吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

新型コロナ後遺症:どうしたらよいの?

2022-09-02

日本において2022年9月2日時点で、新型コロナ感染者数が、約1924万人報告されていますが、これよりもっと多くの方がすでに罹患しているとおもわれます。2022年7月中旬から感染者がここ約45日程度の間に倍になっています。第7波がいかに多かったかがわかります。

新学期を迎えクリニックの発熱外来問い合わせも少なくなってきました。今後、一時的には学校での感染の広がりから家庭内感染の悪化が予測されますが、全体としては落ち着く方向へ向かうと思われます。11月以降の寒くなると、今後の変異株やインフルなど感染の可能性があり予測は難しいでしょう。

隔離解除後の症状持続

隔離直後から、症状が持続する患者さんの受診が増えています。稀ですが、自宅隔離で検査できず、肺炎で受診の方もいます。

新型コロナ隔離解除後、問題ない方も多いのですが、咳、痰が絡む感じやのどの違和感が持続する方は多く認めます。喘息やアレルギー体質をお持ちの方は、鼻炎、咳や喘鳴が持続しています。ブレインフォグの症状は無くても、倦怠感や息切れ感が持続する方もみられます。オミクロン以前の株のように多くはありませんが嗅覚・味覚異常の訴えの方もあります。

8月31日報道の東京都でオミクロン株の後遺症では、咳や倦怠感が増加して、嗅覚・味覚障害は減少しています。隔離から少し時間が経って症状が出現する方もあります。

WHOの後遺症(本当の後遺症)の判断は、2か月以降となりますので、通常の風邪をこじらせると、コロナ後と同様の症状が1~2か月持続することは、今までの疾患でも経験してきたことです。3週間以上続く咳・痰を感染後咳嗽と呼んでいます。このような症状は1~2か月の間に自然軽快していきます。少しずつ改善することが、ほとんどですので、睡眠をよくとり、3食バランスを考えて食べ、無理をせず気長に改善する過程を待ちましょう。改善傾向がない、日常生活に支障がある、急に悪化してきた方は医療機関受診が必要です。

ネット情報ばかり見ていると不安なことの方が脳にインプットされ、回復にマイナスに作用しますので、公園の散歩や、無理しない程度で有酸素運動を行い気持ちのリフレッシュも考えましょう

👉 当院のコロナ後遺症対応(耳鼻咽喉科専門医、アレルギー科専門医、漢方専門医、めまい相談医)は、

今までの診療の延長上で行います。

嗅覚味覚障害への加療

当院コラム 意識しないとわからない嗅覚障害:sniff & smell20220918 参考に(メカニズム アロマ 嗅覚刺激法など)

長引く咳や痰、のどの違和感の精査加療

オミクロン株流行以降は上気道・喉頭・気管の耳鼻咽喉科領域の炎症が多く認めます。隠れ喘息やファイバーでの副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、上咽頭炎、喉頭炎、嚥下機能障害、声帯萎縮の確認および加齢や膠原病で増加する上咽頭・口腔・喉頭のドライマウス関連疾患の確認をします。

コロナ後遺症ではありませんが、3密回避のため、マスク、声を出さない、活動の低下のため、特に高齢者は声帯萎縮が悪化して、嚥下機能低下、痰の絡みなどの進行が問題となります。逆に喉の衛生が良くなり声帯炎や声帯ポリープは減少しています。

肺炎後遺症、心疾患の関与は呼吸器・循環器内科でお願いします。

ふらつき、倦怠感への対応及び漢方での加療

内耳などの耳からのめまいや自律神経症状・起立障害の確認および採血での全身評価を行います。

強い倦怠感、Brain fogや慢性疲労症候群疑いは、内科や大学、総合病院で加療お願いします。 鹿児島での筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群ME/CFSの専門医:鹿児島大学病院心療内科

睡眠障害(睡眠時無呼吸症など)

睡眠時無呼吸疑いはアプノモニターにて評価を行い、不眠へは睡眠生活指導や依存が少ない薬や漢方での睡眠対応。

難治な不眠症やうつ、PTSDなどは心療内科や精神科受診をお願いします。

急性や慢性上咽頭炎

後鼻漏、頭痛、肩こり、咳痰、のど違和感、倦怠感など起こす急性や慢性上咽頭炎のファイバーでの確認と一般治療

採血、胸写、心電図などから、全身状態を把握しての必要な専門医への紹介

などが当クリニックでできる事と思われます。

鹿児島県での後遺症の外来対応医療機関が、公表されました。

こちら

 

詳細は以下を参照して下さい

罹患後症状の頻度(報告の大半はオミクロン流行前)

米国CDCからの報告2022年5月27日:

大規模調査約200万人では、罹患後症状は20%以上で発症

⇒ 2020年3月~2021年11月の期間、過去にCOVID-19の診断、または検査で陽性群症例群(35万3,164例)におけるコロナ罹患後に26の対象症状の発生率と、コロナ既往歴がない群(対照群:164万776例)に おける対象症状の発生率について:後ろ向きコホート)の比較

コロナ既感染者の成人では、18~64歳の5人に1人、65歳以上の4人に1 人が、コロナの既往に起因すると考えられる症状を経験していることが示された。若年者 に比べ高齢者のほうが、リスクが高く、感染から1年後まで持続することが報告されている

日本 厚労省発表2022年6月1日(オミクロン流行以前:入院患者の調査)

対象:2020年9月~2021年9月にCOVID-19で入院した中等症以上の患者 男性679例、女性387例 退院後12ヵ月後でも13.6の対象者に何らかの罹患後症状が存在

12か月後の罹患後症状

疲労感・倦怠感(13%)、呼吸困難(9%)、筋力低下(8%)、集中力低下(8%)、睡眠障害(7%)、記憶障害(7%)、関節痛(6%)、筋肉痛(6%)、咳(5%)、痰(5%)、脱毛(5%)、頭痛(5%)、味覚障害(5%)、嗅覚障害(5%)。

感覚過敏、味覚障害、嗅覚障害、脱毛、頭痛は若年者に多く 咳、痰、関節痛、筋肉痛、皮疹、手足のしびれが男性で高頻度

3ヵ月時点では女性で男性と比べて咳、倦怠感、脱毛、頭痛、集中力低下、睡眠障害、味覚障害、嗅覚障害などさまざまな症状が高頻度で認められた

1つ遷延症状が存在すると健康に関連したQOLは低下し、不安や抑うつ、COVID-19に対する恐怖、睡眠障害を自覚する傾向は強まった。
代表的な24症状(例:倦怠感、呼吸困難、筋力低下など)の多くは経時的に低下傾向を認めた。

日本では罹患後症状10%以上とすると、少なくとも2022年9月2日時点200万人程度が何らかの罹患後症状で悩んでいる方がいると考えられます。

厚労省から2021年12月1日に暫定版、2022年4月28日に第1版がCOVID-19診療の手引き別冊:罹患後症状の手引きとして発行されました。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 罹患後症状のマネジメント第1版 罹患後症状に不安をもち悩む患者の方々の予後の改善に役立てること目的に作成されています。

 

医療者側の患者さんに寄り添う姿勢が求められる

2020年1月から、この2年半の間に、感染性が消失し主な症状は回復したにもかかわらず “ 後遺症 ” と呼ばれるような症状, あるいは新たな,または再び生じて持続する症状など(もぐらたたきのように出たり引っ込んだりする)に悩む患者が少なからずみられるようになりました。実際に “ 後遺症 ” が現れた患者にとっては,日常生活や仕事・学業などの支障が出てくることもあります。このような症状は 3 カ月ほどで約 2/3 は回復をしますが,不安が募るとさらに持続・悪化することがあります。

長期化することによる不安に伴う新たな症状も含め、標準化された診療やケアの方法はまだ確立されていません新しい未知数が大きい新型コロナに罹患した思い込みも症状の遷延に関与します。医療者側も、新しい疾患の後遺症のため、診療方針もまだ手探りの段階で、診察に躊躇する傾向がみられます。この診療の手引き:罹患後症状のマネジメントを参考に、医療者側も患者さんに寄り添う姿勢が求められています。

厚労省の第1版では、後遺症という言葉を使わず、単に罹患後症状としてます。新型コロナ罹患後の後遺症の半分以上は、通常の感冒後の症状と同様に自然に回復することが多く、後遺症という言葉を使うとずっと残ってしまう印象を与えてしまいます。新型コロナの場合は、通常より罹患後症状の持続期間が長くなる傾向にあります。

WHOの定義:新型コロナCOVID-19罹患後症状

WHOの後遺症の定義 は、新型コロナウイルス感染症後の症状は,少なくとも2カ月以上持続し,また,他の疾患による症状として説明がつかないもの。通常はCOVID-19の発症から3カ月経った時点にもみられる。 症状には,倦怠感,息切れ,思考力や記憶への影響などがあり,日常生活に影響することもある. COVID-19 の急性期から回復した後に新たに出現する症状と,急性期から持続する症状がある。また,症状の程度は変動し,症状消失後に再度出現することもある(もぐらたたきのように出たり引っ込んだりする症状)。

オミクロン後遺症の大規模調査が進行中

ここ2年半の間に、原因ウイルスの変異に伴い罹患後症状も変遷しています。現在のオミクロンの後遺症について、日本での大規模調査はなく各医療機関の小規模な報告にとどまっています。 オミクロン株の場合、嗅覚味覚障害が少なく今までと罹患後症状が異なっています。2022年5~7月に大阪の豊中市で、忽那医師を中心に感染者3万人規模の調査が始まりますので、報告に期待したいと思います。

罹患後症状の問題解決の指針

罹患後症状の中で、治せる病気が隠れていることがあります。

回復に時間を要する罹患後症状なのか、コロナ罹患が誘因となり発症した治療可能な病気なのかを、受診して確認することから始まります。

罹患後症状は、様々の訴えがあり、

総合内科、神経内科、呼吸器内科、整形外科、循環器内科、消化器内科、耳鼻咽喉科、皮膚科、心療内科、精神科、眼科など様々専門医の関与が必要になります。

他県ではコロナ後遺症外来について各医療機関の役割分担を公表

2022年9月2日時点では、鹿児島県ではかかりつけ医で相談および対応医療機関公表。➡こちら

 

 

 

👉 各専門医での対応可能な疾患(診療の手引きを参考)

 呼吸器専門医

オミクロン流行以前は肺炎発症が高率です。呼吸困難、息苦しさ、咳、痰、咽頭痛、低酸素血症などが持続する場合や肺血栓塞栓症を疑う場合は、呼吸器専門医や病院での精査が必要。オミクロン株流行以降でも、持続する咳・痰の場合に受診。

 循環器専門医

COVID-19 罹患に伴い,急性冠症候群(急性心筋梗塞や不安定狭心症),心不全,不整脈, 脳梗塞,血栓塞栓症などの循環器病が合併したという報告があります。動悸・息切れ、胸部不快、胸痛、四肢のむくみや失神などの症状に対して受診。

 

神経内科・心療内科 大学や総合病院

疲労感・倦怠感・brain fogは、後遺症として最も多い症状の一つです(2か月以上)。時間経過とともに症状が消失する可能性があります。

brain fog は,「脳の中に霧がかかったような」広義の認知機能障害の一種で,倦怠感、記憶障害,集中力低下などを伴うと戸惑いや焦りだけでなく,日常生活や就学・就労,職場復帰などの妨げにもなり得ます。オミクロン株感染でも,初発症状として咳に次いで疲労感・倦怠感が多い。感染したという思い込みが,持続的な身体的症状を引き起こし得るとの報告もあります。

brain fogは、うつ病の一部、認知症の初期や筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)でもみられます。精査しても原因が不明で、後遺症としての治療法や治療薬は確立していないためリハビリによる対症療法や心理的サポートが中心になることもあります。

新型コロナの後遺症の一つして筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群ME/CFSの問題(日本では0.2~0.3%)があります。

コロナ以外でも様々な原因で生じ、ストレスが契機で発症することがあります。日常生活が著しく損なわれるほどの強い全身倦怠感、慢性的な疲労感が休養しても回復せず6ヶ月以上の長期にわたって続く状態で、慢性疲労とは違います。買い物に行くなどの軽い負荷で5時間~48時間後に急激にだるくなり動けなくなる(PEM)がある倦怠感は、ME/CSFへの移行の可能性があり運動は控えます。

急増“オミクロン後遺症- NHK クローズアップ現代 全記録(2022年6月7日)

オミクロン後遺症チェックシート(慢性疲労症候群の診断基準を参考:平畑医師)はこちら

鹿児島での筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群ME/CFSの専門医:鹿児島大学病院心療内科

紹介された治療法について

r-TMS治療(自費診療:一部のうつ病は保険適応)

上咽頭擦過療法Bスポット:痛みと出血を伴う治療、頻回通院必要、稀に嗅覚異常出現:効果に関する科学的根拠は現時点では不十分、データの蓄積が必要な治療、最近コロナ後遺症で注目され、今年になり英語論文報告続く

→IgA腎症の血尿に効果、腎機能変化なし(2022年5月もぎたて耳鼻科の英語論文はこちら

→新型コロナ後遺症に効果 4回の治療で倦怠感、頭痛など効果あり 2022年4月 今井、西 英語論文はこちら

→Bスポット後、上咽頭の新型コロナ受容体ACE2など低下 2022年1月福岡歯科大 西 英語論文 In Vivo Jan-Feb 2022;36(1):371-374

Bスポット治療施行を情報公開している施設は慢性上咽頭炎 | 日本病巣疾患研究会 (jfir.jp)HPから確認を2022年5月時点 鹿児島では3医療機関

 

 心療内科 精神科

ウイルスによる炎症や免疫異常による影響及び未知の病気に対する不安や恐怖,自粛要請や失業などによる社会的孤立など,いくつもの心理的負荷がのしかかり,急性ストレス反応から過剰適応に陥り,やがてうつ病を発症する精神症状 うつ傾向 睡眠障害 PTSD 高齢者での認知症の新規発症などで受診

受診前に、治療可能な身体疾患がないか内科や耳鼻咽喉科で確認も必要。

 

 整形外科 神経内科 ペインクリニック

痛みの部位は頭痛,喉の痛み,頸部痛,胸背部痛,腹部痛,腰痛,関節痛など様々。要因には,ウイルスによる身体ダメージや集中治療後症候群,床上安静などを含めた治療プロセスによる影響などが考えられ,時間経過とともに改善する傾向がみられます。しかし,痛みが持続すると筋力が衰え心身に不調をきたして 慢性化する可能性もあります。

当該疼痛部位により診療科を決めます。

筋・関 節の痛み→整形外科,腹部痛→消化器内科、咽頭痛→耳鼻咽喉科、頭痛→脳外、神経内科

 消化器内科

持続する腹痛 下痢 嘔吐 食欲不振

 皮膚科

COVID-19 の皮膚症状の頻度は 0.2 ~ 20.4 %と幅があり実際の頻度は不明。

様ざまな皮疹と回復後の脱毛症