吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

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回転性めまいの話題

2026-05-31

めまい・ふらつき

めまいを訴える患者さんは高齢社会を反映して増加の一途をたどっています。麻痺が無い短期のふらつきは風邪症状、不眠、疲れ、肩こり、脱水など日常生活に問題あることも多く、自己対応で済ませる方も多いと思いますが、ぐるぐる回る回転性のめまいは、びっくりして救急車を呼ばれる方も多くいらっしゃいます。

👉今回は、耳鼻咽喉科医が診察することが多い回転性のめまいの最近の話題です。

三つの話題

良性発作性頭位めまい症(BPPV)と骨粗鬆症

メニエール病の中耳加圧療法

片頭痛とめまいの関係

 

 

ふらつきをめまいと考えてない方もいるので、ふらつきも含めてめまいと呼んでいます。

めまいを回転性のぐるぐる回るめまいふらつき(浮遊性めまい)に分けて考えています。

めまいの原因を考える時 末梢前庭性(耳鼻咽喉科疾患に多い)中枢性(脳卒中、脳腫瘍など) その他(不整脈、貧血、自律神経、薬剤性、筋力低下、肩こりなど)に分けます。回転性めまいは末梢前庭性に多く、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎、めまいを伴う突発性難聴、内耳炎が代表疾患です。

中枢性では、脳卒中・脳腫瘍以外では、近年、片頭痛に関連するめまいが、前庭性片頭痛という疾患単位として確立され、症状として回転性めまいとふらつきを認めます。

 

 

話題➊ 良性発作性頭位めまい症(BPPV)と骨粗鬆症

耳鼻咽喉科が扱うめまいには末梢前庭性が多く全めまいの60%を占めます。その中で最も多いのが良性発作性頭位めまい症です。回転性めまいの内耳疾患で、半分程度を占め、男性より3倍女性に多く中高年の女性に多い疾患です。

内耳の耳石が何らかの理由で剥がれ落ち、それが動くことで三半規管を刺激してめまいが起こります。運動不足、長期臥床、外傷後に起こり易くなります寝たきり・運動不足など動かないでいると、半器官へ耳石が溜まってしまったまま動かなくなります。それが原因となりBPPVを発症してきます。また耳石もカルシウムであるため、閉経後の女性に多い骨粗しょう症との関連も考えられています。

治療:

浮遊耳石置換法自宅でのめまい体操です。発症機序から、薬で治す病気ではありません。対症療法として嘔気、めまいに対しての薬物療法は一時的に行う程度です。

通常は、2~3週間で自然治癒することも多い疾患ですが、再発例や難治例も多く認めます。再発率も高いため普段から運動を心がけ、動くことを意識する必要があります。難治例で、毎晩耳石が剥がれて三半規管を刺激して遷延・再発する方には、めまい体操や耳石置換法では間に合わず、上半身を少し高くしての就寝、枕を高くすると起こしにくくなると言われています。

 

 BPPVの基本事項は次のサイトを見てください

 

BPPVの難治化要因としての骨粗鬆症との関係:

難治化や再発例は、長期臥床後、二次性(メニエール病後、外傷後)に多いと言われています。骨密度が低下した方に、再発例が多い報告があり、耳石が脆弱化している耳石粗鬆症とも考えられています。今後、若いころからから骨粗鬆症への対応がBPPV発症の予防につながる可能性があります。

骨粗鬆症への対応:

骨密度は20歳ごろがピークと言われ、若いときの過剰なダイエットや痩せすぎは、閉経後の骨粗鬆症の悪化が予測され、骨折予備軍と考えられています。

食事、運動、生活はどうするか?

運動は背筋運動スクワット、壁で支え片足立ち、壁で支えヒールレイズ(かかと挙上)、水中歩行などのレジスタント運動を行います。食事は、バランスの良い3食を食べ、肉・魚・大豆・納豆・卵・牛乳・小魚・きのこ・鮭などタンパクやカルシウム・ビタミンD・ビタミンKをよく食べましょう。

レジスタント運動で筋肉量を維持し、骨密度の減少に効果があります。ビタミンDを維持するには日光浴も大事です。肥満者は少しずつ減量を試みます。急な減量は、筋肉量の低下をもたらします。喫煙や過度の飲酒も骨粗鬆症を早めます。

 

話題メニエール病の中耳加圧療法

耳のめまいの病気のメニエール病は内耳のリンパ水腫でめまいを起こす疾患です。内リンパ水腫を起こす理由はまだわかっていません。メニエール病はストレス、睡眠不足、几帳面との関与が大きい疾患です。月経はメニエール病の誘発因子となり、更年期障害と合併しやすいと考えられています。急性期のめまいに対して、回転性めまいの持続時間10分程度から数時間程度ですので、内服または点滴加療、急性の聴力低下はステロイド治療などを行います。

この疾患は反復するので予防が重要です。生活習慣の改善、睡眠指導、軽く汗を流す運動をすること、飲水指導を行います。難治例に対して外科的治療は後遺症を残す可能性が高く慎重に検討する必要があります。後遺症を残さない新しい中耳加圧療法が外科的治療の前段階治療と位置づけられます

難治・再発するケースは多く、難治例(stage4)を対象に、2018年9月から中耳加圧療法が、保険収載されました。

 

中耳加圧療法の治療対象は:

保存的治療に抵抗してめまい発作を繰り返し、外科的治療を考慮するメニエール病確実例および遅発性内リンパ水腫確実例(stage4)です。耳鼻咽喉科専門医のみが実施できます。

実施要領:

貸し出しの中耳加圧装置(シリコンゴムチューブを介して、圧波を外耳道を通して鼓膜に送る装置)を1回3分1日2回行い、月間の症状を日誌に記載してもらいます。月1回通院して1年後に評価を行います

 

話題 片頭痛とめまいの関係(前庭性片頭痛、メニエール病との併存)

日本では約840万人と推計、ほとんどは30歳までに発症し、6割程度は生理中に悪化、妊娠中は改善、更年期初期に悪化し年齢とともに罹患率は低下します。20台から50台の女性に多く、エストロゲンの関係が考えられています。

めまい患者さんが、頭痛を訴えても、脳卒中や脳腫瘍以外では片頭痛との関連を疑うことは今まではあまりありませんでした。最近では、頭痛外来の片頭痛患者の半数以上に何らかのめまい症状があり、片頭痛とメニエール病の共存率も高いと知られています。前庭性片頭痛という疾患単位として診断基準が確立されたのは近年のことです片頭痛関連めまい(前庭性片頭痛)は、今まであまり知られていなかったため、難治性や原因不明のめまいの患者さんの中にかなりの割合で含まれていると考えられています。外国の耳鼻咽喉科外来の高齢者のめまいの原因で13%の報告があります。

診断

過去も含め片頭痛症状がある

めまい前後に頭痛がある

めまい症状は、自発性めまいや視覚刺激・頭部運動で誘発されるめまいや浮動感(回転性めまいが多いが、一部に浮動感あり

少なくとも5回のめまい発作で、5分~72時間持続

めまい発作の少なくとも50%に1つ以上の片頭痛兆候(頭痛、光・音過敏、前兆)がある

めまい発作時は、高度難聴はなく、耳鳴・耳閉感のあることは多い

治療

めまい発作時は、トラベルミン、セファドール、ナウゼリンなど

トリプタンのめまい効果は認めないようですが、頭痛には屯用で使用。トリプタンは、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、重度高血圧、重度肝臓病では使えません。

片頭痛の予防治療が発作の予防に有効

ミグシス、トリプタノール、インデラル、デパケン、SSRI(抗うつ薬)、呉茱萸湯など

めまいのリハビリ(片頭痛症状も改善することが報告あり)

生活で注意点と対策

強い光、騒音、人混みを避ける

寝過ぎ寝不足を避け、休日も普段通り

ストレス回避

ワイン、チーズ、アルコール、チョコは避ける

赤系サングラスを選ぶ

片頭痛発作時は、静かな暗い場所で安静または睡眠、冷たいタオルで痛む箇所を冷やします。