マスクで発症予防:小学生スギ花粉症
マスク着用は、コロナ禍(3年経過)になって当たり前の光景になっています。
新型コロナ弱毒化とワクチンの普及及び罹患者の増加から、最近では(2023年1月)、以前と違い
*屋外では2mの距離が確保され会話がなければ、マスク不要
*屋内では、距離が保たれ会話がない場合を除きマスク着用が推奨
*2歳未満はマスク着用推奨なし、 *2歳以上就学前はマスク着用を一律には求めない
*体育、部活動の最中、登下校の際もマスク着用は推奨されていません。
感染対策の視点からは、屋外では原則マスクはいらないということです。
鹿児島では、2月から3月にかけてスギ花粉症の時期が来ます。九州北部、本州ではその後もヒノキ花粉が問題となります。マスク着用は、スギ花粉対策として常識で、ガーゼなどインナーマスクをすれば効果が増加することもわかっています。
最近、コロナ禍になっての小学生でマスク着用の2万人以上の大規模調査(福井大学耳鼻咽喉科)の結果、マスクを着用することで、花粉症になる人が、毎年の半分以下に減少することがわかってきました。
今後は、花粉飛散時は花粉症の方だけでなく
👉 スギ花粉症を発症していない方も発症予防のためには、花粉飛散時期の屋外でのマスク着用を検討してみましょう。 感染対策の視点からは少し逆行することになります。花粉症増加率が最も高い年代の5歳から思春期までの方は、少し考えてみてください。
➡福井大学耳鼻咽喉科 スギ花粉症対策室を参考に
スギ花粉の20年間の年齢別増加率
有病率の比較:年齢層別・20年間隔の比較
*乳幼児(0~4歳)2019年3.8% 20年前の約2倍
*子供(5~9歳)2019年30.1% 20年前の4倍 小学生の増加率が顕著
*年長・思春期(10~19歳)2019年49.5% 20年前の2.5倍 最も多い年齢層(中高生)
*成人(20~59歳)2019年45~48% 20年前の約2倍
*中高年(60~60歳)2019年36.9% 20年前の3.5倍
*高齢者(70歳~)2019年20.5% 20年前の約4倍 高齢化による増加
『コメント』
スギ花粉症は、20年前は20%程度の成人の有病率でしたが、2019年の成人では約50%弱となっています。5歳程度の小学生からの増加が顕著で、中高年から高齢者の増加率も多くなっています。中年以降の増加はより若い年齢で発症した人たちの加齢による移行と思われます。増加の主体はより若い世代にあります。鹿児島の場合、2019年で、有病率は18.2%程度で、全国の中でも少ない県になっています。
年少から思春期および若い世代の増加に抑制をかけないと今後もっと増加すると思われます。スギ花粉症の自然寛解率は12%程度(10年間:20-40歳)と低い報告ですので本質的な対応が早急に必要とされています。
内服やレーザー治療、高価な注射薬ゾレアでは、急増するスギ花粉症やダニによる鼻炎患者さんの症状は抑えられても、体質を変えませんので患者数の増加を抑制できません。薬・外科治療などは対症療法です。本質的には、スギに感作されないようにする、または体質改善や環境要因の改善が必要です。体質改善を期待するには、舌下免疫療法ですが,効果を期待するには数年以上必要です。
👉 簡単で誰にでもできる、マスク着用で小学生のスギ花粉症の発症を予防する試みが注目されています。
アレルギー体質で、今後スギ花粉症の発症が心配な方は、鹿児島の場合、2月中旬から3月下旬ごろまで、屋外でのマスクの着用を検討してみましょう。病院の検査で、スギ感作(すでにスギ抗体があり)が判明しているが発症はしてない方も試みましょう。
アレルギーと無縁のような方もスギ花粉症だけ起こす場合もあります。
いつ頃から飛散するかは、気象庁の飛散予測で確認してください。2023年鹿児島は、2月14日 福岡は2月8日となっています。花粉飛散量は前年の夏の日照時間に相関するので、今年は昨年より多くなると予想されています。いつから飛散するかは、昨年の11,12月の気温と今年の1月2月の気温が左右します。今から寒波が持続すれば飛散時期は遅くなります。
(当院花粉関連コラム紹介)
➡花粉飛散情報の変化&知っておくこと20220306
➡早くから始めるスギ花粉症治療:初期療法(鹿児島)20220206
➡急増するスギ花粉症にどうする?(舌下免疫療法:After コロナ)20210903
➡花粉症に新たな治療薬(ゾレア)20200128(当院ではゾレア治療行っていません)
➡舌下免疫療法(スギ、ダニ)20190414
➡自分で行うスギ花粉対策(黄砂 PM2.5)20190127