吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

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感染対策を整理すると、基本は三つ:重要なのは手洗いと免疫!!

2025-01-19

感染対策を整理すると、基本は三つ:重要なのは手洗いと免疫!!

空気環境対策:

一つは コロナ感染対策で注目された 3密(密閉、密集、密接)を回避する、対面で食事しない、まめな室内換気などウイルスへの空間環境対策

進入路対策;

加湿器、マスク、手洗い、うがい、まめな飲水など、粘膜の乾燥を抑制して人へのウイルスの侵入を防ぐ対策 最も重要なのは手洗い

免疫の維持;

体内へのウイルスと接触しても体内への感染させない対策(ワクチン、十分な睡眠、適度な運動、腸内細菌を整える)

 医師はどうやって感染を防ぐか

最近 昼のワイドショーでは、医師はどう感染対策しているかの特集が組まれています。

具体的な話では、

まめな手洗い、

ワクチン接種

腸活(食物繊維、海藻、キノコなど食べる)

ブクブクうがい、カテキンお茶うがい

まめな飲水

睡眠

適度な運動、水泳など

皆さんと同様に、医師も一般的なことを心掛けているだけのようです。

 

家族がみんなインフルになっても、ワクチンを接種していなくても、その中にかからない人がいるわけです。

どういうことでしょうか

最終的には、本来からある自然免疫が強いか、後天的な獲得免疫をもっているかによると思われます。

2024年12月の今までにないインフルの感染爆発も、コロナ禍では、通常の感染症が流行せず、インフルなど感染症に対しての集団免疫の低下が原因と考えられています。

乳幼児は別として、大人になれば、ある程度の様々な免疫を備えています。ワクチンで免疫を強化し、獲得することも大事ですが、

常日ごろからの免疫を落とさない生活習慣や食生活も大変重要です。

感染対策の基本

空気感染対策 コロナ禍の時には、感染拡大を目的に3密(密室、密集、密接)を回避する行動が求められていました。現在は、コロナ禍と違い、飲食店のお客さんは多く、3密を回避するのは難しいでしょう。ここで室内換気が重要になってきます。寒くなると、自宅での窓換気は、気密性が低下して寒くなるので行うのは難しいと思われます。換気扇をしっかり使うこと以外良い方法が見つかりません。

感染対策基本

進入路対策

まず皆さんが心掛けていることは、マスク、うがい、手洗いの三つだと思います。

 マスクの感染予防としての効果は限定的です。マスクと顔の皮膚のすき間から入ってくるからです。ご存じのように、布、ウレタン、不織布など効果は材質にも依存します。不織布が最も効果的です。

発症した方が、マスクをつけると飛沫飛散が抑制されるので非常に効果的です。

高価なN95マスクは、感染予防にも効果が高く推奨されますが、息苦しくなるため日常使用するには問題があります。

マスクは、鼻やのど加湿効果があるので粘膜の感染防御の維持に効果あります。

 うがいの効果が限定的またはほとんどないこともあります。

ウイルスは鼻やのどから侵入すると20分以内に粘膜から感染してしまうと考えられています。15分ごとのうがいは、日常では行いません。おそらく朝と帰宅時にする程度と思いますので、うがいによる効果は期待できませんが、うがい時の一時的にウイルスを流してくれる効果はあるでしょう。また、粘膜の加湿効果も少しあるでしょう。

例外として、高齢者の肺炎予防としての口腔ケアの一つとしての、うがい、歯磨きなどを行うのは効果があると思われます

2024年12月から2025年1月初期までに、高齢者のインフルの感染者が多く、インフル後の肺炎での救急搬送の増加および受け入れ困難ケースが多数報告されています。うがい、歯磨きなどの口腔ケアは、高齢者の肺炎予防として効果が期待できます。

世界共通で、もっとも推奨されているのは、手洗いです。

 

液体石鹸と流水

手洗いの考え方で 除菌するのか殺菌するのか考えます。

液体石鹸と流水による手洗い、細菌、ウイルスほとんどにおいて効果を認めます。物理的に洗い流す除菌しての効果です。

流水で、ウイルスは1/100程度に減少、石鹸で泡立てた流水だと1/1000~1/10000程度ウイルスを減少することが可能なようです。

アルコール消毒

除菌・殺菌も行ってくれるのが、アルコール消毒です。最も短時間で消毒できる方法のため最も普及しています。

 

アルコール消毒の注意点

アルコール消毒に効果を認めは、エンベロープの層を持つウイルスのみです。コロナ、インフル、RSなどたいていのウイルスに効果あり、マイコ、溶連菌にも効果あります。

 

アルコール消毒は、エンベロープを持たない、おなかの風邪ウイルスの、ノロ、ロタウイルスには効果ありません。秋に多い鼻風邪ウイルスのライノウイルスや夏風邪のアデノウイルスにも効果はありませんが、石鹸と流水の手洗いは、エンベロープを持たないウイルスにも効果があります。ハイターなどの塩素系消毒は効果があります。

 

また、アルコール消毒は、乾燥しないと効果が期待できません。インフル患者の鼻水がついた手にそのままアルコール消毒しても乾燥していないので効果は低く、鼻水など分泌物を石鹸・流水手洗いで落として、自分用タオル、ペーパータオルで拭いて乾燥させてアルコール消毒すると効果を発揮します。

鼻のどの乾燥予防も、進入路の粘膜の防御能を維持するのに重要

 

ウイルスの進入路のとしての、鼻とのど

ウイルスの侵入は、鼻やのど、眼の粘膜に侵入して感染することから始まります。鼻の粘膜に炎症を起こせば、鼻水、鼻閉、くしゃみが出現、のどに炎症起こせば、咽頭痛やのどの違和感を、感じるでしょう。

のどや鼻の粘膜が乾燥すれば、粘膜の防御能が低下してきます。

 

鼻の粘膜乾燥は気づきにくい

のどの乾燥感は実感することは容易ですが、鼻の乾燥を実感するのは意外に難しいと思います。

鼻の入り口にカサブタや鼻水に血が混じるときは鼻の粘膜はかなり乾燥していると思ってください。耳鼻咽喉科医は毎日のように多くの患者さんの鼻の中をみていますので、エアコンを使用するような時期の冬から春にかけて鼻の粘膜が乾燥する患者さんが急に増えます。患者さんは、実際に自分で鼻の粘膜を見ることは難しいので、自分で気づく方はほとんどいません。内視鏡で乾燥して荒れた鼻の粘膜をお見せして納得されます。

 

鼻や気管より下の下気道、肺は呼吸上皮のため粘膜線毛機能が備わっていて、ウイルスや菌が粘膜に付着しないように常に動いていて外へ排出するように働いています。

粘膜が乾燥したり冷えたりすれば機能が低下して 感染しやすくなります。

感染対策基本③

免疫の維持

これが最も重要で、最も難しい対策です。

日ごろからの生活習慣、食習慣を心掛けなければなりません。インフルワクチンの場合、効果が出るのに、2週間ほどかかります。比較的早く免疫を上げるためには、それぞれのワクチンを接種することになります。乳幼児は免疫の発達段階のため、ワクチンは特に重要です。

成人も、重症化しやすい高齢者や免疫を落とす治療中の方などワクチンは重要です。

普通の健康な大人は新型ウイルスでなければ、以前にどこかで感染していて、または以前ワクチンを接種している人も多いため、免疫の記憶は残っていると思われ、免疫を落とさない生活習慣・食習慣がもっと重要な要素と思われます。