吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

睡眠時無呼吸症はなぜ起こる?

2020-05-04

1時間あたりの無呼吸・低呼吸(10秒以上)が20回以上(AHI20<)に達するような中等症〜重症になると、7〜8年後には20%〜30%の人が心筋梗塞や脳梗塞などで死亡すると報告されています。CPAPマスク療法で、死亡率の改善が期待できます。

中等症AHIが20でも3分に1回10秒以上気流停止(無呼吸・低呼吸:AHI)が生じることを想像すると、怖い話です。

AHIが20以上あれば、死亡率の改善を期待し保険適応でCPAPマスク療法が認められています。子供の場合、睡眠時無呼吸症(OSAS)が無いのは普通ですので、AHI 1 でも OSASと診断されます。

睡眠時無呼吸症(OSAS)の治療・検査につては当院HP睡眠時無呼吸症

CPAPマスク治療についての詳細は、当院院長コラム睡眠時無呼吸症のマスクを参照して下さい。

睡眠時無呼吸症(OSAS)を疑う症状

 毎晩、大きないびきをかく

 睡眠中呼吸が止まると言われる

 昼間いつも眠い

 口を開けて寝る(特に小児)

 

睡眠時無呼吸症で生じるが、あまり知られていない症状

 起床時の頭痛

 夜間頻尿

 元気がない

▢ うつ傾向

 集中力がでない

▢ 朝の目覚めがわるい

▢ 寝汗

 多動(小児)

 おねしょ(小児)

 学習障害(小児)

 発育障害(小児)

睡眠時無呼吸症の症状は多彩のため、うつ病、前立腺肥大、更年期障害、不眠症、頭痛持ち、発達障害、自律神経失調などとも間違えられることがあります。

👉 なぜ睡眠時無呼吸症(OSAS)が起こるのでしょうか

 肥満

 鼻閉

③ 加齢

 エストロゲンの低下(更年期以降)

 鎮静作用の薬剤やお酒

 子供のアデノイドや扁桃肥大

 小さい顎

など睡眠時無呼吸症は様々な原因で起こってきます。

 

原因の解説と対策

 肥満

誰もがご存知の肥満は、成人で最も多い原因です。特に皮下脂肪が関与します。

3%ダイエット:

内臓脂肪型肥満は、3~6ヶ月で体重3%減らす、皮下脂肪型肥満は、6~12か月で体重の3~5%減らす目標達成すれば、また3%ダイエットを試みます。

毎日体重測定:なぜ体重が増加したのか毎日考えます。

リバウンド対策:

筋肉は糖を取り込む作用がありエネルギーを多く消費するので、筋肉量を増やしながらできる運動を勧めます

インターバル速歩,  自転車こぎ, 水中歩行など筋肉が落ちない運動を行います。

急激な減量をしない事

極端な食事制限で大幅に体重を減らすと、脂肪だけでなく筋肉量が減ります。筋肉量が減ると消費エネルギー量が減り、糖質や脂質がたまりやすくなり、痩せにくくなります。

ダイエットの具体例

糖質制限ダイエット

地中海式ダイエット

時間栄養学ダイエット

お金をかけない肥満&健康対策:当院コラム

  鼻閉

小児の場合は鼻閉があれば、急に睡眠時無呼吸症(OSAS)が悪化します。すぐに治療が必要です。成人の場合、鼻閉そのもののOSASへの関与はありますが低く、CPAPマスク治療の弊害となりますのでCPAPマスク治療者は同時に鼻の治療を行います。

 ③ 加齢

加齢に伴いのど周囲筋肉がたるみOSASは悪化します。後期高齢者では中年の方のように命への危険性に関してのリスクはわかっていません。昼間の傾眠だけでなく元気がない、夜間頻尿などの症状を参考にCPAP治療を行うか判断します。OSASを認知症や老年期うつと間違えることもあります。

 女性のエストロゲンの低下(更年期以降)

睡眠時無呼吸症(OSAS)性差医療です。若い方の罹患率は、女性は男性の1/5程度です。しかし更年期以降エストロゲンの低下により女性もOSASが悪化し60歳ごろから急に増加してきます。症状も典型的でなく疲れやすい、元気がない、朝の目覚めの悪さなど更年期障害や自律神経障害と勘違いするようなこともあります。女性の無呼吸は低呼吸のことが多く、夜間のいびき・無呼吸も穏やかに感じわかりにくいことがありますので注意しましょう。女性のCPAP普及率は低いのが現状ですので、60歳前後からの啓発が必要です。

 鎮静作用の薬剤やお酒

睡眠薬・精神薬服用でのど周囲の筋肉が弛緩していびき無呼吸が悪化します。お酒も同様の作用がありますので、飲み過ぎは注意が必要です。

 子供のアデノイドや扁桃肥大

アデノイドは鼻の奥の上咽頭組織で通常の診察では確認できません。

子供は、いびき・無呼吸・口呼吸だけなく、夜尿症、多動、学習障害、発育障害などにも注意して観察します。子供の場合、睡眠時無呼吸症(OSAS)が無いのが普通ですので、AHI で、OSASと診断されます。

子供の場合、成人と違い肥満の関与は低く、2~3歳ごろから生理的に大きくなるアデノイドや扁桃が子供のOSASの原因です。風邪でアレルギー性鼻炎・鼻副鼻腔炎がひどくなると鼻閉が悪化して急にOSASが悪化します。すぐに耳鼻咽喉科で治療が必要です。治療しても改善が悪いときは、アデノイドや扁桃の切除術を考えなければなりません。耳鼻咽喉科では、レントゲンだけでなく電子スコープでアデノイドの大きさと表面の炎症を確認して治療をすすめます。子どもの場合、風邪をひかなくなる夏に、一時的のこともありますが改善することがあります。生理的にアデノイドは7歳以降少しずつ小さくなるので、保存的治療を頑張ってもらい手術を回避することも行います。

成人と違い、子供の場合、簡易検査の精度は低く、終夜監視睡眠無呼吸検査(精密検査)は、子供を行う検査施設は非常に少ないためビデオモニタリング(当院HP睡眠時無呼吸症を参照)や様々な症状ファイバーなどの局所所見で、子供のOSAS治療の第一選択である手術などの方針を総合的に決めることが一般的に行われます。

 小さい下顎

顎が小さく、うしろに後退した形状はOSASの原因です。現代人は、食べ物が軟らかくなり噛まなくなったため昔に較べ小顔となり下顎も小さくなったと考えられていますが、原因ははっきりしません。幼少時からの鼻閉・口呼吸も顎顔面発育に影響を与え、歯並びの悪化や顎が小さくなる原因と考えられていて将来のOSASの予備群となります。鼻閉と口呼吸の習慣を幼少時から改善させることはお子さんの将来にプラスになると思われます。