吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

睡眠時無呼吸症と間違いやすい睡眠障害

2020-05-20

日本には睡眠に問題を抱えている人が多くいます。約5人に1人の方が悩んでいるのが不眠症です。睡眠に問題がある場合、不眠』『過眠』『睡眠中のいびき無呼吸や感覚・運動異常』『朝寝坊・早朝覚醒・昼夜逆転など覚醒時間帯の問題など考えて対応が必要です。不眠に加え食欲・意欲・興味の低下などがあればうつ病を疑います。

当院では睡眠時無呼吸症の患者さんを診察することが多いのですが、睡眠障害を背景にしたふらつき・めまい・耳鳴りやのど・舌の異常感の患者さんもよく診察しています。思春期のお子さんの場合、朝に起きることができない、ふらつく、学校にいけないなどの相談もあります。必要な方は精神科・心療内科・神経内科・睡眠医療専門病院への紹介も考え、睡眠障害のスクリーニングも必要な方は行っています。

睡眠時無呼吸症の症状は、日中傾眠・睡眠中のいびき無呼吸の他に、多彩な症状のため、うつ病、更年期障害、不眠症、頭痛持ち、前立腺肥大、発達障害、自律神経失調などとも間違えられることがあります。

睡眠時無呼吸症で生じるが、あまり知られていない症状

 起床時の頭痛  夜間頻尿  元気がない 

 うつ傾向  集中力がでない 

 朝の目覚めがわるい  寝汗 

 多動(小児) おねしょ(小児)

 学習障害(小児) 発育障害(小児)

など多彩です。

👉 日中傾眠が生じる睡眠時無呼吸症の症状と間違えやすい睡眠障害の病気を整理しました。皆さんの睡眠障害はどれになるか考えてみて下さい!!

睡眠不足症候群最も多い睡眠障害

日本人の睡眠時間は世界的にみても最も少ない国の一つで、50年前に比較して睡眠時間は1時間少なくなっています。

実際は、成人7~8時間 中高校生8~9時間 小学生9~10時間、幼稚園児10~11時間は必要とします。成人7時間、学生8時間以下は睡眠不足と考えられます。

10年後の死亡率の観点から、成人は約7時間が望ましいと考えられています。

しかし高齢者では、睡眠効率が悪くなり6時間程度で普通になります。高齢者では薬の影響や身体・心の疾患(夜間頻尿、疼痛、痒み、口渇、喘息や咳、逆流性食道炎、うつ病、認知症など)での不眠が生じやすくなります。

日本の統計では、現在中高大学生の就寝時間は0時頃のことが多く、学校に行くには6~7時に起床が必要なためほとんどの中高大学生は睡眠不足となります。

社会人の方も睡眠は5~6時間で大丈夫と考えている方も多いので、自分では気づかない慢性的睡眠不足・睡眠負債を抱えて生活していることになります。睡眠負債は、がん、生活習慣病、うつ、認知症などの発症リスクを高めます。経済的損失も社会的問題となります。寝て朝食をしっかりとらないと活動の質は高まりません。

日中の眠気でお困りの方は人口の1割程度いると考えられ、その大半が睡眠不足によるものです。平日の睡眠と休日の睡眠が、2時間以上の差があれば慢性的睡眠不足を考えます。週の後半に段々眠くなるようであれば睡眠不足が考えられます。

治療はまずは寝ることから始まります。

 

睡眠呼吸障害比較的多い生活習慣と関連する病気

睡眠時無呼吸症:男4~5% 女1% 50歳を過ぎると男女差はなくなってきます。不眠の方は将来、糖尿病や高血圧などの生活習慣病に3~4倍なり易いと考えられています。閉塞性睡眠時無呼吸症の中等症〜重症になると、7〜8年後には20%〜30%の人が心筋梗塞や脳梗塞などで死亡すると報告されています。閉塞性睡眠時無呼吸症がほとんどで、中枢性の場合は少なく心不全の関与が指摘されていて特徴的いびきは確認できません。

精密検査目的で睡眠医療専門施設紹介することがあります。

当院コラム 睡眠時無呼吸症はなぜ起こる?

当院コラム 睡眠時無呼吸症のマスク

全般的には、当院HP 睡眠時無呼吸症(OSAS)


 概日リズム睡眠障害ITの進歩や文明生活に伴い増加した病気

睡眠相後退症候群 罹患率0.13%程度 思春期は多く7%と増加します。不登校・会社遅刻となり社会的問題となります。

初期の症状は、学校・職場の居眠り、過食、イライラ、不注意などですが多彩です。

体内時計の調節異常のため、明け方まで入眠できず、悪化すると一旦入眠すると午後まで覚醒できないことがあります。単純に早く眠ることが出来ないだけで、覚醒が望ましい時間帯ではなく遅くなり難治な疾患です。精神障害、他の睡眠障害、自閉生活を生じやすくなります。薬剤による過鎮静などで二次的に同様の状態が引き起こされることもあります。半数でうつ病など心理的問題を抱えていると報告されています。

対応:

難治例は小児神経・精神科または睡眠専門医に紹介します。

うつ、双極障害、発達障害、ストレス反応の身体化など関与していることがあります。

軽度では、一例として望ましい睡眠時刻になるまで、毎日15分ずつ寝起きする時間を早くなるように調節します。朝は毎日朝日を浴びてバランスが良い朝食を取り、体内時計を少しずつ前進することから始めます。そこで睡眠日誌や睡眠アプリを活用します。

思春期のお子さんの7~16%程度は3時間程度睡眠相が後退していることがあるようです。

根気よく行う必要があります。

慢性的睡眠不足(7~10%程度)も関与していることもあり、毎日最低8時間就寝をまずは2週間持続してどういう変化が起きるか確認しましょう。

就寝前のスマホ・ブルーライトは止め、電球色にして強い光にあたらないようにします。

メラトニン関連の薬を使用することもあります。

当院コラム 食事と良質な睡眠

当院コラム 日の出と良質な睡眠

当院コラム よくわかる子供の漢方:起立性調節障害、ふらつき

なども参考にしてください。

睡眠覚醒前進症候群 多くはありませんが老人にみられます。夜、覚醒時に明るい光を浴びないようにします。

交代勤務睡眠障害者

一般 に、昼夜を逆転した場合、様々なリズム現象が、逆転された 昼夜の周期に同期するために要する時間は、ほぼ1週間 かかると考えられています、中年期以降では、睡眠・ 覚醒リズムの同調には、若年者と比べより長い時間が必要であることも判明しています。 35歳を過ぎた頃から、夜勤や徹夜が辛くなるのは、このためです。確率された治療法はありません。睡眠薬を安易に服用するようになります。

認知症による不規則型睡眠覚醒パターンは社会的に問題となっています。

 

不眠症皆んさんご存知の疾患

重症は精神科紹介

睡眠薬の適正な使⽤用と休薬のための診療ガイドライン2014年サイト

医師が、適正に睡眠薬を出せるように2014年にガイドラインが出来ました。

興味ある方は読んでみましょう。

睡眠薬乱用や依存が社会問題化しています。

今まで睡眠薬の投薬期間や休薬指針が明確でありませんでした。このガイドラインを参考に睡眠薬の使用を考え直します。

まず薬を使わない睡眠衛生から行います。

初期治療は単剤から行います。

不眠が回復(不眠なく昼間も調子よい)したら止め時を考え、少しずつ減量して休薬をトライします。

維持療法は治療のゴールを設定します、今までは漫然と長期服用が多くみられました

成人の30%以上が、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡困難などいずれかの不眠症状をもっています。20代ごろから加齢とともに増加して中高年で急激に増加します。男性より女性に多いと言われています。高齢者の二次的不眠の原因:夜間頻尿、頭痛、消化管疾患、気管支炎と気管支喘息、心血管障害、慢性の疼痛性、痒みの疾患、うつ病、認知症などの多数認めます。

睡眠関連運動障害あまり知られていないが比較的多い病気 

精神科・神経内科・睡眠医療専門施設へ紹介になることがあります

むずむず脚症候群 (RLS restless legs syndrome)

潜在患者を含め推定500万人 不眠症患者の1/10人

じっとした姿勢や横になったりしていると主に下肢から腰・背中・手まで

むずむずする」「じっとしていられない」「痒い」「針で刺すような」「火照るような」「蟻やミミズなどの虫が這っているような

などの様々な異様な感覚が現われます。

患者さんはこれを抑えるため常に脚を動かしたり身体をさすらなければならない状況に追い立てられます。3分の1の患者では週に2回以上、中等症から重症の症状が起こります。特に夕方から夜間にかけて症状が増強し入眠障害をおこしたりして昼間の疲労感を引き起こし日常生活に大きな影響を及ぼします。下記の周期性四肢運動障害と合併することも多くみられます。

正確な原因はわかっていませんが、鉄不足、ドーパミンの機能低下が考えられています。

妊婦(1/5人)・透析・胃切除・鉄欠乏性貧血(フェリンチン50ng/ml以下・氷食・匙状爪)に多く、パーキンソン病、関節リウマチ、線維筋痛症、吐き気止め・統合失調の薬・抗うつ薬(SSRI)、中枢性抗ヒスタミン薬で起こることがあります。

対策:カフェイン、アルコール控えます。薬はフェロミア クロナゼパム少量 ドーパミン作用薬 レグナイトなど考慮します。

周期性四肢運動障害

高齢者に多いが睡眠時無呼吸症と同様、若・中年に較べ高齢者では健康への影響は小さいと考えられています。夜間に下肢や上肢にミオクローヌス様の不随意運動が繰り返し出現するため不眠もしくは日中の過眠が生じます。運動症状を自覚していない患者が多く、ムズムズ脚症候群に合併することもあります。

REM睡眠行動障害:

レム睡眠行動異常(REM sleep behavior disorder :RBD)とは、通常の行動や認知に問題はないが、レム睡眠の時期になるたびに体が動き出してしまう睡眠障害の1つ。突発性の睡眠障害で50~60代以上に多く見られます。レム睡眠時には脳は覚醒時に近い活動をして筋緊張は抑制されています。レム睡眠行動障害は何らかの原因で筋緊張の抑制が障害されるために夢で見たことをそのまま行動に移してしまいます。 粗大な四肢や体幹の運動、寝言(叫ぶ、泣く、笑う)や攻撃的運動、立ち上がって動き回るなどの異常行動がみられる20~30分が経過しレム睡眠が終わると再び通常の睡眠に戻ります。

原因:基礎疾患として、脳幹部の脳腫瘍、パーキンソン病、オリーブ橋小脳萎縮症、レビー小体認知症などいくつかの原因が考えられていますが、約半数は基礎疾患を持たず、原因不明です。

診断:重要なのは寝言や睡眠時の異常行動が本人の見ていた夢と一致することです。

治療:クロナゼパム(第一)やパロキセチン、メラトニンなど

過眠症比較的稀な病気

睡眠医療専門施設、精神科、神経内科へ紹介します。

MSLT(反復睡眠潜時検査)が必要ですが、できる施設は日本睡眠医療学会認定医療機関など少数です。

ナルコレプシー:居眠り病と呼ばれます。脳の覚醒を維持する機能が弱く、REM睡眠機能調整障害です。 カタプレキシー(笑い情動脱力発作) 睡眠麻痺(金縛り) 入眠時幻覚などの症状を認め、Ⅰ型(脱力発作あり)2型は脱力発作なしの2タイプがあります。世界の有病率は1/2000人、日本では1/600人と外国より多い疾患です。日本は世界一短時間睡眠国のため睡眠不足の誤診が混入しているのではと考えられています。

車の運転事故の可能性があるため改善するまで運転を控える必要が出てきます。

対応:十分な睡眠をとる、薬はリタリン、モディオダールなどで登録医制度あり。

特発性過眠症:持続性あるいは反復性の日中の過度の眠気の発作を主症状とする睡眠障害の一種である。特発性過眠症の原因は判明していません。比較的稀な疾患であり、罹患率はナルコレプシーの1/10程度と推定されています。朝の寝覚めが悪く、頭が重い、頭が痛い、たちくらみ、めまいがするなどの症状が多く報告されています。

 月経随伴睡眠障害

まだ詳細がわかっていない領域です。月経前や月経時に過眠になり易くなる報告されています。月経周期後半の黄体期に入眠潜時が延長し、睡眠の効率が 悪化し、質的低下がみられることを報告されています。

 精神生理性不眠症

精神科紹介:眠れない日々を繰り返すうち、不眠への恐怖そのものにより不眠が増悪する悪循環に陥った状態。身体疾患、精神障害、嗜好品、生活習慣、薬剤などによる不眠と鑑別が必要。

ロングスリーパー 日本人の3~9%

先天的に睡眠時間が必要な方、10時間以上必要、病気ではなく体質、アインシュタインなどがそのようです。