吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・鼻内レーザー治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

自分で行う溶連菌感染症の判断と知識

2018-12-24


溶連菌感染は、夏に少なくなるも1年を通して多い感染です。特に秋から冬にかけて多くなり、

季節的に多くなるインフルエンザ以外では、通常、冬では感染性胃腸炎の次に多く、

4歳ごろから学童に好発する疾患です。

 

👉 溶連菌は、発症時の症状の他に、

その後の毒素や免疫反応による様々な疾患が生じ、

死に至る病気(人食いバクテリア)となることもあるため、

自分でも知識を持ち、早期発見に役立てる必要があります。

溶連菌感染を簡単に要約すると以下になります

溶連菌感染症とは、A群β溶血連鎖球菌(グラム陽性嫌気性菌)という細菌によって起こる感染症です。
無治療で、発症後3週間で抗体が産生され、

2週間以内に自然治癒することもあります

溶連菌そのものによる組織障害(咽頭炎)
溶連菌が出す毒素による疾患(猩紅熱
免疫異常による疾患(リューマチ熱・腎炎など)
など多彩な疾患発症メカニズムがあります。

感染経路
飛沫感染(口や鼻から感染)…咳やくしゃみ等で飛び散った菌を吸い込むことで感染します。

接触感染(皮膚から感染)…皮膚と皮膚が触れたり、タオルや食器等を介して感染します。

予防方法:手洗い、咳エチケットで防ぎます。

親子兄弟の家族内感染を起こします

(兄弟の感染率25~50%、流行期の両親の感染率20%程度)。

潜伏期間 約2~5日

とびひ(伝染性膿痂疹)では、7日~10日

一般的に4歳~学童の子供に感染しやすい病気です。

大人でも感染します。

一度感染して治っても、繰り返しかかることがあります。

適切な薬をきちんと服用すれば、24時間以内に感染力がほとんどなくなります

学校保健安全法では、

切な薬を内服後24時間たち、状態が良ければ登校可能となっています。

症状
発熱・のどの痛み・腹痛発疹・苺舌(写真吐き気 (写真はみやけ内科 家庭の医学HPから
これらの症状が全てあらわれるわけではなく、人により症状は異なりますが、高熱、のどの痛みが出て、扁桃腺が腫れ、その後、全身に発疹が出たり、舌にイチゴのようなブツブツが現れることもあるのが特徴です。

診断と治療
クリニックでは、迅速検査(10~15分程度)を行い、陽性であれば、

アモキシリン10日間内服加療を行います。

必要あれば、咽頭培養を行います。

軽症ペニシリン(PC)アレルギーでは

ケフレックス(狭域セフェム)

重症PCアレルギー クリンダマイシン 10日間服用

広域セフェム系(フロモックス、メイアクト、トミロンなど)の

5日投与方法が日本で研究されましたが、

除菌率82%、10日間アモキシリンでは91.7%、再発率では差は認めていません。

広域のセフェム系は常在菌に変化をもたらすため、アメリカでは推奨されません。(サイト

日本では、クラリスロマイシンなどのマクロライド系は耐性の可能性があります。

IDSA(アメリカ感染症学会)2012年(サイト

では、迅速検査は3歳未満には推奨されません

理由は、3歳以下のリューマチ熱の発症は稀だからです。

但し、年長の兄・姉の感染があれば考慮してよいことになっています。

 

保菌者検査は陽性、無症状
治療はしません

周囲に感染するリスクは低く、合併症を起こす危険性は低いからです。

除菌療法を検討する場合

家族が複数回A群溶連菌咽頭炎

リウマチ熱の家族歴

慢性のA群溶連菌保菌状態で扁桃摘出を検討

など

 

 

合併症(免疫反応による)
リューマチ熱:発熱と関節痛、心炎、輪状紅斑、舞踏病あり、その後心臓弁膜症となることがあります。

咽頭炎後1~5週で発症します。現在先進国では、稀です。

2008年日本では推計100人程度。

抗生剤内服で予防可能です。

外国人の来日による輸入感染症やワクチン普及や安易に抗生剤を使用しない流れでの、

再興感染症として今後増える可能性があります。

好発年齢は4歳~15歳。米国では3歳以下は稀(サイト

 

急性糸球体腎炎

浮腫 血尿 タンパク尿 高血圧 が出現。

2歳未満は稀、40歳以上は少ない。

2歳~15歳と60歳以上は注意が必要です。

多くの日本語のネットの情報では、

抗生剤内服で予防できるように書かれていますが、

MSDマニュアル(世界的オンライン医療情報)では(サイト)

抗生剤内服では、予防できないとなっています

治療:レンサ球菌咽頭炎の箇所

必要な方には、発症2~3週間後の検尿を行います。

 

アレルギー性紫斑病

小血管炎で、紫斑と関節痛、浮腫、腎炎、腹痛あり。

20歳以下で4~10歳に好発します。

溶連菌感染後1~3週間で発症することがあります。

 

その他に皮膚疾患として、
発赤毒による猩紅熱

発疹:咽頭炎発症1日後:翌日~7日、イチゴ舌:発症2日~など)

発疹は、脇の下や鼠径部にも多く認めます。

口の周囲や手のひら足の裏はあまり認めません。

発疹は(写真 みやけ内科HPから)、体幹に始まり、末梢に広がります

皮膚落屑(手や足の指先のかわ剝け)は、

発疹が消失後から現れますが、自然治癒します。

1998年以降、猩紅熱は法定伝染病から除外されています。

 

急激に発症して数日で死に至ることもある

人食いバクテリア壊死性筋膜炎

2017年6月西部ライオンズの森投手コーチが体調不良からわずか3日で、

劇症型溶血性レンサ球菌感染症による敗血症で死亡

死亡率30%。(徳州新聞ダイジェスト 2017年7月31日)

2015年では日本で500人程度の報告があります。

発症はよくわかっていませんが、

A群溶連菌への好中球による貪食能が抑制されて起こると考えられています。

スク因子として、高齢者、飲酒、男性が少し多いとなっています

子供には稀な疾患です。

若年者では、外傷、針刺し事故がきっかけで発症することがあります。

高熱、全身不良、局所の腫脹、激痛、四肢末端から1時間に数センチで壊死が進行します。

早期の診断と治療が重要です。抗生剤による集中治療の他、外科処置が必要です。

 

丹毒:真皮組織の上層の溶連菌の感染で、1~2mm程度の境界明瞭発赤腫脹を認めます。顔や手足に発症することが多い。

蜂窩織炎:真皮組織の深い部分の感染、黄色ブドウ球菌が多く、溶連菌も原因となります。境界不明瞭な発赤、腫脹で下肢に多く認めます。

伝染性膿痂疹(とびひ):黄色ブドウ球菌が主の原因、溶連菌も原因となります。

アトピーがあると重症化します。

そのた重症合併症
扁桃周囲膿瘍: 激しい咽頭痛、嚥下困難、開口障害があり。溶連菌による咽頭炎を無治療では重症化して、入院や外科的処置が必要となることがあります。
急性喉頭蓋炎: 嚥下困難、呼吸苦、人生最悪の咽頭痛があり。救急車搬送が必要なことがあります。
咽後膿瘍

敗血症

 

👉 自分で行う溶連菌感染による咽頭炎、扁桃炎および合併症の急性糸球体腎炎の判断として

下記の基準と症状を参考にしてください

溶連菌などによる細菌感染ではないウイルス感染の場合は、

頭痛・発熱の他に、鼻汁、鼻閉、咳、口内炎、結膜炎などの

多彩な症状が同時に出現することが多くなります。

溶連菌感染では

発熱、咽頭痛、時々腹痛・嘔気が出現し、

症状は限られたものになります。

以下の基準を満たせば、

溶連菌感染の確率が高くなります

Centor/McIsaacの基準
発熱 38℃以上 1点

咳がない 1点

圧痛を伴う前頚部リンパ節腫脹 1点

(あごの直下で前方のリンパの腫れ)
白苔を伴う扁桃腺炎 1点

(のどの奥の扁桃に白い物が見える)

年齢:3~14歳 +1点、15~44歳 0点、45歳~ -1点

スコア 溶連菌感染の確率)JAMA 2004
 2%
 7.5%
 14%
 31%
 52%
スコア4であっても、EBウイルスなどによる伝染性単核症の区別が難しいことがあります。
この指標は、医師が迅速検査の適応や、抗生剤の必要性を検討するときの資料です。

各年齢による症状を知ること
3歳以下

鼻水、鼻炎症状のみで、咽頭炎の所見は認めないことが多い。

通常の感冒と区別がつきません。

感染後の急性糸球体腎炎は、2歳未満は稀です。

米国ではリューマチ熱は、3歳未満は稀。

 

4歳~14歳

咽頭の充血した暗赤色の発赤、赤い斑点状紅斑(写真

を呈することが多く、

経験ある医師であれば、咽頭を視診するだけで判断できます。

好発年齢です。

(写真はみやけ内科 家庭の医学HPから)

 

思春期~成人~高齢者

さまざまな咽頭所見を呈するため咽頭の視診だけ判断するのは難しくなります。

 

免疫反応による合併症として、

急性糸球体腎炎があります。

血尿 タンパク尿 浮腫 高血圧が、咽頭炎後10日以降に発症します。
好発年齢の3歳~14歳のお子さんたちの発症数週間後の
ワイン色尿血尿
立った尿タンパク尿
眼瞼浮腫浮腫
は、お子さんにも教えてよく観察して下さい
クリニックにて、発症2~3週間して、検尿で確認します。

参考資料 抗微生物薬適正使用の手引き2017(厚労省) MSDマニュアル みやけ内科:家庭の医学HP

HP:CDC 米国疾患予防管理センター(サイト