子どもの食物アレルギー
食物アレルギーのある子供が増えているなか、アレルギーの研究が進みこれまで常識だと考えられてきた食物アレルギーに対する対策が変わりつつあります。
2000年には、牛乳・卵・魚・ピーナッツなどの食品は、乳幼児早期の開始時期を遅らせるように言われていました。
2008年には全面的に撤回され、離乳食の導入の時期を遅らせても発症を予防する根拠は無いと改められました。
2014~6年の最近では卵など食べさせるのを遅らせても予防策にはならないことがわかりました。
2016年12月ランセットに、国立成育医療研究センターから、ゆで卵を6か月から少量接種すると一歳で発症を8割抑制できると報告されました。
食物アレルギーの認識は、今後も変わっていく可能性がありますので新情報には敏感に対応していきたいと思います。
当院の方針:
乳幼児の食物アレルギーの場合、小児科受診をすすめていますが、
アレルギー全般に関してご不明な点は一緒に考えていきたいと思います。
食物アレルギー対策の3ポイント
1離乳食を遅らせない
特定の食物を食べさせないままだと免疫寛容が出来ず、その食物にたいして食物アレルギーを起こしやすくなる場合があると考えられています。
湿疹やアトピー性皮膚炎がある赤ちゃんでは、食物アレルギーになりやすいと分かっているため、離乳食でアナフィラキシーを起こす可能性があります。
離乳食を開始する前に小児科のアレルギー専門医に相談しましょう。
2食物除去をしすぎない
過度な除去は子供の発育に悪影響を及ぼす恐れがあります。
まず血液検査(血中特異的IgE)で食物に対する抗体があるかどうかを調べます。しかし、症状の出現を意味しません。
血中特異的IgE抗体と食物負荷試験陽性率の関連を示すプロバビリティーカーブ(卵白、牛乳、小麦、ピーナッツ、ω―5 グリアジン)が参考になります。
陽性の判定が出ても食べられることも多く、食物をごくわずか口にして反応をみて確認する食物経口負荷試験があります。
最近では、原因食物でも、食べられる範囲までは食べるという方針まで進化してきています。
鹿児島県の小児科の病院、クリニックでは食物経口負荷試験をおこなうところが、増えてきています。
3アトピー性皮膚炎との関係をよく知る
『アトピー性皮膚炎が、食物アレルギーの原因になる』と言う説が有力になっています。
子どもさん自身が食べていなくても、周囲の人が食べていると、食物成分が室内のほこりに含まれていて、バリア機能が低下した皮膚から入り込んだ食物成分を異物とみなしてアレルギーを起こすことがあります。
次に離乳食としてその食物を食べたとき、アレルギー症状が出ると考えられています。
食物成分はほこり以外にお母さんの手についた食物成分や食物の口周囲皮膚への付着からも侵入することもあります。
しっかりと保湿剤でスキンケアを行い、アトピー性皮膚炎の治療を優先し、皮膚のバリア機能をしっかり回復させることが重要です。