吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

よくわかる風邪の漢方・咳

2026-06-10

 

春日公園紅葉 福岡

風邪かぜ語源は、東洋医学(特に中医学)にあります。約2000年前の中国にウイルスや細菌感染の考えは無く、六つの外邪(風 寒 熱 燥 湿 暑)の侵入が感冒の原因と考えられていました。
この中で、風邪ふうじゃと呼び、風邪最も多くの疾患を引き起こす要因で、ほかの邪と結びつき春以降には風熱(ふうねつ)や風湿(ふうしつ)、秋には風燥(ふうそう)、冬には風寒(ふうかん)(傷寒)として感冒を発症していきます。

漢方薬は、その人の体質にあわせ、漢方医学的な病態(証)を判断し治療法の
選択を行い、感冒時はそれぞれの外邪に合わせた対応と同時に、その人の抗病反応を考慮して処方を選択していきます。
病名は手掛かりとして参考にする程度となります。

西洋薬では、病名を基準に治療方針が決まります。
発熱や痛みに対しては、対症療法として解熱剤や痛み止めなど使用するわけですが、胃潰瘍の有無は確認しても体質・体力を考慮することはありません。

漢方診療の実際は、舌診、脈診、腹診やその人の外見的特徴や声の性状・においなど
四診(望・聞・問・切)から情報を得て証を判断し治療をすすめます。

~感冒~
風寒傷寒)感冒悪寒や寒気を強く感じる状態
皆さんがご存知の葛根湯やインフルエンザで有名な麻黄湯は、寒くなり冬にはやるの風寒(傷寒)の漢方です。

急性発熱性疾患は、中国の古典傷寒論では、進行順番は、太陽発熱・頭痛・悪寒)⇒少陽(悪心・咳痰・胸脇苦満)⇒

陽明(口渇・腹満・便秘)⇒太陰(腹満・下痢・寒)⇒少陰(寒・下痢・倦怠感)⇒厥陰(手足冷感・激しい下痢・胸苦しさ)となっています。 感冒の経過を説明したものです。

傷寒論は約1800年前の感染症マニュアルで、当時考えられた処方(葛根湯、麻黄湯、桂枝湯、麻黄附子細辛湯など多数)が、現代医学にも使用されていて、中医学や漢方を学ぶ古典のバイブルとなっています。

急性の発熱で汗が出ないとき(無汗)に、頸部のこわばりがあれば葛根湯
関節痛や筋肉痛が強ければ麻黄湯を選択していきます。
発汗後(自汗)桂枝湯を使用します。

このかぜの初期を太陽病期と呼びます。
本来冷えがあり元気がない虚弱者には、麻黄附子細辛湯を用います。

👉 冷え症の長引くかぜの咳嗽には、胃弱の方も多く麻黄附子細辛湯+桂枝湯または桂枝加朮附湯(もっと冷えが強い)または桂枝加厚朴杏仁湯を(咳がもっとひどい)合方し、胃の保護も行い対応します心理的ストレスにも効果があります。

必ず、熱いお湯に溶かすか白湯にて温服します。服用後はお粥など温かいものとること、毛布や布団にくるまり体を冷やさない事です

麻黄湯・葛根湯には麻黄(エフェドリン含有)が含まれ、高血圧、不整脈、狭心症、前立腺肥大の方は慎重な服用が望まれます。

温める生薬を多く使いますので、寒い冬の感冒に、効果を特に発揮しますが、
現代では、暑い夏でも、クーラーや冷蔵庫の使用などで、冷えた環境や冷えた食物が多く
一年を通して使用しています。

寒気と咽頭痛が強いとき葛根湯桔梗石膏を一緒に内服します。

インフルエンザなど強力な風寒で発熱、悪寒、筋肉痛、関節痛がひどいときは
麻黄湯越婢加朮湯(大青竜湯)を併用します。

喉が渇き、顔が真っ赤になり嘔吐するような咳は、
越婢加朮湯半夏厚朴湯越婢加半夏湯)を併用します。

発熱、悪寒、頸部のこわばり、筋肉痛、関節痛以外に咳嗽、呼吸困難、口渇、嘔気など
呼吸器や上腹部症状まで幅広く悪い時は、大正時代のスペインかぜのウイルス肺炎に応用された葛根湯小柴胡湯加桔梗石膏(柴葛解肌湯)を一緒に内服します。

風邪の初期から4~5日以上経過して、体表面や鼻から少し奥に病気が進行し、上腹部・呼吸器症状が出現してきます。具体的には、寒気と熱感が交互に出現、嘔気、、痰、胸痛、横隔膜周囲の不快感に移行すれば小柴胡湯およびその関連漢方を使います。これを少陽病期と呼びます。

少陽病期乾いた咳は小柴胡湯門冬湯  湿性咳、喉の違和感、喘鳴は、小柴胡湯半夏厚朴湯(柴朴湯)

口渇・粘ちょう痰・咳・喘息体質改善は、小柴胡湯麻杏甘石湯、冷え水様痰では小柴胡湯小青竜湯の併用

体力充実、便秘傾向、胃食道逆流関与湿性咳・喘息は、大柴胡湯大柴胡湯半夏厚朴湯の併用

体力低下、痩せ、動悸、寝汗、食欲不振柴胡桂枝乾姜湯、冷えや喘息あれば柴胡桂枝乾姜湯麻黄附子細辛湯の併用

など痰の性質や咳の状態、体質・体力により色々な組み合わせを考えます。

風熱感冒悪寒はわずかで体に熱を感じ咽頭痛・口渇がある状態
春以降に温かくなり、風邪の初期で、高熱、口渇、咽頭痛、熱感が主で悪寒は軽度な感冒は風熱感冒(温病)と呼び、市販薬の銀しょう散が適応となります。体を冷やす生薬を使います

医療用のエキス剤の種類は多くありませんが、
発熱・咽頭痛では小柴胡湯加桔梗石膏咳や喘息の時は麻杏甘石湯を使用します。
現在は季節に関係なく使用します。

 普段から風邪を引き易く、体力がなく胃が弱い方で、悪寒・高熱・咽頭痛・熱感など強くない方の長引く普通感冒には参蘇飲があります。約900年前の宋の時代にできた漢方薬です。胃薬・鎮咳去痰薬・悪心や腹部膨満感への薬・元気を補う薬など含まれ、葛根・蘇葉も含有されているので肩こりや関節痛・筋肉痛にも効果があります。

強い症状には、効果なく、咳がひどければ麻黄湯、頭痛には川きゅう茶調散、発熱には小柴胡湯、下痢には五苓散を一緒に内服すると効果を高めます。

感冒の数日後からがひどくなり、眠れず長期に持続するため多くの患者さんがいらっしゃいます。

西洋薬の咳止め服用では効果ないことも多く、治療が難しくなります。

~咳~
風寒咳】水溶性の鼻汁や痰は薄く白く口渇はない状態
薄い白い咳・痰で水溶性鼻汁、ゼーゼー、悪寒や頭痛の時、小青竜湯悪寒や頭痛はない咳で、胃弱の方は苓甘姜味辛夏仁湯を使用します。

風熱咳】黄色い粘ちょう痰で口渇がある状態
咳・痰や喘息に麻杏甘石湯
慢性の咳や黄色い粘ちょう痰の場合、清肺湯を使用します。咳はひどいとき、麻杏甘石湯清肺湯を併用します。

風燥咳】カラ咳で秋・冬の空気の乾燥する時期に好発
かぜの後期のカラ咳の時に、麦門冬湯 ストレス・自律神経失調あれば四逆散加味逍遥散を併用
婦人の疲れた時のカラ咳の時に、滋陰至宝湯
老人の口が乾燥するときの咳に、滋陰降火湯を使用します。腎陰虚六味丸と併用すれが効果を高めることもあります。

風湿咳】痰が白く量が多い
胸から咽頭がつかえ、痰が多い咳の時、半夏厚朴湯 食欲を高めながら治す場合、六君子湯を使用します。

 

 西洋薬問題点

西洋薬は、熱、せき、水様鼻汁それぞれ単独には、漢方よりシャープに効かせることが可能ですが問題点も多くあります

西洋薬は、熱を下げ過ぎ免疫を落とし病気を遷延させたり、鼻水を止めすぎ喉が乾燥し細菌感染を助長したり、高齢者では咳を止めすぎ誤飲性肺炎の原因となることもあります。

西洋の風邪薬は必要最小限でやめる事が重要です。

具体的には、39度で、ぐったりしていたら解熱剤で38度前後に落として、それ以上は使用せず、熱は免疫を高めるため、自然にさげることを心がけましょう。

咳止めも、夜間に眠れないような咳の時は使い睡眠をとり、体力の消耗を防ぎましょう。

飲水は十分おこない、抗生物質は、本当に必要な時はしっかり内服します。