院長の健康情報コラム
耳掃除は必要か?外耳炎・カビ・事故
6月に入って梅雨になり、高温多湿と紫外線が強くなると最も多くなる診療科はどこでしょうか?
それは皮膚科です。
耳鼻咽喉科でも、耳の皮膚疾患である外耳炎、外耳湿疹、外耳道真菌症(カビ)の患者さんが多くなりました。例年涼しくなる10月頃までこの傾向が続きます。このような病気になり易い方は、日頃から耳掃除をまめに行っている方です。
耳の衛生を保つためや気持ち良いからやっている耳掃除が、耳垢栓塞の原因となること、外耳炎、外耳湿疹、外耳のかびを生じさせてしまうことをご存知でしょうか?耳掃除による事故も多く、救急車を呼ぶこともあるようです。米国の耳掃除ガイドラインでは、一部の人は除き、症状が無い耳垢は掃除はせず放置してよいとなっていますが、日本のネットでは、よく月1~2回程度の耳掃除の回数が記載されています。どちらが正しいのか?
👉今回、耳掃除に対しての正しい考えや弊害を学んで,必要性を考えてみましょう!!
耳の掃除は本当に必要なの?静岡県学校保健委員会(youtube)耳に中のおもしろい教育動画です!
◆耳垢には外耳での重要な役割があり、
外耳道には自浄作用と
その皮膚には保護作用があります。
『耳あかの役割』
*その酸性やタンパク分解酵素で抗菌作用を有する
*脂肪が含まれ外耳道を保護しています。
*外耳道への昆虫の侵入を防いでくれます。
耳あかの正体は、古くなった表面皮膚の剥脱、ほこり、汗腺の一種で耳垢腺や皮脂腺の分泌物があわさったものです。耳垢腺や皮脂腺は外耳の外側1/3(軟骨部外耳道)に存在し、その奥(内側2/3骨部外耳道)にはありません。耳の穴の皮膚は常に新陳代謝を繰り返し、少しずつ外側へ向かい、顔やあごの動きや咀嚼・あくびに合わせ耳垢も自然に外に排出されます。鼓膜と外耳道の表皮の移動速度は、1日に約1mmと言われています。
外耳道は3cmほどあり、耳垢は外から耳垢腺・皮脂腺がある1cmまでしかできず、それ以上奥にあるものは綿棒などで押し込んだものが殆どです。つまり耳あかは外耳道のなかで必要なもので、通常は自然排泄し除去する必要はありません。
『外耳皮膚の保護作用』
皮膚の表皮はケラチンというタンパク質が主体となって、角質層を形成して外部から物理的・化学的な作用に対する保護作用をしています。皮膚の表面は酸性を示す皮脂膜が形成されていて、このため細菌の繁殖が抑制され、その毒性が減弱されています。耳・外耳をいじり過ぎると、皮膚が傷つけられ皮膚のバリア機能が低下して、痒み、痛み、浸出液の原因となり、細菌や真菌の感染を助長します。
酸性である耳垢は、細菌や真菌の発育を抑制しています。除去すると保護作用が低下して、耳いじりによる浸出液や高温多湿で湿気が増えると、外耳道入り口から耳介の表皮の浸出液は培地となり、皮膚の㏗は5から7へとアルカリ化に伴い組織内への細菌の侵入を容易になってきます。
◆耳掃除による事故
国民生活センターから平成28年に
『油断しないで!耳掃除』(サイト)
で発表されていますので確認して下さい。具体的事例が多く記載されていますので見てみましょう。身近なことだと理解できます。
☞ 耳かき棒と綿棒も同等に事故が生じています。
アドバイスとして以下のことが記載されています。
周囲の状況(子供やペット)に注意し、安定した姿勢・場所で行いましょう。また、耳かき棒や綿棒を奥に入れ過ぎないようにしましょう。
*耳かき棒や綿棒を乳幼児の手が届く場所に放置しないようにしましょう。
*子どもに耳掃除をするときは、動いたらけがをするおそれがあることを理解させましょう。動いてしまう可能性があるときは、無理に耳掃除を行わない方が良いでしょう。
*耳掃除中のけがにより後遺症が残ることもあります。けがをした場合は直ちに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
*耳の中に綿棒の綿体や耳かき棒の一部が残って取り出せなくなった場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
東京消防庁 『耳かき中の事故に注意』(サイト)
☞ 平成21年から5年間に380件に耳かき関連救急搬送があり、その中で0~4歳のお子さんが150名と約半分に相当する報告があります。
◆米国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会から出た耳垢栓塞診療手順ガイドライン(サイト)
(2017年 生後6ヶ月以上の方に適応)
ネットのコメントの中で、日本の耳鼻咽喉科医師を含めた多くの医療関係者が参考にしている指針です。
重要な部分を抜粋しました。
Your body makes earwax to protect your ear canal skin and kill germs.
Know that earwax is normal.
Earwax that does not cause symptoms or block the ear canal should be left alone.
Among those who may be helped are the elderly, people with hearing aid, and those with a history of too much earwax.
Most people do not need a regular schedule for preventing earwax buildup.
There is no standard course of action for preventing earwax buildup.
Most people do not have to do anything unless too much earwax develops.
Do not over-clean your ears.
Too much cleaning may bother your ear canal, cause infection, and may even increase the chances of earwax impaction.
Cotton swab can remove some wax, but they often just push the wax deeper into the ear and may worsen an impaction or injure the ear canal.
要点は(上記以外の内容も追加記載)
*耳垢は、正常なもの(不要な老廃物ではない)で外耳道の保護や抗菌作用を有する。
*症状を起こさない耳垢はこのまま放置してよい。
耳閉感、難聴、耳漏、耳痛、痒み、臭い、耳鳴り、咳などあれば専門医で治療。外耳道の上皮の動きと、咀嚼やあくびの際の顎の動きなどによって、耳垢は開口部に向かって徐々に移動していきます。
*ほとんどの人は、耳垢予防を定期的に行う必要はない。
*耳垢予防の標準的なやり方は存在しない。
*耳掃除はしすぎるな!
*耳掃除のしすぎは、外耳道に負担をかけ感染を生じさせ、耳垢栓塞の原因となることもある。
より奥に耳垢をおしこむと自浄作用が働かなくなり症状が出てくる。
*綿棒は一部の耳垢を取り除くが、耳垢を深く押し込み耳垢栓塞を悪化させ外耳の損傷を生じさせることもある。
*耳掃除が必要な人たちは、高齢者、補聴器使用者、耳垢が充満して症状があった方たちのみ。
このような方たちは、年に1~2回専門医で予防的耳掃除を勧める。
👉 耳垢には乾型とアメ状の湿型が存在。
日本人の湿型は、報告の平均では16.3%となっています。一方、白人、黒人は湿型耳垢が多く、9割程度のようです。アメ状耳垢のほうが、乾型より耳垢は自然に排泄しにくい傾向にあります。アメ状耳垢が多い米国の指針で上記の内容ですので、乾型耳垢が多い日本人の耳掃除のし過ぎはご理解いただけるかと思います。
アメ状耳垢が多い米国や欧米の家庭では、イヤーシリンジ(大型のスポイト)での耳洗で耳の衛生を保つ方法があります。日本では一般的ではありません。家庭医も同様の方法で耳垢除去を行うようです。
MSDマニュアル(世界的オンライン医学事典)耳垢除去(耳洗) 動画
◆耳掃除が起こす病気(弊害)
*耳垢栓塞症
耳垢除去のつもりで綿棒など奥に入れていると、外耳道の奥に押し込み自浄作用は働かない耳垢栓塞が生じ、難聴、耳閉感が出現します。
*外耳炎
日本では、夏季に急増するのが急性外耳道炎です。原因のほとんどは、耳かき棒や爪による外部刺激による感染で、外耳前方の一部が腫れたものは『外耳せつ』と呼ばれ、耳の中にできた『おでき』と考えてください。自然に自壊して改善に向かうこともあります。黄色ブドウ球菌が主な原因菌です。外耳の奥の骨部外耳道まで及ぶと急性びまん性外耳道炎となります。耳痛あるいは灼熱感が強く、漿液性の耳漏流出を認めます。黄色ブドウ球菌や緑膿菌が主な原因菌です。外耳炎が反復するときは、糖尿病などの基礎疾患の確認が必要です。
*外耳道・耳介湿疹
やはり耳の機械的刺激が誘因として多いのですが、外耳の奥と手前の湿疹で分けて考えます。
外耳の奥の湿疹は、中耳炎や鼓膜炎が背景にあり、浸出液によるカサブタや耳漏が関係します。綿棒を耳の奥に入れると刺激になり起こしてやすくなります。外耳の手前から耳介にかけての湿疹は、綿棒を奥に入れなくても外耳の手前だけでの耳掃除だけでも起こしてきます。アトピー性皮膚炎、乾癬、ピアスかぶれなどの関与や、シャンプー・毛染めによる接触性皮膚炎も原因となることがあります。
特に乳幼児は皮膚が弱く、夏になるとよく汗をかきます。いつも同じ向きで寝かせていると、外耳から耳介にかけてかぶれて湿疹が悪化してきます。冷房の使用や寝かせ方の工夫が必要です。
外耳道の中にカビ(真菌)が生える現象です。自宅でも、換気が悪く高温多湿の空間では、風呂や畳にカビが生えることはよく経験します。真菌の培養条件に適した温度は35~36℃です。ヒトの深部体温37℃台ですので外界に近く換気が悪い外耳道の中で好発します。健常な外耳道にも、常在菌として約3%真菌をみとめますが、悪さはせず繁殖に適した条件が必要です。
原因は、頻回な耳掃除で、皮膚のバリア機能の低下が生じ、かきすぎで知覚鈍麻がおこりさらに感染防御機能を低下させます。その結果、外界からの浮遊真菌が外耳の奥の炎症を起こした骨部外耳道から鼓膜に寄生します。アスペルギルスやカンジダが主な原因菌種となります。外耳道の奥を強く掻く竹製の耳かきは、真菌が付着しやすく生じやすいと言われています。外耳炎や外耳湿疹の治療で使用するステロイド軟膏や、抗生剤の点耳や内服も原因となることもあります。難治な場合は、糖尿病などの全身疾患の関与も考えます。
◆耳掃除の在り方のまとめ
耳鼻咽喉科での耳掃除が必要な方
*高齢者
特に在宅や施設で活動が低下した高齢者や認知症の方は、外耳の自浄作用の低下があり蓄積しやすくなります。
*補聴器使用者
*自分の耳の訴えが十分にできない乳幼児・学童
風邪をひき易い乳幼児は中耳炎の確認が必要です。鼓膜の確認のため、必要な方は耳掃除を行います。耳垢が心配であれば受診し、耳垢除去が必要な時は保険適応で耳垢栓塞症として耳垢除去も認められています。
乳幼児の場合、外耳道が狭く、動くため、耳垢除去は難しく、人数と労力を必要とします。
*以前、耳垢充満があった方
*外耳炎や外耳道湿疹・真菌などの治療後
*耳閉感、難聴、耳漏、耳痛、痒み、臭い、耳鳴りなどある方
*アメ状湿型耳垢で、耳閉感をくりかえす方
耳掃除の回数
日本のネットの記事では、家庭では月に1~2回程度の耳掃除がよく記載されています。前述の米国のガイドラインでは、通常の人の耳垢は症状が無ければ放置してよいとなっています。これは米国と日本の医療事情の違いも考慮する必要があります。
耳垢形成には、個人差が多く、乾型、湿型の違いでも異なります。年少では皮膚の新陳代謝が高く、高齢者は自浄機能低下のため耳垢が蓄積しやすくなります。自宅で対応できるのか、耳鼻科受診で除去が望ましいのか、年に何回程度か、担当医と相談して決めるのが望ましいと思われます。
家庭での道具
綿棒、先を細くした布、固くこよりにしたティッシュなどは安全です。耳かき棒は耳掃除事故が心配です。綿棒も耳掃除事故の可能性がありますので、奥に入れません。ネットでは、内視鏡付き画像対応、LED付きなど売られているようです。アメ状耳垢が多い海外では、イヤーシリンジ(耳洗)が使われるようです。
道具より、まずは耳掃除の必要性と安全性を考えましょう。イヤーキャンドルは禁止です。
自宅ではどのように行うか?
外耳道の自浄作用により、外耳道の外まで運ばれてきた耳垢を取るだけにします。外耳道入口部から1cm以内の見える範囲の清掃にとどめます。それより奥にたまった耳垢は、耳鼻咽喉科で取ってもらうことを勧めます。湿型耳垢は家庭で取るのは難しいことも多く、耳鼻咽喉科での除去も考えましょう。綿棒や布等で、皮膚を擦ったりしないで、そっと拭き取る程度としましょう。乾型耳垢は、綿棒にベビーオイルやワセリンを付けるとくっつき易くなります。
綿棒を外耳の奥にいれると、耳垢栓塞を作り耳垢が外へでてこなくなります。また、外耳損傷や鼓膜外傷の事故の可能性が出てきます。耳掃除事故の報告では、耳かき棒と綿棒は同等の事故発生数が報告されています。
参考資料
Johns 1998 No.8外耳道をめぐって
外耳道真菌症の診断と治療 日耳鼻会報2019.5 796-798
女性とめまい・ふらつき・転倒
鹿児島市は6月に入り、梅雨にはいりました。
めまいは気象病の一つでもあり、最近は女性のめまい・ふらつき・耳閉感を訴える方が多くなりました。当院の待合室は、風邪や中耳炎の子さんを連れたお母さんと共に、めまい・ふらつき・耳閉感や長引く咳の女性外来のようになっています。
◆エストロゲンの変化と性差医療の普及
女性は、思春期、成熟期、更年期(45~55歳)、老年期の人生の過程があり、エストロゲンの変化が生活に大きく影響を与えます。思春期は、エストゲンが急に増加し、日本人の平均閉経50.5歳で、40代半ばごろから急にエストロゲン低下します。60歳を過ぎると、女性のエストロゲンは男性より低下していきます。
エストロゲンには、心筋血管保護、骨量維持、糖脂質代謝、脳細胞の保護など重要な役割を持っています。
急なホルモンの変化も女性の体調に影響しています。
日本ではここ20年間に性差医療が普及してきました。初めて2001年に鹿児島大学に女性外来ができ、心疾患領域から、乳腺、泌尿器など急速に広がりを見せています。
➡性差医療情報ネットワークのサイト
◆28年度の国民生活基礎調査(厚労省)の自覚症状の報告
耳鼻咽喉科領域では、耳鳴りと難聴は男女ほぼ同率ですが、めまいは女性が男性の約2.5倍高くみられます。男女ともめまい症状は、加齢変化のため、70代で増加しています。めまいについて、女性は、10歳代から増加し30~50歳代が多く70歳から再度増加してきます。
加齢と女性ホルモン(エストロゲン)の影響および社会・心理的背景の関与が考えられます。
福岡県の久山町研究では、中枢性めまいの原因になる脳梗塞は男性が女性の2倍多く、70歳以上になると性差が縮小します。60歳代までの女性のめまいは、中枢性以外のめまいが多く、内耳性、自律神経性、貧血、立ちくらみ、肩こり関連めまい、片頭痛関連めまい、心因性めまいなど多彩な原因が考えられます。男性のめまいと70歳以上の女性のめまいは、中枢性の脳からのめまいの可能性が高くなります。
👉 思春期と立ちくらみ
一般的には、女性が男性より1.5~2倍多く認めます。受診する科でバイアス(偏り)がるため、当院では男性中学生が多い印象です。起立性調節障害としての詳細は日本心身医学会HP(サイト)で確認して下さい。
思春期のふらつき・立ちくらみの対応で、漢方療法や生活習慣の改善について、
よくわかる子供の漢方:起立性調節障害;ふらつき・頭痛・腹痛(当院コラム)を参照して下さい。
更年期症状は
血管運動神経症状(冷えのぼせ、発汗、動悸)
不眠、不安、イライラ、抑うつ気分、情緒不安定
腰痛、関節痛、しびれ、むくみ
めまい浮遊感、肩こり、頭痛、疲労感 などの
自律神経、精神、運動器、皮膚、泌尿生殖器、消化器領域に及ぶ多彩な症状を認めます。
更年期のめまい症状には、血圧変動と自律神経の関与が報告されています。更年期症状には、ホルモンの低下だけでなく、環境の変化による心理社会的変化が複雑に関与して表現されると考えられています。
治療:
●ホルモン補充療法
●漢方療法:
当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸など証を見極めた治療
●向精神薬療法:
不安・不眠・抑うつに対して、SSRIなど使用、心療内科と相談
●環境の変化による心理社会的変化を考慮した、心因・家庭・職場の問題を確認しながら傾聴。
●ホルモン補充療法(HRT)は
血管運動神経症状(冷えのぼせ、発汗、動悸)の第一選となります。
この治療は血栓・乳がんのリスクもあるため次のサイトで確認して下さい。
➡更年期障害の基本事項(日本産婦人科学会)
更年期障害の簡単チェックは次のサイトでチェックを
●副作用が少ない漢方療法は、更年期の不定愁訴に汎用されています。
漢方療法は、HRTと同等の効果がある報告あります。HRTは、めまいへの効果は乏しいといわれています。漢方療法は、特に、めまい、心悸亢進、咽頭症状に効果が高いと報告されているようです。
👉 耳鼻咽喉科でのめまい関連疾患と性差
施設により、めまいの原因疾患の統計はかなり違います。
【徳島大学病耳鼻咽喉科】の統計(2005年)では、
末梢前庭性(内耳)65%
*BPPV(良性発作性頭位めまい症) 32%
*メニエール病 12%
*突発性めまい、前庭神経炎、突発性難聴など21%
原因不明めまい症 21%
中枢性めまい 7%
血圧異常 4%
心因性 1%
【開業の一般耳鼻咽喉科クリニック】では、
大学耳鼻咽喉科よりBPPVがもっと多く、メニエール病と中枢性は少ないと思われます。
開業医では、ふらつき・立ちくらみの訴えの患者さんは多く、
原因疾患は様々で、感冒、自律神経性、起立性調節障害、心因性、筋緊張性・肩こり、片頭痛関連めまい、貧血、低血糖、食事摂取不良、脱水症、低血圧、熱中症など多彩です。高齢化に伴い、平衡機能低下や筋力低下・関節障害(フレイル・ロコモ)などの加齢によるふらつきの患者さんは増加しています。
BPPV,メニエール病、自律神経障害、片頭痛関連めまい、筋緊張性・肩こり、貧血は男性より女性に多い疾患です。メニエール病は、男女差もありますが、ストレス、睡眠不足、几帳面との関与が大きい病気です。更年期障害の方にメニエール病が多い報告があります。メニエール病の誘発因子に月経があげられ1.5倍となっています。
➡BPPV:良性発作性頭位めまい症
(男性より3倍女性に多く、外来で最も多い回転性めまい)
回転性めまいの内耳疾患で、めまいの1/3以上から半分程度を占めるBPPVは、中高年の女性に多い疾患です。
内耳の耳石が何らかの理由で剥がれ落ち、それが動くことで半規管を刺激してめまいが起こります。運動不足、長期臥床、外傷後に起こり易くなります。長期間寝たきりになっていると、半器官へ耳石が溜まってしまったまま動かなくなります。それが原因となりBPPVを発症してきます。また耳石もカルシウムであるため、閉経後の女性に多い骨粗しょう症との関連も考えられています。更年期障害とBPPVが併存することも多くあります。
BPPVは、サッカーの『澤穂希』が罹患した病気です。外傷が原因と言われています。
治療:
浮遊耳石置換法と自宅でのめまい体操です。発症機序から、薬で治す病気ではありません。
2~3週間で自然治癒することも多い疾患です。上半身挙上、枕を高くすると起こしにくくなると言われています。対症療法として嘔気、めまいに対しての薬物療法は一時的に行う程度です。更年期障害や心因性など併存疾患への薬物療法は行われます。(但し、薬物療法は担当医により対応が異なることがあります)
再発率も高いため普段から運動を心がけ、動くことを意識する必要があります。朝のラジオ体操、NHK教育テレビの体操など生活習慣の一つに取り入れてみましょう。
☞ NHKガッテン20191023放送(サイト)上半身挙上の仕方が説明されています。
*BPPVの基本事項は次のサイトを見てください。
(新潟大学耳鼻咽喉科 堀井教授 監修)
☞ NHK健康チャンネルの動画を参考にめまい体操にチャレンジしましょう。
➊後半器官結石(右、左)BPPVのめまい体操(Epley)
(特に外側半規管結石)
❸の動画は、BPPVだけでなく、内耳性めまい(前庭神経炎、メニエール病)の急性期後のリハビリとしてのめまい体操や加齢変化による平衡機能の低下予防にも応用できます。
👉 フレイル・ロコモを意識した高齢女性のふらつき・転倒への対応
女性は閉経後、急速に骨粗鬆症が進行します。脊椎圧迫骨折の亀背は女性に多く、高齢になれば、転倒のリスクが急に高まります。女性は男性の約2倍骨粗鬆症が多く、2倍弱の転倒の危険性が高いと言われています。
睡眠薬や安定剤の服用者は、転倒の危険がさらに増えます。骨密度は20歳ごろがピークと言われ、若いときの過剰なダイエットや痩せすぎは、閉経後の骨粗鬆症の悪化が予測され、骨折予備軍と考えられています。
◆フレイルとは、海外の老年医学で使用されている用語です。
生活機能障害と心身の脆弱性の意味で用いられ、
早期発見、早期介入で生活機能の向上を図ります。
*1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します。
- 体重減少: 6か月間で2~3kg以上の(意図しない)体重減少
- 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
- 歩行速度の低下:1m/秒未満の場合
- 握力の低下:利き手の測定で男性26kg未満、女性18kg未満の場合
- 身体活動量の低下:1週間に運動や農作業を何もしない
フレイルの簡易チェックは、ふくらはぎの指輪っかテストで隙間ができることで判断します。
➡ ふくらはぎの指輪っかテストのサイト
原因は、筋肉量の低下(サルコペニア)と低栄養です。
◆ロコモティブシンドローム
2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、
『運動器機能の障害で移動機能が低下をきたした状態』を意味します。
以下の事項が原因となり、変形性関節症・脊椎症の進行や骨折を起こし重症化していき寝たきりの原因となります。
- 運動不足・肥満による腰・膝への負担または痩せすぎ
- 骨粗鬆症
- サルコペニア(筋肉減弱)
- 外出回数や活動量の低下
- 無理な姿勢や使い過ぎによる障害
☞ ふらつき・転倒へ予防のため、耳鼻咽喉科・整形外科・老年内科での総合的対応が必要
めまい・平衡障害があると転倒骨折のリスクは2.9倍高まる報告があります。
老人性平衡障害とフレイル・ロコモが重なり転倒・骨折の可能性がさらに高くなります。
対策➊(食事、運動、生活)
ロコモ体操:兵庫県立尼崎総合医療センター(youtube)
運動はスクワット、壁で支え片足立ち、壁で支えヒールレイズ(かかと挙上)、水中歩行などのレジスタント運動を行い、食事は、バランスの良い3食を食べ、肉・魚・大豆・卵・牛乳・小魚・きのこ・鮭などタンパクやカルシウム・ビタミンDをよく食べましょう。レジスタント運動で筋肉量を維持し、骨密度の減少に効果があります。
ビタミンDを維持するには日光浴も大事です。肥満者は少しずつ減量を試みます。急な減量は、筋肉量の低下をもたらします。喫煙や過度の飲酒も骨粗鬆症を早めます。
対策❷(小脳・前庭機能)
耳鼻咽喉科・めまい平衡医学領域からは、小脳・前庭機能の平衡感覚を鍛えるめまい運動
(目で指の左右追い、振り返り、継足し歩行)
前述のNHK健康チャンネルの動画❸を可能な範囲で行うとよいでしょう。
継足し歩行は、歩行器やシルバーカーの使用を勧めます。歩行が無理なら、両足を前後一直線上にそろえ立ちます。手を壁にあて支えてかまいません。
『日常生活での注意点』
*急な立ち上がりや急に振り向くことを避ける
*階段の降りる時は手すりを使い慎重に
*両手フリーで歩行、荷物は背中に背負うか手押し車に入れる
*戸外では杖や手押し車を使用
*室内の障害物の整理、バリアフリー、トイレや廊下を明るく
参考資料
加齢によるめまい・ふらつきは自分で治そう!五島 杏林医会誌 291~293 2018年12月
更年期女性のめまい症状に対する検討 日耳鼻 115:534-539 2012
更年期障害の診断と治療 沖縄医報 Vol42, No2 2011
あなたの副鼻腔炎は何タイプ?
副鼻腔炎は、風邪をひき鼻症状が強ければ、急性鼻副鼻腔炎として日常的にみられる病気です。40~50年以上前までは、長引く鼻副鼻腔炎は、蓄膿と呼ばれる慢性化膿性副鼻腔炎がほとんどでした。衛生環境や生活習慣の変化からアレルギーを主とした疾患が増加し、ここ20~30年間に、新型副鼻腔炎とよばれる難治性の好酸球性副鼻腔炎が急に増えてきています。ステロイド、抗菌剤の使用、高齢化に伴い糖尿病・悪性腫瘍の増加、免疫の低下によるカビが原因の副鼻腔炎も問題となっています。副鼻腔炎は、子どもに多い病気でなく、子供から成人・老人までだれもが罹患する病気と考えてください。
副鼻腔炎は、長引く咳、中耳炎の悪化、喘息など下気道の症状の悪化をもたらします。アレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎は、喘息と関連します。(one airway, one diseaseと呼ばれます)好中球中心の炎症は副鼻腔気管支症候群として注目されています。
一般に、発症から4週間以内の鼻副鼻腔炎感染症を『急性』3か月以上持続すれば『慢性』とされます。
*日本耳鼻咽喉科学会HPから、次のサイトで基本事項は確認して下さい
👉 副鼻腔炎には様々な病態が存在しています。
鼻が悪くて、耳鼻咽喉科を受診して副鼻腔炎または蓄膿と言われたら次のどれに該当するか(➊ ❷ ❸)、担当医に聞いてみてください。真菌や歯性は、CTや歯科受診が必要になります。それぞれの病態に応じて、治療方針が変わります。
➊急性鼻副鼻腔炎
❷成人慢性鼻副鼻腔炎
*慢性副鼻腔炎(蓄膿)
*好酸球性副鼻腔炎(新型鼻副鼻腔炎)
*アレルギー性鼻副鼻腔炎(またはアレルギー性鼻炎に副鼻腔炎の併発)
*副鼻腔真菌症
*歯性上顎洞炎
❸小児慢性鼻副鼻腔炎
➡実際の診療では、風邪に伴う急性副鼻腔炎の反復と慢性鼻副鼻腔炎の急性増悪(急性副鼻腔炎の合併)での病院受診が多くみられます。
『疾患解説』
➊急性鼻副鼻腔炎
急性鼻副鼻腔炎は、誰もが経験する最も多い疾患で、副鼻腔の中を外から見えませんので、感冒の鼻症状が強い場合を想定して下さい。
感冒の一般的な自然経過は、まず微熱や倦怠感、咽頭痛を生じ、続いて鼻汁や鼻閉、その後に咳や痰が出てくるようになり、発症から 3日目前後を症状のピークとして、7~10日間で軽快していきます。咳は3週間ほど持続することがあります。
海外の報告では、ウイルス性感冒のうち、2%未満が細菌性鼻副鼻腔炎を合併し、鼻汁の色だけでウイルス性か細菌性か区別できないとされています。急性ウイルス性鼻副鼻腔炎は10日以内に自然治癒すると考えられています。急性鼻副鼻腔炎に関しては、細菌性鼻副鼻腔炎が疑わしい場合でも、抗菌薬投与の有無に関わらず、1 週間後には約半数が、2 週間後には約7 割の患者が治癒することが報告されています。また、抗菌薬を服用すると7~14 日目に治癒する割合は高くなるものの、副作用(嘔吐、下痢、腹痛)の発生割合も高く、抗菌薬投与は欠点が利点を上回る可能性があることが報告されています。
2017年抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 (厚労省)では、
◆成人急性鼻副鼻腔炎は、
2010年急性鼻副鼻腔炎ガイドライン(日本鼻科学会)の方針に基づき
軽症は抗菌薬投与しない
中等症~重症は抗生剤使用:まずはアモキシリン5~7日間服用
◆小児急性鼻副鼻腔炎(学童期以降)は、
抗菌薬の投与を行わない。
(但し、遷延性または重症の場合を除く)
遷延性または重症例とは
①10 日間以上続く鼻汁・後鼻漏や日中の咳を認めるもの。
②39℃以上の発熱と膿性鼻汁が少なくとも 3 日以上続き重症感のあるもの。
③感冒に引き続き、1 週間後に再度の発熱や日中の鼻汁・咳の増悪が見ら れるもの。
上記の場合は、アモキシリン7~10日間服用となっています。
*2010年急性鼻副鼻腔炎ガイドライン(日本鼻科学会)では、小児も成人同様に中等症~重症は抗生剤使用となっていますので、2017年抗微生物薬適正使用の手引き(厚労省)では、耐性菌対策を考慮した内容になっています。
❷成人慢性鼻副鼻腔炎
以下の疾患のすべてに共通することは、慢性炎症による副鼻腔自然口の狭窄または閉塞で生じますので、難治で高度な場合は、外科的には内視鏡下鼻内副鼻腔手術では自然口を開大して副鼻腔粘膜の正常化を期待することです。アレルギー鼻炎が合併する場合は、抗アレルギー薬、ステロイド点鼻、免疫療法などの保存的治療が中心になります。
☞ 慢性鼻副鼻腔炎(好中球の炎症が中心)
風邪から細菌感染を起こし慢性化すると発症します。
日本発症の非抗菌作用によるマクロライド抗生剤の少量長期療法(3ヶ月程度)を日本ではよく行われています。最近は欧米でも慢性鼻副鼻腔炎の治療としてガイドラインに紹介されてきています。日本ではマクロライドの使用が海外に比べ極端に多く、この治療は、耐性菌対策(AMR)に逆行する治療となりますので、適応を厳選することが重要です。急性増悪時は、抗菌作用を期待して通常の抗生剤を一時的に使用します。保存的加療で効果がない難治例は手術適応となります。
☞ 好酸球性副鼻腔炎
(新型鼻副鼻腔炎:好酸球の炎症が中心)
粘り気のある鼻水が特徴で、嗅覚障害、鼻ポリープが多発します。白血球の一種でアレルギーの病気を起こすと増える好酸球が副鼻腔粘膜に増加してきます。ダニ・スギアレルギーなどの獲得免疫とは違う、自然免疫の関与が考えられています。以前の慢性鼻副鼻腔炎より難治で、手術を行っても再発が多くみられます。
治療は、ステロイドや抗ロイコトリエン薬が主になります。一部の重症例は指定難病として認定されている病気です。難治性の好酸球性中耳炎、気管支喘息、アスピリン喘息などが、多くの症例で合併します。
☞ アレルギー性鼻副鼻腔炎
(アレルギー性鼻炎に合併した副鼻腔炎)
ステロイド点鼻や抗ヒスタミン薬による保存的治療が主となります。上顎洞陰影が、びまん性のタイプに抗ヒスタミン薬にマクロライド療法併用の効果を認める報告もあります。
☞ 副鼻腔真菌症
(CT精査が必要)
侵襲型と非侵襲型が存在し、骨破壊を伴い頭蓋内・眼窩内合併を伴う侵襲型は稀。
非侵襲型は、①真菌塊性と②アレルギー性があります、どちらも副鼻腔の片側発症がほとんどですので腫瘍との鑑別が必要になります。
①最も多いのは真菌塊性の副鼻腔炎で、服薬の効果は乏しく手術加療となります。無症状で偶然に画像診断で見つかることもあります。
②アレルギー性真菌性副鼻腔炎:通常は片側発症のアレルギー性真菌性副鼻腔炎が両側発症すると、前述の好酸球性副鼻腔炎との鑑別が難しくなります。手術加療が第一選択で、術後ステロイド使用します。欧米に多く20代の若い人に多い疾患です。アトピーや喘息の合併を多く認めます。最近の報告では、日本人の鼻茸の真菌を調べると、好酸球性副鼻腔炎の中で、多くのアレルギー性真菌性副鼻腔炎が混ざっていると言われています。
*疾患説明は次のサイトで確認を➡日本口腔外科学会:歯性上顎洞炎
歯根の慢性炎症が原因で、上顎洞炎を起こす病態です。最近は、コーンビームCTの導入で診断が容易になってきました。治療していない齲歯(虫歯)が原因となることは減り、歯科治療後の歯が原因となることが多くなっています。インプラント後の歯性上顎洞炎も認められます。
治療:
従来の歯科治療、原因歯の抜歯の他に、内視鏡下副鼻腔手術で、歯やインプラントを抜去せず症状を改善させる治療も選択肢になっています。
子どもは風邪をひきやすいため、自然変動が激しく、増悪と寛解を繰り返します。小児における慢性鼻副鼻腔炎の病態は、成人のそれとはかなり異なっているため,同一の疾患として取り扱うべきではないと考えられています。また、アレルギー性鼻炎の合併が多く同時に治療をすすめます。
8~10歳ごろから自然治癒傾向が認められ、以前の報告では、思春期ごろには約50%は自然治癒すると言われています。実際には、もっと多くの方が自然治癒しているように思われます。副鼻腔炎は改善しても、ダニなどによるアレルギー性鼻炎の改善は、思春期になってもあまり認めず、アレルギー性鼻炎や花粉症の治療が中心に変わっていきます。最近では、ダニ・スギの舌下免疫療法が、体質改善として注目されています。
このように小児の場合、保存的治療が主で、鼻茸による鼻閉が高度な場合などが手術適応になります。
小児へのマクロライド抗生剤の少量長期療法(2か月)も一定の効果を認めるようですが、子供はすぐに風邪をひき急性増悪を繰り返すため、鼻漏の消失や副鼻腔陰影の消失を目標にすると投薬終了の決定が困難になります。このため、抗生剤の長期服用に対して親御さんが心配されることも多く経験します。
👉 手術適応
中鼻道が狭く保存的治療で改善しないもの
中鼻道に大きな鼻茸(鼻ポリープ)
副鼻腔真菌症
難治な好酸球性副鼻腔炎(術後再発も多いと理解して下さい)
2016年から国を挙げて行われている薬剤耐性菌対策(AMR)は、
次のサイトで確認して下さい➡ AMR: かしこく治して、明日につなぐ(厚労省)
ガイドラインや指針は、作成者により変わってくるものです。
*2010年急性鼻副鼻腔炎ガイドライン(日本鼻科学会)は耳鼻咽喉科の専門医や教授が作成していて、
鼻かみ回数や鼻汁の量が、抗生剤の使用判断となる重症度に強く反映された内容です。
*2017年抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 厚労省(急性鼻副鼻腔炎)は、感染症専門医が作成したもので、
発熱、症状の経過や持続時間が重要視された内容です。
2010年急性鼻副鼻腔炎ガイドライン(日本鼻科学会)では、軽症:1-3 中等症:4-6 重症:7-8となり、スコア4以上が抗生剤の適応となります。重症度分類スコアリングでは、臨床的に重要な発熱、症状持続、発症後5日程度での悪化のことは含まれていません。
鼻汁・後鼻漏が中等量あれば4点、頻回な鼻かみで2点、咳がある1点合計7点:重症となり、高用量の抗生剤の使用となります。鼻汁・後鼻漏が中等量で4点となり、疾患分類中等症では常用量の抗生剤の適応となります。
学童のお子さんでは、アレルギー性鼻炎の合併も多く、風邪をひけば上記3つはよくみられる症状ですので、2010年急性鼻副鼻腔炎ガイドライン(日本鼻科学会)の基準では、風邪の学童のほとんどに抗生剤を使用することになりかねません。
2017年抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 厚労省(小児急性鼻副鼻腔炎)は発熱、症状の経過や持続時間が重要視された内容ですので、耐性菌対策として進んだ内容になっています。
急性中耳炎の治療の変化:治療から予防へ
最近、急性中耳炎への鼓膜切開の回数が、急に減ってきています。鼓膜切開は重症急性中耳炎に行うことがあります。
小児疾患全般では、鹿児島県の小児入院患者数が2005年9万人から2014年6万人へ減少しています。細菌性ヒブ髄膜炎は、鹿児島で年間10~12人発症が、今はゼロとなりました。厚労省の報告でも、小児入院患者数が1999年からは2011年には65%に減少、同時期の小児人口の減少は95%程度ですので、全国的にも小児入院患者数が減少は明らかな状態です。外来患者数が減っているわけではないようですので、重症の患者さんが減って、外来で通院対応できるようになったと考えられます。呼吸器疾患では、小児喘息の患者さんの入院が、吸入ステロイドの普及で減少し、小児肺炎の入院が減っているようです。
急性中耳炎の詳細は次のサイトを見てください⇒日本耳鼻咽喉科学会HP; 耳疾患:中耳炎・外耳炎 急性中耳炎Q&A
👉 なぜ小児感染症(急性中耳炎、肺炎など)が、良い方向へ急に変わってきたのか? 次の2点(ワクチン接種の普及と新規抗生剤の開発)が重要です。
❶ワクチン接種が世界標準に近づき、小児感染症は治療から予防(ワクチンの効果)へ移行
生後2か月からのワクチン接種が始まり、2013年にヒブ(Hib)、小児肺炎球菌が、任意から定期接種となり、その後も水ぼうそう、B型肝炎、HPVも定期接種化し、生後5か月にBCG接種とその他多数のワクチンが世界標準に近づいてきました。
毎年のインフルエンザワクチン接種の浸透、高齢者の肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの助成、最近では青年層への無料風疹検査と風疹ワクチンの助成で、今後ますます感染症の治療は予防へと変化していくと言えるでしょう。
ワクチン予防に関してもっと知りたい方は、次のサイトを見てください⇒子どものVPD
ヒブ(Hib)により、インフルエンザB型菌(Hib)による髄膜炎、喉頭蓋炎が殆ど消失しています。肺炎球菌ワクチンにより乳幼児による侵襲性肺炎球菌感染症(肺炎、中耳炎、髄膜炎)を減少させています。
以前のPCV7肺炎球菌ワクチンの導入により,急性中耳炎受診数や鼓膜切開、鼓膜換気チューブ留置術の減少が日本および欧米からも報告されています。現在は血清型を多くしたPCV13肺炎球菌ワクチンのため、薬剤耐性を含めた肺炎球菌による急性中耳炎への効果がさらに期待されています。
【問題点】
その反面、ヒブ(Hib)ワクチンで抑止できない無莢膜型のインフルエンザ菌による中耳炎の相対的増加と、PCV13肺炎球菌ワクチンに含まれていない血清型の急性中耳炎の増加(血清置換)が認められます。
今後は、無莢膜型のインフルエンザ菌による難治例と肺炎球菌の血清置換への対応が求められています。
日本では未承認のSynflorix(肺炎球菌10価と無莢膜型インフルエンザ菌)ワクチンがありますが、無莢膜型インフルエンザ菌に対しては評価が低いようです。
❷新しい抗生剤の開発と薬剤耐性対策(AMR)
新しい抗生剤の開発で、入院直前または鼓膜切開直前の状態の感染症例が、入院せず、外科的治療をせずとも対応可能となってきました。
ここ10年の間に、乳幼児に適応がある次の強力な抗生剤が日本で販売されました。
◆クラバモックスドライシロップ2010年5月保険で使用開始
適応:中耳炎 気管支炎 扁桃炎 皮膚感染 リンパ節炎 膀胱炎 腎盂腎炎
◆オゼックス(トスフロキサシン)細粒2010年1月保険で使用開始
適応:肺炎 中耳炎
◆オラペネム細粒2009年8月保険で使用開始
適応:肺炎 中耳炎 副鼻腔炎
クラバモックスは、欧米でもよく使用される薬ですが、下痢が問題となります。オゼックス細粒とオラペネム細粒は、欧米では小児に使用されていない薬です。
日本でも、肺炎球菌ワクチンの効果により、肺炎球菌の感受性はある程度改善してきましたが、欧米より薬剤耐性菌の問題が多く残されています。難治な肺炎球菌(PRSP)や難治なインフルエンザ菌(BLNAR,BLPACR)などに対してオゼックス細粒とオラペネム細粒が日本では使用されるようになりました。
欧米では、難治なインフルエンザ菌はBLPARのためクラバモックスで効果を認めますが、日本の難治なインフルエンザ菌(BLNAR,BLPACR)は、クラバモックスの効果は低く、セフジトレンピボキシル(メイアクト)細粒の倍量投与(小児の中耳炎、副鼻腔炎、肺炎に適応)やオゼックス細粒またはオラペネム細粒やロセフィンの点滴加療となります。
👉 ワクチン効果と新薬による治療で、難治性の肺炎や中耳炎を対応しているのが今の日本の現状です。
日本での薬剤耐性菌の問題は、乳幼児の集団保育や長期にわたる過去の抗生剤の使用に問題があったとも考えられます。
添付文書上で、
オゼックスは、『耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要 な最小限の期間の投与にとどめること』オラペネムは、オゼックスと上記同様の項目の他に、『カルバペネム系抗生物質の臨床的位置づけを考慮した 上で、本剤の使用に際しては、他の抗菌薬による治療 効果が期待できない症例に限り使用すること』となっています。安易な使用は慎まなければいけない薬となっていて、乱用すると日本の薬剤耐性菌の問題はもっと深刻な状態となります。
【抗生剤クライシス】
経口カルバペネム系抗生剤(オラペネム)の乱用は、耐性菌への切り札的存在であるカルバペネム系注射剤の耐性化を招き、患者を救える薬がなくなることを意味します。
👉 AMR運動(薬剤耐性対策アクションプラン)
薬が効かないバイキンの話;小学生用(youtube;厚労省AMR)
AMRの詳細は次のサイトを確認を:かしこく治して明日につなぐ:AMR厚労省
抗生剤の不適正使用による薬剤耐性菌の増加とそれに伴う感染症の増加が、国際社会の大きな課題の一つに挙げられています。不適正な抗生剤使用に対して対策が講じられなければ、2050年には全世界で年間1000万人が、薬剤耐性菌により死亡することが推測されています。2016年4月日本では薬剤耐性対策アクションプラン(AMR)が策定され、
『2020年の人口千人あたりの 一日抗菌薬使用量を 2013年の水準の 3分の 2に減少させる』こと等が設定され手引き書も作成されています。
➡ 抗生剤の適正使用のために:中耳炎ガイドラインの欧米と日本の違い
日本小児急性中耳炎診療ガイドライン2018年版(詳細は前のサイトを確認して下さい)
症状・2歳未満・鼓膜所見から重症度分類(鼓膜所見を重視)
◆軽症:3日間経過観察⇒アモキシリン常用量3~5日⇒アモキシリン高用量またはクラバモックス
◆中等症:アモキシリン高用量3~5日⇒クラバモックスorセフジトレン高用量orアモキシリン高用量+鼓膜切開(服用3~5日)
◆重度:アモキシリン高用量+鼓膜切開orクラバモックス+鼓膜切開orセフジトレン高用量+鼓膜切開(服用3~5日)⇒感受性を考慮して抗菌薬変更;
クラバモックス+鼓膜切開orセフジトレン高用量+鼓膜切開orオラペネム常用量+鼓膜切開orトスフロキサシン(オゼックス)+鼓膜切開(服用3~5日)
小児急性中耳炎診療ガイドライン2018年版では、中等症の改善が悪い場合や重度の中耳炎の鼓膜切開の適応について、耳鼻咽喉科以外の医師のことも考え『鼓膜切開が可能な環境では実施を考慮』と緩和された内容になりました。耳鼻咽喉科関連学会が作成しているため、以前は、主に耳鼻咽喉科医を想定した内容でした。
アメリカ小児科学会急性中耳炎ガイドライン:2014年(6ヶ月~12歳が対象)(詳細は前のサイトを確認して下さい)
*重症急性中耳炎とは、39度以上または強い耳痛または2日以上持続する耳痛
◆軽症片側急性中耳炎(6ヶ月~2才)⇒抗生物質または経過観察2~3日で悪化時抗生剤
◆軽症両側急性中耳炎(6ヶ月~2才)⇒抗生物質
◆軽症片側・両側急性中耳炎(2才以上)⇒抗生物質または経過観察2~3日で悪化時抗生剤
◆重症片側・両側急性中耳炎(6ヶ月以上)⇒抗生物質
◆耳漏ありの急性中耳炎(6ヶ月以上)⇒抗生物質
*鼓膜所見で中耳炎の診断を行いますが、詳細な鼓膜所見をもとに、日本のように重症度分類へは反映されていません。主に小児科・家庭医を対象としているため、症状、年齢、片側・両側を重視した対応となっています。
*抗生物質は、アモキシリンの高用量⇒クラバモックス⇒セフトリアキソン点滴
ペニシリンアレルギーには、3世代セフェム(セフポドキシムなど)を推奨
*鼓膜穿刺(細菌同定)・鼓膜切開は抗生剤の効果が無い場合の代替え治療の一つとしてあります。
➡ 鼓膜切開について
小児急性中耳炎を何科がみるか?
日本では、耳鼻咽喉科が診察することが多いとも思いますが、欧米では、小児科や家庭医が診察することが多く、外科的治療が必要な場合に耳鼻咽喉科へ紹介となることが多いようです。本邦での薬剤耐性化の問題や欧米との医療体制の違いもあります。最近では本邦でも、小児急性中耳炎を耳鼻咽喉科医より小児科医や家庭医がみることが多くなっているようです。
小児急性中耳炎診療ガイドライン2018年版では、中等症の改善が悪い場合や重度の中耳炎の鼓膜切開の適応について、耳鼻咽喉科以外の医師のことも考え『鼓膜切開が可能な環境では実施を考慮』とオプション的な内容になっています。最近のワクチンの普及と抗生剤の新薬の効果もあり、鼓膜切開や鼓膜換気チューブ挿入が減少してきています。小児急性中耳炎に対して、欧米同様に、日本でも、初期治療は小児科医や家庭医で対応して難治例は耳鼻咽喉科へ紹介することが多くなると思われます。
◆切開時の疼痛・不快・身体的拘束や少し大きい幼児では、ストレスで次回から病院恐怖となる恐れがあり。
◆鼓膜切開を行っても、発症から3週間後(Kaleida1991Pediatrics)や
最終的な治療成績に差をみとめない(宇野2008)。
◆本邦報告で難治性反復性中耳炎への発症頻度低下へ有意な効果は認められていない(Nomura 2005)
⇒鼓膜切開のメリット
◆重症例の鼓膜膨隆が強く耳痛・発熱が高度な例には早期の改善を認める。
うまくいけば、お子さんが、翌日には解熱し夜よく眠れるようになります。
◆切開直後の耳漏から原因菌の検索と細菌の減量を行えますので、耐性菌対策の一つになります。
👉益・不利益をよく理解していただき、担当医と相談上、鼓膜切開を行うか判断することになります。
⇒鼓膜換気チューブ術の効果について
(乳幼児の抑制は難しく、病院での麻酔下の対応になることもあります)
難治性反復性中耳炎(3回/6ヶ月、4回/1年)に対して、6ヶ月以内の減少の効果はあるが、長期の効果は認められていません。
*2歳未満
*受動喫煙
*母乳栄養なし(特に6ヶ月まで)
*集団保育
*鼻副鼻腔炎の合併
👉上記因子は、難治化を招きますので、ご家庭で対応できることは考えてみてください。ウイルス性の発熱や風邪で、安易に抗生剤を使用しないことです。
➡患者さんに理解していただきたいこと
◆日本には、薬剤耐性菌の多くの問題があること。
◆今の日本では、欧米で使用されないオゼックスやオラペネムを使って小児難治性感染症に対応していること。
◆これらの抗生剤を使わなくても対応できるように、適正な抗生剤使用を目的としたAMR運動が、2016年から国を挙げて行われています。
風邪やウイルス感染で安易な抗生剤使用はしない事。
考えようあなたのクスリ薬剤耐性(youtube)
医学的正しい手洗い(AMR 厚労省)
◆急性中耳炎の抗生剤使用について
*適切な薬剤
*必要な場合に限り
*適切な量と期間
使うことを医師も患者さん側も考えること
◆患者さんも甘い飲みやすい薬より、適切な薬の処方に理解していただく。
◆症状や重症度によっては、抗生剤を使用しないで経過を見る事を理解してもらう。
◆肺炎球菌、インフルエンザウイルスワクチンなど必ず受けましょう。
参考資料:PCV13普及後の小児急性中耳炎に関する疫学的検討 日耳鼻 121:887-898、2018
肥満と喘息:ダイエットで喘息が治る?
➡ 肥満は万病のもと
肥満が生活習慣病、血管の病気、睡眠時無呼吸症など全身に影響を及ぼすことはご存知だと思います。その他にも関節の疾患、月経異常、不妊、癌の発症にも関連しているとことがわかってきました。脂肪細胞から分泌される生理活性物質のバランスの崩れが原因と考えられています。
*閉経後の乳がん
*大腸がん
*肝がん
は肥満との関連がほぼ確実とされています。
➡ 肥満と喘息の関連
肥満とアレルギーとの関連では、喘息に関して、肥満が女性の喘息を悪化し、中年女性では特に顕著、また肥満でアトピー性皮膚炎の重症者が多くなると報告されています。
アレルギー性鼻炎は喘息のリスクファクターですので、アレルギー性鼻炎がある肥満の中年女性は喘息が悪化しやすいと考えられます。最近では、喘息を類似した気道疾患の集合体ととらえ,観察可能な症状・兆候により分類(フェノタイプ分類)されています。今後は、単なる重症度から治療方針を決めるのではなく、このフェノタイプ分類に基づいて適正な治療が進められるようになると期待されています。実際には、下記の病態が重なっていることもあります。
【喘息フェノタイプ】
『好酸球増加タイプ』
⇒早期発症アレルギー性 アトピー型(IgE高値):乳幼児期から発症して、子どもさんや若い人に多く、ダニの関与が高い。 アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎の合併が多い。
⇒後期発症好酸球性 非アトピー型:成人発症 好酸球性副鼻腔炎合併 自然免疫が関与します。
⇒アスピリン喘息 非アトピー型:成人女性に多い 嗅覚障害・好酸球性副鼻腔炎合併 ロイコトリエンが関与します。
⇒運動誘発性:アスリート喘息、通常の喘息のコントロールと抗ロイコトリエン薬が効果を発揮します。気道粘膜の脱水と冷却、気道上皮損傷による気道過敏性の亢進が出現。
『非好酸球性タイプ』
⇒肥満性:中年女性に多く、しばしば重症化します。主に内臓脂肪が関与し、ダイエットが重要です。
⇒好中球性:喫煙者に多く、しばしば重症化します。大気汚染や好中球性の慢性鼻副鼻腔炎が関与が考えられ、マクロライドの効果が期待されています。
ステロイド抵抗性で、現在、生物学的製剤に適応はなく、リモデリングによる気流制限が高度な場合は気管支熱形成術が適応されます。
👉 喘息・咳喘息がある方は、自分は上記のどれに該当するか考えてみましょう。上記が重なることもあります。
➡ 肥満喘息
非アトピー型で好酸球が増加せず、直接的なアレルギーが介在しない機序が考えられ、喘息の一般治療薬のステロイド吸入療法の効果が低いと言われています。肥満対策が重要です。日本人の報告では、好酸球が上昇している報告もあります。
『肥満喘息発症メカニズム』
最近、脂肪細胞は、生理活性物質の分泌臓器と考えられるようになってきています。
⇒脂肪細胞からの生理活性物質
*レプチン増加やアディポネクチンの低下による気道過敏症の亢進
*PAI-1増加による気道リモデリング
*TNF-α増加による慢性炎症悪化と気道過敏性の亢進
等の分泌物質が関与しています。
⇒肥満による肺機能低下
⇒運動不足による気道過敏性の亢進(運動は気道過敏性へ効果の報告あり)
⇒肥満や睡眠時無呼吸症による胃食道逆流症
⇒うつ
なども関与します。
【脂肪細胞からの生理活性物質のその他の機能】
*TNF-α・・血糖値を上昇 PAI-1・・血液を固まりやすくする
*レプチン・・食欲抑制 アディポネクチン・・血糖値や血圧を下げる、癌細胞増殖の抑制
*脂肪が過剰にたまった脂肪細胞では、アディポネクチンを減少させます
➡ 肥満対策
日本ではBMI25以上となっていますが、ダイエットの必要性は、内臓脂肪型肥満かどうか生活習慣病に伴う肥満かどうかを考えることが重要です。高齢者の場合のダイエットによる痩せすぎは、サルコペニア(筋肉萎縮・減少)をまねき骨折からの寝たきりなど、病気を発症しやすくなります。東アジア人は、食べ物からのエネルギーを皮下脂肪ではなく内臓脂肪としてためやすく、女性より男性のほうが内臓脂肪としてたまりやすくなります。欧米人は、皮下脂肪にたまりやすいため、欧米での肥満はBMI30以上となっています。
👉 以下の脂肪の種類により、健康効果が異なりますので、自分はどのタイプかを確認してみましょう。
『肥満の種類』
内臓脂肪型肥満:喘息 高血圧 糖尿病 脂質異常症と関連
異所性脂肪: 脂肪肝(肝がんが進行)、脂肪筋(糖尿病へ進行)、脂肪膵(糖尿病へ進行)
ダイエットにより内臓脂肪と異所性脂肪から減少し、皮下脂肪の減少は1年以上かかりますので、根気よく続けます。
『ダイエットの方法』
◆肥満タイプの確認方法
⇒おなかに軽く力を入れ、へそまわりの肉をつかめるかどうかチェックします。つかめる人は皮下脂肪型肥満
⇒簡易的には、へそ周りの腹囲 男性85cm以上 女性90cm以上の方は、内臓脂肪型肥満されていますが、ウエストでの評価は相関が低く、腹部CTでの評価が必要と言われています。
内臓脂肪型肥満は、3~6ヶ月で体重3%減らす、皮下脂肪型肥満は、6~12か月で体重の3~5%減らす目標達成すれば、また3%ダイエットを試みます。
◆毎日体重測定:なぜ体重が増加したのか毎日考えます。
◆リバウンド対策:
*筋肉は糖を取り込む作用がありエネルギーを多く消費するので、筋肉量を増やしながらできる運動を勧めます。
インターバル速歩, 自転車こぎ, 水中歩行など筋肉が落ちない運動を行います。
*急激な減量をしない事
極端な食事制限で大幅に体重を減らすと、脂肪だけでなく筋肉量が減ります。筋肉量が減ると消費エネルギー量が減り、糖質や脂質がたまりやすくなり、痩せにくくなります。
*糖質制限ダイエット
*地中海式ダイエット
*時間栄養学ダイエット
(お金をかけない肥満&健康対策:当院コラムを参考に対策を)
◆肥満喘息への効果
ダイエットで肥満の改善に伴い、脂肪細胞からの悪い生理活性物質の減少、肺機能の改善、胃食道逆流症の改善などで喘息症状の改善が期待できます。
参考資料
アレルギー疾患のすべて;日本医師会雑誌、 今日の健康 2019-1
アレルギー 日本アレルギー学会 67(9)1248-1256,2018
« Older Entries Newer Entries »
























