吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

院長の健康情報コラム

鼻と眩暈と熱中症:暑さ対策は大丈夫?

2019-04-29

平成から令和への10連休のGWがはじまりました。体を少しずつ暑さに慣らして、夏の熱中症対策を始める時です。

下記の予防対策を考えた対応を毎日心がけ、下記の暑さ指数を毎日確認してその日の行動を考え、熱中症に遭遇すれば下記の現場対応を行います。

環境省の下記のサイトが良くできていますので、まず見てください。

環境省熱中症予防情報サイト

現場対応サイト

現場で、意識を確認して、なければ救急車、あれば水が飲めるか試みます。意識があれば、日陰・涼しい場所に移動して、服を緩め、水と塩またはスポーツドリンクをとらせ冷やします。頸部や脇の下を氷嚢,なければ自動販売機の冷えたペットボトル飲料水などで冷やします。

予防対策サイト

熱中症は、環境、からだ、行動が原因で起こします。

環境:高温、多湿、風が弱い、エアコン無い部屋、閉め切った部屋、熱波

からだ:肥満、高齢、小児、脱水、体調不良、糖尿病、心疾患など

行動:慣れない運動、長時間の屋外作業、水分不足、スポーツ(登山、野球、マラソン、剣道、バレー、バスケットなど)

暑さ指数:WBGTサイト(気温、湿度、輻射・日射を考慮した指数)

温度計の指標とは異なります。 暑くなれば毎日確認をしましょう!

 

👉 熱中症対策で最も重要なことは、良い汗をかき気化熱で深部体温を下げること皮膚からの熱放散が上手にできる事です

そのためには、脳は熱に弱く脳の体温調整機能を低下させないよう脳の温度を40度前後以上ならないようにしなければいけません。

 

熱中症には、次の分類があります。

労作性熱中症:

若い人に多く、運動や労働と関連し,自宅外で急に発生

非労作性熱中症:

高齢者に多く、運動とは関係なく加齢変化と基礎疾患が関連して、徐々に進行して自宅の寝室、リビング、トイレで多く発生, 30度以上ではエアコンの使用が重要となります。若い人の労作性熱中症は、熱中症対策、啓発活動で減少してきていますが、高齢者の非労作性熱中症は近年増加していて、重症度が高く死亡例が多くなっています。

 

暑熱馴化(前もって暑さに慣れる事)

6月になり梅雨明け後急に気温が高くなると熱中症の方が増えてきます。暑熱馴化とは、暑くなっても体温調整がうまくでき、良い汗をかけるように前もってすることです。慣れていない人が、夏の肉体労働を開始すると3日以内の熱中症発生が多いことがわかっていますので、産業医療では、1週間以上まえから、仕事に少しずつ慣らしてから行うようになってきています

👉 高率よい暑熱馴化の方法

インターバル速歩運動後のコップ一杯の牛乳で、効率よい暑熱馴化を行います。高齢者ではサルコペニア(筋肉萎縮)対策にもなります。

 

インターバル速歩

少しきつめの早歩き3分、ゆっくり3分歩行を交互に30分、週に4日以上1~2週間行うと効果が期待できます。若い人は、1週間程度から効果が出るようです。

詳しくは次の環境省youtubeを4分から見てください。環境省:夏を健康に過ごすための体つくりyoutube)

上記運動を5か月持続すれば、筋力増加、体力増加20%、高血圧、糖尿、肥満が20%改善する報告があります。

次の環境省youtubeで詳細が確認できます。環境省:暑さに強い体つくりyoutube)

 

運動後のコップ一杯の牛乳

運動後に糖質とタンパク(牛乳など)を摂取すると体内血漿量とアルブミンが増加して、体温調整能と下肢筋力増加に効果があり、下肢から心臓への循環量の増加が期待できます。末梢血液量の増加による皮膚からの熱放散や脳の体温調整機能低下予防にも役立ちます。日常の水分摂取も、利尿作用があるカフェイン、アルコール飲料は避け、水や麦茶を推奨。

 

ふらつき・めまいと熱中症

熱中症の重症度分類貧血や全身状態を把握するため

1度:熱中症初期 ふらつき・めまい・たちくらみ(脳への一次的な血流不足)

こむら返り・足のつり(脱水によるナトリウム不足)、気分不快、手足のしびれ

2度:頭痛、吐き気、虚脱感、倦怠感、軽い意識障害(熱疲労)すぐに病院へ搬送

3度:重度 高体温、意識障害、痙攣 (熱射病)すぐに救急搬送

 

めまい・ふらつきは熱中症の初期症状のため、見逃さないようにしないといけません。

労作性熱中症の場合は、発生環境からすぐに熱中症によるめまいと疑うことができますが、非労作性の熱中症で、自宅発症の高齢者の場合は、熱中症のふらつきを鑑別するのが難しくなります。少し暑くなってのふらつきは常に熱中症を想定した対応・鑑別が必要です。

 

脳の冷却装置としての鼻呼吸の役割

脳は熱に弱く、熱中症では、脳を冷却して脳のダメージを防ぎ、体温調整機能を低下させないようにすることは重要です。加齢変化による、汗のかける部位の変化でも、若いころは足も含め汗をかけますが、加齢により体内の水分量がなくなるにつれて、下肢から上方に、徐々に汗がかけなくなります。顔や頭部の汗は、年をとっても低下しません。脳の冷却のための合理的な変化がおきています。

 

汗以外に、脳を冷却するには、頸動脈からの血流で脳を冷やすため、頸部、鼠径部、脇の下に氷嚢などで冷却を試みます。その他には頭部を外から冷やすこと以外ありません。今まで、鼻呼吸の脳の冷却装置としての役割は、あまり報告されていません。体温調節中枢は間脳の視床下部にあります。視床下部は、頭部の外からより、鼻の副鼻腔の一つの蝶形骨洞が外部と最も近い場所です。最近では、脳外科にて、間脳下垂体の手術は、内視鏡を使い鼻の蝶形骨洞を経由して手術が行われます。鼻と脳は数ミリの骨など隔てられているだけですので、鼻からは最も合理的なアプローチとなります。

鼻呼吸による鼻粘膜からの体温調節中枢の深部脳への直接的な冷却鼻粘膜からの眼角静脈を通しての脳の選択的冷却システムが報告されています。鼻粘膜の鼻汁を利用した気化熱による冷却も考えられます。鼻呼吸による、体温調節中枢がある深部脳の冷却がもっと注目されてよいように思われます。

熱中症予防対策として、鼻の病気があれば治療して鼻呼吸を保ち、少し冷たい加湿した空気を鼻から奥に送ってあげることも対応の一つと考えられます。

 熱中症おこしやすい方と疾患や要因

高齢者:皮膚温度感覚や体温調節機能の低下、基礎疾患による発汗障害や放熱障害

お子さん:発汗機能に未熟性や体の割に体表面積が大きく外部の影響を受けやすい

肥満:脂肪は熱放射を妨げます

体調不良:体温調節機能の低下

脱水状態:

糖尿病:自律神経障害による発汗・体温調節障害、多尿、薬による脱水

二日酔い:アルコールによる利尿作用

心疾患:心機能低下による体内循環量の低下や利尿薬の影響

高血圧症:日頃から塩分摂取制限、利尿薬の影響

精神疾患:無関心・自発性低下による暑熱環境回避をしない、薬の影響 体重増加

発汗抑制する抗コリン作用を持つ下記の薬の服用者

風邪薬

古いタイプの抗ヒスタミン薬

咳止め

トラベルミン(酔い止め)

精神薬

抗うつ薬

パーキンソン病薬

脳内ドーパミン不足を補うため拮抗作用のあるアセチルコリンを抑制するため抗コリン作用の薬を使用

頻尿薬

腹痛薬など

上記のことに気を付けながら、温暖化による夏の暑さを乗り切りましょう!

参考資料:ヒトの選択的脳冷却機構とその医学;永坂 鉄夫 日生気誌 37:3-13,2000

騒音と難聴:そのスマホの音量で大丈夫?

2019-03-28

騒音と難聴の変遷

現在は、周囲に色々な音があふれる時代です。高度経済成長の時代には、工場・造船や建築現場の騒音と難聴が問題となっていました。

歴史的には、Bernardino Ramazziniがパン職人と製粉職人の病気;1700年』『銅細工師の病気;1713年騒音性難聴を記載しています。

最近では、産業構造の変化や労働安全衛生法による職場管理がされるようになり、工場・造船や建築現場の騒音は減少していますが、レジャー騒音として、スポーツイベント、パチンコ店、カラオケ、ライブ音楽、コンサート、スマホなどの携帯音楽プレーヤーと難聴が問題となっています。

また、環境騒音は、脳卒中、心疾患、不眠、めまいなどさまざまな病気の原因となることがわかってきて、埋もれた公害と考えられています。

WHOの警告スマホでの長時間・大音量の音楽で 若者の半数が難聴の危険性

2019212WHOは、スマホなど携帯音楽プレーヤーを、長時間・大音量の音楽を聞き続けると回復不能な聴覚障害(騒音性難聴:慢性音響性聴覚障害)になる恐れがあると発表しました。若いときから長時間、大音量にさらされていると、ダメージが蓄積して30代や40代の早い時期に老人性難聴を発症することがあります。

現状では、12~35歳の若者の半数近い11億人が難聴になる危険性が高いと警告しました。

 スマホ安全利用の目安:WHOの提言

成人80dB 小児75dB 週に40時間まで

機器に音量とその音量での利用時間の明示機能

大音量聴取で自動的に音量を下げる機能

コンサート会場やイベントでの耳栓利用や会場での音量規制

周囲の音量の例

50dB: 小さな声、静かな事務所

60dB: 普通の声 普通の会話

65dB:エアコン

70dB: 普通に大きな声、高速走行中の自動車内、騒々しい事務所、

80dB:かなり大きな声、大声で、30cm以内で会話可能

走行中の電車内パチンコ店内 街頭騒音

90dB: 怒鳴り声、会話成り立たず、カラオケ店内、直近の犬の鳴き声

100dB: 地下鉄車内、電車が通るときのガード下、ドライヤー,コンサート会場

110dB: 直近のクラクションの音、コンサート会場

120dB: 飛行機のエンジンの近く、落雷 救急車のサイレン

👉 学生さんが、バスや電車の通学でスマホの音楽を聴いていて周囲から聞こえるようであれば90dB以上ありますので危険領域と考えて下さい。

騒音難聴ガイドライン(1992年)および国際労働機関によると

80dB以上の作業場では、音量の測定

85dB以上では、必要な場合は耳栓またはイヤーマフ

90dB以上では、耳栓またはイヤーマフを使用

115dB以上では、耳の音量保護具なしでは立ち入り禁止

140dB以上は、立ち入り禁止

となっています。

👉 騒音難聴ガイドラインでは、カラオケ店やコンサート会場、ライブ音楽会場は耳栓が必要となります。

音量と許容基準時間(日本産業衛生学会、Hearwell, Enjyoy life: 日本耳鼻咽喉科学会HP)

音量 dB 許容基準時間 場所や物
60 リスクなし イヤホンの適音量
75 リスクなし 掃除機
85 8時間 街頭騒音
88 4時間 カラオケ店内
91 2時間 カラオケ店内
94 1時間
100 15分 ドライヤー コンサート
110 28秒 コンサート ライブ音楽

 

👉 カラオケ店内、コンサート会場、ライブハウスは音量の許容範囲を超えやすい場所です。長時間の滞在は控えましょう。耳傍でのドライヤー使用も注意です。

 レジャー騒音

201810WHO欧州支部は、欧州地域での環境騒音に対するガイドラインを打ち出しました。Hearwell, Enjyoy life: 日本耳鼻咽喉科学会HP

 レジャー騒音(スポーツイベント、パチンコ店、カラオケ、ライブ音楽、コンサート、スマホなどの携帯音楽プレーヤーなど)に対する提言として70dB基準を推奨しています。

70dBというと1mの距離の相手となんとか会話ができるレベルの騒音です。つまり、隣の人の声が確認できないほどの大音量にさらされると、難聴のリスクが高まるとWHOは結論づけています。

音響性聴覚障害Hidden hearing loss

強大音による難聴には、聴力の回復が困難なものと(NIPTS)と一過性低下ですむもの(NITTS)があります。近年、回復可能なNITTSでも、内有毛細胞に関する50%程度の機能障害がわかってきました。80%のシナプス障害がでるまで、聴力は正常を示すため、隠れた難聴(hidden hearin loss)と呼ばれています。このhidden hearin lossは、加齢性難聴でも生じていると考えられています。

 騒音性難聴とは?

ロックコンサート(100~120dB)、ピストル、爆発音(130dB~)などのすごく大きな音で、急性に起こる感音性難聴を音響外傷急性音響性聴覚障害)と呼び、スマホの音楽、パチンコ店、工場の機械音(85dB~)などの長時間・大音量で生じる慢性音響性聴覚障害騒音性難聴と言います。

耳慣れない言葉で、剣道難聴があります。竹刀による打撃による衝撃で2000Hz、竹刀の打撃音で4000Hzあたりの聴覚低下を起こすことが報告されています。

徳島大学耳鼻咽喉科HPより

難聴は、骨導を通してチェーンソーなどの振動でも生じます。

急性の感音性難聴の音響外傷は、早期にステロイドなど治療をおこない一部は回復の可能性がありますが、慢性に生じる騒音性難聴は、不可逆的で一度起こすと回復しません

騒音職場では、1日8時間労働を行い、5~15年の経過で徐々に難聴が発生し進行します。騒音性難聴は、最もよく知られた職業性疾病の一つです。

➡ 音で、どうして難聴が生じるのか?

声で相手のイメージをいだいたり、歌で励まされ感動を覚えたりもします。

音は大脳でとらえた人の感覚すなわち感覚量だから心に響きますが、感覚量だけなら物理的な耳の障害は引き起こしません。

音は感覚量で、物理的に存在するのは音波です。

音波は、空気の膨張と圧縮により発生する縦波で、力学的エネルギーを持つ物理量です。

慣習的に、人はを聞くといっていますが、これは音波を聞くということになります。物理量の音波は、内耳の蝸牛障害を起こします

 自分で気づくスマホ難聴耳鳴りへの対応

初期は耳鳴り(キー、ミーンなど高音)が出現しますので、耳鳴りが自覚するときは早めの耳鼻咽喉科受診を勧めます。耳鳴りは内耳損傷のサインです。

人間の可聴域は20~20000Hzと言われ、これ以上の音は超音波と呼ばれます。

高周波とは15000Hz~20000Hzの可聴域を指し、キーンという音として聞こえます。

40代では15000Hz、50代では12000Hz~の高周波は、ほとんど聞こえないと言われています。

高周波のモスキート音聞こえ年齢をチェックしてみましょう

シーメンスの聞こえ年齢チェックHP

会話域は500Hz~2000Hz、騒音性難聴の初期聴力低下の参考値は3000~6000Hzの聴力を参考にしています。

 

➡ 騒音と難聴対策

職場での難聴対策は、職場管理がされるようになり、産業構造の変化から騒音難聴は減少していて、騒音性難聴の労災申請では昭和62年がピークで平成25年では1/4まで減少しています。産業医がいない、小規模職場での騒音問題は、把握できていません。

職場では、腰痛を筆頭に整形外科疾患が増加、癌、うつ・精神障害、生活習慣病による疾患が増加しています。

今後はレジャー騒音と車・交通機関・飛行機などの環境騒音が、問題となります

スマホ難聴対策には、前述のWHOの提言をもとに実行されことが望まれます

音楽は60%の音量で聞くこと

音楽や大きな音の楽器演奏を聴かない日を設ける

誰でも普通にかなり大きな音を長時間、耳元で聞けば軽度の難聴が出現しますが、一日もすれば回復することが殆どであまり自覚することはありません。毎日、長期間・大音量を聞くと障害が遷延しますので、音楽や大きな音の楽器演奏を聴かない日を設ける事です。

パチンコ店、コンサート、ライブ音楽、スポーツイベントでは、耳栓利用が望まれます

会話可能な耳栓(JIS二種)もあります。

お酒を飲んで長時間・大音量を聞かない事(内耳障害を起こしやすくなる報告あり)

防音保護具の種類

80dbの騒音に晒されている場所において、NRRが30dbの耳栓やイヤーマフを使用すれば、体感的には50dbの騒音に低減できるということです、NRRが30以上のものを選びましょう。NRR(noise reduction rating)

耳栓(プラスチック、ウレタン、シリコン、スポンジ)

一種 低音から高音まで遮音 騒音の大きい場所で使用

二種 高音を主に遮音 会話域の低音は比較的通すもの

二種耳栓は、騒音職場で、会話が必要な場所またはコンサートやスポーツイベントで使用

耳覆い(イヤーマフ)

工場の現場では蒸せやすくなります。

拾った音の音量制限するもの

騒音下での、無線通話できるもの

外部騒音を検出して逆位相で打ち消すもの

など開発されています。

➡ 騒音性難聴担当医の役割の変化

日本耳鼻咽喉科学会では、昭和の高度成長期に、職場の騒音難聴と労災申請対策として、騒音難聴担当医制度が発足されました。鹿児島県に10名、全国には900余名の耳鼻咽喉科専門医が騒音性難聴担当医の役割を担っています。

職場での聴覚管理がなされるようになり、また産業構造の変化から、騒音職場での騒音性難聴の労災申請は減少してきています。

今後は、さまざまな疾患の原因となる環境騒音や将来的に若者の難聴リスクとなるレジャー騒音対策が社会的問題となっています

騒音性難聴担当医毎日の診療の中で、レジャー騒音にたいしての啓発活動の取り組みが求められます。

参考資料

第23回日耳鼻産業・環境保健講習会 講演集

車の運転と薬:飲んで大丈夫?

2019-03-07

米国では、薬による死亡が1994年全死亡原因の4番目になっていて、できるだけ薬は最小限にすることが望まれています。また米国では2013年の事故死の一番は、麻薬などの過量服用死です。

日本でも、各疾患ごと、多数の薬があり、高齢で多疾患を抱える場合、多くの薬を内服することになり5~6種以上の薬内服で副作用の出現が多くなるポリファーマシーが問題となっています。

薬と運転に関しては、道路交通法第66条何人も、過労、病気、薬物 の の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある状態で車両 等を運転してはならない。と記載され、薬の副作用等によって正常な運転 ができない状態で運転することを禁止しています。

車の運転事故ベスト5
1) 安全不確認
2) 脇見運転
3) 動静不注視
4) 漫然運転
5) 運転操作不適

これらはどれも、人の集中力低下により生じる可能性があります。
疲れ、睡眠不足、考え事、スマホ運転、脱法ドラッグなどの影響の他にも風邪薬や医療用の薬による眠気や注意力低下が関与する可能性も考えらています。

平成25年5月29日、医薬品服用中の自動車運転等の禁止等に関する患者への説明について徹底するようにという厚生労働省の指導文書が出ています。

我々医療機関でも、皆さんへの車の運転と薬の問題点に関して、以前よりも患者さんにわかりやすい説明求められています。

👉
当院でも薬の処方時に薬局と協力しながら、今より一層わかりやすく説明していきたいと思っています。
今回のコラムを通して、車の運転と薬について、参考にして頂ければ幸いです

車とお酒については、厳格な取り締まりやアルコール検査もあり皆さんも注意されますが、薬と車の運転に関しては、事故をしてわかる以外確認の方法がありません。
運転者自身が、お酒と車の問題と同様に、お薬と車の運転に関しての問題点を認識していただくことが第一歩となります。
また、公共交通・トラック・タクシー会社の上司の方々、家族の方も薬の特性を知って服用管理を協力・指導していくことも大事です

下記のHPの中で自動車運転で服用を避けるまたは注意する薬一覧がありますので参考にしてください

愛媛大学附属病院薬剤部資料:自動車運転などの禁止・注意の記載ある薬一覧

実際の服用に関しては、その患者さんにとって必要な薬は異なり、薬剤師または担当医と相談の上に判断して下さい。

当院で処方する機会が多い薬の一覧を、添付文書の中で車の運転での避ける翌朝も含め避ける注意する記載なしに関してまとめてみました。

分類 薬品名 避ける 翌朝も含め避ける 注意する 記載なし
抗ヒスタミン薬 クラリチン
アレグラ
デザレックス
ビラノア
エバステル
アレジオン
タリオン
アレサガテープ  〇
アレロック  〇
 ザイザル  〇
 ニポラジン  〇
 ポララミン  〇
 ジルテック  〇
 PL顆粒  〇
 アタラックス  〇
 アゼプチン  〇
 ザイザル点鼻  〇
 ナゾネックス点鼻  〇
 アラミスト点鼻  〇
フルナーゼ点鼻
セレスタミン  〇
 ペリアクチン  〇
 抗ロイコトリエン薬  オノン  〇
 キプレス  〇
 抗生物質  ジスロマック  〇意識障害を注意
 クラビット  〇意識障害を注意
 ジェニナック  〇意識障害を注意
 ミノマイシン  〇
 アベロックス  〇
 咳止め  コデイン  〇
 メジコン  〇
 レスプレン  〇
 禁煙補助薬  チャンピックス  〇
 鎮痛薬  ボルタレン  〇
 ロキソニン  〇
 カロナール  〇
 セレコックス  〇
 ポンタール  〇
 ソランタール        〇
肩こり薬 テルネリン      
ミオナール
 睡眠・精神薬  ロゼレム  〇
 ベルソムラ  〇
 マイスリー  〇
 ルネスタ  〇
 ジェイソロフト  〇
 パキシル  〇
 レクサプロ  〇
 サインバルタ  〇
トレドミン
イフェクサー
リーゼ
メイラックス
レキソタン
セディール
グランダキソン
デパス
レンドルミン
スルピリド
 神経痛薬  リリカ  〇
 消化器薬  ナウゼリン  〇
   プリンペラン  〇
 抗ウイルス薬  タミフル  〇
   ゾビラックス  〇
   バルトレックス  〇
   アシクロビル  〇
 糖尿病薬  メトグルコ  〇低血糖
 グラクティブ  〇低血糖
 グリメピリド  〇低血糖
 循環器薬  アジルバ  〇
   アムロジン  〇
   ブロプレス  〇
   カルデナリン  〇
   カプトリル  〇
 シェーグレン病薬  サラジェン  〇夜間の運転
   サリグレン  〇夜間の運転
 片頭痛薬  ゾーミック  〇

 

妊婦&授乳と薬:飲んで大丈夫?

2019-02-26

薬は通常の人にとっても、作用があれば副作用もあるとお考えください。
妊婦・授乳婦さんは、それ以上の問題点が多くあり服用は慎重になります。

妊婦と薬のリスクと授乳の時の服用の危険度は違います
妊婦と薬の使用は慎重に対応する必要がありますが、授乳と薬では、妊婦で服用できる薬の他に、多くの薬の服用ができます。
授乳は人工乳よりメリットが多く、授乳と服用を両立できることがほとんどです

👉 まず妊娠と薬について学びましょう!!

流産と奇形の自然発生率
流産の自然発生率15%前後
奇形の自然発生率3%前後(ベースラインリスク)
奇形と流産のほとんどは自然経過の中で起こっています。

薬剤の奇形への影響0.02%程度
奇形の中で薬が原因の奇形は1~2%

薬が原因の奇形は、てんかんの患者さんが、催奇形性が明らかな抗てんかん薬などを使用したまま妊娠継続するしかない場合がほとんどです。
催奇形性のはっきりした薬以外が原因となる確率は非常に低いものと考えられています。

妊娠の時期と薬の影響は異なります

妊娠3週まで(最終月経の初日から計算します)
この時期は、薬による奇形の影響は出ません
薬による有害な影響があった場合は、着床しないか流産の結果となります。
不妊治療中であれば、担当の産婦人科医と相談して服用して下さい。

妊娠4週~15週
特に4週~7週は重要臓器ができる絶対過敏期催奇形性に対して最も過敏な時期)
8~15週は薬に対する過敏性は低下する時期です。

16週~分娩まで
催奇形性の心配はなくなりますが、胎児毒性が問題となります。
胎児毒性とは、お腹の赤ちゃんの発育や機能に悪影響が及ぶことを言います。
服用するとそのほとんどは胎盤を通過し、お腹の赤ちゃんにも届いてしまします。
妊娠初期より妊娠後期に服用すると出やすくなります。

~~催奇形性が明らかな薬妊娠4週~15週で問題)~~

高リスク(25%<)
サリドマイド、
男性ホルモン、
蛋白同化ホルモン(筋肉増強剤です;医療用ステロイドとは違います)

中リスク(10~25%)
ワーファリン、
チョコラA

低リスク(10%>)
抗てんかん薬
メトトレキセート(リウマチ)
メルカゾール(バセドウ)
リーマス(躁鬱)
抗ガン薬

アルコール:4週~7週でアルコール摂取は奇形の可能性があります。

~~胎児毒性のリスクのある主な薬と物質妊娠16週~分娩~~

タバコ➡胎児発育不全、早流産など起こします

アルコール➡胎児性アルコール症候群を起こします。 禁酒を!

カフェイン➡胎児の発達に影響します。コーヒー1日2杯まで、WHO推奨摂取量300mgまで

ヨードイソジンガーグル、のどぬーるスプレー

非ステロイド性抗炎症薬ボルタレン、ロキソニン、イブなど)➡鎮痛解熱は、アセトアミノフェンが第一選択

メルカゾールベンゾジアゼピン系抗不安・睡眠薬、降圧薬の大多数

健康志向妊婦さんの落とし穴チョコラAイソジンガーグル

チョコラAビタミンA,レチノール
妊娠初期のビタミンAの多量服用が奇形の発言率を高めることがわかっています。
摂取上限は2700µgRAE/日、推奨量は妊婦では650~780µgRAE/日、
一般的には食事からの摂取で十分と言われています。

マルチビタミンにも含有されていることがあり注意して下さい。
レバーやウナギにも多く含まれているため、妊娠15週までは控えましょう。
不足もよくありませんので、緑黄色野菜や果物に含まれるβ―カロテンから摂取するようにしましょう。
β―カロテンは、体内でビタミンAが不足した場合に、必要な分だけビタミンA変換されるため過剰摂取の心配はありません。

ヨードイソジンガーグル、のどぬーるスプレー
ヨードは甲状腺ホルモンの主原料で、日本人の成人の摂取上限量は3.0mg/日、妊婦は2.0㎎/日です。
海藻を多く摂取する日本人の食生活では、ヨードの欠乏はあまりみられません。
妊娠中の過剰摂取は、新生児の一過性甲状腺機能低下症(クレチン症)を引き起こすと言われています。
イソジンうがい薬:3うがいを1日3回すれば5.0mg/日のヨード負荷となり過剰になります
のどぬーるスプレー:1回2~3噴霧を2回~5回/日すれば、5~19mg/日のヨード負荷となり過剰です。

お勧めの栄養素は

葉酸
妊娠一ヶ月以上まえから妊娠12週までの期間は、二分脊椎などの予防のため食品(緑黄色野菜に葉酸が多い)の他に葉酸のサプリを0.4mg/日の摂取を推奨されています。

カルシウムとビタミンD
妊娠中期から後期にかけて積極的に摂取します。
胎児の骨形成に重要で、妊婦のイライラ、高血圧、腰痛予防にもなります。


妊娠中期以降、鉄の必要量は、非妊時の月経が無いときの3倍程度に増加するため食品以外にも貧血予防のため、サプリでの摂取も推奨されますが、大量摂取での肝機能障害のこともあり、1日上限40mgまでにします。

妊婦さんと風邪、花粉症、片頭痛、感染症、喘息、消化器症状、不眠、アトピー、ヘルペスでの薬の注意点

解熱鎮痛薬アセトアミノフェンを使用します。妊娠初期の発熱は、先天奇形との関連が報告されていますので、積極的に使用します。ボルタレン、ロキソニン、イブなどは胎児毒性として、動脈管収縮の報告があります。プロスタグランジン合成阻害しない塩基性のソランタールも使えます。唯一のアセトアミノフェンでの問題は、ADHD,多動、自閉症が言われていますが結論は出ていません。低用量アスピリンだけは、抗リン脂質抗体症候群、妊娠高血圧症候群の予防で使用されます。尿路結石など激しい痛みにはペンタゾシンを屯用で使います。トラマドールは使いません。

片頭痛の痛み止めもアセトアミノフェンを使います。妊娠中は片頭痛が改善するため薬を使わなくなります。予防薬のミグシス、バルプロ酸禁止、必要な場合はβ遮断薬のプロプラノロールを使います。日本頭痛学会HPサイト)から

感染症では、妊婦さんはハイリスク患者となります。セフェム系、ペニシリン系、マクロライド系、クリンダマイシンは使用可能となっています。アモキシリン・クラブラン酸(オーグメンチン、ユナシン)は予防的長期使用で胎児壊死性腸炎増加が指摘されていますので、最小限の使用にします。外来点滴はセフトリアキソンにします。風邪の時のうがいについて、水やお茶で効果がある事がわかっています。問題が多いイソジンうがいを使う必要はありません。またインフルエンザ予防にはうがいの効果は疑問視されています。手洗いが最も重要で、咳エチケットとしてマスクを使用します。漢方は比較的安全に使えます。麻黄含有の葛根湯などの長期使用は控えます。

妊婦インフルエンザ感染は、ハイリスクとなり、インフルエンザワクチンは、妊婦の全時期で、接種を推奨されています。インフルエンザ薬のリレンザはアメリカFDAのカテゴリーB(ヒトでの危険性の証拠はない)タミフルはカテゴリーC(危険性を否定することが出来ない)吸入薬のイナビルも使用できます。担当医の判断ですが、タミフルが治療と予防投与ともに使われることが多いと思います。妊婦さんは、重症化しやすく治療を優先した対応が望まれます。チメロサール含有インフルエンザワクチンのチメロサールは極少量のため胎児への影響はないとされています。懸念されていた自閉症との関連も否定されています。注射のラピアクタも使用可能ですが、添付文書で動物実験での流産・早産の記述あります。妊婦にインフルエンザワクチン接種することにより生後6ヶ月児のインフルエンザ罹患率を減少させます。

花粉症では、インタールなどの外用薬から使用します。血管収縮剤の点鼻は、子宮収縮の可能性があります。歴史が長いポララミンを屯用で使用することもあります。改善なければ、クラリチン、アレグラなど最小限で内服します。
妊娠中は妊娠性鼻炎を起こしやすくなります。

咳止めメジコンを使います。激しい咳の持続は、切迫早産の原因になりかねません。

喘息について、妊娠による喘息症状の変化は、増悪、不変、改善が1/3ずつと言われています。発作による母児の低酸素血症が問題となりますので、自己判断で中止せず、妊娠前と同様にぜんそく薬は、吸入ステロイドを主に使用します。妊娠の時期により、喘息の状態は異なり、24週~36週で最も悪化して、37週~40週で症状の改善がみられる報告もあるようです。薬できちんとコントロールすれば、妊娠中の悪化は多くないようです。

悪化時に、ステロイド薬の服用が必要なことがあります。プレドニゾロンは、胎盤で代謝され不活化するので胎児への影響は少ないと言われています。

妊娠初期のプレドニゾロンの服用で、動物実験で口蓋裂のリスク上昇の報告がありますが、人での因果関係ははっきりしません。

妊婦の流早産を予防するウメテリンは、子宮筋選択性β2刺激薬です。喘息の吸入、内服、テープや麻黄湯、葛根湯、麻杏甘石湯、五虎湯なども喘息や風邪で服用する漢方にもβ刺激作用成分があり注意が必要です

便秘では、漢方の生薬の大黄、芒硝は控え、桂枝加芍薬湯、小建中湯などから使用します。西洋薬では、酸化マグネシウム、刺激性下剤では、ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)が推奨されています。
健康食品のアロエは避けます。羊水中へ胎便の排出を促すことがあります。

吐き気では、小半夏加茯苓湯、プリンペランを使用。

胃薬・胃潰瘍では、ガスターを使用。

不眠は睡眠指導を行い、漢方(桂枝加竜骨牡蛎湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、加味逍遥散、酸棗仁湯、帰脾湯、抑肝散)で対応します。 妊娠後期に、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の連用で新生児薬物離脱症候群(一過性傾眠、呼吸機能低下)を生じることがあります。

アトピーでのステロイド外用の軟膏・クリーム使用について、ほとんど体内に吸収されません

タクロリムス軟膏やニキビのディフェリンゲルは添付文書では、妊婦は禁止となっています。

帯状疱疹・ヘルペスでは、パラシクロビル、アシクロビル、内服・外用・点滴いずれも使用可能です。

妊婦とステロイドの使用についてまとめ

ステロイド外用軟膏および、その他の外用ステロイドの吸入、点眼、点鼻も用量の範囲では、ほとんど体内に吸収されません。特に、最近販売された点鼻の吸収はほとんどありません。

ステロイドホルモンの中で、プレドニゾロンは、胎盤で代謝され不活化するので胎児への影響は少ないと言われています。
妊娠初期のプレドニゾロンの服用で、動物実験で口蓋裂のリスク上昇の報告がありますが、人での因果関係について、はっきりしません。

妊娠時に控える漢方

妊娠の時も漢方は使いやすい薬として認知されていますが、妊娠初期の過敏期はどの薬も控えた方が望ましく、大黄、牡丹皮、桃仁、紅花、牛膝、芒硝を含む桂枝茯苓丸桃核承気湯、通導散などの強い駆お血剤は控えた方がよいといわれています。

 

授乳と薬

薬の添付文書には
母乳中へ移行する可能性があるので使用中の授乳は避けさせること
とほとんどの添付文書に記載あり、この通りに従うとほとんどの授乳婦は、薬が服用できないことになります。

実際は、服用できる薬のほうが多く、世界的に啓発活動が行われ、日本では国立成育医療センター、各県の薬剤師会が、資料を提供して皆さんや医療従事者に啓発活動を行っています

愛知県薬剤師会HPより;母乳の大切さ
赤ちゃんにとってのメリット
栄養のバランスが最適で、牛乳によるアレルギーがない
消化・吸収・排泄がよく、内臓の負担が少ない
認知機能の発達
免疫の獲得
肥満、高コレステロール血症、糖尿病、高血圧などの発症リスクの低減
お母さんにとってのメリット
乳がん、卵巣がんなどの発生を減少
骨粗鬆症、関節リウマチ、糖尿病の発生を減少
月経再開を遅らせ、貧血を予防
体重を落とし、産後の肥満を防止
社会にとってのメリット
赤ちゃんとお母さんの疾患発生率を減少することで、医療費の削減につながる

お母さんが、服用したお薬のほとんどは母乳の中に分泌されますが、その量はお母さんが服用した量の1%以下で、たいていの場合、薬を使いながら母乳育児を継続できます。

国立成育医療センターのHPでは、授乳に適さない薬として
アミオダロン(抗不整脈薬)コカイン(麻薬)ヨウ化ナトリウム(放射性ヨウ素)だけになっています。
その他に適さない薬としては、抗ガン剤、免疫抑制剤などの限られた薬になります。

服用のタイミング
服用の母乳中の薬の濃度が最高になるのは服用後2~3時間後なので、お母さんが服用直前または直後に授乳すれば、赤ちゃんへの影響を最小にすることが出来ます。

インフルエンザ薬(リレンザ、タミフル、イナビル)風邪薬、抗生剤、アレルギー薬、イブ・ロキソニンなどほとんどの薬を内服可能です。

エリスロシンは肥厚性幽門狭窄症を認めた報告があり、生後一か月は回避します。

クロラムフェニコールテトラサイクリン系は推奨されません。

授乳プレドニゾロン服用について、添付文書では授乳は避けるですが、

米国小児科学会では、通常授乳で服用可能Medicattion and Mothers’ milkでは比較的安全

大分県薬剤師会の母乳とくすりハンドブックでは、40㎎/日以上または長期服用では授乳まで4時間以上あけるとなっています。

つまりプレドニゾロン30mg/日以下であれば授乳中の服用は問題ないことになります

片頭痛トリプタン24時間あけて授乳します。

飲酒は母乳分泌を減らしますので、飲酒後2時間して授乳して下さい。

タバコは、お母さんの血中ニコチン濃度の1.5倍~3倍の濃度で母乳へ移行し、母乳分泌量を減らします。赤ちゃんの前では絶対に吸わないことです。

それぞれの薬の服用にいて役に立つホームページ
妊婦と薬 主な薬の危険度;お薬110当番
授乳と薬の適する薬;国立成育医療センターHP
大分県薬剤師会 母乳とくすりのハンドブック2010年版
愛知県薬剤師会;妊娠・授乳と薬

参考資料 上記のホームページ、 妊娠・授乳と薬の知識/村島 温子など 医学書院、大分県薬剤師会;母乳と薬ハンドブック2017年

自分で行うスギ花粉対策(黄砂・PM2.5)

2019-01-27

2月中旬以降から3月頃までは、スギ・ヒノキ花粉症の患者さんが急に多くなります。人によっては、4~5月初旬まで持続します。どうしたら症状が出ずにすむのか、セルフケアを中心にまとめてみました

一般的な自分で行う花粉予防は、ネットで検索すればたくさん出てきます

花粉症ナビ:自分でできる花粉症対策サイト)をまず見てください。よくまとまっています。

根本的な対応は体質を変えて治すこと花粉に遭遇しない事です。

体質を変えることは、今回はのべません。薬物治療は対象療法ですので、担当医と相談してください。2月頃から花粉症初期療法の服用も考えましょう花粉症に遭遇しない事を中心に、特に気を付けていただきたい事を説明します。花粉症が出るかどうかは、個人によって違い、居住地域と生活・遊び・仕事などの行動範囲で異なります。

 自称花粉症

病院で診断を受けた人は良いのですが、自称花粉症の方が多くいらっしゃいます。クリニックでも、検査希望せず、本人の花粉症の診断の申告で、治療を開始して、数年たって検査をしたら、スギ花粉症ではなかった方も時々みかけます。スギ・ヒノキ花粉症ではなく、老人性鼻炎・寒暖差による鼻炎、ダニアレルギーの季節的な悪化、イネ科花粉などスギ花粉症以外の疾患であることがあり、このような方には2月から4月の花粉症対策は必要ありません。症状があれば、薬での一時的な対症療法となります。鹿児島では少ないですが、東北以北に居住歴ある方は、ハンノキ・シラカバ花粉をスギ花粉と間違えることがあります。

 報告では、自称花粉症の4~5人に1人は、本当はスギ・ヒノキ花粉症ではない方がいらっしゃるようです。

花粉飛散に一致して、鼻や眼の症状があり、採血での特異的IgE陽性または皮膚テストが陽性であれば、ほぼ間違いなくスギ・ヒノキ花粉と考えます。

 避花粉地スギヒノキ花粉が飛ばない地域)と行動指針

避花粉地は、外国、北海道、沖縄、奄美大島、八丈島、小笠原諸島、長崎県的山大島です。スギ・ヒノキ花粉シーズン中は、一度出かけてみてはいかがでしょうか。鹿児島に近い種子島は、スギ林はありますが、地形の関係からか、患者さんからの話では、症状が出にくいと聞きます

2008年の花粉症有病率高いは 全国平均26.5%

山梨(44.5%)❷高知埼玉栃木静岡岐阜奈良三重・・・東京(32.1%と続きます。関東地方が最も多く、次に関西、四国、中国地方が多くなります。

2008年の花粉症有病率低い

北海道(2.2%)❷沖縄宮崎(8.2%)❹鹿児島(12.1%)❺岩手青森島根熊本(13.6%)と続きます。北部九州の有病率は中間程度です。宮崎鹿児島は、沖縄と北海道を除いて最も少ない県の一つになります。 東北も少ない地域です。

2007年のスギ人工林比率高いは、

宮崎(38%)❷秋田徳島大分(30%)奈良福井富山山形と続きます。九州では宮崎、大分スギが多い県となります。

2007年のスギ人工林比率低いは、

沖縄(0%)❷北海道香川(2%)❹大阪長野山梨(6%)❼広島岡山・・・・東京11%)・・・・鹿児島17%と続きます。

香川は、スギ人工林比率が非常に低い県ですが、他の関西四国地区とほぼ同じように有病率(21.5%)は高く、周辺県からの風向きの影響が考えられます県単位のスギ人工林比率と有病率は比例せず宮崎は最もスギ人工林比率が高く(38%)有病率は低率(8.2%)です。山梨、東京、埼玉などは、スギ人工林比率は低いが、有病率は高率です。

👉スギが多いから花粉症になり易いわけではない!!

花粉症有病率の悪化関連因子

排気ガス、地表面のアスファルト、気温、日照時間や降水量花粉は夏の日射量が多く、降水量が少ないほど飛散量が多くなるといわれる風向き、樹齢30年以上で花粉量増加)などが有病率には関係してきます。単純に、その地域にスギが多いからスギ花粉症になり易いわけではありません。


鹿児島居住者の行動指針のまとめ

鹿児島からは、北部九州や関東に出かける時は十分な予防が必要です。スギ人工林比率が高い大分、宮崎出かける時も注意して下さい

 天気予報・花粉症情報をまめに確認する

花粉飛散情報要注意日花粉症ナビから
1天気が晴れまたは曇り
2最高気温が高い
3湿度が低い
4やや強い南風が吹き、その後北風に変化したとき
5前日が雨
以上から、前日または当日の未明まで雨で、その後天気が急に回復して晴れ、南風が吹いて気温が高くなる日が要注意日となります(日本気象協会作成)1日のうち飛散の多い時間帯(午後1時~3時頃《注:地域によって差があります》)の外出もなるべく控えましょう。

 

👉 花粉飛散予報がシーズンになると、ネットやテレビで配信されますが、クリニックでの実際の花粉症悪化による受診患者数などから判断すると、花粉予報は、当たっていないこともあります。

上記の花粉飛散情報の要注意日を覚えて、毎日の天気予報から、自分で判断した方がよいこともあります

下記のほぼリアルタイムで発信される花粉情報が、信頼が高いので、飛散シーズンは毎日数回、出かける場所も含めて確認しましょう。

全国では、はなこさん(環境省)サイト)鹿児島では灰、寒い地域では雪も反映されますので注意して確認して下さい。

九州各県は、国立福岡病院発信の花粉情報 サイト)スギとヒノキ別々に確認できます。

 外出時の注意点と眼と鼻のセルフケア

帽子・メガネ・マスク・マフラーを身につけて。コートもツルツルした素材を選びましょう。花粉症は、目と目の周囲の皮膚、そして鼻に症状が強く出ますので、眼鏡とマスクの選択が重要です。

めがね:

プラスチックの覆いがサイドパネルとして一体化した眼鏡が効果的です。結膜上の花粉数は、花粉症眼鏡で35%、通常眼鏡で58%に減少させます。飛散時期は、コンタクトレンズは控え、眼鏡を使用します

 市販点眼液の使用法

セルフケアとして、通常点眼液に含有されるベンザルコニウム塩化物などの防腐剤による角膜上皮障害が問題となるため、防腐剤無添加の市販の人工涙液での頻回点眼を勧めます。人工涙液点眼で洗眼効果は十分あります冷蔵庫で冷やしてから点眼すると症状緩和効果が高まることがあります。

カップ式洗浄器具は、眼周囲の皮膚の汚れや皮膚に付着したアレルゲンをかえって眼表面に接触させることになりますので使用には注意して下さい。具体的には、市販の人工涙液の点眼(ソフトサンティア、ロートソフトワン点眼)または点眼型洗眼型ウエルウオッシュアイを、薬用点眼液の使用前に使います。花粉を洗い出した後に、市販の薬用点眼(抗ヒスタミン)を使用すれば効果が高まります。

 マスク:

ガーゼより鼻にフィットした不織布マスクが効果的。鼻内花粉数は、花粉症マスクで16%、通常マスクで29%に減少させます。鼻洗いも効果がありますが、鼻閉がひどい時は控えて下さい。ぬるま湯で0.9%の生理食塩水(500mlの水に4.5g程度の食塩を添加)で行ってください。

ワセリン(プロペト)

外国では、鼻の入り口に塗ると効果があるようです。

 

 花粉症セルフケア3原則

花粉をもちこまない:眼鏡 マスク 帽子 ポリエステル系上着使用

花粉を排除:

手洗い、うがい、洗顔、鼻と眼の洗い、帰ればシャワーまたは入浴をして洗髪もします。洗顔と洗髪はスギ花粉皮膚炎である上・下眼瞼炎の予防にもなります。

花粉を室内にまき散らさない:

外に洗濯物・ふとんを干さないで部屋干しまたは乾燥機使用、どうしても外に干したければ朝早めに行います。窓を閉める、空気清浄器を使用。

 

 初期療法で症状をできるだけ抑える

初期療法開始時期

抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬は花粉飛散予測日または症状が少しでも現れた時点で服用鼻噴霧ステロイド初期療法として、シーズン中の鼻と眼症状ともに効果認めます。

 忘れてはいけない黄砂飛来とPM2.5 特に九州北部と西日本)アレルギーの方だけでなく健康者にも目の痒み・咳・くしゃみ・喉の違和感などを生じさせます。

スギ・ヒノキ花粉症と同時期に問題となる黄砂・PM2.5情報にも気を配り、花粉症と同様のセルフケアが必要になります。PM2.5は粒子が小さく、通常のマスクでの防御は限られますので、外出を控える事が大事です黄砂PM2.5花粉症の増悪因子と考えられています。下記のHPで2~5月は確認してみましょう。

気象庁PM2.5分布 鹿児島サイト)

環境省そらまめ君(サイト)当日の全国のPM2.5

九州大学 黄砂とPM2.5 黄砂とPM2.5を同時に確認(サイト

気象庁黄砂分布 大気と地表別々表示 動画表示あります。(サイト

黄砂:

中国大陸内陸部の砂漠で風によって上空に巻き上げられた土壌・鉱物粒子が東アジア広範囲に飛来して、大気中に浮遊あるいは降下する現象。日本では4月をピークに2~5月に観測日数の9割が観察されます。スギ・ヒノキ花粉飛散と同時期のため、黄砂粒子は,アレルギー反応を誘発し、花粉症と喘息の増悪に関与する可能性が指摘されています。黄砂はその他にも、皮膚炎、急性心筋梗塞、脳梗塞への影響が報告されています。

PM2.5:

微小粒子状物質(PM2.5)2.5µm以下の粒子で、スギ花粉の大きさは30µm程度に比べると、PM2.5は非常に小さいため肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器系(肺がん、喘息など)や循環器系へ影響を与えます花粉の粒子は大きいため、鼻など上気道で、主に症状が出現します。中国大陸の都市部からの飛来と自国の自動車・工場・タバコ・火山灰なども関与します

 

PM2.5の生成について

物の燃焼による直接排泄(焼却炉、喫煙、火山、自動車など)されるもの

環境大気中の化学反応により生成されるもの

があります。

花粉症との関係

PM2.5の一部であるディーゼル排気粒子が、鼻アレルギーおよびアレルギー結膜炎を悪化させる報告があります。

黄砂との関係

日本へ飛来する黄砂粒子は4µm程度が主で、2.5µm以下の粒子も含まれているため、PM2.5濃度も上昇することがあります。西日本を中心に、我が国へ流入してくる可能性があります。

PM2.5の人への健康障害のメカニズ

DNA損傷 酸化ストレスの亢進 炎症性サイトカインの産生亢

が考えられています。

PM2.5日平均濃度が10µm/m³上昇するごとに循環器系死亡1.2%~2.7%増加呼吸系死亡0.8~2.7%増加することが認められています。

 

👉 PM2.5の基準値として以下の基準がありますので、活動の基準にしてください

 1日平均値 

70µm/m³以上:不要不急の外出、屋外での長時間の激しい運動を控える。

35µm/m³以下:健康を保護する上で望ましい基準

参考資料 環境による健康リスク;日本医師会  花粉症の都道府県別有病率HP  厚生労働省;花粉症特集HP  

kyowa kirin 花粉症ナビHP  環境省;PM2.5に関する情報HP

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