胃酸の逆流と喉頭
➡胃酸の逆流と喉頭症状
胃酸逆流の喉頭所見として、喉頭肉芽腫(上記写真)(通常片側)や喉頭の炎症・発赤・浮腫から声門下の炎症などを認めます。
咽喉頭酸逆流の症状として、咳嗽・声がれ・咳払い・のどの異常感が胃酸逆流の影響で生じます。
対策:逆流症の治療(PPI:プロトンポンプ阻害薬)の効果は限定的です。
咽喉頭酸逆流では、弱酸~無酸の逆流による発症の場合あり、初期治療から増量や投与期間の延長を考える必要があります。無酸の逆流のことあり、PPIによる酸のコントロールだけでなく逆流そのものの改善を目的にモサプリドや六君子湯の併用や生活・食習慣の改善も考えます。
◆胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)とは
胃食道逆流により症状や合併症が引き起こされる疾患です。脂っこい料理を食べお酒を飲む人に多く、胸やけやげっぷなどの症状があります。
通常は胃液や胃の食べ物が食道に逆流しないようになっていますが、逆流防止機能障害があると生じます。食道粘膜は胃酸の刺激を防ぐ機能は備わっていません。食道裂孔ヘルニアはリスク因子です。
胃カメラで食道粘膜障害がないことを確認されると非びらん性胃食道逆流症(nonerosive reflux disease:NERD)と診断され、逆流症状を訴える患者の60~70%に認めます。生活の欧米化、ピロリ菌感染率低下、肥満の増加に伴い日本人の酸分泌は急速に増加しています。GERDの重症例では、食道狭窄・出血、バレット食道からの癌の発症もあります。
妊婦、乳幼児、肥満傾向、高齢者(背骨は曲がる亀背)、お酒飲みすぎる人、食べ過ぎる人、咳が長引く人、ベルトを締めすぎる、コルセット使用者、ストレスが多い人(NERD)など
☞ 腹圧がかかりやすいと起こります。一部にはストレスの関与もあります。
*Ca拮抗薬(降圧薬)テオフィリン(ぜんそく薬)硝酸薬
☞逆流を防止する下部食道括約筋を緩めます。
*抗コリン薬
☞消化管運動低下させ、胃酸がたまりやすくなります。
抗コリン薬の例:デパス セルシン 三環系抗うつ薬 抗精神病薬ブスコパン パーキンソン病薬 風邪薬 第一世代抗ヒスタミン薬 など
◆生活習慣の改善による対応
★お金をかけない肥満&健康対策:当院コラム
*過食を避ける 食後2~3時間就寝しない
*食後前屈み姿勢を避ける
*高脂肪食やアルコール・甘い物・コーヒー、ミント、柑橘類などを避ける
*就寝時頭部を15cmほど挙上し、上半身を少し上げて就寝する。挙上の仕方は、次のサイトも参考にしましょう。
*ベルトなど腹部の締め付けを避ける
*長時間の農作業などを避け、普段から背筋を伸ばすようにする
生活習慣の改善は、以下のPPIの治療と併用して効果を認めます。
◆治療は?
*PPI:プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール)
作用には少し時間(5日ほど)がかかります。8週間投与。
非びらん性のNERDではPPIの効果は低くなります。ストレスの関与も疑います。
*PPIの併用治療
→六君子湯:PPIへの追加投与で上乗せ効果あり
→モサプリド:NERDやPPI抵抗性GERD)にはPPIにモサプリドの上乗せ効果あり
*P-CAB:タケキャブ タケプロン(ランソプラゾール)の改良版で、タケプロンより効果が早く酸性環境下でも安定性があり、作用持続が長く、タケプロンよりピロリ菌除去が高いなどの特徴があります。
『PPIの弊害』
*胃酸分泌抑制により腸管感染症のリスクがわずかに増大
*胃酸分泌低下による胃内細菌の増殖とその逆流物の肺への吸引で市中肺炎が増加する可能性が考えられますが、GERD自体が肺炎の危険因子でもあるので肺炎のリスクはわずかに増大
*PPIの骨代謝への影響とカルシウムの吸収障害により、服用1年以内は骨折のリスクはわずかに増大
*ランソプラゾールによる難治性下痢の可能性





