吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

院長の健康情報コラム

お子さんの喘鳴(ぜんめい)は何タイプ?

2026-06-18

お薬飲んでも長引く咳・夜間の咳で眠れないなど症状が反復し、親御さんから喘息でしょうか?と質問を受けることはよくあります。

お子さんは風邪をひきやすく、成長過程であり、検査の協力を得られにくいので繰り返す喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー)という症状として経過を見ていく必要性を説明しています。

小さいお子さんの場合、喘息ではなくても風邪のウイルスや鼻・副鼻腔炎や鼻炎の後鼻漏、哺乳・食事摂取後の咳・嘔吐などから喘鳴(ぜんめい)が聴取されることはよくあります。

アトピー性皮膚炎、乾燥肌、両親の喘息の家族歴、ダニ抗体陽性や喘鳴の回数の上昇(1週間の間隔をあけて呼気性喘鳴3回以上)、β刺激薬吸入に反応良好などから、喘息の可能性が高くなっていきます。吸気性喘鳴の代表はクループです。

 

 病型分類フェノタイプ)について

気管支喘息患者さんを、症状や病態生理の特徴から分類すると、病因の解明、見通しの予測、焦点を絞った適切な治療を行いやすくなります。

この分類をフェノタイプ(phenotype: 表現型 病型分類)と言います。

 

乳幼児期は検査の協力が得られず、小児期の呼吸器系は、解剖・生理で変化し、風邪をひきやすく免疫機能も大きく変化する時期のため、喘息(ぜんそく)の診断は難しく、喘息とは言わず反復する症状としての喘鳴(ぜんめい)と呼び分類した方がわかりやすくなります。

👉 今回は反復喘鳴(ゼーゼー)・喘息:乳児期・学童思春期での病型分類(フェノタイプ)の話です。

反復しない基本的に1回だけの急性喘鳴はRSウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどによる急性細気管支炎・肺炎・気管支炎による喘鳴の鑑別が必要です(迅速キット検査あり)、生後3ヶ月未満では無呼吸発作のこともあります。稀ですがピーナッツなどの気道異物も喘鳴の原因となります。大きく以下の二つに分けて考えます。

1)乳幼児期 反復呼気喘鳴(ぜんめい)のフェノタイプ

(乳幼児期のフェノタイプはタイプ間で移行することがあります、喘息の診断はつきにくく喘鳴:ぜんめい としてフォロー

① 一過性初期喘鳴群(2~3歳までに改善

② 非アトピー型喘鳴群学童前半までにかなり改善するも一部は学童期喘息へ移行)

③ IgE関連喘鳴/喘息群学童後も持続し 本当の喘息へ

 

 IgE関連喘息(アレルゲン誘発性喘息・アトピー型喘息)

学童期以降のアトピー型喘息へ移行することが多いため、気流制限・リモデリング予防のため早期から治療が必要です。

診断に有用な所見

両親喘息

アトピー性皮膚炎

ダニ等吸入アレルゲン陽性

風邪をひいてないときの呼気性喘鳴 など

ライノウイルスやRSウイルスの気管支炎の罹患は、気道上皮障害をおこしアレルゲンの感作が生じて喘息発症のリスクが高まります。

治療:吸入ステロイド(フルタイド、アドエアー、パルミコート、小児レルベア、フルティフォームなど)

 

 非IgE関連喘息(風邪ウイルス誘発性喘息、他の誘因タバコ、冷気など)

この一部は、学童期までにアトピー型喘息または非アトピー型喘息移行します。

治療:抗ロイコトリエン薬など

2)学童思春期 喘息(ぜんそく)のフェノタイプ

(成人分類に近い状態になる,検査ができる年齢のため喘息の診断がつきやすい

アトピー型喘息が80~90%と最も多い

 

アトピー型喘息が80~90%と多いが、非アトピー型喘息もあります。

アスリートや運動部に所属する場合、運動誘発喘息が問題になります。

鼻・副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの耳鼻咽喉科疾患が、幼児から学童・思春期では悪化因子として多く認めます。

肥満が喘息難治化要因となります。

体育や運動の課外活動が、運動誘発喘息の原因となりますが、認識不足のため気づいていないこともあります。

低肺機能を伴う喘息や小児発症の重症喘息は成人でCOPDのリスクになります。

早期発症で気流制限を伴い、ダニ以外にも様々なアレルゲンを持つアトピー型喘息は難治化します。

治療:

ダニ回避などの環境整備

フルタイド、アドエアー、小児レルベア、フルティフォームなどの吸入ステロイド、抗ロイコトリエン薬、ステロイド点鼻

免疫療法:ダニ・スギの舌下免疫療法など(ダニ舌下免疫療法は喘息の保険適応はありませんが、喘息にも効果が報告されています)

肥満児は減量、食事指導

運動誘発喘息は、十分な準備運動、抗ロイコトリエン薬やステロイド吸入などの喘息管理

心理的、経済的要因も悪化因子となります。

 

 難治化の盲点として

ステロイド吸入の仕方の誤りは多く認めます。吸入方法については医師、看護師、薬剤師など積極的に確認して下さい。

学童から思春期にかけて親の言う通りに服薬や吸入をしなくなる場合です。

 

 

意識しないとわからない嗅覚障害:sniff & smell コロナ&感冒後

2026-06-18

健康で幸せな生活が送るためには、自分の健康に関心を持ちことから始まります。

生活習慣病や癌は、自分では知らずに少しずつ進行するため検診や人間ドックを定期的に受けて確認する必要性があります。中年近くになるにつれ自分の健康に関心を持つようになり、定期的に検査を受けてみようと考える人が増えてきます。

においを感じることができなくなる嗅覚障害は,その先の豊かな生活や人生の選択肢を奪ってしまうこともありますが、生活習慣病、癌、脳血管疾患に比べると、主婦、料理人の一部の人を除き関心がもたれることが少なかった領域です。

 

子どもでは、匂いがしない訴えを自ら発することは少なく気づかれていないことがあります。

高齢者では、フレイル(虚弱 筋力低下)、食欲低下、うつ傾向の原因として嗅覚障害が見落とされていることもあります。

米国の報告では、65歳以上の検査による報告50%以上に嗅覚障害を認めた報告がありますが、同国のアンケート調査では、65歳以上で数%の嗅覚障害の報告です。つまり、多くの高齢者は、自分に嗅覚障害がある事に気づいていない可能性があります。

日本でも男女ともに50歳代から徐々に嗅覚が低下し,その後年代が進むに連れてその低下度が大きくなることを報告されています。

コロナ禍となり、後遺症として関心を集め、嗅覚障害が急に意識されるようになっています。

 

嗅覚障害のメカニズムと治療可能な障害は

治療可能な嗅覚障害は、二種類に分けられ、

鼻の通気障害に対する治療(気導性)と、

嗅粘膜の嗅細胞再生(嗅神経性)に対する治療です。

鼻の通気には鼻の前方からと、風味と関係する鼻の後方から通気が重要になります。

気導性

花粉症、アレルギー性鼻炎、鼻風邪、副鼻腔炎などの鼻の通気障害の治療は、鼻粘膜腫脹が改善すればよくなるため、薬の使用または鼻風邪・副鼻腔炎が自然に改善しても数週間以内に匂いが戻ります。鼻ポリープや副鼻腔の炎症が強く閉塞が強い時は、長期に治療を要し手術加療が必要になることもあります。一部には嗅神経性の要素が混ざっていることもあり治療が難しくなることもあります。

嗅神経性

嗅粘膜の嗅神経へ影響する感冒後嗅覚障害新型コロナ後の嗅覚障害は、嗅細胞再生が必要になるため、数ヶ月から数年以上かかり、中には改善しないこともあります。加齢性・外傷性の嗅覚障害は、改善は難しくなりますが、一部の方は回復可能な嗅神経障害の要素は入っていることもあり、治療を試す価値はあります。中枢性の要素が大きいと改善は難しいでしょう。この嗅神経嗅覚障害の改善目的に嗅覚刺激法は世界的に注目されています。

認知症やパーキンソン病関連の中枢性嗅覚障害などは、中枢疾患の早期診断として注目されていますが、現時点では、治療対象ではありません加齢性は、嗅細胞の減少と中枢性の両方の関与が考えられますので、嗅細胞の減少に対しては治療可能となります。

風味と新型コロナについて

食事の風味は嗅覚が7割、味覚は3割といわれており、呼気(呼吸ではく息)によってにおいが鼻の後ろから運ばれて嗅粘膜を通ります。このように、鼻の後方からの空気の流れ方は、におう・味わう という動作において重要な意味を持ち、食欲とも関連(後鼻嗅覚)しています。

食べ物や飲み物を口に入れた際に感じる香り味わい風味です。

風味は特有の味わいに香りを含めたものです。ワインを例えると口の中に広がる香りで、口の中から鼻に抜けていく香りをイメージしてみましょう。ハーブやスパイスで、食べ物に風味を加えることも可能です。このように、鼻の後方からの空気の流れが 風味、嗅覚、味わいに重要な要素です。鼻を摘んで比べて食べると風味、味わいのことがよくわかります。

新型コロナの味覚障害の60~70%程度は、風味障害と報告されています。

50代の中年女性に多い感冒後嗅覚障害より、30代に多い新型コロナ後の嗅覚障害の方が、同じ嗅神経性嗅覚障害ですが、はるかに回復は早いと報告されています。

新型コロナ9割程度は半年以内に回復しています。大半は数ヶ月以内の回復が多い

感冒後嗅覚障害軽症では半年程度で回復することもありますが、中~高度の障害では数年以上、3年で60%程度の回復の報告があり。若年者の方が高齢者より回復が早い報告があります。

現在の新型コロナに対する治療は、以前からある感冒後嗅覚障害への治療が応用されています。

子供の嗅覚障害

子どもは、匂いがしない訴えを自分から発することは少なく気づかれにくい。

大学嗅覚味覚専門外来:子供の受診はわずか(産業医大:嗅覚味覚外来報告)

患者比率では子供はほとんどいない

嗅覚障害は50歳ごろから多くなり、特に女性が多い。味覚より嗅覚障害の方が女性の割合が多くなる。10~20代は、嗅覚障害の女性が少し増加するが10歳未満受診は全体の中ではわずかである。

嗅覚障害の原因比率:嗅覚障害の原因疾患は子供の鼻の病気に多い (産業医大)

副鼻腔炎21% アレルギー性鼻炎 7%(気導性)  感冒後35%(嗅神経)頭部外傷性9%(一部嗅神経性) 不明22% 認知症1% 先天性2% アルツハイマー パーキンソンなど

幼稚園・学童のこどもに多い、風邪、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎による嗅覚障害は多くの子供も罹患しているはずです。子供の場合、嗅覚の訴えで病院を受診するほど困ってないか、自ら匂わないと訴えることが少ないため、親も含め嗅覚障害に気づいていない可能性があります。

子供の風邪や副鼻腔炎は繰り返すが、大多数は回復も早く、10歳以降は、風邪や副鼻腔炎は、起こしにくくなります。アレルギー性鼻炎は大人まで持続しますが、大多数は薬でコントロール可能ですので、持続的な嗅覚障害は、少ないのかもしれません。

子供の嗅覚障害で注意すべきは、稀な先天性嗅覚障害

先天性嗅覚障害の診断においては問診における生来においを 感じないとの訴えが重要。また先天性嗅覚脱失症例は臭いに対する概念がなく,自身の嗅覚症状に気付くのが容易でなく、そのため発見が遅れる場合も珍しくありません。

よく知られたKallmann症候群は中枢性性腺機能低下症と嗅覚異常を中核症状とする先天性疾患で,男性では停留精巣,小陰茎,二次性徴の欠如,女性では思春期遅発症,二次性徴の欠如がみられる。その発症頻度は,出生男子の 1万人に1人,出生女子の5万人に1人とされているようです。

性腺機能異常を伴う先天性嗅覚障害の診断は比較的容易ですが,性腺機能異常を伴わない場合では 幼少時の副鼻腔炎,頭部外傷等の後天的要因による嗅覚障害を否定することは難しく,先天性嗅覚障害 の診断は容易ではありません。MRIにて嗅球,嗅索,嗅溝の低形成あるいは無形成を確認します。2次成長が認められない場合は,ホルモン補充 療法が必要です。

新型コロナと嗅覚障害

新型コロナウイルス感染症(COVID―19)患者の多くが嗅覚障害の自覚症状を有するため,嗅覚障害の診断と治療の重要性がクローズアップされてきました。以前のデルタなどの比べオミクロンは嗅覚・味覚障害の訴えは減少していますが、無くなってはいません。

新型コロナによる発生メカニズムもわかってきました。嗅粘膜上皮においては ACE2 受容体と TMPRSS2 の発現を認めるのは、におい分子と結合する成熟嗅細胞ではなく,主に支持細胞 。COVID―19 感染では鼻腔の嗅裂粘膜の明らかな腫脹を認めない場合、嗅粘膜上皮の支持細胞障害により二次性に嗅細胞が減少し嗅神経性嗅覚障害を合併している可能性が考えられます。

新型コロナの嗅覚障害では、嗅神経性で治りにくい印象ありましたが、オミクロンでは副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎の合併での嗅覚障害も多く認め治療で数週間以内に回復することも多くあります。嗅神経性の要素が強い方は症状は持続しています。今までの報告では数ヶ月以内の回復が多く、6ヶ月以上持続する方は少ないと考られれていますが、一部の方は長期に持続しますので、従来からある感冒後嗅覚障害に準じる治療漢方や嗅覚刺激法適応されます。

 

匂いがしないと何が困る

食品腐敗に気づかない

危険なガス漏れ、火事になる煙に気づかない

食事がまずく、食べ物、植物の香りがわからず豊かな生活が送れない

調理の味付けができない、塩分・糖分の過剰摂取の恐れ

嗅覚・食欲低下から高齢者はフレイル、筋力低下、うつ傾向になる可能性

子供さんは、食育教育で本来の嗅覚味覚がわからないまま行われる可能性

食育について

食育と嗅覚・味覚:

食育とは食事をめぐる教育のこと。 食に関する正しい知識・適切な食習慣を子どものうちから身につけることです。生活習慣病・肥満を予防するため、よく噛むこと、不規則な食事は控え、バランス良い食事をとる。食物アレルギー教育。学校給食での地場産物の活用、米飯給食の充実。食文化の継承など掲げられています。

学校での食育のプログラムに、子供の嗅覚・味覚は問題ないのかの視点の記載は見かけないようです。

👉 嗅ぐ習慣の必要性 sniff & smell

犬はヒトの5000~1億倍嗅覚が優れているといわれています。散歩中は、いつも地面を嗅いでいます。これは犬の情報収集と好奇心のためのようです。

我々も犬までとはいかなくても、毎日の生活の中でもっと嗅ぐ(sniff)習慣を身に着けるとことで嗅覚障害の回復に役立つことがわかってきました。

嗅覚刺激法(olfactory training)について

 

以下のYoutube を参考にしてみてください。レモン、ローズ、ユーカリ、クローブを、毎日朝夕嗅ぎ、3ヶ月以上行います。

1)日本耳鼻咽喉科学会 嗅覚刺激法

2)Fauquier ENT 嗅覚トレーニング実際

市販の精油を直接嗅ぐのは刺激が強いので、市販の精油(レモン、ローズ、ユーカリ、クローブ)を使い水彩紙と褐色瓶を利用した方法をわかりやすく説明しています。水彩紙の代わりのコットンで代用できます 。

3)生活の木:嗅覚トレーニング

馴染みのある、特色ある異なる香りを嗅ぐことが大事です。

基本的な現在世界的に行われている嗅覚刺激法を参考にすれば、柑橘系、花の香り、木の香りなどの香りのアロマなど選ぶとよいと思われます。

 

海外の報告では、週3回汗をかくような運動も嗅覚障害の予防に役立つようです。

においを楽しむ対策

鼻の病気にならないようにする

意識してにおいを嗅ぐ習慣を

定期的な運動

タバコは止める

料理の盛り付けの色合いなど工夫してにおいを意識すること

 

 

よくわかる子供の漢方:中耳炎・鼻・のど・せき

2026-06-17

 

薬剤耐性菌について:薬剤耐性対策アクションプラン(AMR)と有害事象
抗生剤の不適正使用による薬剤耐性菌の増加とそれに伴う感染症の増加が、国際社会の大きな課題の一つに挙げられています。不適正な抗生剤使用に対して対策が講じられなければ、2050年には全世界で年間1000万人が、薬剤耐性菌により死亡することが推測されています。2016年4月日本では薬剤耐性対策アクションプラン(AMR)が策定されました。

抗生剤には、効率に有害事象や副作用が存在します。子供さんによく使われるセフェム系抗生剤の副作用は皮疹1~3%、下痢1~19%、アナフィラキシー0.01%と決して安全とは言えません。
普通の風邪には抗生剤は必要ありません。

 

抗生剤の適応漢方でサポート
子どもの感染症で、患者数が多く抗生剤を頻回に使用するのは、耳、鼻、のど、呼吸器の急性気道感染症と急性下痢で、特に風邪症状の耳痛・鼻水・咽頭痛・咳・発熱に対して抗生剤を最小限にすることは耐性菌対策に最も有効です。

中耳炎の軽症例は経過観察を優先し、成人軽症の鼻・副鼻腔炎、小児の鼻・副鼻腔炎、小児の溶連菌以外の咽頭炎、小児のマイコプラズマや小児と成人の百日咳以外の気管支炎は、抗生剤を使わないで経過をみていくことが推奨されています。

膿性の鼻汁や痰では、ウイルスと細菌感染の区別は出来ません。

特定の症状所見で、迅速検査にて陽性反応があれば方針がつきやすくなりますが、陰性の場合や不特定の症状所見では、重症でない限り初期の段階では、ウイルスと細菌感染の見極めは、わからないことが殆どです。初期で、細菌感染やインフルエンザかわからない時期には、風邪薬や解熱鎮痛剤が通常使用され、その個人の病歴や基礎疾患によっては抗生剤が使用されます。

皆さんご存知の葛根湯は、ゾクゾクとした風邪の初期や発熱に使用されます。
漢方薬を使用することで、副作用は少なく西洋の風邪薬以上の効果が期待できることも経験します

本来、3歳以上では、中耳炎・鼻副鼻腔炎・気管支炎は数週間で自然治癒することが多い疾患ですので、細菌感染が疑われても、慎重な経過観察を行い急な悪化(抗生剤の必要性など)に備えながら経過を見ることが勧められます。漢方は、その自然治癒力のサポートとしての位置づけと考えましょう。

肺炎球菌・ヒブ・インフルエンザワクチンなどを接種して予防することで中耳炎や感染症の軽症化が期待でき、自然治癒力を高めます。

中耳炎・鼻・のど・呼吸器への漢方薬のメリット

抗生剤・抗インフルエンザ薬は、細菌・ウイルスに対して作用し耐性を生じますが、漢方は患者さんの生体に作用し、生体反応の調整で、ゆっくりのこともありますが、作用を発揮するので耐性を生じません
耐性菌や副作用を生じやすい抗生剤使用回数最小限に抑える可能性
病気になり易い虚弱児には、反復する感染を最小限に抑える。
(扁桃炎、副鼻腔炎、中耳炎、気管支炎、喘息、嘔吐・胃腸炎など)
確立された西洋医学的治療との併用での相乗・相加効果
ステロイド以外では西洋薬の治療で対応が難しい炎症への対応が、マイルドな効果だが可能。

子どもの感染症への漢方使用の特徴
子どもは実証で抗病反応が強く、水毒体質です。消化機能が弱く(脾気虚)、呼吸器症状が出やすく(肺気虚)、口腔・扁桃から気管・肺にかけての漢方でいう半表半裏に症状を多く認めます。幼児から10歳ごろまでは、頸部リンパ腺体質柴胡清肝湯の適応)になり易い特徴があります。生薬では子供は麻黄剤に強く、嘔吐・下痢など頻回な罹患のため五苓散など水をさばく方剤を用い、半表半裏少陽病期(こじれた風邪の時期)によく使う柴胡剤の適応が多くなります。中耳炎

中耳炎
急性中耳炎

軽症では最初3日間は抗生剤を使用せず経過観察。中等症は抗生剤、重度は抗生剤と鼓膜切開 担当医師により対応が異なることがあります。

遷延性中耳炎 耳痛・発熱はなく、急性中耳炎と同様の鼓膜所見が3週間以上持続

耳痛・発熱なく睡眠もとれ機嫌もよければ、抗生剤を使用せず経過観察、補完療法として葛根湯、葛根湯加川きゅう辛夷、柴胡剤、補中益気湯、建中湯類など 再発・再燃を慎重に観察しながら対応 

反復性急性中耳炎:急性悪化時は、その都度 治療
反復する中耳炎漢方薬で再発を抑制
十全大補湯:これは西洋医学的エビデンスあり、他には補中益気湯、建中湯類など使用します。
IgG2低下で免疫グロブリンの適応や鼓膜チューブ挿入を考えます。
鼻吸い、鼻洗、鼻かみも治療の選択肢です。

滲出性中耳炎:

3ヶ月以上遷延し40dB以上の難聴の場合や、鼓膜接着が強く病的鼓膜の時は、鼓膜チューブ挿入、
発症3ヶ月を目安に、アレルギー性鼻炎や鼻副鼻腔炎の治療します。

柴胡剤、柴苓湯、五苓散、小青竜湯、葛根湯加川きゅう辛夷、柴胡清肝湯、荊芥連翹湯など使用。
西洋薬の内服では明らかなエビデンスがある薬はなく、日本ではカルボシステインの内服が保険適応あり。
鼻副鼻腔炎合併では鼻の治療とマクロライド療法、アレルギー性鼻炎では点鼻ステロイドや抗アレルギー薬使用します。

慢性中耳炎:抗生剤や点耳で加療、一定年齢での手術加療を考え、合併する鼻副鼻腔炎の加療を行います。
漢方は補完療法として使用、葛根湯加川きゅう辛夷、補中益気湯、建中湯類、
十味敗毒湯、排膿散及湯、柴胡剤、柴胡清肝湯、荊芥連翹湯など使用します。

鼻・副鼻腔炎

急性期:

10日以上持続する鼻汁・後鼻漏と日中の咳

3日以上持続する39度以上の発熱と膿性鼻汁

感冒に引き続き、一週間後の再度の発熱や日中の咳・鼻汁の悪化

小児の鼻・副鼻腔炎への抗生剤の適応

当初の鼻・副鼻腔炎の鼻症状に対して、自宅鼻洗や鼻かみ指導、抗生剤を使わない西洋薬による対症療法および漢方による対応を考えていきます。

熱性(濃い鼻水、頭痛):辛夷清肺湯、五虎湯、麻杏甘石湯 子供の感染症・免疫力に

寒性(薄い鼻水、悪寒やゾクゾク感):鼻閉と白い粘性鼻汁、後頭部痛は葛根湯、葛根湯加川きゅう辛夷、膿性鼻汁と発熱、顔面紅潮あれば黄連解毒湯を併用、眼の充血や鼻粘膜発赤や口渇、咽頭痛あれば桔梗石膏を併用、水様鼻汁は小青竜湯、胃弱には苓甘姜味辛夏仁湯

寒熱中間は、葛根湯加川きゅう辛夷辛夷清肺湯または小柴胡湯加桔梗石膏を併用。

乳幼児の鼻閉には麻黄湯の屯用

慢性期:内熱(口渇、乾燥感が強い)に変化 脾虚が出現
辛夷清肺湯、またはこれに粘性が強いとき麦門冬湯を追加。
排膿を期待すれば排膿散及湯を併用、皮膚症状あれば、荊芥連翹湯
薄い鼻汁が多いときは半夏白朮天麻湯苓桂朮甘湯を併用。鼻閉と手が冷え、抑うつには四逆散。痰湿の後鼻漏には、小半夏加茯苓湯

肺脾気虚(呼吸器や消化器が弱い)では、建中湯類補中益気湯、十全大補湯、六君子湯を使用または辛夷清肺湯荊芥連翹に併用。胃弱と鼻閉には補中益気湯または六君子湯香蘇散を併用。冷えて悪化して、なかなかよくならない場合は桂枝湯麻黄附子細辛湯を併用。

アレルギー性副鼻腔炎には、辛夷清肺湯黄耆建中湯を併用

アレルギー性鼻炎
寒性(悪寒やゾクゾク感、冷え性)では小青竜湯、寒冷刺激で悪化あれば麻黄附子細辛湯、冷えや症状が強ければ小青竜湯麻黄附子細辛湯の併用。

胃弱には麻黄附子細辛湯と六君子湯を併用、風邪を引き易く水様鼻汁は苓甘姜味辛夏仁湯当院のアレルギーの対応についてまたは補中益気湯と併用。
頭痛粘性鼻汁・鼻閉あれば葛根湯加川きゅう辛夷、咳や花粉症で症状が強いときは五虎湯小青竜湯の併用。

花粉症とアレルギー性結膜炎の合併には、越婢加朮湯、花粉症後の4~5月頃で内熱(口渇、乾燥感が強い)が強いとき、荊芥連翹湯竜胆しゃ肝湯、効果悪ければ五虎湯を併用。

体質改善(本治)として建中湯類補中益気湯を使用します。冷えが強ければ人参湯を使用。花粉症では緩解期に使用して腸内フローラを整えます。血虚・水毒(むくみ易い)、生理不順あれば当帰芍薬散補中益気湯を併用。

 

咽頭・扁桃炎

急性期:
傷寒(悪寒、ゾクゾクあり)
太陽病期(頭痛、発熱、悪寒あり)であれば、のどチクには桂麻各半湯口渇には桂枝二越婢一湯桂枝湯越婢加朮湯の合方)、肩こりあれば葛根湯のどチクで、冷えが強いとき少陰病期麻黄附子細辛湯
上記に咽頭痛が強くなれば桔梗湯、口渇あれば桔梗石膏を追加、強い咽頭痛、咳・痰が出現すれば小柴胡湯加桔梗石膏追加。
溶連菌感染や扁桃周囲膿瘍を疑えば積極的に抗生剤を併用。

小柴胡湯加桔梗石膏や桔梗湯、桔梗石膏は暑いお湯に溶かして冷ましながらゆっくり含んで飲むと効果を高めます。ゆっくり含みながら服用するときは、オブラートは用いません。

単独の扁桃炎には桔梗湯や炎症が強ければ小柴胡湯加桔梗石膏、化膿が強ければ排膿散及湯併用します。

慢性・反復:
鼻副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎による口呼吸があれば鼻の治療を積極的に対応します。
柴胡清肝湯をベースに、悪化時には小柴胡湯加桔梗石膏追加、副鼻腔炎合併時は辛夷清肺湯または葛根湯加川きゅう辛夷を追加、
食が細く腹診でくすぐったがり腹部緊張が強ければ建中湯類を使用。
扁桃肥大や頸部リンパ腺の炎症を反復すれば、苦いが柴胡清肝湯が望ましい。
胃弱の時は、柴胡清肝湯六君子湯を併用します。

温病(悪寒なし):
悪寒はほとんどなく咽頭痛が強く梅雨から夏にかけて悪化するときは、傷寒ではなく温病の考え方で市販薬の銀しょう散、医療用エキス剤では代替として清上防風湯、口渇あれば小柴胡湯加桔梗石膏を使用します

👉反復性扁桃炎の新たな展開
PFAPA症候群
(periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and adenitis症候群)
5歳以下に出現する扁桃炎、口内炎、頸部リンパ節炎の一つ以上を伴いながら発熱を反復する疾患。
特異的治療なし 治療は発熱時のステロイド投与とシメチジン 予防に扁桃摘出術。
小柴胡湯黄耆建中湯の併用で効果を認める報告がある。

気管支炎
一次的な発熱やゼーゼーが無く咳・痰のみの症状が出現し、肺炎との鑑別が
重要となります。
漢方は病名に対しての治療ではなく漢方的病態(証)による治療を行いますので、
治療は下記の喘息の要領とほとんど変わりません
成人の咳・痰については、よくわかる風邪の漢方を参照してください。

痰の性状によって

粘膿性:五虎湯、麻杏甘石湯

水溶性:小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯、麻黄附子細辛湯

乾性:麦門冬湯、ストレス・自律神経失調あれば四逆散併用

副鼻腔炎合併気管支炎(後鼻漏を含む)
 小柴胡湯または竹じょ温胆湯に、鼻・副鼻腔炎で使用する葛根湯加川きゅう辛夷辛夷清肺湯など併用。

気管支拡張症には、小柴胡湯清肺湯を併用。

胃食道逆流症合併気管支炎
肥満対策と食事生活指導
六君子湯と茯苓飲半夏厚朴湯、半夏瀉心湯など併用

喘息咳
漢方薬は、補完的に行われます

鼻副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎あればone way one diseaseとして鼻を積極的に治療します。鼻と秋の喘息を参照して下さい。

急性期:
熱性(口渇、黄色粘性痰、顔面・舌・咽頭発赤など)
麻杏甘石湯、越婢加朮湯、五虎湯に咳が強ければ半夏厚朴湯合方、
痰が多く胃弱者は二陳湯六君子湯を合方。
痰の切れが悪い乾性の咳の時は麦門冬湯を合方、発作と緩解期の両者を兼ねて小柴胡湯を合方します。
寒性(くしゃみ、透明な鼻汁や痰、冷えると悪化、青白い顔など)
小青竜湯に、必要によっては上記熱性と同様に他剤を併用
冷えが強ければ苓甘姜味辛夏仁湯や生理が始まっていれば当帰芍薬散を追加
寒熱中間(夾雑)
水様鼻汁、粘性痰、口渇、顔色は青白いなどの時は、五虎湯と小青竜湯を半分ずつ混合
肝うつ(ストレスの関与)
神秘、必要によっては半夏厚朴湯の合方、

気管支痙攣を想定すれば、建中湯類芍薬甘草湯

緩解期:脾虚以外、体質改善も兼ねて柴胡剤の適応が多い
肺気虚(易感冒 易疲労 疲労で悪化)
補中益気湯、胃弱でなく皮膚が乾燥傾向あれば人参養栄湯
脾気虚(食が細い、食欲低下、食後の痰が多い)
六君子湯または六君子湯半夏厚朴湯の合方、茯苓飲半夏厚朴湯
食が細く腹痛下痢など反復すれば建中湯類、冷えが強ければ人参湯
肝うつや少陽病期(遷延するのど呼吸器症状)
柴朴湯、腹痛や関節痛あれば柴胡桂枝湯や虚弱者では補中益気湯半夏厚朴湯の合方、遷延する粘性痰や発作性の咳には柴胡桂枝湯小柴胡湯麦門冬湯を併用。
少陽病期(鼻副鼻腔炎や扁桃炎を反復)
学童まで柴胡清肝湯、思春期以降は荊芥連翹湯
お血(生理不順など)
当帰芍薬散

臨床では、症状経過に沿いながら
急性期の漢方急性期緩解期の漢方併用緩解期の漢方へと変更していきます。

急性期で頻回に使用する麻黄含有製剤(越婢加朮湯、小青竜湯、麻杏甘石湯、五虎湯、神秘湯など)とβ2刺激剤(メプチンやホクナリンなど)やキサンチン製剤(テオドールなど)
との併用は、動悸・震えや不眠など交感神経興奮作用が強く出るため、十分注意を払う必要です。

 

 

あなたの喘息は何タイプ?成人編

2026-06-17

長引く咳は、医療機関受診動機として最も頻度が高く、近年は、アレルギーや生活習慣に関連した咳が増加しています。3週間以上持続する長引く咳の半数以上は、咳喘息が占めています。

最近は、咳喘息の認識が高くなり、少し咳が長引いているだけで、喘息吸入治療薬がすぐに処方される傾向にあります。処方前の検討が十分でなく発症3週未満にステロイド吸入の治療をすると、咳喘息以外の病気にも効果があるため、咳喘息の診断を難しくすることが懸念されています。

喘息を疑う病歴・家族歴・検査結果、強制呼気喘鳴の聴取や気管支拡張薬吸入の効果があれば喘息または咳喘息の可能性が高くなります。喘息の有病率は、成人は5%程度、小児ではもっと多く、男児は女児の1.5倍、成人は女性のほうが男性より少し多く認めます。

喘息とは何か

 気道可逆性; 医学的に喘息とは気道の慢性炎症が存在して、気道狭窄症状が良くなったり悪くなったりすること。

 反復する自覚症状; ゼーゼー・息切れ・咳・息苦しさなどの症状が変化する病気です。夜間や早朝に増悪する傾向があります。

 非特異的気道過敏性; 症状が感冒,運動,ダニなどアレルゲン曝露,天候の変化,笑い,大気汚染,硫黄など強い臭気 などで誘発されることが多く認めます。

喘息とは、上記➊ ❷ ❸を特徴とします。

 

喘息は症状群!!

喘息の病像はバラエテイーに富んでいて、一つの病気と言うより症候群としてとらえ、喘息を類似した気道・肺の病気の集まりと考えます。

症状や病態生理の特徴から分類すると(フェノタイプ:病型分類)、病因の解明、見通しの予測、焦点を絞った適切な治療を行いやすくなります。今後は、単なる重症度から治療方針を決めるのではなく、このフェノタイプ分類に基づいて適正な治療が進められるようになると期待されています。

最近は、治療効果が上がる分子レベルに基づく分類エンドタイプ)の研究が進められ、分子生物学的製剤(高価な注射薬)が難治性喘息に対して、適応が増加してきています。

 

年齢・性差での特徴は

乳幼児 喘息の診断は難しく、喘鳴(ぜんめい)として経過をみることから開始します。

お子さんの喘鳴は何タイプ?(当院院長コラム)を参照して下さい。

学童思春期 ダニなど関与のアトピー型喘息が80~90%

年単位の長期的には、ダニ・スギなどの免疫療法が効果を認めます。アレルギー性鼻炎・喘息の体質改善や新たな外因アレルギーによる疾患予防(アレルギー性鼻炎があり免疫療法で将来の喘息の発症予防)にも効果が期待されています。

成人 好酸球性気道炎症を中心とした非アトピー型(内因性)の喘息が増加します。

一方で、肥満・タバコ・大気汚染、従来の好中球性副鼻腔炎との合併との関連で好中球性喘息も増加してきます。好中球性は吸入ステロイドの効果が乏しいこともあり、抗生剤マクロライドの使用や肥満者の減量、禁煙を行います。

高齢者 喘息死は70年前の1/10に減少していますが、高齢者が喘息死の多くを占めています。COPD、 GERD、心疾患、嚥下機能低下などに配慮して対応が必要です。

女性:妊娠の有無、月経周期との関連、肥満(BMI30<)との関連を確認します。

月経前喘息:月経3~4日前に起こる症状を呼びます。女性喘息患者の3~4割で認める報告があります。月経前の気管支粘膜浮腫や性ホルモンとの関連などが考えられています。

妊娠と喘息:喘息のある妊婦の1/3は喘息が悪化すると言われています。吸入ステロイドを継続します。

好酸球の上昇の有無で治療を判断!!

好酸球性気道炎症を示す2型炎症マーカーの評価を行います。

検査:末梢血好酸球数、血清総IgE, 呼気NO

好酸球性では、ステロイド吸入、抗ロイコトリエン薬を主体に治療開始。匂いの障害や好酸球性副鼻腔炎・アスピリン喘息の確認を行います。難治例では、副作用が問題となる経口ステロイドが連用されるため、最近は生物学的製剤の適応を検討します(呼吸器内科専門医へ)。この治療でステロイドの減量や離脱を期待します。

好中球性は、吸入ステロイドの効果が乏しいこともあるため、マクロライド抗生剤など使用、肥満あれば減量、禁煙指導、副鼻腔気管支症候群あれば副鼻腔炎の治療(耳鼻咽喉科受診)を行います。

 

咳喘息とは!!

3週間以上持続する長引く咳の半数以上は、咳喘息が占めています。

ゼーゼーを伴わない咳(聴診では正常)が2か月以上持続

(3週以上でも診断可能;3週未満の咳では診断しない

気管支拡張薬で一時的効果あり

季節性があり夜間・早朝に多い

血液や喀痰の好酸球上昇、呼気NO高値(27以上)、気道過敏性亢進あり

経過中30~40%は典型的喘息に移行します。吸入ステロイドの治療(最低1年)を行い、再燃時は早期受診が必要です。

アトピーとの関連は

IgE型(アトピー型:外因型)ダニ 花粉(スギ、ヒノキ、イネ、ブタクサなど)ペット(犬、猫など) カビ(アスペルギルス、アルテルナリアなど)昆虫(ゴキブリ、ガなど)

湿度が高い日本では、年間を通してダニが最も重要です。若年者の80~90%はアトピー型喘息です。ダニ関連アトピー型喘息とアレルギー性鼻炎はダニの増加に伴い悪化します。ダニ対策の環境整備は重要です

長期的にはダニなどの免疫療法(舌下・皮下)による喘息・アレルギー性鼻炎の体質改善・新規感作予防が行われます。

夏に繁殖したダニが秋に死んで、家に中にたまった死骸や糞が体に入り症状が出てきます。糞はダニの数十分の一の大きさ(0.01mm)で、気管支の中に入りやすくなり喘息を起こしてきます

カビ・ペット・昆虫など多数を認める場合は、難治化することが多くなります。

非IgE型(非アトピー型:内因型)

成人になると、ダニなど外因と関連がないおとなの喘息が増加してきます。免疫療法の効果はありません。

運動誘発喘息とは!!

十分な準備運動、通常の喘息のコントロールと抗ロイコトリエン薬が効果を発揮します。気道粘膜の脱水と冷却、気道上皮損傷による気道過敏性の亢進が出現します。

運動誘発喘息・せき(当院院長コラム)を参照して下さい。

 

 

疾患との関連は

アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎:

喘息の悪化は、鼻炎も同時に治療することが重要です喘息患者でのアレルギー性鼻炎の合併は80%前後、喘息の悪化にも影響します。アレルギー性鼻炎には鼻噴霧ステロイド薬抗ロイコトリエン薬を併用すると喘息症状の改善効果が高くなります

鼻と秋の喘息(当院院長コラム)を参照して下さい。

通常の副鼻腔炎:風邪のあとこじらせると、粘性又は膿性の鼻汁・後鼻漏・鼻閉・咳・痰・頭痛などの症状があれば急性副鼻腔炎をおこしています。喘息や咳が長引き治らなくなりますので、副鼻腔炎の治療も重要です。必要な方は抗生剤を併用します。鼻洗も効果的です。

 

匂いの障害・好酸球性副鼻腔炎

匂いの障害や鼻ポリープが特徴の最近急増している副鼻腔炎が好酸球性副鼻腔炎です。

副鼻腔炎のコントロールが悪いと喘息が悪化しますので、副鼻腔炎をしっかり治すことが重要ですが、好酸球性副鼻腔炎はステロイドホルモン服用以外の効果は乏しく難治性です。白血球の一種でアレルギーの病気で増加する好酸球が副鼻腔粘膜に増加してきます。従来の慢性鼻副鼻腔炎より難治で、手術を行っても再発が多くみられます喘息合併例で、エアロゾルなどの粒子径が小さい吸入ステロイド使用の場合、口から吐き出さず、鼻の奥の後鼻腔から出す方法で効果があることもあります(鼻呼気法)。

治療は、ステロイド内服や抗ロイコトリエン薬および手術治療、術後再発のポリープを伴う重症例には生物学的製剤(デユピルマブ):重症アトピー性皮膚炎や重症喘息にも保険適応あり、高価な注射薬です)が2020年から保険適応となりました。重症例は指定難病として認定されることがあります。難治性の好酸球性中耳炎、気管支喘息、アスピリン喘息などが、多くの症例で合併します。

 

胃食道逆流症(GERD)

喘息患者ではGERDの保有率は高く(45~71%:一般日本人は6.6~37.6%)、胸やけや呑酸、げっぷなど逆流症状があり、夜の呼吸器症状がある患者はPPI(プロトンポンプ阻害薬)の服用(8週間)を行うと効果を認めます。GERDの症状がない方への投与は効果を認めません。就寝前3時間程度は水以外の飲食を控え、脂もの、刺激物、コーヒー、飲酒なども控えます。。

GERD喘息悪化の因子の一つです。GERD合併喘息では、経口ステロイドの投与回数が多く、不安やうつ状態を伴い夜間発作症状が強く出てきます。またコントロール不良の喘息患者のうち24%サイレントGERDが存在する報告があります。

GERDが関与する喘息の特徴

非アトピー性

主に夜間に発作が増悪

食後症状が悪化

喘息治療に抵抗性

胃酸分泌を抑制することにより症状が改善

 

肥満

肥満は喘息の難治化因子です、内臓脂肪が関与します。

非アトピー型で好酸球が増加せず、直接的なアレルギーが介在しない機序が考えられ、喘息の一般治療薬のステロイド吸入療法の効果が低いと言われています

肥満対策・ダイエットが重要す。

肥満喘息発症メカニズム

最近、脂肪細胞は、生理活性物質の分泌臓器と考えられるようになってきています。

脂肪細胞から、喘息の悪化をもたらす気道過敏性の亢進や気道の慢性炎症を悪化させる生理活性物質(レプチン、TNF-α、PAI-1)が放出されます。

肥満による肺機能低下

運動不足による気道過敏性の亢進(運動は気道過敏性へ効果の報告あり)

肥満や睡眠時無呼吸症による胃食道逆流症の合併

肥満と喘息;ダイエットで喘息が治る?(当院院長コラム

 

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

喘息合併COPDACO)は高齢者喘息に多くみとめます。ACOは男性が少し女性より少し多く副流煙は喫煙の半分程度の影響があると考えられています。60歳台40%、70歳台50%、80歳台60%と加齢で増加していきます。過去の喫煙や副流煙歴も影響します。

ACOは通常の高齢者喘息よりコントロールが不良となります。40歳以上で、咳・痰持続、労作時の息切れがあり、①喫煙歴(副流煙も含む)や長期間大気汚染に暴露歴があればCOPDを疑います。②胸部CTでは気腫性変化を示す低吸収領域や、③肺拡散能障害を認めます。①~③のうち1項目あればCOPDの可能性が高くなります。

 

閉塞性睡眠時無呼吸症(OSAS)

OSASは睡眠中に繰り返し呼吸が止まり、夜間に低酸素血症が反復します。喘息発作は夜間就寝中に起こり易く、喘息にOSASが加われば夜間の低酸素血症は増強し不整脈や高血圧を悪化させます。適切なOSASの治療(CPAP療法、鼻の治療、歯科マウスピース)すれば低酸素血症や呼吸器症状の改善が期待できます。

 

薬物で喘息悪化!!

解熱鎮痛剤との関連(アスピリン喘息

小児にはほとんどなく、成人喘息の5~10%。男性も認めますが成人女性に多く、嗅覚障害・好酸球性副鼻腔炎と合併することがあります。アスピリン喘息を診断する特異的な検査はありません。本人はわからず服用して初めて病院受診後に気づくことがよくあります。咳・呼吸器症状の反復と嗅覚障害があれば要注意です。痛み止めを服用すると喘息発作が、急速に進行して救急車を呼ぶこともあります。解熱鎮痛剤・湿布薬の使用が制限されます。使えるのはソランタール、少量のアセトアミノフェンなど限定されますので前もって発熱・痛みのときの対応を、担当医に尋ねておきましょう。歯科や整形外科では消炎鎮痛剤が出されることが多く、前もって申告する必要があります。

βブロッカー降圧薬と緑内障点眼薬

緑内障の目薬と心不全に使用されることが多い降圧薬に注意します。気管支粘膜にはβ2受容体 心臓にはβ1受容体が存在します。喘息を誘発することがあります。

降圧薬

β1選択制が高いβ1ブロッカ―降圧薬を選びます。

β1選択制のテノーミン(アテノロール)、メインテート(ビソプロロール)などが慎重投与となります。

αβブロッカーであるアーチスト(カルベジロール)は禁忌です。高血圧と喘息がある方は注意して下さい。

緑内障薬

チモプトール点眼、ミケラン点眼などのβブロッカー点眼薬とその配合剤は控えます。

誰も目薬で喘息が悪化するとは思いもつきません。

 

 

 

 

 

よくわかる風邪の漢方・咳

2026-06-10

 

春日公園紅葉 福岡

風邪かぜ語源は、東洋医学(特に中医学)にあります。約2000年前の中国にウイルスや細菌感染の考えは無く、六つの外邪(風 寒 熱 燥 湿 暑)の侵入が感冒の原因と考えられていました。
この中で、風邪ふうじゃと呼び、風邪最も多くの疾患を引き起こす要因で、ほかの邪と結びつき春以降には風熱(ふうねつ)や風湿(ふうしつ)、秋には風燥(ふうそう)、冬には風寒(ふうかん)(傷寒)として感冒を発症していきます。

漢方薬は、その人の体質にあわせ、漢方医学的な病態(証)を判断し治療法の
選択を行い、感冒時はそれぞれの外邪に合わせた対応と同時に、その人の抗病反応を考慮して処方を選択していきます。
病名は手掛かりとして参考にする程度となります。

西洋薬では、病名を基準に治療方針が決まります。
発熱や痛みに対しては、対症療法として解熱剤や痛み止めなど使用するわけですが、胃潰瘍の有無は確認しても体質・体力を考慮することはありません。

漢方診療の実際は、舌診、脈診、腹診やその人の外見的特徴や声の性状・においなど
四診(望・聞・問・切)から情報を得て証を判断し治療をすすめます。

~感冒~
風寒傷寒)感冒悪寒や寒気を強く感じる状態
皆さんがご存知の葛根湯やインフルエンザで有名な麻黄湯は、寒くなり冬にはやるの風寒(傷寒)の漢方です。

急性発熱性疾患は、中国の古典傷寒論では、進行順番は、太陽発熱・頭痛・悪寒)⇒少陽(悪心・咳痰・胸脇苦満)⇒

陽明(口渇・腹満・便秘)⇒太陰(腹満・下痢・寒)⇒少陰(寒・下痢・倦怠感)⇒厥陰(手足冷感・激しい下痢・胸苦しさ)となっています。 感冒の経過を説明したものです。

傷寒論は約1800年前の感染症マニュアルで、当時考えられた処方(葛根湯、麻黄湯、桂枝湯、麻黄附子細辛湯など多数)が、現代医学にも使用されていて、中医学や漢方を学ぶ古典のバイブルとなっています。

急性の発熱で汗が出ないとき(無汗)に、頸部のこわばりがあれば葛根湯
関節痛や筋肉痛が強ければ麻黄湯を選択していきます。
発汗後(自汗)桂枝湯を使用します。

このかぜの初期を太陽病期と呼びます。
本来冷えがあり元気がない虚弱者には、麻黄附子細辛湯を用います。

👉 冷え症の長引くかぜの咳嗽には、胃弱の方も多く麻黄附子細辛湯+桂枝湯または桂枝加朮附湯(もっと冷えが強い)または桂枝加厚朴杏仁湯を(咳がもっとひどい)合方し、胃の保護も行い対応します心理的ストレスにも効果があります。

必ず、熱いお湯に溶かすか白湯にて温服します。服用後はお粥など温かいものとること、毛布や布団にくるまり体を冷やさない事です

麻黄湯・葛根湯には麻黄(エフェドリン含有)が含まれ、高血圧、不整脈、狭心症、前立腺肥大の方は慎重な服用が望まれます。

温める生薬を多く使いますので、寒い冬の感冒に、効果を特に発揮しますが、
現代では、暑い夏でも、クーラーや冷蔵庫の使用などで、冷えた環境や冷えた食物が多く
一年を通して使用しています。

寒気と咽頭痛が強いとき葛根湯桔梗石膏を一緒に内服します。

インフルエンザなど強力な風寒で発熱、悪寒、筋肉痛、関節痛がひどいときは
麻黄湯越婢加朮湯(大青竜湯)を併用します。

喉が渇き、顔が真っ赤になり嘔吐するような咳は、
越婢加朮湯半夏厚朴湯越婢加半夏湯)を併用します。

発熱、悪寒、頸部のこわばり、筋肉痛、関節痛以外に咳嗽、呼吸困難、口渇、嘔気など
呼吸器や上腹部症状まで幅広く悪い時は、大正時代のスペインかぜのウイルス肺炎に応用された葛根湯小柴胡湯加桔梗石膏(柴葛解肌湯)を一緒に内服します。

風邪の初期から4~5日以上経過して、体表面や鼻から少し奥に病気が進行し、上腹部・呼吸器症状が出現してきます。具体的には、寒気と熱感が交互に出現、嘔気、、痰、胸痛、横隔膜周囲の不快感に移行すれば小柴胡湯およびその関連漢方を使います。これを少陽病期と呼びます。

少陽病期乾いた咳は小柴胡湯門冬湯  湿性咳、喉の違和感、喘鳴は、小柴胡湯半夏厚朴湯(柴朴湯)

口渇・粘ちょう痰・咳・喘息体質改善は、小柴胡湯麻杏甘石湯、冷え水様痰では小柴胡湯小青竜湯の併用

体力充実、便秘傾向、胃食道逆流関与湿性咳・喘息は、大柴胡湯大柴胡湯半夏厚朴湯の併用

体力低下、痩せ、動悸、寝汗、食欲不振柴胡桂枝乾姜湯、冷えや喘息あれば柴胡桂枝乾姜湯麻黄附子細辛湯の併用

など痰の性質や咳の状態、体質・体力により色々な組み合わせを考えます。

風熱感冒悪寒はわずかで体に熱を感じ咽頭痛・口渇がある状態
春以降に温かくなり、風邪の初期で、高熱、口渇、咽頭痛、熱感が主で悪寒は軽度な感冒は風熱感冒(温病)と呼び、市販薬の銀しょう散が適応となります。体を冷やす生薬を使います

医療用のエキス剤の種類は多くありませんが、
発熱・咽頭痛では小柴胡湯加桔梗石膏咳や喘息の時は麻杏甘石湯を使用します。
現在は季節に関係なく使用します。

 普段から風邪を引き易く、体力がなく胃が弱い方で、悪寒・高熱・咽頭痛・熱感など強くない方の長引く普通感冒には参蘇飲があります。約900年前の宋の時代にできた漢方薬です。胃薬・鎮咳去痰薬・悪心や腹部膨満感への薬・元気を補う薬など含まれ、葛根・蘇葉も含有されているので肩こりや関節痛・筋肉痛にも効果があります。

強い症状には、効果なく、咳がひどければ麻黄湯、頭痛には川きゅう茶調散、発熱には小柴胡湯、下痢には五苓散を一緒に内服すると効果を高めます。

感冒の数日後からがひどくなり、眠れず長期に持続するため多くの患者さんがいらっしゃいます。

西洋薬の咳止め服用では効果ないことも多く、治療が難しくなります。

~咳~
風寒咳】水溶性の鼻汁や痰は薄く白く口渇はない状態
薄い白い咳・痰で水溶性鼻汁、ゼーゼー、悪寒や頭痛の時、小青竜湯悪寒や頭痛はない咳で、胃弱の方は苓甘姜味辛夏仁湯を使用します。

風熱咳】黄色い粘ちょう痰で口渇がある状態
咳・痰や喘息に麻杏甘石湯
慢性の咳や黄色い粘ちょう痰の場合、清肺湯を使用します。咳はひどいとき、麻杏甘石湯清肺湯を併用します。

風燥咳】カラ咳で秋・冬の空気の乾燥する時期に好発
かぜの後期のカラ咳の時に、麦門冬湯 ストレス・自律神経失調あれば四逆散加味逍遥散を併用
婦人の疲れた時のカラ咳の時に、滋陰至宝湯
老人の口が乾燥するときの咳に、滋陰降火湯を使用します。腎陰虚六味丸と併用すれが効果を高めることもあります。

風湿咳】痰が白く量が多い
胸から咽頭がつかえ、痰が多い咳の時、半夏厚朴湯 食欲を高めながら治す場合、六君子湯を使用します。

 

 西洋薬問題点

西洋薬は、熱、せき、水様鼻汁それぞれ単独には、漢方よりシャープに効かせることが可能ですが問題点も多くあります

西洋薬は、熱を下げ過ぎ免疫を落とし病気を遷延させたり、鼻水を止めすぎ喉が乾燥し細菌感染を助長したり、高齢者では咳を止めすぎ誤飲性肺炎の原因となることもあります。

西洋の風邪薬は必要最小限でやめる事が重要です。

具体的には、39度で、ぐったりしていたら解熱剤で38度前後に落として、それ以上は使用せず、熱は免疫を高めるため、自然にさげることを心がけましょう。

咳止めも、夜間に眠れないような咳の時は使い睡眠をとり、体力の消耗を防ぎましょう。

飲水は十分おこない、抗生物質は、本当に必要な時はしっかり内服します。

 

 

 

 

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