睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
朝から頭がボーとする日中眠い、仕事がはかどらないなどありませんか?
最近、いびきや睡眠中の無呼吸を指摘されませんか?
睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
これは、車や電車の事故の原因で認知されるようになり、高血圧、心疾患、
脳卒中を引き起こしやすくなる病気です。
当院の方針:
診断の進め方
1)いびき無呼吸スクリーニング問診記載。
成人は、昼間眠気や窒息で覚醒、高血圧、冠動脈疾患、脳卒中など確認します。
2)副鼻腔や上咽頭のレントゲン検査や採血(甲状腺機能など確認)。
3)咽頭の詳細な観察と原因となる狭窄部位を確認のため 電子内視鏡または極細ファイバーによる検査、アデノイドの観察。
4)携帯型睡眠無呼吸検査装置(簡易検査)
(成人および学童高学年 が対象))
一度診察後 予約可能:
一晩貸し出して夜間に自宅で検査行いますので、都合が良い日に予約をお願いいたします。電話でお問合せください。
幼児は携帯型装置の自動解析の精度が低く信頼できず、努力性呼吸の評価の感度は高くありません。
代わりに、下記のビデオモニタリングが有効です。
5)幼児・学童は、両親による胸部腹部の奇異呼吸・無呼吸・口呼吸の観察が大事です。
小児は酸素飽和度の低下が少なく、努力性呼吸(胸骨季肋部陥没呼吸)の評価が重要となり、レム睡眠中に病態が増悪する場合が多いので、撮影は入眠後1時間後や早朝覚醒前に試みてください。
小児はいびきや睡眠中の努力呼吸、発育障害、昼間の眠気・多動、行動・学習問題などの臨床症状を確認しながら治療方針を決めていきます。
単独の検査では判断せず総合判断となります。
6)終夜監視睡眠無呼吸検査(精密検査)
成人で必要な方は、専門病院で一泊入院にて睡眠検査室での終夜監視睡眠無呼吸検査をお勧めしますが、施行施設は限られ検査まで、長期間待つことになります。
自宅で施行可能な、前述の携帯型睡眠無呼吸検査装置で、まず重症度を確認してそのまま治療へ進むこともあります。
小児では、施行施設も少なく、積極的には行いません。成人に比較し、全国でも検査数は多くはありません。
中枢性無呼吸・重症の鑑別では小児も適応となることがあります。
治療:
鼻疾患の治療
鼻疾患の治療は無呼吸症の改善の効果だけでなく、鼻閉ではCPAP装置の装着が困難になるため耳鼻咽喉科専門医受診が必要です。
成人と違い小児の場合、アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎に対してのステロイド点鼻、抗ロイコトリエン薬で鼻内やアデノイドの炎症を抑え、成長とともに半年以上の保存療法のみでも改善の可能性があります。(但し重度の場合は除きます)
冬から春に悪化し、夏に軽快する傾向が認められこともあります。
小児の鼻閉による開口習慣が顎顔面発育に影響する可能性があり、将来の成人発症OSASの要因となる可能性が指摘されています。鼻炎の治療と閉口習慣を身につけましょう。
体位治療(横向き就寝など)
生活習慣の改善
食事療法
手術小児
アデノイド切除術、口蓋扁桃肥大手術 低年齢の幼児はアデノイド切除のみのこともあり。
アデノイド・口蓋扁桃肥大の場合は、小児の第一選択となります。
手術成人
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術、口蓋扁桃摘出術、鼻手術
適応は限られます。
口腔マウスピース療法(成人)
歯科紹介で作成します:一般的に顎顔面形態が要因の場合や軽症の方や、
出張が多い方にも携帯でき効果を発揮します。
CPAP療法(成人)
1回/月の定期受診が必要になります。
CPAP治療とは持続陽圧気道圧を供給する装置です。睡眠時に、鼻に装着したゴムマスクを通して空気を送り込むことで気道を確保し、睡眠中に呼吸が止まることなく熟睡が出来ます。
極度の肥満が原因の重度の睡眠時無呼吸症候群の方にも効果を発揮します。
しかし止めると効果がなくなるので、肥満の方は、生活習慣の改善、運動、食糧療法が基本となります。
鑑別すべき疾患:
むずむず足症候群
睡眠後退症候群
不眠症
睡眠不足
ナルコレプシー
必要な場合は専門医紹介を行います。