院長の健康情報コラム
めまいの原因は複雑・混在:どう対応?
6月の梅雨のシーズンになれば、なぜかめまいの患者さんが増えてきます。東洋医学では、水毒、水滞と言ってめまい・ふらつきと関連すると考えれています。
西洋医学で、水毒、水滞は内リンパ水腫に近い病態です。具体的例として、比較的に稀なメニエール病、遅発性内リンパ水腫と若い女性に多い低音障害感音性難聴です。
神経痛、頭痛などのように気象病としてめまい・耳鳴りも含まれ、低気圧の接近で、副鼻腔・鼓室内圧の相対的上昇の関与が推測されています。
『めまいへの初期療法としての対症療法』
めまいの薬物治療は何十年も前から変わっていません。ぐるぐる回るめまいであれば、吐き気も強く、点滴で、吐き気止め、脱水対策を行い、内服は吐き気止めのナウゼリン、トラベルミン、漢方など処方されることがよく行われます。
但し原因を考えてではなく、とりあえず症状を緩和するため、対症療法として対応されます。この中には脳からのめまいも混ざっている可能性があります。めまい・吐き気・嘔吐は自然治癒することも多くある為そのまま落ち着き、浮遊感や吐き気はしばらく持続することは、よく経験する経過です。その後、めまいが反復または持続することもありますので、原因により判断しての対応が必要になります。
原因療法の必要性 ➡ 耳鼻咽喉科・脳外科・神経内科などで精査を行い、疾患を見極めて対症療法から原因療法に変えなければいけません。
『対症療法は最小限で!!』
身近な対症療法の例として、風邪の時には、風邪薬として症状をとりあえず抑える目的で最小限処方され、1~2週間自然治癒するのを待ちます。原因療法ではありません。発熱の時は、解熱剤を使用します。しかし発熱は病原への免疫反応を高める効果があるため解熱剤で下げ過ぎると弊害の方が大きくなることがあります。風邪薬は、眠気や倦怠感、のどが渇き、痰の切れや便の出が悪くなったりすることも多くあります。高齢者が咳止めを続けると肺炎のリスクが増加します。
症状が持続するときは、まだ原因がわかっていない病気が隠れていることがあります。
対症療法に依存するのはよくありません。
『複雑・混在するめまい疾患の原因療法:どう対応?』
めまいの原因は、以下に示すように、あまりにも多く見極めるのがたいへんです!!
大きく分けて、①耳から ②脳から ③身体・心身からかを考えます。
👉 疾患のリスクと疾患の頻度から、次の2点の確認をまず考えましょう。
➡5%未満の稀な脳からの危険なめまいの原因を見逃さない事。高齢者や糖尿病、高血圧、心疾患があれば病院や脳外科にて脳の画像検査が必要です。
➡頻度としてめまいの半数近くを占める良性発作性頭位めまい(BPPV)かどうかの見極めが最も重要です。耳鼻咽喉科専門医またはめまい相談医を受診することです。
👉 その他の一般的な注意点は?
➡梅雨前から夏は、熱中症の初期症状としてのめまい・ふらつきを忘れないように!!
➡高血圧薬や睡眠薬・精神薬など服用している方は、薬剤性めまい・ふらつきではないか担当医と相談しましょう。
①耳から
前庭神経炎
めまい伴う突発性難聴
外リンパろう
②耳・内耳の症状だが脳の関与
前庭発作症
小児良性発作性めまい症(幼児に多い BPPVとは違う 片頭痛と関連)
明らかな脳の関与
一過性脳虚血発作
椎骨脳底動脈循環不全
神経変性疾患
脳腫瘍
➂身体・心身から
頸性めまい
心因性めまい
薬剤性めまい
貧血
循環器疾患
サルコペニア フレイル(加齢性前庭障害と合併)
『良性発作性頭位めまい(BPPV)にはさらに細かい原因が分類されます』
最も頻度が高い良性発作性頭位めまい(BPPV)には、耳石に位置により原因が異なります。
*後半器官結石 *外側半規管結石 *外側半規管クプラ結石
原因により治療法は少しずつ異なります。前庭リハや耳石置換療法のやり方を変えて対応します。
『反復するめまいの原因は時間とともに変化していき、複雑混在するようになります』
*最初は通常のめまい疾患で発症しても、めまいは反復することが多く、めまいに対する予期不安が出現し、不眠が出現し外に出るのが怖くなり心因性めまいを併発しやすくなります。また運動不足から、BPPVも出現する可能性が高くなり、めまいの原因が複雑化してきます。
*メニエール病・めまいを伴う突発性難聴・HUNT症候群の場合、めまい以外に難聴・耳鳴りも持続するため、精神的負担が大きく、うつ傾向も併発して心療内科受診する方もいます。
*強いめまい発作が持続する前庭神経炎は、めまい・ふらつきの持続は長期化することが多く、その後、運動不足等からくるBPPVが途中出現することがあります。
*ストレスなどが誘因となり、まじめな方に多いとされるメニエール病は働き盛りの方に多く、めまいが反復する疾患です。この疾患にもBPPVが混在することがよくあります。
*メニエール病は、更年期年齢および前後の女性に多く、女性に多い疾患である片頭痛も持っている方は片頭痛関連めまい(前庭性片頭痛)や更年期による自律神経によるふらつきなどが混在することもあります。
*2017年以降に国際的に統一された慢性機能性めまいのPPPDは、先行する通常のめまい疾患や、パニック発作・不安の平衡障害後、先行する疾患の病態が無くなり、3ヶ月以上ほとんど毎日持続する浮遊感・不安定感が生じる疾患です。先行するめまい疾患が混在していることもあります。先行するめまい疾患から3ヶ月以上経過して疾患が判断できるようになりますが、特異的検査がないため診断がつきにくく治療にも難渋する疾患です。
👉このようにめまい疾患は、反復するにつれ数週間~数ヶ月と時間経過ともに別のめまい疾患が併発し混在することが多くなります。
『複雑・混在するめまい疾患に対応するため、めまい相談医の役割』
日本めまい平衡医学会では2011年にめまい相談医制度を発足しています。
めまい臨床の専門的知識と高度の診療技術をもつ会員を対象に講習会と試験を受け合格者を認定する制度です。(鹿児島県では、現在7名:2026年6月1日)複雑極まりないめまい疾患に対応するには、『耳』『脳』『身体・心身』なのか判断できる総合的な臨床能力が必要になります。脳・身体・心身からの可能性の場合、該当する専門医や総合病院への紹介が必要になります。
睡眠時無呼吸症はなぜ起こる?
2026年6月1日から CPAP保険適応基準が、変更されました。
簡易睡眠検査(外来で器機借りて自宅で行う) AHI(睡眠1時間あたり無呼吸低呼吸指数)30以上で適応(以前40以上)
PSG(終夜睡眠ポリグラフ 1泊入院)AHI 15以上で適応(以前 20以上)
重症度判定は以前と同様です。 0-4 正常 5-14 軽症 15-29中等症 30以上重症
子供の場合、睡眠時無呼吸症(OSAS)が無いのは普通ですので、AHI 1 でも OSASと診断されます。
*睡眠時無呼吸症(OSAS)の治療・検査につては当院HP睡眠時無呼吸症
*CPAPマスク治療についての詳細は、当院院長コラム:睡眠時無呼吸症のマスクを参照して下さい。
『睡眠時無呼吸症(OSAS)を疑う症状』
▢ 毎晩、大きないびきをかく
▢ 睡眠中呼吸が止まると言われる
▢ 昼間いつも眠い
▢ 口を開けて寝る(特に小児)
『睡眠時無呼吸症で生じるが、あまり知られていない症状』
▢ 起床時の頭痛
▢ 夜間頻尿
▢ 元気がない
▢ うつ傾向
▢ 集中力がでない
▢ 朝の目覚めがわるい
▢ 寝汗
▢ 多動(小児)
▢ おねしょ(小児)
▢ 学習障害(小児)
▢ 発育障害(小児)
睡眠時無呼吸症の症状は多彩のため、うつ病、前立腺肥大、更年期障害、不眠症、頭痛持ち、発達障害、自律神経失調などとも間違えられることがあります。
👉 なぜ睡眠時無呼吸症(OSAS)が起こるのでしょうか?
① 肥満
② 鼻閉
③ 加齢
④ エストロゲンの低下(更年期以降)
⑤ 鎮静作用の薬剤やお酒
⑥ 子供のアデノイドや扁桃肥大
⑦ 小さい顎
など睡眠時無呼吸症は様々な原因で起こってきます。
① 肥満
誰もがご存知の肥満は、成人で最も多い原因です。特に皮下脂肪が関与します。
●3%ダイエット:
内臓脂肪型肥満は、3~6ヶ月で体重3%減らす、皮下脂肪型肥満は、6~12か月で体重の3~5%減らす目標達成すれば、また3%ダイエットを試みます。
●毎日体重測定:なぜ体重が増加したのか毎日考えます。
●リバウンド対策:
*筋肉は糖を取り込む作用がありエネルギーを多く消費するので、筋肉量を増やしながらできる運動を勧めます。
インターバル速歩, 自転車こぎ, 水中歩行など筋肉が落ちない運動を行います。
*急激な減量をしない事
極端な食事制限で大幅に体重を減らすと、脂肪だけでなく筋肉量が減ります。筋肉量が減ると消費エネルギー量が減り、糖質や脂質がたまりやすくなり、痩せにくくなります。
*糖質制限ダイエット
*地中海式ダイエット
*時間栄養学ダイエット
(お金をかけない肥満&健康対策:当院コラム)
② 鼻閉
小児の場合は鼻閉があれば、急に睡眠時無呼吸症(OSAS)が悪化します。すぐに治療が必要です。成人の場合、鼻閉そのもののOSASへの関与はありますが低く、CPAPマスク治療の弊害となりますのでCPAPマスク治療者は同時に鼻の治療を行います。
③ 加齢
加齢に伴いのど周囲筋肉がたるみOSASは悪化します。後期高齢者では中年の方のように命への危険性に関してのリスクはわかっていません。昼間の傾眠だけでなく元気がない、夜間頻尿などの症状を参考にCPAP治療を行うか判断します。OSASを認知症や老年期うつと間違えることもあります。
④ 女性のエストロゲンの低下(更年期以降)
睡眠時無呼吸症(OSAS)は性差医療です。若い方の罹患率は、女性は男性の1/5程度です。しかし更年期以降エストロゲンの低下により女性もOSASが悪化し60歳ごろから急に増加してきます。症状も典型的でなく疲れやすい、元気がない、朝の目覚めの悪さなど更年期障害や自律神経障害と勘違いするようなこともあります。女性の無呼吸は低呼吸のことが多く、夜間のいびき・無呼吸も穏やかに感じわかりにくいことがありますので注意しましょう。女性のCPAP普及率は低いのが現状ですので、60歳前後からの啓発が必要です。
⑤ 鎮静作用の薬剤やお酒
睡眠薬・精神薬服用でのど周囲の筋肉が弛緩していびき無呼吸が悪化します。お酒も同様の作用がありますので、飲み過ぎは注意が必要です。
⑥ 子供のアデノイドや扁桃肥大
子供のねむり 口呼吸 歯並び当院コラム
アデノイドは鼻の奥の上咽頭組織で通常の診察では確認できません。鼻から内視鏡が必要。
子供は、いびき・無呼吸・口呼吸だけなく、夜尿症、多動、学習障害、発育障害などにも注意して観察します。子供の場合、睡眠時無呼吸症(OSAS)が無いのが普通ですので、AHI 1<で、OSASと診断されます。
子供の場合、成人と違い肥満の関与は低く、2~3歳ごろから生理的に大きくなるアデノイドや扁桃が子供のOSASの原因です。風邪でアレルギー性鼻炎・鼻副鼻腔炎がひどくなると鼻閉が悪化して急にOSASが悪化します。すぐに耳鼻咽喉科で治療が必要です。治療しても改善が悪いときは、アデノイドや扁桃の切除術を考えなければなりません。耳鼻咽喉科では、レントゲンだけでなく電子スコープでアデノイドの大きさと表面の炎症を確認して治療をすすめます。子どもの場合、風邪をひかなくなる夏に、一時的のこともありますが改善することがあります。生理的にアデノイドは7歳以降少しずつ小さくなるので、保存的治療を頑張ってもらい手術を回避することも行います。
成人と違い、子供の場合、簡易検査の精度は低く、終夜監視睡眠無呼吸検査(精密検査)は、子供を行う検査施設は非常に少ないためビデオモニタリング(当院HP睡眠時無呼吸症を参照)や様々な症状とファイバーなどの局所所見で、子供のOSAS治療の第一選択である手術などの方針を総合的に決めることが一般的に行われます。
⑦ 小さい下顎
顎が小さく、うしろに後退した形状はOSASの原因です。現代人は、食べ物が軟らかくなり噛まなくなったため昔に較べ小顔となり下顎も小さくなったと考えられていますが、原因ははっきりしません。幼少時からの鼻閉・口呼吸も顎顔面発育に影響を与え、歯並びの悪化や顎が小さくなる原因と考えられていて将来のOSASの予備群となります。鼻閉と口呼吸の習慣を幼少時から改善させることはお子さんの将来にプラスになると思われます。
睡眠時無呼吸症のマスク(CPAP)
CPAPマスク治療の進歩
1970年代は、OSASの治療として気管に穴を開ける気管切開が行われていました。その後1980年代に外科的治療はせず、鼻から空気を入れのどを広げる掃除機を改良した機械のCPAP鼻マスク治療がオーストラリアで行われ気管切開と同等の効果が得られることがわかりました。その後マスク・機械・AIの進歩に伴い機械の小型化が進みAIで自己判断するオートCPAPが現在では主流になっています。同時にマスクの改良や種類が増え、より快適な睡眠のもとにCPAP治療が進化しています。以前は使用状況のデータをSDカードに入れて通院時に患者さんに持参してもらっていましたが、ここ1~2年で、オンラインで使用状況をクリニックから確認できるようになりました。
👉 機械を横に置きマスクを着け毎晩寝るため慣れずに継続できずに途中で中断する方もいます。以前うまくできず中断した方も、今の進歩したCPAP治療ではうまくいく可能性もありますので、再度検討してみてください。
肥満者だけが起こすわけでなく、肥満なしでも、小顔、顎が小さい、二重顎の方は起こす確率が上がります。小顔指向の若者や性ホルモンが減少する更年期以降の女性も注意しましょう。
OSASに最も効果が期待できるCPAPマスク治療
●症状の改善(昼間の傾眠、夜間頻尿、朝の頭痛)
●命を守る(脳梗塞、心房細動、心筋梗塞、高血圧などの予防)
の効果が期待できます。
一日4時間以上装用できることで、心疾患への効果が期待できます。
現在のOSASの治療
現在のOSASの治療で、第一は肥満の方は減量、CPAPマスク療法は効果が最も期待できる保存的対症療法です。ほかに顎を前に出すマウスピース治療(歯科的治療)が補助的治療と考えられています。大人の咽頭・扁桃の手術治療は再発が高く、扁桃肥大が顕著でなければ、現在推奨されなくなっています。大人の鼻の手術はCPAPの導入をしやすくするために行われることがあります。小児のOSASでは手術が第一の治療です。
詳しくは当院HP睡眠時無呼吸症を参照して下さい。
👉 様々なマスクの種類:ネーザル、ピロー、フルフェイス:
メーカー; フィリップ(米国) レスメド(オーストラリア) フィッシャー(ニュージーランド) など
◆鼻マスクタイプ(ネーザル)鼻を覆うマスク
最もよく使用されているマスクのタイプで、安定感あり, 横向き寝にも対応 鼻呼吸ができる人。頭部のヘッドギアを強く締めすぎるとマスクと鼻根部に跡が残ることがあります。
*AirFit N20(レスメド テイジン)
視界の制限をなくした小型ネーザルマスク(メガネ使用可能)です。最近、ネーザルマスクの中でも当院で最も使用されているタイプです。
*F&PネーザルマスクEson 2(Fisher&Paykel Healthcare)
確かな装着感とほどよい密着性を実現したマスク。
*ウイスプネーザルマスク(フィリップス):
ネーザルマスクとピローマスクのメリットを融合した新しいマスクで、前述の小型ネーザルマスクのレスメドAirFit N20と同じようなコンセプトです。
ウイスプネーザルマスク(テイジン フィリップス HP)
➡従来のネーザルマスク利点:フィット感、快適性
不利な点:接触面が大きく皮膚への刺激の可能性あり,視界を制限することがあります。
➡従来のピローマスクの利点:軽量、視界が広く接触面が小さい。
不利な点:空気の圧力に制限、鼻の入り口への直接的な不快感あり。
◆鼻内マスク(ピロー)
鼻の入り口に少しだけ差し込んで使用するマスクです。圧迫感が最もないタイプのマスクなので、マスクの締め付け感が辛い方にはおススメで、解放感がありますが、寝返りで外れやすいことがあります。メガネや読書との相性が良い。高圧設定であわない人がいる。使用感は慣れが必要です。鼻腔入り口の粘膜に少しあたりますので鼻前庭の炎症に注意が必要です。このタイプの選択は慎重に行います。
*P10 AirFitマスク(テイジン レスメド)
46gの軽量、高い静音性。
ピローサイズ:XS S M L
*ドリームWear(フィリップス):新しいデザインのピロータイプのネーザルマスク
ドリームウエアネーザルマスク(フィリップスHP)
鼻の入り口に横長の空気を通すフレームマスクを当てるタイプです。CPAPへの呼吸回路の接続ホース部が、前述の2タイプと違いマスクに接続せず、頭頂部になるため寝返りが打ちやすく、頭頂部からフレーム内に空気を通すことで、寝返りの際も呼吸回路と接続部が邪魔になりません。何もつけていないような解放感が得られメガネの装着や寝る前の読書も可能です。少しマスクがずれやすくリーク(漏れ)が多くなりがちなのが欠点です。
◆鼻口マスク(フルフェイス)
鼻と口覆うタイプのマスク、最初からこれを選択する人はいませんが、中にはフルフェイスがすごく良いという方もいますのでうまくいかない方は試す価値はあります。鼻閉などで口を開いてしまう(口呼吸)方が使うことが多くなります。乾燥感・圧上昇・空気漏れ・睡眠中の舌を押し込んで無呼吸を引き起こしてしまう等にディメリットがあります。これを選択する前に口を閉じる習慣を身に着けることが優先されます。また鼻が悪ければ耳鼻咽喉科受診をしましょう。
* F&P フルフェイスマスク( フィッシャー テイジン)
* F20 AirFitマスク(レスメド テイジン)
メガネ装着可能、より多くの人にフィットすることを目指したフルフェイスマスク。
*F30 AirFit マスク 最小接触面フルフェイスマスク(レスメド)
メガネ装着可能、マスク上方を短くし、鼻の背部への接触を軽減して快適性を向上させたもの。
マスク協力CPAPメーカー
TEIJIN
若い人にも稀ではない耳閉感・ふらつき
難聴と言えば高齢の方の加齢変化と思われる方が多いでしょう。
実は、乳幼児から高齢者まで耳閉感・難聴の病気は誰もが罹患する可能性があります。
若い人でも稀ではありません。
難聴には治る可能性が高い病気と、治すのが難しい病気が存在します。
【伝音性難聴】
治る可能性が高い難聴の疾患は外耳と中耳に病変がある伝音性難聴です。
*耳垢栓塞
*中耳炎
*鼓膜損傷・穿孔
*耳管機能障害(耳抜き不良など)
などが該当します。
中耳炎から内耳炎、内耳障害まで波及しなければめまい・ふらつきは出現しません。
【急性感音難聴】
内耳と聴神経・脳に原因がある場合、感音難聴と総称され治すのが難しい病気です。
めまい・ふらつきが、併発することもよくあります。
*突発性難聴
*急性低音障害型感音難聴(今回のテーマ)
*メニエール病
*音響外傷
*ムンプス難聴(おたふくと難聴:当院コラム)
*外リンパろう(診断が難しい)
*聴神経腫瘍(MRI必要)
*特発性両側性感音難聴
*若年発症型両側性感音難聴(難病指定:遺伝子の確認)
など多数存在し、突発性難聴、音響外傷、急性低音障害型感音難聴の急性期では回復の可能性があることもあります。
外リンパろう、聴神経腫瘍では手術が適応となる場合もあり、難聴が進行して回復しないときは補聴器を検討します。
【慢性感音難聴】には、
騒音性難聴、老人性難聴、先天性難聴があり薬で治すのが困難な疾患です。
補聴器、人工内耳などの適応を考えます。騒音性難聴やスマホ難聴は予防が肝心です。
☞☞ 若い人にも稀ではない耳閉感・難聴・ふらつきは、
耳閉感・難聴で、外来受診が多い疾患は、上記の耳垢・中耳炎などの伝音性難聴と
感音難聴では、若い20~40歳代にかけて多い急性低音障害型感音難聴です。
若年女性に多い病気です(女性は男性の2~3倍)。
『急性低音障害型感音難聴とは
』
発症頻度は人口10万人あたり40~60人と急性感音難聴を来す疾患の中で最も多いと考えられています。30代での発症が多く女性は男性の2~3倍です。
軽い場合は2~3日で改善することもあり病院受診しないこともあるため、実際はもっと多い印象です。
突発性難聴は40~70代で増加します。難聴を伴うメニエール病は30~50代に多く最近は高齢発症が増加していますので、若い人に多い急性感音難聴は急性低音障害型感音難聴が大半です。
◆症状:
低音域の難聴を特徴として、自覚症状は耳閉感が最も多く、耳鳴、難聴、自分の声が響くなどの症状を認め、通常めまいは認めませんが、軽いめまい感を訴える場合もあります。
原因は不明ですが、近年内リンパ水腫の関与が指摘されています。通常は一側性ですが両側のこともあります。
◆難聴の特徴として:
*短期的には予後良好例が多い
*長期的には反復、再発例が多い
*長期間経過していても回復する例がある
*自然治癒する例も少なくない
◆メニエール病・突発性難聴との鑑別:
病態としてメニエール病と同じ内リンパ水腫が想定され、その一部はメニエール病に移行します。急性低音障害型感音難聴の反復例は、めまいを伴わない蝸牛型メニエール病に該当します。めまいや眼振が確認されればメニエール病を疑います。急性低音障害型感音難聴は、軽いめまい感を訴える場合もあります
初期の低音障害型の突発性難聴との鑑別は、経過の中で中高音の聴力の変化で判断します。
◆治療:
ステロイド剤、浸透圧利尿剤(イソソルビド)、ATP、漢方(五苓散、当帰芍薬散・・)など使用します。
メニエール病はストレスとの関与が強く、急性低音障害型感音難聴も同様にストレス、不眠、疲労、自律神経や気象と関連することもあります。
台風と気象病(当院コラム)も参考にしてください。
参考資料
急性感音難聴 診療の手引き2018年版 日本聴覚医学会
お子さんのめまい・ふらつき・立ちくらみ
お子さんのめまい・ふらつきは成人に較べ非常に少なく、耳からのめまいは成人の1/100程度と考えられています。疾患が少ないため、医師の経験不足も認められる領域です。
お子さんは成長過程のため、小学高学年頃から思春期にかけて成長過程の症状でもある起立性調節障害によるめまい・ふらつき・立ちくらみが増えてきます。男性にも認めますが、特に女性は成人同様の貧血によるふらつきもこの頃からから多くなります。小さいお子さんの場合は、自分のことをご両親に伝えることが苦手のため診断を難しくしています。
今までの日本からの報告では、子供のめまい・ふらつきの原因で多いのは起立性調節障害(OD)と考えられていました。
海外の子供のめまい報告では、片頭痛関連めまい(VM)や小児反復性めまい(RVC)が多く報告されています(両疾患で約40%程度)。以前、日本では疾患概念として小児反復性めまい(RVC)や片頭痛関連めまい(前庭性片頭痛:VM))は医師の中でもなじみが薄い疾患でした。最近、この疾患概念が普及してきて日本でもVMやRVCが小児のめまいの原因として報告されるようになってきています。
VMは反復する難聴や音過敏もあり耳からのめまいとの鑑別を必要とします。起立性調節障害も頭痛が出現することも多く片頭痛との鑑別を難しくします。
海外の統計では頭部外傷によるめまいは3番目に多く、心因性めまい、前庭神経炎も比較的多く認めます。
稀ですが、小児のめまいの特徴として脳腫瘍、側頭葉てんかん、内耳奇形、ムンプスなどの感染によるものも認められます。原因不明が30%程度認めるようです。
ポイント!!
お子さんのめまい・ふらつきの原因は成長過程の貧血や起床時の低血圧・起立性調節障害(OD)だけではなく、将来片頭痛に移行することもある幼児期に多い小児反復性めまい(RVC Recurrent Vertigo of Chilidhood)や、学童期以降に多い片頭痛関連めまい(VM)が多いことがわかってきました。ODと片頭痛は併存する傾向があります。小児の片頭痛は成人と違い、後述の小児周期性症候群として現れることがあります。RVCとVMは今まで日本では医師の間でもなじみが薄い疾患概念です。
追記:片頭痛は子供に多いアレルギー性鼻炎と併存することも多く頭痛の原因が鼻からか片頭痛からか治療経過で見分けることも必要になります。
海外学童の有病率は、2.6%と高く、日本での報告少ない疾患です。疾患概念が医師に浸透していない可能性があり、最近、日本でも報告が増加しています。小児に特有な片頭痛の一つと考えられています。海外の報告では子供のめまいの約20%が、この良性発作性めまいによるものです。ぐるぐる回るような感覚や、回って倒れるような感覚を感じるめまいで、2〜4歳頃に発症することが多く、通常は成長とともに症状が消えます。原因はよくわかっていませんが、めまいの多くは数秒から数分しか続かず数時間持続は稀、めまいが起きていない間は特に異常は見られません。なお、良性発作性めまい患者の半分は家族に片頭痛持ちがおり、患者の一部は将来片頭痛を発症しています。
◆小児反復性めまいの診断基準( RVC)
➊前触れなく生じ,発現時の症状が最強で,意識 消失を伴うことなく数分~数時間で自然寛快する回転性めまい発作
❷下記の随伴症状・徴候のうち少なくとも1 項 目を満たす
- 眼振, 運動失調,3. 嘔吐,4. 顔面蒼白, 5. 恐怖
➊および❷を満たす発作が5回以上
❸発作が無いときは正常
回転性めまいを持つ年少児が,ぐるぐる回る 症状を説明することは難しいかも知れません。 発作的な落ち着きのなさが親によって観察される場合,これが年少児の回転性めまい発作を説明しうることがあります。
今まで、めまい患者さんが、頭痛を訴えても、脳卒中や脳腫瘍以外では、関連を疑うことは今まではあまりありませんでした。最近では、頭痛外来の片頭痛患者の半数以上に何らかのめまい症状があり、片頭痛とメニエール病の共存率も高いと知られています。前庭性片頭痛という疾患単位として診断基準が確立されたのは近年(ICDHβ3 2013年)のことです。片頭痛関連めまい(前庭性片頭痛)は、今まであまり知られていなかったため、難治性や原因不明のめまいの患者さんの中にかなりの割合で含まれていると考えられています。
学童以降、最近では子供のめまいの約20%がこの病気によって起きていると考えられてきました。発症しやすいのは12歳頃です。発症すると片頭痛とともに、日常生活に支障をきたすほどの回転するようなめまいや、ふらつきなどが現れます。前庭性片頭痛は特に前触れもなく症状が出ることもあれば、頭を動かしたり、目の疲れ、心理的なストレスなどがきっかけとなって症状が出ることもあります。めまいの持続時間は、短いと数分、長いと数日続くこともあり、場合によりまちまちです。
◆診断(成人)
*過去も含め片頭痛症状がある
*めまい前後に頭痛がある
*めまい症状は、自発性めまいや視覚刺激・頭部運動で誘発されるめまいや浮動感(回転性めまいが多いが、一部に浮動感あり)
*少なくとも5回のめまい発作で、5分~72時間持続
*めまい発作の少なくとも50%に1つ以上の片頭痛兆候(頭痛、光・音過敏、前兆)がある
*めまい発作時は、高度難聴はなく、耳鳴・耳閉感のあることは多い
◆生活で注意点と対策(成人)
*強い光、騒音、人混みを避ける
*寝過ぎ寝不足を避け、休日も普段通り
*ストレス回避
*ワイン、チーズ、アルコール、チョコは避ける
*赤系サングラスを選ぶ
*片頭痛発作時は、静かな暗い場所で安静または睡眠、冷たいタオルで痛む箇所を冷やします。
◆お子さんの場合、家族特に母親の片頭痛歴や乗り物酔いのしやすさは片頭痛の診断の助けになります。治療は成人と同様の薬が使えないことが多くあります。
国際頭痛分類第2版では,小児に特有な片頭痛として「 小児周期性症候群(片頭痛に移行することが多いもの)」が加えられています.小児周期性症候群には下記のものが含まれます.頭痛がなくとも,周期的に吐いたり,腹痛やめまいを起こす場合も片頭痛の仲間に入れられています.
*周期性嘔吐症(CV) 海外・国内共に報告が多い
過去1年に3回以上のエピソード、発作時以外は健康 嘔吐は1時間から数日持続。ストレス、感染、疲労、食事(チーズ・チョコなど)、生理などが誘因となります。夜間・早朝に発症、片頭痛の治療薬が効果を認めることが多くあります。小児5歳、成人35歳が発症の平均値で、成人にも発症します。軽症は2~5年で自然軽快します。
*腹部片頭痛(AM) 海外有病率1~4% 日本での報告少ない
CVと違い嘔吐は少なく、腹痛が主の症状です。発症は3~15歳で8歳が平均値です。大部分の小児は、将来片頭痛に移行します。1~72時間持続する腹痛(臍周囲、正中部または局在に乏しい)。発作時は悪心・嘔吐・食欲不振・顔面蒼白などあり。
*小児反復性めまい(RVC) 海外学童の有病率2.6% 日本での報告少ない、詳細は前述。
子供のめまいは起立性調節障害によって起きることもあります。この障害は自律神経の異常や水分の摂取不足などによって起き、めまい以外に朝起きにくくなったり、吐き気や倦怠感、動悸、頭痛、腹痛などを感じることがあります。10〜16歳頃に発症しやすく、小学生では約5%、中学生では約10%以上の子供が発症しています。
起立性調節障害の症状は、思春期には健常な子どもでも自覚することがしばしばあります。すべてを疾患として扱う必要はありませんが、生活に支障をきたしている場合は疾患として扱い、診察を受ける必要があります。
*起立直後性低血圧:起立直後に強い血圧低下および血圧回復の遅延を認める。ODの20%程度あり最も多く認めます。起立直後のめまい・ふらつき・立ちくらみ・頭痛が主な症状。
*体位性頻脈症候群:起立直後性低血圧の次に多い病態です。起立性低血圧をきたさずに頻脈だけが生ずることになります。頭痛・倦怠感が強くなるタイプです。起立3分以後 心拍数増加≧35/分または、心拍数≧115/分。
*遷延性起立性低血圧:起立3~10分経過して収縮期血圧15%以上または20mmHg以上低下。
*神経調節性失神:起立中突然の意識低下
起立直後性低血圧、体位性頻脈症候群、神経調節性失神の詳細な診断には、ヘッドアップティルト試験が必要です。
◆ヘッドアップティルト試験(youtube)動画で詳細な解説あり
*良性発作性頭位性めまい:成人では最も多い耳からのめまいです。小児では耳石の変性は少なく稀、外傷が関連することがあります。
*メニエール病とは、めまいと吐き気の発作が繰り返し起こる病気で、耳鳴りや難聴を伴うことも多くあります。30〜50歳頃にかかりやすいとされていますが、子供でも小学生ごろから発症することがありますが稀です。
*前庭神経炎:突然めまい症状が出現しめまいは数ヶ月に及ぶこともあります。耳鳴り難聴はありません。男性にやや多く,発症年齢は50 歳代に多い。上気道感染の先行する症例が多く、前庭神経節に潜伏感染している単純ヘルペスウイルス1型の再活性化により前庭神経炎が発症するとの説も提唱されていますが、抗ウイルス薬は前庭神経炎に対して効果がありません。海外の子供のめまいの報告では、BPV,VM,頭部外傷の次、4番目の多さとなっています。日本では子供の発症は稀です。
*乳幼児期:出生時に蓄えていた鉄は6ヶ月頃までに低くなり、鉄分の補給が必要、離乳食を開始し、鉄分を補給します。特に未熟児で生まれると鉄分の蓄えが少ないため、貧血はより強く出ます。離乳食がうまく進まなかったり、食べている食品中に含まれる鉄の量が少なかったりすると、鉄分の摂取が不足します。また、急激な発育・成長によって、今まで以上に鉄分が必要となることで鉄分が不足することがあります。加えて、過度の牛乳摂取による貧血が生じることもあります。
*思春期:体の急激な成長によって多くの鉄分が必要となりますが、このときの鉄分は通常の食事では賄いきれない場合が少なくありません。女子では生理によって血液が失われるため貧血を起こすことがあります。特に女子では過度のダイエットによる鉄分の摂取不足も貧血の原因になります。このほか、激しい運動によるスポーツ貧血(緩衝材入りの靴を履き予防)が起こることもあります。
参考資料
小児めまいの取り扱い:堀井 新 小児耳 2016; 37(3): 300‐304
小児のめまい:五島 史行 小児耳 2011; 32(3): 305‐309
子供のめまい:OD 田中 秀高 Equilibrium Res Vol.71(2) 53~60,2012
子供のめまい:五島 史行 脳と発達 2017;49 237‐42
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