のどの違和感・咽頭痛・頸部の腫れ
咽頭痛やのどの違和感は日常診療において最も頻回に訴えられる症状の一つです。
『急な咽頭痛』
風邪症状からインフルエンザ、溶連菌、伝染性単核症などの一般疾患から、扁桃周囲膿瘍、急性喉頭蓋炎など急速に呼吸困難を来す入院加療が必要な疾患が含まれます。
『長い経過の咽頭痛やのどの違和感』
長期に及ぶことも多く、原因として口呼吸、後鼻漏、口腔乾燥、慢性喉頭炎、逆流性食道炎、甲状腺疾患、嚥下障害および心因性まで多彩で、しかも見逃してならない咽頭癌が背後に隠れている場合があります。
首が腫れると悪いものじゃないかと心配になります。
耳鼻咽喉科では、顔面および頸部の腫れ、頸部リンパ腫脹、甲状腺、耳下腺、顎下腺の診察を行っています。
首のしこりの多くは、頸部のリンパ節が様々な原因で腫脹することによります。首には片側だけでも数十個以上のリンパ節があり、炎症や癌の転移で腫れてきます。
元の病変が存在する場所によって腫れるリンパ節群はおおよそ決まっています。
元の病変の9割は耳鼻咽喉科領域 上、中、下咽頭、喉頭、副鼻腔、外耳、中耳、舌、口腔歯肉、甲状腺、耳下腺、顎下腺 にあります。
頸部リンパ節腫脹の原因は耳鼻咽喉科・歯科口腔領域の主に感染と稀に腫瘍によるものですが、中には、悪性リンパ腫や胸部・腹腔臓器からの遠隔転移などもあり注意しなければなりません。
首のしこりは、まず耳鼻咽喉科受診をお勧めするわけです。
当院の方針:
耳鼻咽喉科専門医として、多彩な疾患に対して鑑別と加療を行います。
扁桃周囲膿瘍、急性喉頭蓋炎、喉頭浮腫の場合、必要な方は、早急な病院紹介を行っています。
小児の頸部の腫脹(おたふく、反復性耳下腺炎、頸部リンパ)なども診察しています。
内科と耳鼻咽喉科の大きな違いは
口から見える咽頭(中咽頭)だけでなく、鼻の奥(上咽頭)やのどの奥(下咽頭)を間接喉頭鏡や喉頭ファイバーを用い詳細な診断と説明(喉頭ファイバーでは画像モニターを使用)を行います。
必要であれば、頸部エコーにて頸部リンパ・甲状腺・唾液腺など口腔・上中下咽頭と頸部疾患をセットで診断を行います。
咽頭外の疾患
甲状腺、頸部、後鼻漏、歯科疾患、胃食道逆流、心臓疾患からの放散痛などによる咽頭痛やのどの違和感は多く認められ、原因疾患によっては、歯科や消化器・循環器内科受診を勧めています。
東洋医学的視点から体質・体調・証を考慮した対応を行っています。
咽頭痛やのどの違和感の多彩な原因について以下に簡単にまとめてみました。
詳細は皆さまと考えていきたいと思います。
咽頭の感染による疾患
細菌
溶連菌は小児から成人まで最も重要な原因菌となります。
ウイルス
乳幼児はプール熱 手足口 ヘルパンギーナが初夏から増加します。
乳幼児から成人までインフルエンザ、EBウイルスなどの関与が多く認められます。
咽頭痛や咽頭違和感を呈する咽頭の非感染による疾患
咽頭喉頭癌
今までは酒、たばこが関与し、男性に多い疾患でした。
近年、ヒトパピローマウイルス関与した中咽頭癌が、若年者も含め、世界的に増加しています。
薬剤性:咽頭乾燥、口内炎、顆粒球減少など認めます。
タバコによる害:まずは禁煙からです。
嚥下障害
高齢者の嚥下障害の症状として咽頭違和感や痰の訴えがあります。
咽頭痛や咽頭違和感を呈する咽頭以外からの疾患
胃食道逆流症
メタボの方はもちろん痩せている方にも認めます。
口呼吸
まずは鼻・上咽頭・扁桃疾患の治療を勧めます。
後鼻漏
小児から成人まで、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎が主な原因となります。
甲状腺疾患
頸部の触診とエコー・採血で鑑別します。
唾液腺疾患
変形性頚椎症や形態異常
骨棘の影響、過長形状突起、石灰沈着性頸長筋腱炎などあります。
外傷
幼児の歯ブラシによる咽頭外傷は注意しましょう。
咽喉頭異物
魚骨異物が最も多く、小児の玩具、老人の義歯や薬の包装(PTP)にも注意が必要です。
致死的な関連痛
狭心症 心筋梗塞は、左寄りの咽頭、頸部、肩に放散痛を生じ頸動脈解離、椎骨動脈解離も咽頭へ放散痛をきたすことがあります。
早急な対応が必要で循環器専門病院紹介となります。
心因性
除外診断となりますが、該当する方は多く、東洋医学的視点で
対応することもあります。