吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

女性とめまい・ふらつき・頭痛

2019-08-04

今まで経験したことがない突然の頭痛や、はじめての頭痛でめまい・ふらつきがあれば、脳腫瘍、脳卒中や前兆をまずは心配になります。生命と関係しますので、まずは脳神経外科や神経内科を受診してみましょう。

慢性的に反復するときは、基礎疾患の無い頭痛として一次性頭痛(頭痛持ちの頭痛)と呼ばれ、代表例は緊張型頭痛(22.4%:有病率)、片頭痛(8.4%)、稀に群発頭痛となります。緊張型頭痛女性が1.5倍、片頭痛は約3.6男性より多く認めます。頭痛は、誰でも訴えることが多い症状で、女性は特に対応が求められます。頭痛にめまい・ふらつきが併存することも多く、特に女性に多い傾向があります。

28年度国民生活基礎調査で確認すると、女性の頭痛とめまい男性の約2.5多く、ふらつきの併存もある肩こり症は女性が男性の2.2倍多く認めています。頭痛・めまいの併存も多いうつ病やその他心の病気でも、女性は男性の1.4倍多く認めます。子供から大人への過程では、思春期の頭痛・腹痛・立ちくらみ・ふらつきで問題となる起立性調節障害女性が男性より1.5~2倍多く認め、有病率では、軽症を含め、小学生の約5%、中学生の約10%程度になります

 これらの疾患の中で、女性ホルモン(エストロゲン)の変動と最も関係が深いのは片頭痛です。30代の女性では5人に1人の割合になるようです。

 以下に示す、の病態は、頻度も多く、女性と関連した頭痛とめまい・ふらつきや立ちくらみが併存することが多い疾患と考えられます

 以前の当院コラムの女性とめまい・ふらつき・転サイト)の中で、女性ホルモンと関連するめまい・ふらつき・高齢者の転倒については解説していますので、確認してみてください

 ☞☞ 今回は、女性に多く、命には直接関係しないが、長引く反復する頭痛と併存することが多いふらつき・めまいについての解説です

 この領域は、脳外科、神経内科、耳鼻咽喉科、産婦人科、心療内科と幅広い領域にわたりもつれた糸を丁寧に解きほぐす作業が必要なこともあります。以下に示す頭痛・めまい頭痛ダイアリー頭痛日数や程度性状・前ぶれ、誘発因子(光・音・匂い)・随伴症状・めまいの持続時間・月経との関連・服薬状況・睡眠・心身状態・気候も書き込み整理してみましょう。

症状を整理することで治療の参考となり、片頭痛と緊張型頭痛の鑑別や薬剤乱用頭痛・めまいと頭痛が起きる前庭性片頭痛・月経関連片頭痛の診断にも役立ちます。

薬物乱用頭痛とは、本来片頭痛や緊張性頭痛があり、頭痛が15日以上/月、痛み止めやトリプタンを月10日以上の服用が3ヶ月以上持続する状態です。

日本頭痛学会 頭痛ダイアリーサイト

日本耳鼻咽喉科心身医学研究会 めまいと頭痛ダイアリー:五島(サイト

 

片頭痛関連めまい・ふらつき(前庭性片頭痛)病態:血管拡張

月経前症候群:めまい・ふらつき・頭痛・イライラ病態:女性ホルモンの変化

更年期障害と頭痛・めまい・ふらつき病態:女性ホルモンの減少と自律神経症状

緊張性頭痛(肩こり頭痛)とふらつき 病態:コリ

起立性調節障害とたちくらみ・頭痛・ふらつき病態:循環動態の変化

心因性めまい・ふらつきと頭痛 病態:心理的ストレ』付記:頭痛などを含む多種疾患後の長引くふらつきPPPD:新しい機能性めまい

上記疾患は、末梢性めまいのメニエール病や前庭神経炎などで処方されるアデホス、メリスロンなどを内服しても効果はなく、それぞれの病態に応じた対応や服用を考える必要があります。

 

上記病態の解説

前庭性片頭痛:

片頭痛の基礎知識は

日本頭痛学会:片頭痛サイト

NHK健康チャンネル:片頭痛サイト)で確認して下さい。健康チャンネルでは片頭痛では、頭痛ダイアリーの書き方の説明もあります。

 

片頭痛は4~72時間持続、日本では約840万人と推計、ほとんどは30歳までに発症し、6割程度は生理中に悪化、妊娠中は改善、更年期初期に悪化し年齢とともに罹患率は低下します。20台から50台の女性に多く、エストロゲンの関係が考えられています。

めまい患者さんが、頭痛を訴えても、脳卒中や脳腫瘍以外では関連を疑うことは今まではあまりありませんでした。最近では、頭痛外来の片頭痛患者の半数以上に何らかのめまい症状があり、片頭痛とメニエール病の共存率も高いと知られるようになってきています。前庭性片頭痛という疾患単位として診断基準が確立されたのは近年のことです

片頭痛関連めまい(前庭性片頭痛)は、今まであまり知られていなかったため、難治性や原因不明のめまいの患者さんの中にかなりの割合で含まれていると考えられています。外国の耳鼻咽喉科外来の高齢者のめまいの原因で13%の報告があります。

診断

過去も含め片頭痛症状がある

めまい前後に頭痛がある

めまい症状は、自発性めまいや視覚刺激・頭部運動で誘発されるめまいや浮動感(回転性めまいが多いが、一部に浮動感あり)

少なくとも5回のめまい発作で、5分~72時間持続

めまい発作の少なくとも50%に1つ以上の片頭痛兆候(頭痛、光・音過敏、前兆)がある

めまい発作時は、高度難聴はなく、耳鳴・耳閉感のあることは多い

治療

めまい発作時は、トラベルミン、セファドール、ナウゼリンなど

トリプタンのめまい効果は認めないようです。トリプタンは、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、重度高血圧、重度肝臓病では使えません。

片頭痛の予防治療が発作の予防に有効

ミグシス、トリプタノール、インデラル、デパケンなど

めまいのリハビリ(片頭痛症状も改善することが報告あり)

生活で注意点と対策

強い光、騒音、人混みを避ける

ぎ寝不足を避け、休日も普段通り

ストレス回避

ワイン、チーズ、アルコール、チョコは避ける

赤系サングラスを選ぶ

片頭痛発作時は、静かな暗い場所で安静または睡眠、冷たいタオルで痛む箇所を冷やします。

 

月経前症候群(PMS)& 月経関連片頭痛 

付記①:月経困難症のふらつき

付記②:妊娠中のふらつき

付記①、②は頭痛が主の症状ではありません。

PMS

基本的なことは本産婦人科学会:月経前症候群サイト)で確認して下さい。

月経前の3~10日に起こる精神・身体の多彩な症状です。その中で頭痛、めまいも認められます。月経のある女性の70~80%に、月経前には何らかの症状があり、生活に困難を感じるPMSは5.4%のようです。

月経3~10日ほど前からの頭痛・ふらつき・めまいで生理がきたら消失するときはPMSによる頭痛を疑います。この時期に、卵巣からのステロイドホルモンの黄体ホルモン(プロゲステロン)が排出されます。このホルモンは水を体内にためる傾向があるため、漢方では水毒のふらつき・めまいとして対応することもあります。黄体ホルモンは低血糖を起こしやすくするため、ふらつきが出ることもあります。本来、貧血があれば、ふらつきや立ちくらみが出現します。PMSのめまい患者のカロリックテストの結果から、末梢性・中枢性めまいの可能性の報告や月経困難症では月経前にめまい検査異常が多い報告があり、内耳の関与しためまい・ふらつきも考えられます。

対応:

仕事の負担を減らしリラックス 前述の頭痛日記などを利用して症状を把握すること。PMSの時期のみと分かれば、軽度な場合は様子を見る選択肢もあります。

低用量ピル、利尿剤、痛み止め、抗うつ薬(SSRI)、鉄剤、漢方の利水剤、駆お血剤、理気剤、抑肝散など。

月経関連片頭痛

月経まえ2~3日から月経後3日での頭痛は月経関連片頭痛が疑われます。月経関連片頭痛は持続時間が長く治療抵抗性が多く、片頭痛に準じる対応となります。月経1~2週間まえから月経終了まで予防薬を服用することもあります。前兆(閃輝暗点、視野欠損など)のある片頭痛でのピルは禁止(脳卒中を起こしやすくなります)前兆の無い片頭痛でも慎重投与となっています。

この時期の頭痛とめまいの対応は前述の前庭性片頭痛日本頭痛学会医:片頭痛サイト)を参考にしてください。

付記①:月経困難症のふらつき

月経困難症は生理痛のことで下腹部痛や腰痛が多く3日以内に改善します。貧血や血行不良にによるふらつき・めまいも多く認めます。婦人科での器質的病変(子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症など)を確認してもらいます。貧血の治療を優先させ、睡眠をとりストレスを回避して自律神経を整えます。有酸素運動も効果的です。西洋薬では、ピルや鎮痛薬で対応します。

付記②妊娠中のふらつき

妊娠中はめまい・ふらつきは多く30~50%程度あるようです。めまいはつわりの症状の一つして認めます。原因は嘔吐による脱水やホルモンバランスの変化による自律神経症状と考えられます。無理せずゆっくり横になるなど行い対症療法になります。妊娠後期では高血圧症(頭痛・めまいなど)、循環血液量は妊娠前の1.5倍程度になりますので、水分不足によるめまいや鉄不足による貧血、葉酸不足による疲れふらつきなど考えられます。

更年期障害と頭痛・めまい・ふらつき

基本的なことは日本産婦人科学会:更年期障害サイト)で確認して下さい。

更年期障害の簡単チェックは次のサイトでチェックを

SMI(簡略更年期指数)

更年期症状は

血管運動神経症状冷えのぼせ、発汗、動悸

不眠、不安、イライラ、抑うつ気分、情緒不安定

腰痛、関節痛、しびれ、むくみ

まい浮遊感、肩こり、頭痛、疲労感 などの

更年期のめまい・ふらつきは自律神経や血圧変動の関与が報告されています。自律神経、精神、運動器、皮膚、泌尿生殖器、消化器領域に及ぶ多彩な症状を認めます。ホルモンの低下だけでなく、環境の変化による心理社会的変化が複雑に関与して表現されると考えられています日本人は、ホットフラッシュより腰痛、肩こりの方が多いと言われています。ホットフラッシュや発汗・動悸の方にめまい・ふらつきが多いと報告があります。

治療:

ホルモン補充療法(HRT)

血管運動神経症状(冷えのぼせ、発汗、動悸)の第一選となります。この治療は血栓・乳がんのリスクもあるため次のサイトで確認して下さい。

ホルモン補充療法の実際(日本産婦人科医会)

漢方療法:

当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸など証を見極めた治療。副作用が少ない漢方療法は、更年期の不定愁訴に汎用されています。HRTは、めまいへの効果は乏しいといわれています。漢方療法は、特に、めまい、心悸亢進、咽頭症状に効果が高いと報告されているようです。

向精神薬療法

不安・不眠・抑うつに対して、抗うつ薬(SSRIなど)使用、心療内科と相談

環境の変化による心理社会的変化を考慮した、心因・家庭・職場の問題を確認しながら傾聴

 

緊張性頭痛(肩こり頭痛)とふらつき

緊張型頭痛の約6割にふわふわしためまい感を伴う報告があります。

緊張型頭痛は、側頭筋や後頚筋群、僧帽筋などの頭から首、背中にかけての筋肉のコリや張りによって、痛みを感じる神経が刺激されることで、痛みが起こると考えられており、その原因の多くは、次の生活習慣が関係しています。頭痛の持続は30分~7日程度です。

長時間同じ姿勢(デスクワークやうつむいた運転姿勢)

仕事の終わりごろ頭痛が起こり易い

不適切な枕

ストレス

運動不足

頭痛のチェックで診断

頭の両側発症

圧迫・締め付けるような痛み

我慢ができる・仕事などがこなせる

頭痛あるが嘔気・嘔吐はない

動いても痛みが悪化しない

光や音が気になってもどちらか一つ

片頭痛との合併することがあります

によって片頭痛と緊張型頭痛がおこるタイプ

日常は片頭痛でたまに緊張型頭痛のタイプ

変容性片頭痛は、慢性緊張型頭痛(月に15日以上)と同じ症状で過去に片頭痛の既往で判断するタイプ(片頭痛として対応)

薬物治療

筋弛緩薬、抗うつ、抗不安薬(一時的)

日常の対応

頭痛体操(youtube)  NHK健康チャンネル頭痛体操サイト日本頭痛学会:頭痛体操サイト

にならない正しい姿勢

作業中のこまめな休憩

首肩を冷やさない

ぬるめの風呂でゆっくり

自分に合った枕

常の運動

 

起立性調節障害とたちくらみ・頭痛・ふらつき

起立時や体動時のめまい・ふらつきは起立性低血圧を疑います。こどもから大人まで原因は多彩です。

思春期に多い循環調節不全を起立性調節障害といい、頭痛、ふらつき、立ちくらみ、乗り物酔い、臍疝痛など訴えます。成長期の問題です。詳細は日本小児心身医学会:起立性調節障害サイト)で確認して下さい当院コラムよくわかる子供の漢方:起立性障害;ふらつき、頭痛、腹痛サイト)では漢方療法や生活習慣の改善について述べています。

 

心因性めまい・ふらつきと頭痛

心因性めまいはめまい患者の約20~80%程度と高率にみとめらます。

精神疾患によるめまい 併存する精神疾患がめまいの病気(内耳性めまい)を悪化させている場合の2タイプあります。

ふらつきやめまいが併存することもある片頭痛や緊張型頭痛は、心理的ストレスが大きく関与します。両疾患共にうつ病やパニック障害が随伴しやすいとされています。片頭痛と精神疾患との共通因子としてセロトニンの代謝異常が推測されています。これらの疾患には、心身医学的対応と併存する片頭痛・緊張型頭痛・内耳性めまいへの両方の対応が求められます。

PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)は2017年にバラニー学会が診断基準を定めた、3ヶ月以上持続する新しい心因が関与する機能性めまいです。

PPPD(日本めまい平衡医学会:サイト)で確認して下さい。

めまいの原因となる前庭、精神、内科疾患が先行して3か月以上ほとんど毎日持続するふらつきで他の前庭疾患と併存することもあります。治療はSSRI(抗うつ薬)、前庭リハ、認知行動療法が有効とされています。

PPPDを発症させる頻度が高い急性発作性病態

末梢や中枢性の前庭疾患(25~30%)

庭性片頭痛(15~20%)

浮動感を示すパニック発作や不安(30%)

脳震盪やむち打ち(10~15%)

律神経障害(7%)

 

心因性めまいの診断の補助

心因性まめいの診断は難しく次の問診を参考にします。

HADS(サイト 耳鼻心)不安と抑うつ

DHI(サイト 耳鼻心)46点以上は重症のめまいで不安と抑うつが高率

SDS(うつ問診)

 

参考資料

日本頭痛学会HP

めまいの検査;改定3版:診断と治療社

めまいと頭痛;五島 金原出版

EQUILIBRIUM RESEARCH Vol.78 June 2019

メディカル・ビューポイント 2019年3月10日 特集めまい診療

女性めまい患者の年齢期別臨床検討;大谷ら EQUILIBRIUM RESEARCH Vol.67 130-140 2008