院長の健康情報コラム
台風と気象病(めまい・耳閉感・頭痛)

桜島(雲冠)吉野公園 雨上がりの夕方2017年10月22日
10月には稀な、大型台風21号が10月23日に静岡に上陸。
当院では、最近の長雨と台風の接近で、めまい、難聴・耳鳴り、頭痛の訴えの患者さんが増えています。
喘息発作も少し増えていますが、台風後の気温差が大きくなり空気が乾燥してくると、鼻炎の悪化と共に喘息の急性増悪が、もっと増えてきます。
【気象病とめまい】
正式な病名ではありませんが、気圧の変化で体調不良を感じる症状を『気象病』と呼び、自律神経の不調と密接に関係しています。日本に1000万人ほどいるともいわれています。
機序は不明ですが、気圧の変化を内耳で感じ、内耳と眼からの入力のずれによる脳の混乱や交感神経の緊張状態の関与、気圧の変化による血管内成分の細胞内への移行によるむくみや痛み物質の放出も推測されています。
我々は経験上、『気象病』として神経痛や古傷の痛み、めまい・嘔気・頭痛・耳閉感、喘息、うつ、心疾患・脳出血が悪化することを以前から気づいていました。
東洋医学でも、気・血・水の水毒に関連する現象と似ています。
気象病の一部の現象と重複していますが、完全に一致するものではありません。
水毒の原因には様々な点が指摘されていますが、大きな原因の一つは水分の代謝不足です。
つまり、摂取された水分は老廃物と共に体外に排出されなければいけませんが、この排出する機能が低下してしまうと体内に水分が余剰にたまりやすくなってしまうのです。
めまいで有名なメニエール病や低音障害型感音難聴は、内リンパ水腫の関与が指摘されています。
このように、東洋医学の水毒での水分の代謝不足と似た現象が、現代医学のめまいの疾患の中で確認されてきています。
西洋医学では、利尿剤やすステロイド、漢方では、五苓散、苓桂朮甘湯、柴苓湯などの利水剤を用います。
以上のことから、
自宅でできる対応として
●水分代謝と自律神経の改善のため、汗をかくような運動、ストレッチ、睡眠や食事を規則正しくします。
●エアコンを使い過ぎず、入浴でリラックス。
●服を絞めつけ過ぎない、適切な水分補給と塩分を控えましょう。
症状がひどいときは、各疾患の病院での治療が必要です。
軽い場合は、一部の方には酔い止めや五苓散が効果をみとめますので、薬局で購入可能です。
秋の花粉症とセイタカアワダチソウ
秋の花粉は、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラが有名。
アメリカでは、全人口の5~15%がブタクサ花粉症との統計があるようです。
秋の花粉は雑草のため、スギやヒノキのように遠くには飛ばず限局的で、
患者さんも多くはありません。
セイタカアワダチソウはブタクサと似ていて間違ってしまいます。
ブタクサやスギは風で花粉が飛ぶ風媒花で、
セイタカアワダチソウは虫媒花のため、花粉症はおこしません。
セイタカアワダチソウは、葉が笹のような流線形で、ブタクサと見分けます。

セイタカアワダチソウ

ブタクサ
明治に移入され、戦後、大量に入ってきた外来種のセイタカアワダチソウは大繁殖し、
いたるところに見かけます。
繁殖力がすごく周辺の植物や小動物まで駆逐してしまい、最近では、自分が出す毒素で
自分も駆逐されつつある状況となっています。
これを機会に、日本古来のススキが盛り返しセイタカアワダチソウが
少なくなってきました。
十五夜の月見には、萩とススキを飾る風習を大切にしていきたいですね。
2018年花粉症予想(スギ+ヒノキ)
気象庁から2017年10月3日、2018年のスギ・ヒノキ花粉症予想が公表されました。
スギの花芽は、7月から細胞が分化しはじめ、10月頃にかけて成長します。
その為、花粉の飛散量は前年夏の気象条件が大きく影響します。
気温が高く、日照時間が多く、雨の少ない夏は花芽が多く形成され、翌春の花粉の飛散量が多くなるといわれています。
2017年の夏は、全国的に気温が高く、日照時間も多くなりました。
東北・関東・甲信・四国地方は前年の1.5倍以上の飛散量となり、
九州特に鹿児島は、前年より少なくなるようです。宮崎は前年より増加します。
今年の九州の夏は気温が高く、日照時間が長く、雨が少なかったのに
飛散量が少なくなる理由がわかりませんが、花粉症の方には朗報です。
2018年春の花粉飛散予測 -日本気象協会- http://tenki.jp/pollen
予防接種と間違い
近年の予防接種法の改正により、複数のワクチンが定期接種に導入され、ワクチンギャップは解消されつつあります。
一方で小児における定期の予防接種は、とくに乳幼児期に接種が集中しており、
また、ワクチンの種類によって接種間隔や接種回数が異なっていることなどから、
ときに予防接種に関する間違い(誤接種)が生じる可能性があります。
厚労省は、昨年度の『間違い』の公表を行い、前年度より434件増の6602件の報告が
ありました。半分は接種間隔の間違いで、他には対象年齢外接種、不必要な接種、
対象者を誤認、摂取量の間違い、期限切れワクチン接種などの順でした。
特に、小児科でのワクチンは種類が多く、それぞれ細かい対応が必要なため、
こういった間違いが生じていると思われます。
当院は、インフルエンザワクチンと成人肺炎球菌ワクチンしか行っていません。
常に二重チェックを行い、スタッフ共々、気を引き締め行いたいと思います。
月見と蜂
9月11日愛媛で車いすの老婦人が、デイサービスの帰り、多数の蜂に刺され死亡する痛ましい出来事が起きました。
日本の蜂は、夜は活動を休止する習性があり、ハチの巣の駆除も日没後行うそうです。
活動が低下する日没後の秋の月見は安心して出かけられます。
10月7日の吉野公園にて、日没後、月見コンサートが盛大行われ、最後の沖縄太鼓は、踊れて楽しめました。
その後1週間以上過ぎ、肌寒くしばらく秋雨が続きます。
スズメバチなどは、気温が低い日や、雨の日は活動が低下するようです。