声がれ
声がれ(嗄声)は、スポーツ応援、カラオケや感冒後の一時的なものは心配ありません。
数週間以上持続または反復する場合は、放置するわけにはいきません。
耳鼻咽喉科専門医に見てもらう必要があります。
声がれの性質(がらがら、息もれ、力がない、のどを詰めた声など)も病気の診断の参考となります。
聴覚心理的評価のGRBASスケールを念頭におき、患者さんの第一声から意識して聞いて診断していきます。
声がれの性質と疾患:
Rough 粗糙性:がらがら
声帯ポリープ、声帯のう胞、声帯腫瘍 喉頭肉芽腫 声帯腫瘍 喉頭肉芽腫 ポリープ様声帯
ポリープ様声帯は低音となり、喫煙と音声酷使が関与します。
Breathy 気息性:息もれ
声帯結節 大きい声帯ポリープ 声帯溝症 反回神経麻痺
Asthenic 無力性:
力がない 心因性 呼吸機能の低下
Strained 努力性:
のどを詰めた声 声帯溝症
検査の流れ:
声は喉頭にある声帯振動で作られます。
①この声帯を電子内視鏡で、明視下に、観察することが最も重要です。
この検査は、電子内視鏡を鼻内経由で挿入致します。
径は細く痛みはほとんどありません。録画しモニターにて説明となります。
但し、小児や乳児、一部の鼻内が狭い女性の方は、従来の極細ファイバーにて観察いたします。
②最長発声時間の測定:男性14秒以下、女性9秒以下で、声門閉鎖不全や呼吸機能低下を伴う音声障害で異常の目安となります。
③声帯麻痺や腫瘤を疑うときは、口腔、軟口蓋、舌の動きの評価、頸部エコー、胸部X線など検査を進めます。
④必要な場合は、胸部CT、頭部MRI、胃カメラ、さらなる喉頭の精査加療目的(生検、手術など)で各専門病院紹介となる場合があります。
大半の方:
声がれの大半の患者さんは、声の酷使、発声の問題、感冒による炎症、薬の影響(喘息ステロイド吸入、風邪薬など乾燥させる薬)などが誘因となり、外来にての声の衛生指導、薬や吸入療法・音声治療で
時間はかかっても改善可能です。
最近は、胃酸逆流の関与の方が増加傾向にあり喉頭肉芽腫が出現します。
生活食事習慣の改善が必要な方が増えています。
声を使う職業の方:
反復しやすく声の衛生指導が主となり、呼吸法、発声法、日常の声帯のケアが最も重要となります。
言語聴覚士の指導が必要な場合もあります。
高齢の方:
加齢による声帯萎縮・声帯溝症や嚥下障害が背後に存在することが多く、治療が難しくなります。