早くから始めるスギ花粉症治療:初期療法(鹿児島)
2022年2月6日現在、2022年のスギ花粉症はもうすぐです。2月9日は福岡での予測飛散日、鹿児島は2月中旬以降が予測されます。飛散ピークになれば、目がかゆく、くしゃみ、鼻水がひどくなり夜はひどい鼻閉で眠れなくなります。また花粉飛散には地域差が大きく関与します。
鹿児島市の標高200mの山沿いにある当院(鹿児島市川上町)クリニックの場合、毎年の患者増加統計では、2月の最後の週と3月初めの週が最も多くなります。発症すれば急に悪化するため、薬をフル(点鼻、点眼、二種類以上の内服など)に使い、積極的なセルフケアを行わなければなりません。
急な悪化とピーク時の症状を少しでも緩和する目的で行うのが初期療法です。
◆初期療法とは
そこで、発症前に行うのが抗ヒスタミン薬による初期療法です。鎮静作用が少ないお薬を使用するのが一般的です。市販の風邪薬に入っている抗ヒスタミン薬は第一世代の薬のため、車運転禁止薬であり、眠気、便秘、口渇が強く出るため初期療法には合いません。
➡推奨される抗ヒスタミン薬としては
フェキソフェナジン(アレグラ)
ロラタジン(クラリチン)
ビラノア
デザレックス
エピナスチン(アレジオン)
レボセチリジン(ザイザル)
など服用するのが一般的です。一部の薬はOTCとして薬局で購入できます。
➡鼻閉が強い方は、
喘息にも使用される抗ロイコトリエン薬(プランルカスト、モンテルカストなど)を使います。
➡外用薬の
ステロイド点鼻や抗ヒスタミン薬の点鼻や点眼を前もって少なめに使用しても効果が期待できます。
◆初期療法開始のタイミングは?
服用のタイミングは、毎年の花粉症の重症度によって判断しましょう。
*スギ以外にダニにも感作されて(ダニに反応する人)いる人は早めに開始することをすすめます。
*また1月の天気が良い日に、少し花粉を感じる方々は、早めに開始する必要性があります。
*通常は、飛散開始予測日の1週間前から開始します。
*症状が強い方は飛散開始予測日の1週間前よりもっと前で、症状を感じてすぐに開始します。
*症状が軽い方は、飛散開始予定日や予定日を過ぎても症状を感じてすぐでも構いません。
鹿児島は関東圏と違い、早く症状が終わる方が多い県です。
鹿児島ではスギ花粉症だけの影響は、約一ヶ月程度、関東圏では2か月程度覚悟しなければならないようです。
◆初期療法のメカニズム(インバースアゴニスト inverse agonist 逆活性薬)
花粉が飛んで体内の粘膜が触れると、体ではヒスタミンが放出され症状が出てきます。このヒスタミンが体の受容体にくっつかないようにするため、前もって先回りして抗ヒスタミン薬で受容体を占拠して花粉に関連して出現するヒスタミンが体内の受容体にくっつかないようにするのが原理になります。
専門的には、ヒスタミン受容体は活性型と非活性型に分かれて存在しています。ヒスタミンが体内で放出されると活性型のヒスタミン受容体が反応するのですが、非活性型が増えていればヒスタミンによる 影響、すなわち花粉症の症状を減らすことができます。抗ヒスタミン薬には「インバース アゴニスト」という考え方があり、ヒスタミンが放出される前に使用すると非活性型の受容体が増加しています。
重要 👉 初期療法に依存し過ぎない!!
花粉量は増加すれば、症状が悪化します。軽症な方は初期療法の延長で、そのまま飛散後の維持療法に移行できますので続けて使用します。
本格飛散後は、初期療法だけで対応できない方も多くいらっしゃいます。この場合、初期療法に見切りをつけて、積極的な薬による治療やセルフケアを行う必要性が出てきますので、耳鼻咽喉科専門医にて鼻内局所や副鼻腔の状態も確認しながら治療が必要になります。また、結膜炎や副鼻腔炎の合併、皮膚の痒み・のどの症状・咳や喘息の悪化を認める方は、アレルギー専門医と耳鼻咽喉科専門医両方兼務したクリニックでの対応、または眼科、呼吸器科、皮膚科も同時に診察を勧めます。
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