院長の健康情報コラム
自分で行う医学的ボイトレ(音声治療)
今回は、自分で行う声がれ対策(声の衛生)の続きで、『音声障害』と『音声治療』の話です。
➡ 音声治療とは
『音声治療』とは、望ましくない発声行動を変えて、声がれなどの音声障害を、時間をかけて治療していくことです。
『音声障害』は、声帯(声の乱用、誤用)、呼気(呼気不足)、聴覚(難聴)、ホルモン(変声期、性同一障害)心因に関連しておこります。
主に声帯と呼気に関連した疾患で、声の乱用や誤用が原因となる機能的異常が、音声治療の対象です。喉頭癌は対象外です。
➡ 歌がうまくなるために行う『ボイトレ』と『音声治療』の違いについて
ボイトレとは、ボイストレーニングの略で、ボイストレーナーが行います。
『音声治療』では、望ましくない発声行動により生じた声がれなどの音声障害を、医療行為として言語聴覚士などが治療していく行為です。歌がうまくなるために行うボイトレとは目的が違います。クリニック・病院の音声外来では、医師が薬物治療、手術、声の衛生生活指導を行い、医師の指示のもと共同しながら言語聴覚士が、実際の音声治療と声の衛生指導を行います,『音声治療』と『ボイトレ』は目指す目的と一部の方法は違いますが、やり方の基本は似たところが多く、音声治療は医学的なボイストレーニング『医学的ボイトレ』と考えてください。
望ましい発声行動は、こころを豊かにする
毎日のコミュニケーション、日常会話から仕事の接客、講演、そして趣味の合唱団、カラオケ、楽しみで歌うことなど、生活をしていくうえで声を使わないことは考えられません。
英語の発声にも、音声治療で必要な腹式呼吸を必要とします。
最近では、高齢者の誤飲性肺炎予防にもカラオケ、朗読を積極的にすすめます。
望ましい発声行動で話すことは、相手に好印象をあたえ、自分にとっての自信にもつながります。
イライラしたり怒っていては、腹式呼吸で共鳴が効いた落ち着いた良い声は出せません。腹式呼吸でゆっくり深呼吸すれば落ち着かせることも可能です。良い発声を行い、音楽やコミュニケーションをとおして心豊かな生活をもたらしましょう。
【音声外来について】
『音声外来』とは、
耳鼻咽喉科医師と言語聴覚士が共同して、声をよく使う職業人(教師、インストラクター、アナウンサー、歌手など)から一般の人までの声の問題を、専門に治療をおこなう所です。ネットで検索すると、東京、大阪、京都、福岡など都会には、音声外来がでてきますが、地方では、あまり見かけません。
専門の音声外来のプログラムでは、施設により異なりますが、言語聴覚士が担当して、週に1回30~60分通院して、自主訓練を行いながら音声治療を行います。数ヶ月程度通院して行うようです。報告によると、治療開始6週まではドロップアウト率は20%程度ですが、それ以上長期になると終了を待たずに、ドロップアウト率は60%程度に達するとようです。患者さんは『とりあえず音声治療を試してみよう』と考えますが、効果が実感できずにドロップアウトにつながって行くようです。
習慣化した望ましくない発声行動を、望ましい発声行動に再度習慣化することは簡単ではないと理解して下さい。
👉
当院も含めて通常の耳鼻咽喉科クリニックでは、言語聴覚士がいないため専門の音声外来と同じことは出来ません。
たとえ言語聴覚士がいても音声障害を専門とする言語聴覚士は、日本では全体の1%にも満たないようですので、しっかりとした音声外来ができるところは限られています。今回は、望ましい発声行動を導く考え方や方法論を学んでいただき、自分で行動をおこして時間をかけて、自分の間違った発声行動を変えていくきっかけにしてください。今回紹介する方法は、言語聴覚士を必要とする方法も多くありますが、自分で行える方法もありますので、自分で考え無理せずチャレンジしてみましょう。Youtubeなどの動画を参考に行うとイメージがわきやすくなります。
☞ 音声治療の包括的訓練
(望ましい発声行動を導く考え方と方法論)
発声の生理を包括的に捉えることを基本として、
➊ 呼吸(腹式呼吸で気流発声)
❷ 発声(喉頭負荷を軽減)
❸ 共鳴(鼻腔・咽頭共鳴を促進)のバランスを整え、内喉頭筋の緊張を調整することで、
声帯振動を正常化することを目的とした包括的訓練を行います。
これが、皆さんに行ってほしい訓練の考え方です。
その他に、声帯の緊張を緩めたり、声帯閉鎖を強化する症状対処的訓練がありますが、
近年では症状対処的訓練のみでの効果は乏しいことが報告されています。
本来音声は日常会話において行われるべきものであるので、症状対処的に限局して行うより包括的訓練のほうが一般的になってきています。症状対処的訓練と包括的訓練を組み合わせて行い、そして各個人の音声障害の背景を分析した声の衛生指導を行うことで発声機能の改善が期待されます。
☞ 耳鼻咽喉科医師による病態の正確な把握
(音声障害出現でまず第一に行うことです)
➊音声治療を行う上で、留意点として、声がれなどの症状に対して音声治療の適応と限界の確認、癌の可能性がないかなどの病態を正確に把握することです。
❷ 音声治療の適応があれば、何が問題かを把握して適切な治療法を選択することです。
❸ アナウンサー、歌手、音楽教師の声に対する要求はかなり高いものになりますので、
声に対する要求度に応じた目標を明確にすることです。
声を使う職業人は、専門の音声外来受診(言語聴覚士またはボイストレーナーが実際の指導を行う)が望ましいことがあります。
保険外診療のこともありますので確認して下さい。
具体的には、耳鼻咽喉科医師による以下の正確な病態把握を行います。
*タバコ・食事・生活習慣・胃食道逆流症・ストレスに問題がないか
*鼻呼吸障害・口呼吸はないか(鼻腔・上咽頭・副鼻腔の診察)
*声帯粘膜障害や喉頭の癌などの形態異常がないか(内視鏡)
*発声時の咽喉頭症状や状態はどうか(内視鏡、喉頭ストロボ)
*癌、動脈瘤、中枢疾患による声帯麻痺はないか(内視鏡、胸部・頭部などの画像診断)
*仕事(教師、インストラクターなど)・生活・環境の中で発声行動に問題がないか
*腹式呼吸は行われているか
*胸式呼吸や喉に力を入れたのど詰め発声ではないか
*高齢者では、筋力や体重減少、会話の減少、家族内孤立、独居、周りに話す人がいるか 
☞ 音声訓練の実際
腹式呼吸:声は腹式呼吸と腹圧による気流発声から始まります。
腹式呼吸は、英語の発声、発音にも通じますので、子供のころから意識させるようにして下さい。
犬のあえぐような呼吸と発声も参考になります。
腹式呼吸基本臥位youtube
松永敦耳鼻咽喉科医師による
腹式呼吸・喉下げ・ベルカント YouTube ボイトレセミナーの一部です。
松永敦耳鼻咽喉科医師による腹式と胸式呼吸・母音発声YouTube 腹式呼吸は肩をあげずに行います。
松永敦耳鼻咽喉科医師による腹式呼吸・母音発声と顎の使い方YouTube
Dr Dの英語の発声腹式呼吸YouTube
セラの英語の発声とドッグブレスYouTube
症状対処的訓練(症状に応じて、音声そのものを変える訓練です)
➊ 声帯の緊張を緩め、軟らかい声を出すために身体の自然な反応を利用する方法
対象:筋緊張性発声障害MTD(内外喉頭筋の過度な緊張が原因、のどに力が入り過ぎです)
疾患と背景:
下記の病気と関係して起こり事も多く薬物療法と組み合わせて行うこともあります。
*胃食道逆流症による喉頭肉芽腫(PPIなどの胃薬併用)
*鼻疾患による後鼻漏に刺激による声帯炎(鼻疾患の治療併用)
*不適切な発声習慣による声帯炎、声帯結節
*心理的背景の関与(心理療法の併用)
診断:
発声時の内視鏡による喉頭声帯所見で判断します。
医学的タイプでは下記の分類の報告あります。
タイプ1:声門後部の間隙 タイプ2:両仮声帯の接近
タイプ3:声門上部構造の前後方向の接近 タイプ4:声門上部構造の前後方向の閉鎖
方法:どうしたら喉の緊張が取れるか
*あくびため息法
咽頭の奥を広くして喉を下げながら息を吸い、ため息のように息を吐き、吐き出す息に声をのせながら単語から文へと発声時間を長くします。咽頭共鳴を促進します。
あくびで喉の奥を広げ、広げたイメージで普通の会話へ発展させます。赤ちゃんが大きな声で泣けるのもこの喉の使い方で行っています。
*咀嚼法
ガムなどを噛みながら発声し、声帯の緊張を緩和する方法です。慣れたら噛んでいるつもりになって軟らかい発声を目指します。
*喉頭マッサージ: 喉を高く固定して緊張した声を出している場合、外喉頭筋(胸骨甲状筋)のマッサージを行います。胸骨甲状筋が唯一のど下げる筋肉で、のどぼとけの下から胸骨に伸びる筋肉です。喉が高いと高音になり緊張した状態を作ります。胸骨甲状筋を使い喉を下げて歌うと、秋川 雅史『千の風になって』のように低い伸びのある声に変化します。あくびため息の状態に近づきます。
*ストロー発声:気流の流れを意識して、腹式呼吸でのどは意識せず発声することを学びます。この方法は、最近注目されていますので、あとで詳細に述べます。
❷ 声門閉鎖の強化 対象:声帯萎縮 高齢者で多く、声門間に隙間ができるため、かすれた力がない声になります。
最近では、下記の包括的訓練である生理的発声法の音声機能拡張訓練(VFE)で治療を行います。
日本で以前まで行われていたプッシング法は、非生理的発声で過緊張発声を助長するため、現在世界的には行われないようになってきています。
包括的訓練(前述の対処的訓練よりこちら最近は主流です)
一連のプログラムとして行う方法で、個人で行うには限界があります。
プログラムとして行うには言語聴覚士を必要とします。
腹式呼吸で気流発声➡喉頭の内外筋を調整し喉頭負荷を軽減➡鼻腔・咽頭共鳴を促進
腹圧に始まり胸腔⇒喉頭⇒共鳴腔に至る一連の気流の流れとして発声を捉えていきます。
音色は音の波形の違いで、共鳴周波数で決まります。
キーワードは共鳴と気流の流れです。以下に訓練の流れを示します。
➊ 気流:後述のストロー発声で気流の流れを意識します。
❷ 咽頭を開き口唇を狭く逆メガホンで、声帯への負担を軽減します。喉を下げるイメージで行います。
次の音声機能拡張訓練(VFE)へつなげていきます。
❸ VFE(音声機能拡張訓練)(vocal function exercise)
喉頭の筋力向上とバランスの調整を目指し、発声持続や高低、大小の発声を組み合わせた訓練を行います。
*発声持続練習
*音階上昇
*音階下降
*特定の高さでの発声持続練習
など通院と自主訓練を行います。
音声訓練を日常生活へ導く生理的発声法の訓練です。
❹ レゾナント(共鳴)法:
喉に負担をかけない効率よく響く声(レゾナントボイス)を得るために、鼻の奥や口唇周囲の振動の感覚の認識を重視して行います。
ハミングを使って鼻腔咽頭共鳴を促進させ発声法の習得を導きます。
振動のブルブルする感じのような身体内部感覚に焦点を置き、のどを逆メガホンにするイメージで行います。喉をさげて行います。
共鳴に重点を置いた訓練は、喉頭に負担をかけず、すべての機能性の喉頭疾患に効果があります。
singでハミング ハミング(動画)by IVANA
松永敦耳鼻咽喉科医師 ハミングと音程 YouTube
松永敦耳鼻咽喉科医師リラックスと共鳴YouTube 体の力を抜き共鳴腔を広げ腹式呼吸発声。
◆治療プログラムの進め方の一例
(京都大学耳鼻咽喉科 平野 滋 2015 日耳鼻 から)
声の衛生指導
筋緊張緩和のストレッチ
腹式呼吸で気流を意識
基本となるレゾナントボイスの練習
レゾナントボイスによる詠唱
徐々に大きく徐々に小さく発声(メッサディボーチェ)
レゾナントボイスによる会話へ進展
👉
包括的訓練は、言語聴覚士やボイストレーナーの指導で行う訓練が多く、自分で行うには難しく感じると思います。
前述の『ストロー発声』は、簡単で自分でも行え、音声拡張訓練への応用ができます。
【ストロー発声の詳細】
日本では、まだ普及していませんが、簡単で自分でも行えるお勧めの方法です。英国の歌手 サムスミス(Sam Smith) が声帯出血をこの方法で治療したようです。
◆ボイストレーナーko(カナダ在住)ストロー発声YouTube
歌う前のウオームアップに効果あります。
◆Vocal Straw Exercise Dr. Titze 動画(英語)youtube
2006年、Dr Titzeが提唱した訓練プログラムは,ストロー発声での音 階の上昇・下降,同じく連続した強弱をつけたストロー 発声,さらにストロー発声による歌唱からなっています。
●『BS―NHK からだの秘密;声はストレッチで若返る』放映HP(2018年6月26日)にて、ストロー発声について紹介がありました。
内容:
ストローを用い『ウー』と唇が振動するように声を出します。口の中を広げ声のストレッチ効果あります。腹式呼吸で、声の上げ下げ1日50回ストロー発声、5~10秒持続させ訓練します。番組では2週間行います。声帯結節 声帯麻痺 声帯萎縮 MTD(筋緊張性発声障害)の効果の報告ありますが、すべてに効果はなく、声帯結節の改善には1年以上必要すると報告されています。
参考資料
◆実践 音声治療マニュアル インテルナ出版 城本 修 訳 ◆音声障害診療ガイドライン2018金原出版
◆図解 やさしくわかる言語聴覚障害 ナツメ社 ◆音声障害 平野 滋 日耳鼻学会誌 118~273、 2015
◆チューブ発声法による声帯振動への影響 音声言語医学56:180~185 2015
◆音声障害のリハビリテーション 城本 修 日耳鼻 121;193~200、2018
自分で行う声がれ対策(声の衛生)
2019年、新年おめでとうございます。最近、急に寒くなり空気が乾燥し声がかれやすくなる時期です。『今回は声のケアの話』です。
一時的な声がれは、心配いりません。2週間以上持続する場合や、反復する声がれは、専門医での精査が必要です。癌が隠れていることがあります。まずは耳鼻咽喉科専門医での精査をお勧めいたします。40歳以上の喫煙習慣がある男性と中高年、高齢者の方は用心してください。
メタボや食事の生活習慣に問題がある声がれが、最近増えています、胃食道逆流症による声がれ(喉頭肉芽腫)です。声の衛生以外に食事・生活習慣の改善が急務となります。
高齢の方や声を使わない老人の声がれには、声帯萎縮が進行していて、嚥下機能低下、筋力低下(フレイル、サルコペニア)、唾液分泌低下(ドライマウス)の確認が必要です。
誤飲性肺炎のハイリスクとなりますので、声の衛生以外の対応が必要です。
当院HP;自宅でできる誤飲性肺炎予防、自宅でできるドライマウス対策も参考にしてください。
当院HP:『声がれ』治療の流れを記載しています。
加齢や生活習慣による声帯萎縮や喉頭肉芽腫の診断は耳鼻咽喉科専門医受診が必要です。
◆声帯炎: 声帯の炎症 話過ぎや風邪の時に出現
これが持続すると下記へ移行しやすくなります。
*声帯ポリープ: 片側 血豆になることもあります。
*声帯結節: 両側 声帯のたこ(ペンだこ様) 習慣的に声を使う人 教師、歌手、アナウンサー、保育士に多い
*ポリープ様声帯: 声帯全体のむくみがあり、お酒とたばこを吸う更年期以降の女性に多い
◆喉頭がん: 声がれが、2週間以上持続するときは精査が必要 特に40歳以上の喫煙習慣がある男性はハイリスクです。
*反回神経麻痺:肺がん、甲状腺がん、食道がん、動脈瘤、縦郭腫瘍などが原因で、喉頭以外から生じる反回神経麻痺による声がれもあります。
◆声帯萎縮: 加齢と会話の減少で起こります。出しやすい声で『アー』発声持続時間が男性15秒未満 女性12秒未満は疑います。65歳以上の7割程度の方がいると報告されています。
◆喉頭肉芽腫:生活習慣病として最近増加が著しい胃食道逆流症が関連して生じ、のどに負担がかかりすぎると起こしやすくなります。
~~自分で行う声の衛生(声がれ対策)➡健康な声を保つための注意事項~~
重要なことは以下の二つです。音声治療(声がれのリハビリ)を行う前段階としても重要です。
●加湿:喉を乾燥させない、声帯粘膜の保護に重要。
●喉に負担をかけない:
音声治療では、喉頭は意識しないで、肺の気流と鼻腔と咽頭共鳴の促進を意識します。
ベルヌーイ効果など声の出る仕組みとやわらかい声帯粘膜の重要性を理解すると、上記のことがもっと理解できるようになります。

声帯粘膜は乾燥に弱く、良い声帯の動き(数百回/秒)を得るには、肺からの気流と声門下加圧が重要(腹式呼吸)で、喉は力を抜き意識しないで発声することが大事です。
👉 加湿は、1体内 2局所の口腔と口頭 3環境を考えて対応します。
1体内脱水に気を付けます、脱水や夏の熱中症の時の水分補給、利尿作用があるお酒やカフェイン飲料を控える、高血圧・心不全の利尿剤による影響を最小限にします。![]()
2局所の乾燥には、水分をまめに補給、食事を30回噛み唾液を促します。
鼻呼吸(加湿、加温、粘膜免疫、除菌機能あり)を意識します。
口呼吸では、朝は口腔乾燥になります。必要な方には夜間マスクを使用します。
唾液分泌は、刺激で出やすくなるので、夜間は唾液分泌が低下します。
イライラすると交感神経が働き、口が渇き易くなりますので、穏やかに生活しましょう。
飴をなめる時は、一口水を含みます。
3秋から冬にかけて湿度が低くなり空気が乾燥し、同時に寒くなるためエアコン、石油ファンヒーターなどの暖房による影響で室内での乾燥がさらにひどくなります。加湿器を使用し、温度設定を控えめにして、濡れタオル・洗濯物を干すなど対応します。
👉 喉の負担をかける発声・環境・食事生活習慣を控える。
*大声、ささやき声を避ける、ささやき声も喉に負担となります。
*運動時の発声を控える。
スポーツの時の気合をいれるため、『サー、ヨシ、エイ』などです。
*大声を出す時は、マイクやメガホンを使用する
*かぜの時大声を出さないで声・のどを休める
*騒音化では話さない
*タバコやホコリを避ける
*早口や力んだ発声を控え、楽なリラックスした姿勢で話す。
*激しい咳や咳払いには水を飲みます、咳は喉を傷めます。
*胃食道逆流が疑われる時は、食事・生活習慣を見直します。痩せている方も、起こしますので注意しましょう。
👉 喉の衛生にとって避けた方が望ましい薬
*鼻水や風邪薬:抗ヒスタミン薬、抗コリン作用のため乾燥
*降圧剤の一部:利尿薬による乾燥
*安定剤、抗精神薬、眠剤の一部:抗コリン作用による乾燥、喉頭筋緊張の異常
*抗パーキンソン病薬の一部:抗コリン作用のため乾燥
*ぜんそく薬の吸入ステロイド:声帯粘膜の器質的変化 カビによる喉頭炎
*ステロイド内服: 音声ピッチの低下
*抗凝固薬、抗血小板薬:血液サラサラのため声帯血種
それぞれの薬の必要性については、担当医と相談してください。
参考図書
米国耳鼻咽喉科学会『声がれ』ガイドラインHP 音声障害ガイドライン2018:金原出版 図解;やさしくわかる言語聴覚障害:ナツメ社 東京医療センター;感覚器センターHP
自分で行う溶連菌感染症の判断と知識
溶連菌感染は、夏に少なくなるも1年を通して多い感染です。特に秋から冬にかけて多くなり、季節的に多くなるインフルエンザ以外では、通常、冬では感染性胃腸炎の次に多く、4歳ごろから学童に好発する疾患です。
👉 溶連菌は、発症時の症状の他に、その後の毒素や免疫反応による様々な疾患が生じ、死に至る病気(人食いバクテリア)となることもあるため、自分でも知識を持ち、早期発見に役立てる必要があります。
~溶連菌感染を簡単に要約すると以下になります~
溶連菌感染症とは、A群β溶血連鎖球菌(グラム陽性嫌気性菌)という細菌によって起こる感染症です。
無治療で、発症後3週間で抗体が産生され、2週間以内に自然治癒することもあります。
*溶連菌そのものによる組織障害(咽頭炎)
*溶連菌が出す毒素による疾患(猩紅熱)
*免疫異常による疾患(リューマチ熱・腎炎など)
など多彩な疾患発症メカニズムがあります。
◆感染経路
*飛沫感染(口や鼻から感染)…咳やくしゃみ等で飛び散った菌を吸い込むことで感染します。
*接触感染(皮膚から感染)…皮膚と皮膚が触れたり、タオルや食器等を介して感染します。
*親子兄弟の家族内感染を起こします(兄弟の感染率25~50%、流行期の両親の感染率20%程度)。
*潜伏期間 咽頭炎は約2~5日 とびひ(伝染性膿痂疹)では、7日~10日
一般的に4歳~学童の子供に感染しやすい病気です。大人でも感染します。一度感染して治っても、繰り返しかかることがあります。適切な薬をきちんと服用すれば、24時間以内に感染力がほとんどなくなります。
学校保健安全法では、適切な薬を内服後24時間たち、状態が良ければ登校可能となっています。
◆症状
発熱・のどの痛み・腹痛・発疹・苺舌(写真サイト)吐き気 (写真はみやけ内科 家庭の医学HPから)
これらの症状が全てあらわれるわけではなく、人により症状は異なりますが、高熱、のどの痛みが出て、扁桃腺が腫れ、その後、全身に発疹が出たり、舌にイチゴのようなブツブツが現れることもあるのが特徴です。
◆診断と治療
クリニックでは、迅速検査(10~15分程度)を行い、陽性であれば、アモキシリン10日間内服加療を行います。必要あれば、咽頭培養を行います。
*軽症ペニシリン(PC)アレルギーではケフレックス(狭域セフェム)
*重症PCアレルギー クリンダマイシン 10日間服用
広域セフェム系(フロモックス、メイアクト、トミロンなど)の5日投与方法が日本で研究されましたが、除菌率82%、10日間アモキシリンでは91.7%、再発率では差は認めていません。
広域のセフェム系は常在菌に変化をもたらすため、アメリカでは推奨されません(サイト)日本では、クラリスロマイシンなどのマクロライド系は耐性の可能性があります。
IDSA(アメリカ感染症学会)2012年(サイト)では、迅速検査は3歳未満には推奨されません。理由は、3歳以下のリューマチ熱の発症は稀だからです。但し、年長の兄・姉の感染があれば考慮してよいことになっています。
保菌者(検査は陽性、無症状)は治療はしません。周囲に感染するリスクは低く、合併症を起こす危険性は低いからです。除菌療法を検討する場合*家族が複数回A群溶連菌咽頭炎*リウマチ熱の家族歴*慢性のA群溶連菌保菌状態で扁桃摘出を検討など
◆合併症(免疫反応による)
●リューマチ熱:発熱と関節痛、心炎、輪状紅斑、舞踏病あり、その後心臓弁膜症となることがあります。咽頭炎後1~5週で発症します。現在先進国では、稀です。2008年日本では推計100人程度。抗生剤内服で予防可能です。外国人の来日による輸入感染症やワクチン普及や安易に抗生剤を使用しない流れでの、再興感染症として今後増える可能性があります。好発年齢は4歳~15歳。米国では3歳以下は稀(サイト)
●急性糸球体腎炎:浮腫 血尿 タンパク尿 高血圧 が出現。2歳未満は稀で、40歳以上は少なく、2歳~15歳と60歳以上は注意が必要です。
多くの日本語のネットの情報では、抗生剤内服で予防できるように書かれていますが、MSDマニュアル(世界的オンライン医療情報)では(サイト)、抗生剤内服では、予防できないとなっています(治療:レンサ球菌咽頭炎の箇所)。必要な方には、発症2~3週間後の検尿を行います。
●アレルギー性紫斑病:小血管炎で、紫斑と関節痛、浮腫、腎炎、腹痛あり。20歳以下で4~10歳に好発します。溶連菌感染後1~3週間で発症することがあります。
その他に皮膚疾患として、
●発赤毒による猩紅熱(発疹:咽頭炎発症1日後:翌日~7日、イチゴ舌:発症2日~など)発疹は、脇の下や鼠径部にも多く認めます。口の周囲や手のひら足の裏はあまり認めません。
発疹は(写真サイト みやけ内科HPから)、体幹に始まり、末梢に広がります。皮膚落屑(手や足の指先のかわ剝け)は、発疹が消失後から現れますが、自然治癒します。1998年以降、猩紅熱は法定伝染病から除外されています。
●急激に発症して数日で死に至ることもある(人食いバクテリアと壊死性筋膜炎)
2017年6月西部ライオンズの森投手コーチが体調不良からわずか3日で、劇症型溶血性レンサ球菌感染症による敗血症で死亡。死亡率30%。(徳州新聞ダイジェスト 2017年7月31日)2015年では日本で500人程度の報告があります。発症はよくわかっていませんが、A群溶連菌への好中球による貪食能が抑制されて起こると考えられています。リスク因子として、高齢者、飲酒、男性が少し多いとなっています。子供には稀な疾患です。若年者では、外傷、針刺し事故がきっかけで発症することがあります。高熱、全身不良、局所の腫脹、激痛、四肢末端から1時間に数センチで壊死が進行します。早期の診断と治療が重要です。抗生剤による集中治療の他、外科処置が必要です。
●丹毒:真皮組織の上層の溶連菌の感染で、1~2mm程度の境界明瞭発赤腫脹を認めます。顔や手足に発症することが多い。
●蜂窩織炎:真皮組織の深い部分の感染、黄色ブドウ球菌が多く、溶連菌も原因となります。境界不明瞭な発赤、腫脹で下肢に多く認めます。
●伝染性膿痂疹(とびひ):黄色ブドウ球菌が主の原因、溶連菌も原因となります。アトピーがあると重症化します。
そのた重症合併症
●扁桃周囲膿瘍: 激しい咽頭痛、嚥下困難、開口障害があり。溶連菌による咽頭炎を無治療では重症化して、入院や外科的処置が必要となることがあります。
●急性喉頭蓋炎: 嚥下困難、呼吸苦、人生最悪の咽頭痛があり。救急車搬送が必要なことがあります。●咽後膿瘍●敗血症
👉 自分で行う溶連菌感染による咽頭炎、扁桃炎および合併症の急性糸球体腎炎の判断として
下記の基準と症状を参考にしてください。
◆溶連菌などによる細菌感染ではないウイルス感染の場合は、咽頭痛・発熱の他に、鼻汁、鼻閉、咳、口内炎、結膜炎などの多彩な症状が同時に出現することが多くなります。
溶連菌感染では、発熱、咽頭痛、時々腹痛・嘔気が出現し、症状は限られたものになります。
【Centor/McIsaacの基準】
*発熱 38℃以上 1点
*咳がない 1点
*圧痛を伴う前頚部リンパ節腫脹 1点(あごの直下で前方のリンパの腫れ)
*白苔を伴う扁桃腺炎 1点(のどの奥の扁桃に白い物が見える)
*年齢:3~14歳 +1点、15~44歳 0点、45歳~ -1点
スコア (溶連菌感染の確率)JAMA 2004
0 2%
1 7.5%
2 14%
3 31%
4 52%
スコア4であっても、EBウイルスなどによる伝染性単核症の区別が難しいことがあります。この指標は、医師が迅速検査の適応や、抗生剤の必要性を検討するときの資料です。
◆各年齢による症状を知ること
*3歳以下:鼻水、鼻炎症状のみで、咽頭炎の所見は認めないことが多い。通常の感冒と区別がつきません。感染後の急性糸球体腎炎は、2歳未満は稀です。米国ではリューマチ熱は、3歳未満は稀。
*4歳~14歳:
咽頭の充血した暗赤色の発赤、赤い斑点状紅斑(写真)を呈することが多く、経験ある医師であれば、咽頭を視診するだけで判断できます。好発年齢です。(写真はみやけ内科 家庭の医学HPから)
*思春期~成人~高齢者:さまざまな咽頭所見を呈するため咽頭の視診だけ判断するのは難しくなります。
血尿 タンパク尿 浮腫 高血圧が、咽頭炎後10日以降に発症します。好発年齢の3歳~14歳のお子さんたちでは、発症数週間後の
*ワイン色尿(血尿)
*泡立った尿(タンパク尿)
*眼瞼浮腫(浮腫)
は、お子さんにも教えてよく観察して下さい。クリニックにて、発症2~3週間して、検尿で確認します。
参考資料
抗微生物薬適正使用の手引き2017(厚労省)
MSDマニュアル みやけ内科:家庭の医学HP
自宅でできる窒息対策:交通事故より多い窒息死
『窒息死の増加』
ここ数年の死亡原因の推移(厚労省人口動態統計)を見ると、エアバックによる普及などで交通事故による死亡者数が年々減少し、高齢化にともない、2006年には交通事故死より窒息死がおおくなり、最近では、窒息で亡くなる人は年間約1万人近くになり、交通事故による死者の2倍近くになります。その窒息死のほとんどは、高齢者です。
加齢とともに、物を飲み込む力が弱くなり、誰でも窒息の危険性が高まります。
特に、脳卒中、パーキンソンなどの神経疾患、うつや精神疾患、歯を失い口腔内トラブルは窒息を起こしやすくします。
餅、こんにゃくだけでなく、ご飯、パン、肉、芋、果物などどんな食品でも窒息の原因になりうると考えておくことが大切です。
飲み込む力が弱くなると、高齢者では、誤飲性肺炎も起こしやすくなりますので、
当院ホームページ自宅でできる誤飲性肺炎予防も参照して下さい。
『救命のカギ:現場での速やかな異物除去』
高齢者の窒息の多くは、食事中自宅で起こります。
➡窒息で救急搬送された患者さん155人の調査:
Igarashi Y.et al. Am J Emerg Med 2017
【回復率】窒息前の健康状態に戻る率
◆現場に居合わせた人の異物処置 73.7%
◆現場で救急隊員の異物処置 31.8%
◆医療機関到着後の異物処置 9.6%
窒息発生後、いかに早く異物を除去できるかが、その後の回復に大きく影響します。
異物除去できず、救命できても重い後遺症が残ることが多くあります。
その場で対応しないと、回復はほとんど望めないことになります。
👉 自宅でできる異物除去法
周囲の協力要請と119番通報
➡ 意識がある場合(すぐに異物除去)
咳ができる場合、
鼻から息を吸い、強い咳を促します。
背中を軽くたたき前屈みで行うとうまくいくこともあります。
IMG吸引ノズル(イマムラ):2000円台で市販されています。電気掃除機に装着して使用します。
この電気掃除機を使って吸い取る方法を開発した相生消防本部と兵 庫県立姫路循環器病センターは
「老人ホームや病院、老人、子供のい る家庭などで常備薬と同じように備えてもらえれば、万一の時の救命に なる」と説明
咳が出来ないとき
以下のことをすぐに行います。動画で確認して下さい。
*親指と人差し指で喉をつかむしぐさ(チョークサイン)
*窒息の有無を尋ねうなずき、話が出来ない
〇高齢者 小児
腹部突き上げ法(youtube)(妊婦・乳児にはしません)
要領:
傷病者の背後に回り、小児にはひざまずき、傷病者の胴に両腕を回します。
片方の手で拳を作り、臍のやや上に押しあてもう一方の手で握ります。
背部殴打法(腹部突き上げ、背部殴打、胸骨圧迫の一連)youtube
背部殴打法は側臥位(横向きで横たわり)でも行います。
小児背部殴打・腹部突き上げ法(youtube)
〇妊婦さん![]()
胸部突き上げ法(you tube English)肥満者にも適応あり
カナダ赤十字の動画で、1:25あたりから説明されます。
臍の上ではなく、胸骨の中央に拳を置きます。
〇乳児
乳児背部殴打・胸部突き上げ法 (youtube)
➡ 意識が無い場合
すぐに心肺蘇生、胸骨圧迫法を行います。
人工呼吸の前に、口の中を確認して除去を試みます。
当院ホームページ
自宅でできる心肺蘇生を見てください。
👉 高齢者の窒息を予防するポイント
嚥下障害の可能性がある高齢者と食事をするとき
●必ず誰かが見守る
●食べ物は細かく刻む(適度に水分を含む食品が食べやすい)
●少量ずつ口に入れる
●ゆっくり食べる
●話をしながら、TVをみながら食べない、食事に集中
参考図書
今日の健康2018年9月 一次救命処置AHAガイドライン2015準拠;シナジー
自宅でできる心肺蘇生
最近では、人が急に倒れた時、AED(自動体外式除細動器)を使うと聞いたことがある方が多いと思います。
*心肺蘇生教育の重要性
AEDの歴史は浅く、以前は医師のみ使用可能だったものが、2003年に救急救命士、2004年に一般市民にも使えるようになりました。
価格も発売当初は100万円だったものが、現在は30万円を切るようになってきています。それに伴い、駅、学校、公共機関、クリニック、人が集まる施設はどこにでも設置されるようになっています。
心停止がおこると、15秒程度で意識が消失し、3~4分そのまま放置すると脳の回復が困難となります。
最近では、一般の人も関心が高く心肺蘇生の講習を受ける機会が増えていますが、
いまだに毎年7万人程度の方が心臓突然死で亡くなり、学校でも毎年100名程度の児童生徒の突然死が発生しています。
日本では、通報から救急車の到着まで平均8.5分かかります。
救急車到着までの質の高い心肺蘇生と致死的不整脈へのAEDの使用で、救命率が明らかに高くなります。
救急車到着までの間、心停止患者のそばにいる一般の人の教育が重要になります。
👉 お子さんがいるご家庭では、いつもそばにいるのは、ご両親となります。お子さんができたら、親の責任として心肺蘇生を習得することを考えましょう。
日本臨床救急医学会ならびに日本循環器学会は、2015年9月30日に「学校での心肺蘇生教育の普及並びに突然死ゼロを目指した危機管理体制整備の提言」を、下村博文 文部科学大臣に提出し、その後文部科学省記者会にて記者会見を実施しています。
*非医療従事者のAED使用の法的見解
『対象の身体に対する「急迫の危害」を回避するための「救命処置」であるAEDの利用により、救命対象を死亡や怪我、障害を与えた場合でも、悪意がなければ使用者は患者本人や遺族から責任を問われない』となっています。
*AEDの使用方法 赤十字のAED使用動画7:20から開始(you tube)
一般の人のAED使用法は、肩などたたいて問いかけて反応がなく、呼吸が無い場合に使用するとなっていますが、実際に使用するには、周りが安全であることを確認に上、意識がないことを確認したら、周囲の人にAED持参と119番通報など協力を迅速に依頼します。
ほぼ同時に脈と呼吸が無いとことを確認して、胸骨圧迫をすぐに開始し、AEDが到着したら患者の頭部の横に置き、すぐに使用の準備をします。脈の確認は一般の人には難しく、胸部と腹部の動きから呼吸が無いことを確認したら胸骨圧迫へ移ります。
意識、脈、呼吸が無いだけでAEDの適応とはならず、致死的不整脈:心室細動、無脈性の心室頻拍のみ適応となり、AED自身が解析し除細動の適応があるか教えてくれます。
我々は、傷病者の衣服を取り除き、AEDの電気を入れメッセージに従うだけです。パッドを貼り、コネクタをAEDに接続し、心リズム解析する前から救助者を患者から離れさせ、ショックが必要であればAEDは充電を行い、ショック(除細動)ボタンを押す直前にも、全員が傷病者から離れたことを確認してボタンを押します。
ショックが不要な場合、およびショックが施行された後は、ただちに胸骨圧迫を再開して質の高い心配蘇生を行います。
👉 講習を受けていない一般の人が心肺蘇生・AEDの使用を迅速に行うには、かなりハードルが高いと思います。
講習を受けたことがある人でも、時々実践練習しないと忘れてしまい、いざという時には、自信が持てず公衆の前ですすんで行うことは出来ません。
*胸骨圧迫&心肺蘇生の重要性
AEDは、魔法の医療器具ではありません。
AEDは、心停止で心室細動(VF)と無脈性心室頻拍(VT)だけ効果があります。
心室細動に対して、1分でAED使用すれば生存率90%、9分では10%の生存率となります。心肺蘇生を行えば、生還する可能性の低下を穏やかにします。
心停止で最も重要なのは質の高い心肺蘇生とVFとVTに対するAEDです。
AEDがすぐそばにあれば、VFとVTには心肺蘇生の前にAEDを施行してもかまいません。
以下の状態にはAEDの効果はありません。
●心静止(心停止で、心臓の電気活動がなく動いていない状態)
●無脈性電気活動(心停止で、心電図上波形はあるが拍出がない状態)
上記は原因治療が重要です。
以下の患者さんにも心室細動・無脈性心室頻拍が無ければAEDの効果はありません。
●酒に酔った酩酊状態で意識が無い人
●蜂に刺されアナフィラキシーショックで意識が無い人
●薬物中毒で意識が無い人
●立ちくらみで意識が無い人
●てんかんで意識が無い人
●脳疾患で意識が無い人
*自宅でできる心肺蘇生
病院外での心停止の70%は自宅で発生していると言われています。
AEDを自宅に持っている方はほとんどいません。
以下に成人の心肺蘇生について説明していますが、一般の人が自宅でできる心肺蘇生として簡略にまとめると
『肩をたたいて患者に、意識がないことを確認後、家族に119番依頼または自分で119番通報します。
呼吸が無いことを、胸部と腹部の動きで確認して、固い表面の上ですぐに100~120回/分で胸骨圧迫を開始して、救急車到着まで行います。
胸骨圧迫のやり方は下記の説明で理解して、胸骨圧迫動画(you tube)で実際を勉強して下さい。』
成人の場合、直後数分間は酸素残留があり、発症直後は人工呼吸は不要ですが、
講習を受けていれば、胸骨圧迫30回に人工呼吸2回(1回に1秒かける)を行ってください。
手際よく学びたい方は、you tube6分程度にまとまった心肺蘇生動画で全体の流れを勉強してみましょう。
成人の心肺蘇生
(AEDがない自宅)
火事など危険が無ければ患者を動かしてはいけません。
◆肩をたたいて患者に、意識がないことを確認
◆家族に119番依頼または自分で119番通報
◆喉仏の横の頸動脈で脈を確認(5秒~10秒以内)、同時に鼻と口からの呼吸および胸の動きを、顔を近づけ確認します。頸動脈の触診は普段から確認していてください。一般の人は、頸動脈触診は難しく、呼吸が無いことを、胸部と腹部の動きで確認して、すぐに胸骨圧迫を開始します。10秒以内に上記を行います。
◆脈と呼吸が無い場合、すぐに胸骨圧迫を開始。このとき柔らかいベッド・ソファに横たわっていれば、固い表面に寝かせるか硬い板を下に敷きます。
酸素は、心停止当初は体に残留があり、数分間は身体の酸素需要を満たします、胸部圧迫をしないと心臓や脳への血流が大幅に減少するため、一般の人は胸骨圧迫のみを中断せず行います。
◆胸骨圧迫のやり方: 胸骨圧迫の動画(you tube)
片方の手のひらの付け根を、患者の胸骨の下半分に置き、置いた手の上に、もう片方の手のひらの付け根を置き、腕を真っすぐにし、手の真上に肩がくるようにします。
テンポ:100~120回/分
胸骨を5cm圧迫しその都度、胸骨を元に戻します。
しっかり胸骨を戻すことで、心臓内へ循環血液を戻すことができます。
◆気道確保と人工呼吸:(一般の人は、成人の場合、胸骨圧迫のみで救急車到着を待つ)
質の高い心肺蘇生では、頭部後屈・あご先挙上して気道確保を行い、胸骨圧迫30回と人工呼吸2回のサイクルを行います。
頸部損傷が疑われる場合、気道確保に下顎挙上法を行います。一回の人工呼吸は1秒かけて行い、1回ごとに胸の上がりを確認します。
過剰な人工呼吸は過換気となり、蘇生に悪影響となります。
人工呼吸による中断は10秒以内で、胸骨圧迫を再開します。
家族内の親しい関係であれば、患者の鼻をつまみ直接口対口人工呼吸も可能です。
👉 成人の場合で意識・脈・呼吸が無い場合、一般の人は、救急車到着まで、人工呼吸は行わず胸骨圧迫のみで問題ありません。
◆死線期呼吸:
赤十字の心肺蘇生動画の4分から説明されています。
普通の呼吸ではなく、呼吸停止と判断して心肺蘇生を行います。
◆呼吸停止
脈はあるが、呼吸が停止している場合です。
119番通報します。
必要な酸素供給と二酸化炭素排出が出来なくなり、次第に脳損傷、心停止を引き起こします。
人工呼吸を5~6秒に1回1秒かけて行い、2分毎に脈拍を確認して、脈拍が無ければ、胸骨圧迫を開始します。
自宅でできる人工呼吸として、家族内の親しい関係であれば、頭部後屈あご先挙上で気道確保してから、患者の鼻をつまみ直接口対口人工呼吸も可能です。
自分用のポケットマスク(2000円前後)をネットで購入しておけば感染を心配せず行うことが出来ます。実際使用するには、前もって練習が必要です。
◆1人ポケットマスク使用手順 心肺蘇生ポケットマスク動画(you tube)
あご先挙上し、ポケットマスクを、鼻をガイドにして顔に密着して使用します。
頭頂部側の手の人差し指と親指をマスクの縁に沿って置き、もう一方の手の親指を体部側のマスクの縁に置きます。体部側の手の残りの指を下顎に当て挙上します。
下顎挙上と共にマスクの外側の縁を強く完全に押し当て顔に密着させます。
胸部が上がるように、1秒かけて息を吹き込みます
動画では、1回1秒かけて2回息を吹き込む説明があるのは、成人の心肺蘇生では、30回胸骨圧迫と2回の人工呼吸を組み合わせるための説明です。
呼吸停止のみで脈拍ありでは、人工呼吸を5~6秒に1回行い、2分毎に脈拍を確認となります。
子どもの心肺蘇生(AEDがない自宅)
小児(1歳から思春期未満 女子は乳房、男子は胸毛・腋毛で確認します)![]()
乳児(1歳未満)
◆成人と小児・乳児への大きな対応の違いは、
〇心停止の過程の違い
成人:成人では心停止後の発症のため血中酸素含量があるため、胸骨圧迫を優先させます。
小児・乳児:心停止発症時に、呼吸不全やショックが認められ、心停止に至る前から、血中の酸素濃度が低下していることが多くなります。
乳児・小児の場合、胸骨圧迫と人工呼吸の両方を行うことが重要です。
〇意識の確認方法
成人:肩をたたき呼びかけ
小児:肩をたたき呼びかけ
乳児:足の裏をたたき呼びかけ
〇脈拍蝕知の場所
成人 頸動脈
小児 頸動脈または鼠径部の大腿動脈
乳児 腋窩上腕側の上腕動脈
〇呼吸無し、脈拍ありの場合
成人:
人工呼吸を5~6秒に1回1秒かけて行い、2分毎に脈拍を確認して、脈拍が無ければ、胸骨圧迫を開始します。
小児・乳児:
人工呼吸を3~5秒に1回1秒かけて行います。
脈拍蝕知しても脈拍60/分以下で、循環不良(顔色がわるい、唇が紫、四肢冷感、反応低下、脈拍弱いなど)あれば、胸骨圧迫を合わせて行います。
〇胸骨圧迫の深さと圧迫時の手の使い方
成人:少なくとも5cm 両手で行う
小児:胸部の厚みの少なくとも1/3(約5cm)
片手または両手で行う
乳児:胸部の厚みの少なくとも1/3(約4cm)
2本指法(1人救助)両拇指圧迫(2人救助)
〇質の高い心肺蘇生の回数
成人:胸骨圧迫30回 人工呼吸2回
小児・乳児:
救助者1人では、胸骨圧迫30回 人工呼吸2回
救助者2人では、胸骨圧迫15回 人工呼吸2回
👉 以上のように複雑で、乳児・小児の心肺蘇生を一般の人が覚えるのは大変で、いざという時に思い出し実践できません。
*自宅できる乳児・小児の心肺蘇生は、119番通報後、救急車到着まで次のことを行います。
『簡略すると、肩(小児)や足裏(乳児)をたたいて意識がなく、頸部損傷の可能性が無ければ、軽く頭部後屈・あご先挙上して、家族内のお子さんお孫さんに、直接、鼻をつまみ口対口(小児)、鼻も口で覆い口対鼻・口(乳児)人工呼吸2回(1回1秒)を胸骨圧迫30回に組入れることです。
胸骨圧迫は、小児では、両手または片手、乳児では2本指法で行います。圧迫箇所は乳頭を結んだ線の一横指下です。』心停止が呼吸不全より先で、すぐに意識が消失のに場合は、胸骨圧迫のみでかまいません。
乳児の頭部後屈は伸展過ぎると気道が塞がれることがあります。
乳児の心肺蘇生動画(you tube) 詳細な乳児・幼児の心肺蘇生(小児:口対口、乳児:口対口・鼻)(you tube)
自分用のポケットマスク(2000円前後)をネットで購入しておけば感染を心配せず行うことが出来ます。実際使用するには、前もって練習が必要です。
参考図書・資料
一次救命処置 AHAガイドライン2015準拠:シナジー 日本循環器学会HP 自動体外式除細動器:ウイキペディア
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