かわず、外部からの異物に向かうことになります。アレルギー疾患や自己免疫疾患は、今後も増えてくると思われます

👉 耳鼻咽喉科領域でコロナ前から猛烈に急増している疾患はスギ花粉症です!!

内服やレーザー治療、高価な注射薬ゾレアでは、急増するスギ花粉症やダニによる鼻炎患者さんを抑制できません。薬・外科治療などは対症療法です。本質的には体質改善や環境要因の改善が必要ですが時間がかかります。体質改善を期待するには、Afterコロナを見据え今からすぐに行動を起こす必要があります。それは舌下免疫療法です!!

効果を期待するには数年以上必要です。

スギ花粉症や通年性アレルギー性鼻炎(ダニ関与)は、生死とは関係ありませんが、日常生活活動や睡眠に大きく関与する疾患ですので、舌下免疫療法は、Afterコロナの生活のレベルを上げる一歩と考えましょう。スギ花粉症・ダニアレルギーは、感染症ではないため、スギ・ダニがある限り増加します。

 スギ花粉症の激増の詳細は

スギ花粉飛散量の増加(量と期間)と都会の環境要因が大きな原因です。

有病率の比較:年齢層別・20年間隔の比較

乳幼児(0~4歳)2019年3.8% 20年前の約2倍

子供(5~9歳)2019年30.1% 20年前の4 増加率が顕著

年長・思春期(10~19歳)201949.5% 20年前の2.5倍 最も多い年齢層

成人(20~59歳)2019年45~48% 20年前の約2倍

中高年(60~60歳)2019年36.9% 20年前の3.5倍

高齢者(70歳~)2019年20.5% 20年前の4 高齢での増加

コメント

20年前は20%程度の成人の有病率でしたが、2019年の成人では約50%弱は花粉症となっています。年少からの増加が顕著で中高年から高齢者の増加率が多くなっています。中年以降の増加はより若い年齢で発症した人たちの加齢による移行と思われます。

増加の主体はより若い世代にあります。

年少から思春期および若い世代の増加に抑制をかけないと今後もっと増加すると思われます。スギ花粉症の自然寛解率は12%程度(10年間:20-40歳)低い報告ですので本質的な対応が早急に必要とされています

 スギ花粉症には地域差があります

以前は鹿児島・宮崎はスギ花粉症が少ない県でしたが、2019年の報告ではかなり増加しています。関東地方は有病率が45~65%程度と花粉症でない方を見つけるのが難しくなっています。スギに感作されていると、鹿児島から関東へ遊びに行って突然発症することもあります。学業のため関東で生活して花粉症を発症して鹿児島に帰ってくることも推測されます。

少ない県

鹿児島 2019年18.3% 2008年12.1%

宮崎 2019年32% 2008年8.2%

沖縄 2019年8.6% 2008年6%

最も少ない県は北海道です。シラカバ花粉症が多い所です。

多い県関東地方に多い傾向

東京 2019年47% 2008年32.1%

山梨 2019年65% 2008年44.5% 日本で最も多い県

コメント

有病率が高い関東では県単位ののスギ人工林比率が低いところが多いですが広い面積です。有病率は低い宮崎のスギ人工林比率は高く、鹿児島県も比較的高い県ですので、スギ花粉症増加の理由として飛散量・期間だけでなく環境要因も大きく影響しているとも思われます。スギ林の年齢も飛散に影響します。鹿児島のスギ飛散期間は一ヶ月程度です(通常2月中旬~後半から3月下旬まで)。関東圏は2か月程度飛散するようです。東京などは大気の問題とスギ花粉が貯留しやすいコンクリート構造の町であることも影響しているとも思われます。鹿児島は山林も多いですが、海にも囲まれていますので花粉も停滞しにくい地形と考えられます。

自分で行うスギ花粉症対策当院コラム2019年1月)も参照して下さい。

 

ダニによる通年性アレルギー性鼻炎は微増

有病率:1998年18.7% 2008年23.4% 2019年24.5% スギ花粉症に比べ微増

ダニ抗原の測定結果

日本は米国の10倍、欧州の25倍の室内環境値です。ダニ感作の患者さんは、南アジアで日本よりもっと高く、地球温暖化の影響や気密性が高い室内で空調を使用して生活する時間が長くなっていることも原因と考えられます。自然寛解率は、20-40歳代:10年間では、スギ花粉症12.7% ダニによる鼻炎36.2%の報告があります。スギより自然寛解率が高いのも微増ですんでいる理由かもしれません。

 アレルギー疾患全般の自然経過に変化を期待でき、症状の軽減に導く治療

舌下免疫療法(SLITをどう行う?

施行方法

最初だけ少し通院回数が多くなりますが、基本は自宅で行う治療となります。初期の1~2か月は副反応でかゆみや局所反応など生じる治療です。抗ヒスタミン薬を併用することもあります。副反応の管理や鼻炎・喘息の悪化を注意しながら行います。具体的にはこちら舌下免疫療法当院コラムで確認して下さい。

スギとダニ両方行うこともできます。年少児は、最初は親が入れてあげます、アプリ(トリイ)活用は意欲を高めます。喘息とアトピー性皮膚炎は、通常治療でコントロールしておかないと舌下免疫治療で副反応が強く出ることがあります。

 スギ・ダニの舌下免疫療法で期待できる疾患および効果は

効果がでるのはスギ花粉症ダニによるアレルギー性鼻炎です。ダニによるアレルギー性結膜炎・喘息にも効果があります。アトピー性皮膚炎・食物アレルギーは効果が期待できません。

鼻炎が悪化すれば気管支喘息も悪化しやすくなるのはよくあることです。喘息の80%にアレルギー性鼻炎の合併を認めます。舌下免疫療法は、鼻炎・喘息両方の治療が同時に可能です。

鼻炎を改善させ、睡眠障害、集中力の低下、睡眠時無呼吸症、いびき、中耳炎、副鼻腔炎、口呼吸へ良い効果をもたらします。

今後、感作が予測される新しいアレルゲンへの感さの抑制効果の報告があります。

鼻炎が先に発症して喘息が出現するケースが80%程度認めます。先行するアレルギー性鼻炎を抑制して、その後出現することが多い喘息の抑制効果が期待されています。子どもの成長によって発症しやすいアレルギー疾患が変化する現象(アレルギーマーチ)の進行を少しでも抑える効果も期待されます。アレルギーマーチ当院コラム

花粉症になると長い人生の中で、春先にいつも悩むことになるので、小児には軽症でも将来のため勧めます受験の時期に花粉症を抑えることにもなります。