乳幼児の病気は鼻から!!
『赤ちゃんの鼻呼吸の重要性』
生まれたばかりの赤ちゃんは、口呼吸がうまくできず鼻が詰まると母乳やミルクが飲めず大変です。新生児は周囲がぼんやりとしか見えていません。お母さんの匂いを頼りに母乳を求めていきますので、赤ちゃんの鼻呼吸は生命線とも言えます。薬の効果が期待できないことが多く専門医での処置も必要になります。
『乳幼児の風邪症状』
乳幼児の時期は、よく風邪をひきます。ぐったり感が強い、呼吸苦がある、顔色が悪いは緊急性がある兆候です。
通常は風邪をひいても鼻風邪程度で熱は1~3日程度持続し、元気はあります。鼻水、鼻閉、咳、痰は1~2週間ほど持続して自然治癒することがほとんどです。但しこの年齢では、風邪をひきやすく何度も同じような症状を反復します。風邪をひいても、うまく病気と付き合えば免疫力がついてお子さんの自然治癒力は高まり自分で乗り越えることが出来るようになります。
『鼻と子供の病気』
中耳炎、目ヤニ、ゼーゼー、持続する咳痰、いびき、無呼吸、口呼吸、咽頭扁桃炎と併発する発熱は、鼻と関連して起こすことが多い疾患や症状です。
鼻の奥には、中耳とつながる耳管(上咽頭に開口)、目とつながる鼻涙管(下鼻道に開口)が鼻へ開口しているため、鼻の炎症や菌・ウイルスが中耳や眼に波及していきます。
鼻副鼻腔炎の鼻汁は鼻の奥から後鼻漏として咽喉頭へ流れ込み、咳・痰・ゼーゼーが出てきます。また上気道が悪いと下気道の気管・気管支・肺にも影響が及ぶため、ゼーゼーや治りにくい咳痰が持続し、肺炎も併発することもあります。
鼻の奥の上咽頭粘膜の腫脹(アデノイド肥大)は生理現象として3~6歳ごろは大きくなるため、通常の鼻炎をおこすだけで、いびき、無呼吸、口呼吸が夜間になると顕著になります(睡眠時無呼吸症)。口呼吸があれば、のどからの発熱が起こしやすくなります。
子供の睡眠時無呼吸症は、夜間の症状の他には、昼間の傾眠は少なく、多動、体重増加不良、おねしょなど大人と違う症状が出現してきます。
➡感染源は?
パパ、ママ、兄弟姉妹、保育園、幼稚園からもらう事がほとんどですので、家族も同時に治療を行い、集団生活を少し休めば治りも早くなります。
➡診断は? 子供さんは動くので容易ではありません
採血では全身の炎症反応や肝臓・腎臓などの臓器の異常は確認できても、耳、鼻、のど、喉頭、上咽頭アデノイドの状態は、局所を直接見て確認しないとわかりません。子どもの場合は協力が難しく診断は容易ではありません。レントゲンなど画像検査は動くため大人のようにはできません。
上咽頭アデノイドや喉頭の確認は、抑制してのファイバースコープが必要になることもあります。中耳の確認も耳垢除去を顕微鏡下に行なわないとわからないとこともよくあります。じっとしてくれないので多人数で抑制して行うこともあります。全身状態、顔色、声の状態、喉頭、肺の音も確認が必要です。
鼻の吸引処置を行うと同時には鼻水の性状や鼻の粘膜の状態を確認します。鼻粘膜が腫れて悪いのか、鼻汁貯留が問題なのか、水様、膿性、粘調な鼻汁かを確認すると薬の選択の参考になります。
➡お子さんの病気が治りにくいときに、鼻関連では次のことを考えます!!コラムも参考に
コラム ①鼻と子供の中耳炎 ②お子さんの中耳炎の疑問に答えます
自分から耳痛の訴えは2歳ごろまでは難しく、機嫌が悪い、耳に手がいく、目ヤニなど参考にします。
*咳痰が持続するとき➡鼻副鼻腔炎の合併による後鼻漏
*ゼーゼー咳痰が治らないとき➡アレルギー性鼻炎および鼻副鼻腔炎の合併、アトピー体質があることも多い
コラム ①鼻と秋の喘息 ②お子さんの喘鳴は何タイプ
*目ヤニが持続するとき➡鼻副鼻腔炎・中耳炎の合併
*いびき・無呼吸・口呼吸・夜間体動・おねしょ➡鼻副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、上咽頭炎、アデノイド扁桃肥大の合併
コラム 睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
*よく風邪をひき、熱を出す➡口呼吸があり、鼻副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎・アデノイド扁桃肥大の合併
➡治療は?
薬や処置・鼻洗が通常行われます。保存的治療で改善悪い時、鼓膜切開や病院でのアデノイド切除や扁桃摘出、鼓膜チューブ挿入など行うことがあります。
👉 耳・はな・のどの専門医である耳鼻咽喉科では、耳・はな・のどの奥を見てしっかり診断を行い、治療を考え、必要な場合は奥の画像や動画を用いて説明を行っています。