院長の健康情報コラム
高齢者の声枯れは、肺炎の前兆?声帯萎縮
声の変化は幼少時期から変声期を経て思春期まで起こります。成人になるとしばらく一定ですが、中年以降は加齢変化から声の変化(第2の声変わり)をきたします。声のかすれ、声の張りがない、痰が絡みやすい、発声を持続することが出来ないなどのような変化は、加齢による声帯萎縮を起こしているかもしれません。
音声障害は嚥下障害とリンクしています。
声がしっかりしている人は嚥下も保たれていることが多いと考えられています。声が最初に悪くなり,そのうち嚥下障害が出現することが多く、声が出なくなってきたら要注意です。音声障害は、高齢者では咽頭・喉頭癌よりはるかに多く、65歳以上では、約3割程度の方がいると報告されていて、誤飲性肺炎のリスクとなります。
『声枯れの病気とは』
*話過ぎや風邪による声帯の炎症による声帯炎
*タバコによる慢性喉頭炎やポリープ様声帯
*習慣的に声を使う人に多い声帯結節
*片側性で血豆にもなる声帯ポリープ
*生活習慣病の胃食道逆流症と関連の喉頭肉芽腫
*喉頭癌(特に40歳以上、喫煙者)
*肺癌や動脈瘤などからの反回神経麻痺
*潤滑油としての唾液分泌低下による声がれ(口腔乾燥症)
*声帯が痩せてくる声帯萎縮(高齢者に多い)
など多数存在します。
近年、高齢化とともに特に問題なのは
👉 声帯萎縮症です!!!
加齢変化および会話が少なくなればだれでも起こる現象です。声帯萎縮は誤飲性肺炎を起こす嚥下機能障害の初期症状でもあります。
咽喉頭の加齢変化は50歳前後から起こり,最初は粘膜の繊毛機能低下や粘液産生低下により咽喉頭の乾燥や痰がらみが起こります。その後、声帯萎縮が起こると声がかすれだし、加齢変化により体のサルコペニア(筋力低下)が起こるようになると、咽喉頭全体の筋力低下,知覚低下が起こると嚥下障害を来すようになります。高齢者の誤飲性肺炎の原因となり、より状況は深刻化していきます。
自宅でできる誤飲性肺炎予防(院長コラム)
咽喉頭の乾燥(口腔乾燥症)や痰がらみは、音声障害に先行することも多くみられます。
もう一つ加齢変化で誰にでもおこる声のかすれの原因は
👉 口腔乾燥症です(60歳以上、2割)!!!
唾液量は健康な成人において1日 0.5~1.5ℓとされ個人差が大きく、高齢者の口腔乾燥は加齢により唾液分泌の予備能が低下したところにほかの因子が加わって生じると考えられています。口腔乾燥は、鼻閉による口呼吸、歯牙欠損や義歯装着による口腔閉鎖不全などでも生じます。
『ポリファーマシーについて』
高齢者は薬が多くなり、ポリファーマシー(害のある多剤服用)が気づかないうちに起こることがあります。薬剤性口腔乾燥症は,薬剤の副作用のいかんにかかわらず,服薬の種類が多くなるほど発症するとされています。
自宅でできるドライマウス対策 院長コラム
『口腔乾燥症の症状は』
*のどのねばつき
*舌の痛み・違和感
*味覚障害
*口臭
*歯科疾患の増加
*のどの感染症・痛み反復
*咳払い
*飲み込みづらい
*声帯の潤滑油としての唾液分泌の低下・喉頭腺の減少が起こると、長くしゃべると声がかすれやすくなります。
喉頭においても 喉頭腺が加齢とともに減少することが知られています。その結果,加齢とともに声帯は乾燥しやすくなり,声が出にくくなります。
◆声がれ・口腔乾燥対策
自宅では
鼻呼吸を行う
1日水1.5Lの飲水(酒、カフェイン飲料以外で)
しゃべる(歌手は声帯の寿命が長い)特に高齢男性は朝の新聞などの朗読(10分)
30回噛む(唾液を出す)
薬は最小限にする
咳払いを控え、大声を出さない
胃酸逆流をおこさない生活・食習慣(院長コラム)を行う。
活性酸素の抑制(抗酸化サプリメント アスタキサンチンの服用)
病院では
鼻や後鼻漏・胃酸逆流の治療、禁煙外来受診
声の衛生(院長コラム)のどの炎症・感染対策
*腹式呼吸
*鼻歌(ハミング 共鳴の利用)
*ストロー発声オリジナルDr Titze 日本のアナウンサー編 YouTube動画
*VFE(声帯機能拡張訓練)
脂肪注入(効果は限定的:専門施設)、再生医療(先端医療)
以前行われたプッシングの対処的治療は、非生理的不適切発声方法として、過緊張発声を助長するため、最近では勧められていません。
最近の音声リハは、包括的に通常の発声の中で音声の回復をはかるVFEを行います。
腹式呼吸と鼻副鼻腔・口腔での共鳴を利用して、呼吸と共鳴を最適化して声帯に負担をかけない発声方法を学んでいきます。本格的な音声リハは、耳鼻咽喉科施設でも行っていません、特殊なボイスクリニックなどの限定された施設で行うのみです。音声リハのトレーニングを受けた言語聴覚士(ST)が必要ですが、日本では全STの数%程度の少なさのようです。
◆まとめ
水分をこまめにとって、上手によくしゃべることが最も大事です。
男性は女性より寡黙な方が多く、喋るように行動の変化をおこしましょう。
声枯れがあると、悪い物ではと不安になりますので、耳鼻咽喉科専門医で精査を受けましょう。
あなたのめまいは更年期or年のせい?BPPV
めまいは女性に多く、また加齢とともに増加します。女性は更年期障害として、めまいの訴えは6~12%程度出現する報告もあります。年をとって足腰が弱りふらつきころびやすくなり、また脳の働きの低下とともに平衡機能も衰えてつまずくことも増えます。グルグル回るようなめまいや、手足・顔の麻痺や呂律が回らないような症状と共にめまいがあればびっくりして救急車を呼ぶか、急いで病院受診を考えると思います。
軽いふらつきや立ちくらみ程度ではどうでしょうか。
病院受診はせず、疲れ、更年期、寝不足、年のせいではと自己判断していませんか? 耳からのめまいが、かなりの割合で含まれている可能性があります。
◆脳からのめまいは、意外に少ない
報告にもよりますが、脳からのめまいは、2~5%程度と考えられています。命にかかわることもあり、中枢性めまいを見逃してはいけませんので、動脈硬化・高血圧・糖尿病をお持ちの方や、中高年以降のめまいは、頭部精査を優先させる必要性があります。特に、男性中高年のめまいは注意が必要です。女性より中枢性のめまいの割合が高くなります。
回転性めまいの話題と注意点:院長コラム
めまいの原因で最も多いのは良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。確率的にはめまいの約半分と考えて下さい。
難聴・耳鳴りが出ないため、自分で耳からのめまいと判断するには難しい病気です。通常は回転性めまいですが、軽い場合や高齢者では、ふらつき程度で、自然にも軽快することも多く、更年期や年のせい疲れなどと見逃されていることもあります。
良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、発生機序から薬で治す病気ではありません。初期は、対症療法として点滴や内服することはあります。長期に薬を飲んで安静にすれば治る病気ではありませんが、医療機関で、長期に薬がだされ安静を指示されていることが多くあります。
◆良性発作性頭位めまい症(BPPV)について
耳鼻咽喉科が扱うめまいには、脳からではない末梢前庭性が多く、全めまいの60%を占めます。その中で最も多いのが良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。40%強はBPPVであると考えられています。65歳以上女性では60%強の割合に増加するようです。
通常は、回転性めまいの内耳疾患で、めまいの半分程度を占め、男性より3倍程度女性に多く、中高年の女性に多い疾患です。軽い方や、高齢者ではふらつきの訴えのこともあります。
内耳の耳石が何らかの理由で剥がれ落ち、それが動くことで三半規管を刺激してめまいが起こります。運動不足、長期臥床、外傷後に起こり易くなります。寝たきり・運動不足など動かないでいると、半器官へ耳石が溜まってしまったまま動かなくなります。それが原因となりBPPVを発症してきます。また耳石もカルシウムであるため、閉経後の女性に多い骨粗しょう症との関連も考えられています。
【診断】難聴・耳鳴り症状はなく画像検査や聴力検査・採血検査などしてもわかりません。眼振検査で誘発性の眼振・めまいで確認します。検査のタイミングが合わないまたは軽い場合は検査で所見なく、原因不明のめまい・ふらつき(めまい症)として診断されていることもあります。
【治療】
浮遊耳石置換法と自宅でのめまい体操と前庭リハです。
発症機序から、薬で治す病気ではありません。
対症療法として嘔気、めまいに対して、点滴、薬物療法は一時的に行います。治りにくい方は、薬物療法、生活指導、前庭リハを継続していきます。BPPVプラスαのめまい疾患が併存していることもありますので慎重に判断していきます。
通常は、2~3週間で自然治癒することも多い疾患ですが、再発例や難治例も多く認めます。再発率も高いため普段から運動を心がけ、動くことを意識する必要があります。難治例で、毎晩耳石が剥がれて三半規管を刺激して遷延・再発する方には、めまい体操や耳石置換法では間に合わず、上半身を少し高くしての就寝、枕を高くすると起こしにくくなると言われています。
☞ NHKガッテン20191023放送(サイト)奈良の北原医師提唱:上半身挙上の仕方が説明されています。
☞ BPPVの基本事項は次のサイトを見てください。
- メディカルノート BPPV(新潟大学耳鼻咽喉科 堀井教授 監修)
☞ NHK健康チャンネルの動画を参考にめまい体操にチャレンジしましょう。
Ⓐ 後半器官結石(右、左)BPPVのめまい体操(Epley 耳石置換療法の一つ)(動画)
Ⓑ BPPV全般の寝返り体操 BPPV全般のめまい体操(動画)(特に外側半規管結石)
Ⓒ 平衡感覚を鍛えてめまいを解消(動画)
Ⓒの動画は、BPPVだけでなく、前庭神経炎、メニエール病などの急性期後のリハビリとしてのめまいリハや加齢変化による平衡機能の低下予防にも応用できます。
☞ BPPVの難治化要因としての寝相・骨粗鬆症との関係:
難治化や再発例は、寝相が良すぎて動かずいつも同じ向きで寝る方、長期臥床後、二次性(メニエール病後、外傷後)に多いと言われています。
また骨密度が低下した方に、再発例が多い報告があり、耳石が脆弱化している耳石粗鬆症とも考えられています。今後、若いころからから骨粗鬆症への対応がBPPV発症の予防につながる可能性があります。
◆possible BPPV(BPPVの可能性として治療 検査でわかりにくい)
眼振検査で分かりにくい典型的眼振消失後の耳石異常のBPPVのことです。
2015年の BPPV の新診断基準では,繰り返す頭位性めまいを訴えるが,頭位,頭位変換眼振を観察されない,非典型眼振を認める BPPV を possible BPPV と定義されています。
臨床の現場では、検査のタイミング次第で、眼振所見を認めず、典型例以外の眼振疑いの状態はよく経験します。頸部痛・腰痛・めまい恐怖・体調不良からうまく検査ができない方も多くいらっしゃいます。Possible BPPVは、誘発性めまいを反復し、めまいリハを恐れず反復することで改善に向かう方たちを想定された呼び名です。誘発性めまいを恐れないで前庭リハを行うことが強調されます。
病院で確定診断されず、原因不明のめまいに中にpossible BPPVが潜んでいる可能性があります。耳石は2~3週間で自然代謝して消失するため、病因での検査の時に小さい耳石で検査感度以下の時は、眼振検査ではわからないことがあります。原因不明のめまいの方は、一度はBPPVを疑い積極的に前庭リハを行ってみましょう。
または奈良の北原先生が提唱しているヘッドアップ療法を行ってみてい下さい。
BPPVとヘッドアップ療法(原因不明のめまい) youtube 北原:耳鼻科めまいセンター
☞ PPPDも症状が似ていて原因不明のめまいの原因の一つに挙げられますが、PPPDは昼から悪化してきます。BPPVは朝に悪くなります。PPPDはふらつきの訴えでBPPVの典型例は、回転性めまいが主となります。
診断がつきにくいめまい症:PPPD 院長コラム
◆めまいの原因は一つではない
高齢になれなるほど併存疾患もふえてきます。併存疾患のための薬が多くなり薬剤性めまい・ふらつきが増えてきます。加齢のため動脈硬化が進行し脳虚血が起こり易く、筋力の低下が進むため立ちくらみ・ふらつきが増えます。女性は貧血・更年期障害・片頭痛関連・自律神経症状との併存が多くなります。
以下のコラムも参考にしてください。
診断が難しい高齢者めまい:院長コラム
『めまい疾患併存例』
*更年期のめまいとメニエール病
*BPPVとメニエール病
*BPPVと立ちくらみ
*メニエール病と心因性めまい
*片頭痛関連めまいとメニエール病
*加齢によるふらつきとBPPV
*薬剤性のめまいとBPPV
*薬剤性のめまいと加齢によるふらつき
*肩こりのめまいとBPPV
*椎骨脳底動脈循環不全とBPPV
など併存していることもあり見極めて対応が必要になります。
確率的に多いBPPVはいつも鑑別に上げて耳鼻咽喉科専門医やめまい相談医の受診を考えて下さい。
◆まとめ
めまいの訴えイコール
抗めまい薬(メリスロン、アデホスなど)、漢方などの長期処方や点滴加療・安静で終わりではありません。
めまい・ふらつきの原因を見極め、耳鼻咽喉科的精査以外では、必要により頭部精査・貧血・心疾患不整脈の精査および婦人科での精査など行っていきます。前庭リハや運動習慣も重要です。フレイル・筋力低下対策としての筋トレ・食事療法も行いましょう。BPPVはいつも鑑別に上げましょう。
【めまい・ふらつきの治療】
内科的治療
耳石置換療法、ヘッドアップ、前庭リハビリ
抗めまい薬、漢方処方
睡眠指導
筋トレ、運動食事療法
カウンセリング、心身症として治療
など幅広い知識のもとに対応が必要です。他科の先生方の協力を得ながら対応する必要性も出てきます。
お子さんの新型コロナ対策は大人から!!
👉 子供の感染対策は、なぜ難しいか?
*成人より子供は無症状者が多い
*学童以下では嗅覚・味覚は訴えないことが多く典型的な症状がない
*大人と症状の経過が違う;
大人と違い感染しにくく、感染しても通常の風邪症状と変わらず軽症がほとんどで重症化しにくい
*子供は、新型コロナ以外の風邪ウイルス(RSV,インフル、アデノなど)、マイコ、溶連菌などに罹りやすく鑑別診断が難しい
など成人とは少し異なります。
子供さんの立場からすれば、無症状が成人より多く悪くならないので良いことですが、子供の新型コロナの感染者は見つけにくくなります。
子供の場合、感染対策の視点からは、大人よりいっそう対応が難しくなっていきます。
成人でも、COVID-19は無症状であるケースも多くあり、水際で100%防ぎきれません。どれだけ症状を詳しく聞き、発熱に注意したとしても、ウイルス排泄は発症の2~3日前から始まり、0.8日前にはピークを迎えています。そういう意味で、COVID-19はきわめてたちが悪く、感染対策という点で対応しづらいウイルスであることを我々は実感しています。最近では、有症状者は、発症後より発症前の方が40%感染させる確率が高いことも報告されています。
【よく知られた大人の新型コロナ感染症の経過として】
*潜伏期は2~14日程度(5日が平均)
*発症から1種間程度は通常の風邪症状・倦怠感・嗅覚味覚障害など
*軽症者の80%はこのまま軽快
*約20%が発症1週間頃から咳・痰・呼吸困難が悪化して肺炎が悪化。
*約5%が集中治療室で人工呼吸器管理
*2~3%で致命的
子供の新型コロナは軽症または無症状で重症化することはほとんどありません。特異的とされる嗅覚・味覚障害はお子さんが自分から訴えることはあまりなく、
子供は、成人の経過とは異なると思って対応が必要です。3月14日現在、日本の20歳未満の死亡者はゼロです。
【子供の新型コロナの特徴】
2021年3月14日現在、日本の感染者約44万人 死亡者約8500人のなかで、10代の感染者は約2万8700人、10歳未満は約1万2600人の感染者がいますが、20歳未満の死者はゼロです。
20歳未満の治療は、90%は無治療で10%程度にステロイドなど使用することがあります。つまり、子供の新型コロナはほとんど重症化すること無く、かかってもほとんどが無治療ですんでしまうことになります。
子供は成人より新型コロナに感染しにくいと考えられています。但し、1歳未満は2~5歳より感染リスクは高くなるようです。無症状感染が多く感染しても1日で熱が下がるなど通常の風邪と変わらないこともあり実態がわかりにくい状態です。症状として発熱・咳が多く10%程度お腹の症状が認めます。新型コロナに特徴とされる嗅覚・味覚異常を10歳未満の子供が訴えることはほとんどありません。子供は、新型コロナ以外の風邪ウイルス(RSV,インフル、アデノなど)、マイコ、溶連菌などに罹りやすく診断を難しくしています。新型コロナと普通の子供の感染症との混合感染にも注意が必要になります。
👉 ポイント!!
【子供の感染経路から対策を見つける】
子供の感染経路のほとんどは、大人からで家族内感染(約70%)が最も多く、両親・家族の風邪症状や体調不良から確認することが大事です。
新型コロナウイルスを
大人が学校へ
親が家庭へ
持ち込むことから考えましょう。
*日本小児科学会報告では、日本の20歳未満の報告では、家族からの感染は70% 学校内感染は5~6%幼稚園保育園内感染は5% 塾関係では1%程度です。
*2020年12月の文科省からの小・中・高を分けた具体的報告では、
小学・中学での家族内感染は約70%程度の同様な報告ですが、高校では家族内感染が30%程度に低下して、学校内感染は小・中の6%程度から高校では24%程度上昇します。
高校生は、成人並みの感染経路を考えた対応が必要です。
*クリニックでの問診は、まず両親や家族のの感染を確認します、次に感染の順番は、こどもが先か大人の家族が先かを確認していきます。
新型コロナの潜伏期は5日程度(2~14日)が多く、感染発熱が1~2日で連鎖するときは、インフルや別のウイルスの方が、可能性が高くなります。
今後、変異株の増加に伴い子供のクラスターの発生に注意を向けた対応も必要になります。今は、風邪、インフルは流行していませんので、集団保育・学校での病気欠席者が多いときは、変異株の感染クラスターを疑い、早めのPCR検査を行う必要性があります。
👉 お子さんの新型コロナ対策はどうするか?
子供はかかりにくいと考えられていますが、子供のウイルス排泄量は多いと報告されています。
2021年1月18日The Lancet infectious diseaseの報告では
20歳未満は、60歳以上と比べ60%近く他人を感染させる確率が高いとなっています。
この報告では、無症状者は有症状者に比べ80%感染させる確率が低く有症状者は、発症後より発症前の方が40%感染させる確率が高いことも報告されています。
日本でも変異株の増加が報告されてきていますので、子供のクラスターの発生が危惧されています。子どもの身の回りの世話をする大人の感染の予防も考える必要性があります。
【大人や周りから感染を推測する重要性】
インフルの場合発熱の直前から感染力を認めますが、新型コロナの場合は、発症3日前からと無症状者からの感染を考えなければならず、無症状が多い子供の感染を考えた対応では、お子さんの学校の生徒さん及び先生の病気欠席状態の他にも、ご両親・家族の健康状況に気を配る必要性があります。
【大人の感染に対する予防の自覚】
子供はまわりから、確認していくことが重要です。つまり、子供の感染を防ぐには、我々大人の感染対策への自覚が最も大事です。
【子供の身の回りの世話をする大人の感染の予防も大事】
子供のウイルス量の排出は成人並みと考えられ20歳未満は、60歳以上と比べ60%近く他人を感染させる確率が高い報告があります。
子供の身の回りの世話をする大人の感染の予防も大事です。
新型コロナ対策:性差・子供の視点から
3密回避、マスク・手洗いはwith コロナでは、常識となっています。
これを実際どこまでできるかが問題です!!
米国疾病管理予防センターから、無症状の感染者からの感染割合について、全感染の半分以上を占めることが示唆されました(JAMA Network Open誌2021年1月7日号に掲載)。
有症状者への対応は、施設・学校・会社では今では常識として定着して効果をあげていると思われますが、無症状者からの感染リスクを減らすには十分ではありません。
3密(密閉・密集・密接)回避、マスク・手洗いを、自宅も含め徹底するしかありません。
家でもユニバーサルマスクも考える必要があります。
重症化リスクが高い高齢者と関連する施設や感染リスクが高い病院では、偽陰性のことも考え1週間隔での定期的な無症状者へのPCR検査や、精度は落ちますがスクリーニングとして容易な抗原定性検査を行うなど戦略的対策も考えなければならないでしょう。
最後は、各自が免疫を落とさない生活食習慣を実行していくことです!!
『切り札のワクチンの課題』
切り札としては、安全で効果的なワクチンが利用可能になり広く使用されるしかないと思われます。しかし現在の日本で予定されている遺伝子ワクチンは、効果はあるようですが、冷凍管理の問題、効果の期間、安全性、今後出現する様々な変異株への効果などわからないことが多く、今後も改良の余地が多く残されています。また発症または重症化を予防できても、新型コロナは無症状からの感染も多く、ワクチンで感染力をどこまで抑制されるか不明です。
👉 今回のテーマ
女性は男性より重症化率が低く、子供はかかりにくく重症化しにくいことがわかっています。なぜなのかを考え、我々が免疫を落とさないように出来ることを学びましょう。
◆子供はなぜ軽症またはかかりにくいのか?
【子供の新型コロナの特徴】
子供は新型コロナウイルスがくっつくACE2受容体の発現レベルが低く、子供の重症化リスクは、30代を基準に10代が0.2 10歳未満は0.5と低いことがわかっています。成人より感染しにくいと考えられています。無症状感染が多く感染しても1日で熱が下がるなど通常の風邪と変わらないこともあり実態がわかりにくい状態です。お子さんの特徴として、マイコ、インフル、RSVとの混合感染も稀ではありませんので診断が難しくなります。2歳未満、悪性疾患や心疾患をお持ちのお子さん、重症化の恐れがり注意が必要です。
稀ですが、欧米では子どもの新型コロナに関連して、(不全型) 川崎病に似た全身に強い炎症を起こす病態が報告され、新型コロナウイルス感染症関連小児多系統炎症性症候群と呼ばれています。これは発熱、皮疹、結膜充血、心筋障害、腎障害などが見られる重症の病態です。アジアでの報告はほとんどありません。
第1波の時に行われた学校閉鎖は、流行阻止効果は乏しいと現在は考えられています。
【小児の感染経路】
小児の感染経路について文科省の報告(2020年12月3日)から
*家族内感染(小学73%、中学64%、高校32%)
*学校内感染(小学6%、中学10%、高校24%)
*家庭学校以外の活動(小学11%、中学8%、高校9%)
*感染経路不明(小学10%、中学18%、高校35%)
小中学生の約7割が家族内感染のため、現状では、小児の感染を考える時、ご両親や周囲の大人からの感染をまず考えます。
最近の報告では、小児は成人より新型コロナに感染しにくいと考えられています。しかし小児のウイルス排泄量は成人同様で便からも排出を多く認めます。小児の場合、症状の在り無しでウイルス量はあまりかわらないようです。 しかし、子供間の学校内感染は多くありません。
小児は、成人よりインフル、RSVなどウイルスやマイコなど呼吸器感染に罹患しやすいのが通常ですが、新型コロナでは、逆に小児に感染しにくく重症化しません。この現象は、SARSやMERSでも同様のことが起こっています。![]()
但し、小児は感染者が少ないため、スプレッダーとして過小評価されている可能性があります。今後、感染者が増え変異株の割合が増えてくるに従い小児の感染力や社会への影響がはっきりしてくると思われます。
【最近の外国の子供と新型コロナのまとめ論文から】
「Archives of Disease in Childhood」に2020年12⽉1⽇掲載
➊ 自然免疫が強い
*免疫強化つながる生ワクチンを多く接種して経過時間が短い、何度も他の風邪ウイルスに多く罹患していて、自然免疫記憶が向上しているなど、子供は強い自然免疫反応を持っています。
*子供は抗炎症・抗酸化作用のビタミンDが多い傾向にあります。欠乏すると、新型コロナの重症化を招く報告があります。ビタミンDはインフルや風邪ウイルスの呼吸器感染抑制効果を認め、高齢になればビタミンDは低下します。
ビタミンD欠乏で 新型コロナの死亡率は約4倍高くなる報告(American Journal of Clinical Pathology誌2020年11⽉25⽇号)が最近でていますが、重症化と関係ない報告もあります。ブラジルからのビタミンDのサプリで、新型コロナの重症化は防げなかった報告もあります。
*細菌叢は、免疫の調節や炎症、疾患に対する防御において重要な役割を果たしています。子供は成人と違い、鼻の奥に細菌叢やウイルスの定着があり、細菌ウイルス間の相互作用と競争で新型コロナウイルスを排除している可能性があります。
*子供は癌治療や免疫抑制の状態にあっても、成人より新型コロナの影響を受けにくいと考えられています。
❷ 新型コロナがくっつくACE2受容体の発現が低い
*子供は、抗炎症・抗酸化作用のメラトニンが多く、メラトニンはACE2受容体の発現を低下させます。
*子供は、新型コロナウイルスがくっつくACE2受容体の発現レベルが本来低いと考えられています。
新型コロナは、呼吸器に感染するが悪化するときは血栓をつくり
血管病として重症化すると考えられています。
男女とも罹患率は変わらないようですが、60歳以上の高齢になるほど、男性は特に致死率が高まります。
この男女差について今までは
*エストロゲンで血管保護
*女性は男性よりソーシャルディスタンスなどルールを守る
*男性の方がタバコ・飲酒・偏った食事習慣の方が多い
など色々な説が考えられていました。
☞ 最近のエール大学の報告(Nature | Vol 588 | 10 December 2020)では、新型コロナでは、男性は獲得免疫を担うキラーT細胞と呼ぶ免疫細胞の活性が落ちるほど重症化しやすいことがわかりました。女性のほうが、免疫応答が活発であるようです。膠原病など自己免疫疾患は女性が男性より多いことからも納得できる内容です。今までも新型コロナ以外のSARSなど多くの感染症でも男性の方が重症化しやすいことはわっかています。
【まとめ】
*免疫を落とさない生活習慣(睡眠、運動)
*腸内細菌を整える食生活
*ビタミンDを減らさない食生活と適度な日光浴
*日内リズムを整え、メラトニンを減らさない運動、日光浴、食生活
*血管保護を考えた生活食習慣
*重症化リスク因子の肥満の改善
を行いましょう。
👉 具体的には
マスク・手洗い・3密回避(密閉・密集・密接)以外に皆さんにすぐにできることは、
*ビタミンD豊富な食材のキノコ類やサーモン・鮭など魚を食べる
サーモンは、お子さんにも人気で、回転すし店の一番人気食材です。
ビタミンDは、抗炎症・抗酸化作用、呼吸器感染抑制効果を認めます。欠乏で新型コロナによる死亡率を4倍上昇させる報告がありますが、重症化と関係ない報告もあります。ビタミンDにこだわらず、バランス良い上記食材の摂取は健康な食生活に良いと考えられます。
*自宅内だけで自粛せず密にならない公園など外に出かけ、
日光をあびてビタミンDをあげましょう。
日光浴・運動は、メラトニン上昇にも影響します。
納豆・肉・乳製品を食べトリプトファンを摂取するとメラトニンの上昇を促します。メラトニンは、抗炎症・抗酸化作用およびACE2受容体の発現を低下させます。ビタミンD、メラトニンは加齢に伴い低下していきます。
*動脈硬化を予防する黄緑色野菜・キノコ類の食物繊維を多くとり、オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)が豊富な魚・クルミを食べ、塩分を控えます。免疫に重要な腸内細菌叢を整える効果もあります。
*免疫を落とさないように、良質な睡眠をとり、運動習慣を持ち、重症のリスク因子の肥満を改善しましょう。
『お勧め食材』
*サーモン・鮭など魚(ビタミンD 、アレルギー抑制・心血管系によいオメガ3脂肪酸が豊富)
*キノコ類:マイタケ、シメジ、エリンギなどのキノコ類は、ビタミンDや免疫活性のβ-グルカンも含む食物繊維豊富で、カロリーが低く、腸内細菌叢も整えます。
*オメガ3脂肪酸を多く含む食材:魚や青魚の缶詰、くるみ、
お子さんの中耳炎の疑問に答えます:パート1(家庭の医学編)
【家族からの質問編】
*耳に洗髪や入浴の水がいると中耳炎になりますか?
*子供に中耳炎が多いのはなぜ?
*子供の中耳炎は何科がみる?
*最近の子供の中耳炎は軽症化しているの?
*鼻吸いで中耳炎の予防ができますか?
*急に耳が痛いときはどうする?
*おしゃぶりで中耳炎が悪化しますか?
*赤ちゃんのミルクで中耳炎が悪化するの?
*赤ちゃんを飛行機にのせても大丈夫?
*中耳炎になると聞こえなくなるの?
*中耳炎・発熱で入浴は大丈夫?
*中耳炎で保育園・幼稚園は言ってよいですか?
*中耳炎でプールに入ってよいですか?
*中耳炎は自然に治るの?
*中耳炎で頻回な通院は必要?
『解説』
*耳に洗髪や入浴の水がいると中耳炎になりますか?
中耳炎は鼻の奥の上咽頭耳管を通して感染炎症が中耳まで波及して起こしますので、耳に水が入っても鼓膜がブロックしてくれて中耳炎はおこしません。但し、鼓膜に穴があると耳に水が入れば起こすことがあります。また入浴や温泉プールで深く潜ると、耳抜き機能の耳管の圧調整がうまくいかず中耳炎をおこすことがあります。鼻の奥に炎症があると生じやすくなります。
*子供に中耳炎が多いのはなぜ?
➡鼻と子供の中耳炎(当院コラム)を参考に!!
中耳炎は、鼻の奥の耳管を介して感染・炎症が波及して生じます。
次の三つの因子が重要です。
①耳管の未熟性(耳管とは鼻の奥から中耳につながる管のこと)②未熟な免疫 ③易感染と薬剤耐性
①耳管の未熟性
乳幼児の耳管は成人の1/2の短さで、また太く水平のため鼻の奥の感染が耳管を経由して中耳に感染を起こしやすくなっています。学童のころになると成人に近い耳管構造となり、中耳への感染が波及しにくくなります。
②未熟な免疫
赤ちゃんは母体から胎盤を経由してもらった免疫を持って生まれますが、5~6ヶ月頃には尽きてしまい風邪を引き易くなります。かぜを予防するIgG免疫グロブリンは、2~4歳で上昇しはじめ15歳で成人並みになります。
③易感染と薬剤耐性
免疫が十分でない乳幼児のお子さんは、サークルや集団保育に参加することが多くなり、周囲から風邪のウイルスや細菌をもらいやすくなります。
集団保育のお子さんたちは、風邪をひく機会が多く、そのたびに抗生剤を服用する機会が多くなり、必然的に薬剤耐性菌が子どもたちを介して広がっていきます。
*最近の子供の中耳炎は軽症化しているの?
➡急性中耳炎の治療の変化:治療から予防へ(当院コラム)を参考に!!
ここ10年次第に、急性中耳炎への鼓膜切開の回数が、減ってきています。鼓膜切開は重症中耳炎の急性期治療手段の一つです。重症中耳炎を何度も繰り返すとき鼓膜チューブ挿入術を行うことがありますが、チューブ挿入術も減少していて欧米でも同様の傾向です。最近のワクチンの普及と2010年頃発売された新規抗生剤の効果もあり、中耳炎が治りやすくなっていると思われます。昨年からの新型コロナの時代では、感染対策が行き届き風邪をひかなくなり、中耳炎そのものの減少がおこっています。
小児疾患全般でも、鹿児島県の小児入院患者数が2005年9万人から2014年6万人へ減少しています。細菌性ヒブ髄膜炎は、鹿児島で年間10~12人発症が、今はゼロとなりました。厚労省の報告でも、小児入院患者数が1999年からは2011年には65%に減少、同時期の小児人口の減少は95%程度ですので、全国的にも小児入院患者数が減少は明らかな状態です。外来患者数が減っているわけではないようですので、重症の患者さんが減って、外来で通院対応できるようになったと考えられます。呼吸器疾患では、小児喘息の患者さんの入院が、吸入ステロイドの普及で減少し、小児肺炎の入院が減っているようです。
*子供の中耳炎は何科がみる?
➡急性中耳炎の治療の変化:治療から予防へ(当院コラム)を参考に!!
日本では、耳鼻咽喉科が診察することが多いとも思いますが、欧米では、小児科や家庭医が診察することが多く、外科的治療が必要な場合に耳鼻咽喉科へ紹介となることが多いようです。本邦では、欧米より薬剤耐性菌が多く中耳炎が難治化していることや欧米との医療体制の違いもあります。
最近では、ワクチンの普及と抗生剤の新薬の効果もあり、中耳炎の軽症化や鼓膜切開および鼓膜チューブ挿入術の減少に伴い、本邦でも、小児急性中耳炎を耳鼻咽喉科医より小児科医や救急医・家庭医がみることが多くなっています。小児急性中耳炎診療ガイドライン2018年版では、重度の中耳炎の鼓膜切開の適応について、耳鼻咽喉科以外の医師のことも考え『鼓膜切開が可能な環境では実施を考慮』とオプションとしての選択となっています。
*鼻吸いで中耳炎の予防ができますか?
鼻水・鼻詰まりがあれば鼻吸いは定番になっているようです。赤ちゃんの鼻閉はおとなのように口呼吸がうまくできないため、容易に哺乳不良、不機嫌、息苦しさが出現します。鼻の奥(上咽頭)から中耳炎はおこすため、鼻汁を外にだしてあげることは、赤ちゃんの症状の改善や中耳炎へ一定の予防効果はあると思われます。 但し、効果の限界と弊害にも注意しましょう。
弊害:鼻の入り口は非常にデリケートな場所で特に赤ちゃんは容易に傷つきやすくやり過ぎると粘膜炎症からカサブタがつきやすくなり逆効果となります。鼻が少し通りやすい入浴後など粘膜が湿潤している時は鼻吸いのタイミングです。赤ちゃんは成長するにつれ、押さえるのも大変で、鼻吸いによるストレスの方が大きくなり2歳以降は、鼻吸いより自分で上手に鼻をかむ練習(片方ずつゆっくり)をしましょう。鼻をかむことも成長のステップと考えて下さい。
効果の限界:鼻吸いは鼻の粘膜腫脹には効果はありません。鼻水に対しても、自宅鼻吸いや先が丸い透明のオリーブ管鼻吸引でとれるのは、主に鼻の前方の鼻汁です。鼻粘膜腫脹があれば効果はわずかです。中耳炎の予防や難治性鼻閉で最も問題なのは、鼻の奥の耳管に通ずる上咽頭の炎症や鼻汁です。鼻吸いやオリーブ管鼻吸引では、上咽頭までうまく対応できません。鼻汁の粘ちょう性が強ければ吸引効果は尚更減弱します。耳鼻咽喉科での処置は上咽頭を含めた対応を行っていますのでご相談して下さい。
*急な耳痛時はどうする?
➡耳痛&夜間対応(当院HP疾患)を参考に!!
お子さんの場合は中耳炎の可能性が高くなります。
長期に持続するいたみでなければ、夜間はカロナール(アセトアミノフェン)など解熱鎮痛剤で応急処置を行い、翌日の耳鼻咽喉科受診で問題ありません。小さいお子さんがいる家庭では、解熱鎮痛剤の常備は必要です。
他の原因として、外耳炎やおたふく、首のリンパ節炎、扁桃咽頭炎からの放散痛のこともあります。外耳炎の場合、耳介を引っ張って痛い、耳いじりや耳掃除後から出現することが多く、中耳炎の場合、耳閉感、難聴を伴います。嚥下に伴い痛い場合は、のどや顎からの放散痛の可能性も考えます。首をさわって痛い場合、頸部のリンパ節炎やおたふくの耳下腺炎の初期のこともあります。最近は稀ですが、耳の後ろが腫れる中耳炎の合併症の乳様突起炎は、緊急入院となります。
*おしゃぶりで中耳炎が悪化しますか?
乳幼児におしゃぶりを止めたグループでは2~3割程度、急性中耳炎が少なかった報告があります。おしゃぶりは、鼻呼吸の習慣、精神安定など効果はあるようですが、歯並びへの悪影響、中耳炎への影響もあるため、乳歯が生えてくる時期と集団保育・サークル活動を始める1歳までにやめるほうが望ましいでしょう。
*赤ちゃんのミルクで中耳炎が悪化するの?
ミルク性中耳炎といわれていますが、医学的には頭位・体位性中耳炎と考えます。言葉からは、臥位や添い寝をしてミルクを飲ませると直接鼻の奥へ逆流し耳へ波及すると考えてしまいますが、実際は、ミルクを飲み、飲んだ後の胃食道逆流が原因で鼻の奥から中耳へ波及することで中耳炎が生じると考えられています。ミルクだけでなく母乳も飲ませたら背中を軽く叩いてゲップをさせて大丈夫となって寝かせると防げます。ミルク、母乳を飲ませてすぐに横にすると、赤ちゃんの胃食道は未熟なため逆流をおこしてしまいます。赤ちゃんが、咳や泣くだけで吐くのもそのためです。ミルクが原因ではなく、飲ませてすぐに横にすることが問題です。右を下に寝かせる右中耳炎を生じやすくなります。
*赤ちゃんを飛行機にのせても大丈夫?
耳抜きが問題となる成人に多い航空中耳炎を心配されると思います。乳幼児の耳管は成人の1/2の短さで、また太く水平のため気圧の調整は容易にできる構造になっています。ミルクを飲んだり泣くだけで耳管が開きやすく航空中耳炎は生じにくいと考えられます。その代わり、鼻の奥の感染が耳管を経由して中耳に感染を起こしやすくなっています。鼻汁・鼻閉時は、赤ちゃんも航空中耳炎を注意しなければなりません。赤ちゃんの免疫力、飛行機内の特殊な環境、授乳回数、首の座りの問題なども考えて搭乗を考えて下さい。
*中耳炎になると聞こえなくなるの?
成人の急性中耳炎は多くありませんが、内耳に波及したり、慢性中耳炎・好酸球性中耳炎が背景にあると回復しない感音性難聴が生じることがあります。急性中耳炎は、7~8割程度の乳児が、一度は経験するありふれた病気です。現在はすぐに治療を行うこともあり、通常の中耳炎から回復しない感音性難聴の後遺症はあまり経験しません。中耳炎が回復すれば聞こえも戻ります。
但し、一部は難治性の反復性中耳炎、慢性滲出性中耳炎、癒着性中耳炎、鼓膜穿孔を伴う慢性中耳炎、真珠性中耳炎などになり、外科的治療が必要になることもありますし、長期間難聴のため言語発達にも注意が必要となります。小児でもこのように慢性の中耳感染が反復すれば、長期的には、感音性難聴の後遺症が出現することがあります。
中耳炎は治せる難聴ですが、感音性難聴は、急性期(初期2週間程度)以外は回復困難と考えられています。乳幼児の難聴で中耳炎以外では、先天性感音性難聴(1/1000人)や回復が困難なムンプス性重症感音性難聴(予防には、おたふくワクチン2回推奨)が問題になります。
*中耳炎・発熱で入浴は大丈夫?
➡発熱・免疫・入浴(当院HP疾患)を参考に!!
元気があり38度未満で嘔吐下痢がなければ入浴は問題ないと思います。
湯冷めしない配慮は必要です。入浴は乳幼児の鼻閉に効果があり、のどへ加湿を行い、皮膚を清潔に保ちます。細菌に対する抵抗力を高め、新陳代謝を亢進するなどの効果が期待できます。潜ることは控えてください。
*中耳炎で保育園・幼稚園は言ってよいですか?
全身状態が良い中耳炎の登園は問題ありません。但し、急性中耳炎は急に進行することがあります。朝、耳痛で受診し午後から急に悪化して再受診のこともありますので、発病初期は、急な進行を想定していてください。発熱なく全身状態がよくて幼稚園に行くことができても、場合によっては耳痛や発熱が急に出現して、電話で呼ばれることもあると思って下さい。
*中耳炎でプールに入ってよいですか?
➡プールに入ってもよいですか?耳鼻の病気(当院コラム)を参考に!!
急性期と耳漏が多量の場合は禁止です。急性中耳炎(耳痛と発熱などあり)では最低1~2週間禁止となります。鼻漏を認めるときは再発のリスクが高いと認識することです。鼓膜穿孔や鼓膜チューブ挿入の場合は、耳栓・水泳帽を使用し、潜水や飛び込みは控えます。滲出性中耳炎は、プールは可能ですが、担当医と相談しましょう。
*中耳炎は自然に治るの?
小児の7割弱は、3歳までに一度は中耳炎に罹患します。その3~4割は3回以上も起こす乳幼児には、ありふれた疾患です。軽い中耳炎の場合、乳幼児の訴えはわかりにくいこともあり、病院にいかないで自然に改善していることもあると思われます。診断された軽症急性中耳炎は、痛み止めだけで抗菌剤を使用せず、数週間以内に自然に改善することもあります。難聴が主の滲出性中耳炎も数ヶ月で自然回復することもあるため、3ヶ月は、経過を見ることになっています。2歳未満、保育園・幼稚園などの集団保育、両側罹患、鼻・副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎の合併があれば自然治癒は低くなり、特に鼻炎症状が持続すれば中耳炎はなかなか治りません。高熱・耳痛を反復する中耳炎(反復性中耳炎)、長期難聴のため言語発達に影響する中耳炎(慢性滲出性中耳炎)、危険な中耳炎、大きくなっても改善しない慢性中耳炎など、最初から診断できることは少なく、数ヶ月~数年の経過の中で聴力・鼓膜所見を参考に判断されるものです。中耳炎は自然治癒することもある疾患ですが、難治化することも多くあるため、乳幼児の間は、長期的視点での対応が必要になります。
*中耳炎で頻回な通院は必要?
担当医により対応が違うことがあります。
急性中耳炎、遷延性中耳炎の場合
急性中耳炎の耳漏が持続する場合や、中耳炎に合併する鼻閉・鼻汁がひどく睡眠障害や哺乳障害などあれば、頻回な通院による耳や鼻の処置・鼻洗が必要になることがあります。鼻副鼻腔炎は、急性中耳炎の難治化や再燃・再発の重要なリスク因子となるので、鼻処置は中耳炎の治癒促進に一定の効果はあると思われます。しかし、頻回な通院はご家族の負担も大きく、自宅での対応も考えましょう。乳児~2歳程度までは自宅での鼻吸い、すこし大きくなれば上手な鼻かみ、学童になるころは自宅鼻洗なども、治癒促進や再発予防に一定の効果があると思われます。やり過ぎると鼻粘膜損傷、鼻出血、耳痛など出現することもありますので気をつけて下さい。
難聴が主の滲出性中耳炎の場合
ある程度自然治癒が期待できるため3ヶ月程度経過観察を行います。リスク因子の鼻副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎があれば同時に治療を行います。以前から耳鼻咽喉科外来で行われている頻回通院の鼻処置・ネブライザーや通気療法は、小児滲出性中耳炎に対する有効性は明らかではありませんが、無効というわけでもありません。通気療法は、自宅でオトベントによる自己通気を1日3回以上行うと有効性が認められるようです。
参考資料
小児急性中耳炎診療ガイドライン2018年度版
小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年度版
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