吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

バイデンも行うコロナワクチン4回目接種:限定的効果

2022-05-29

日本でコロナ4回目接種が、はじまりました。80歳近いバイデンさんも接種したようです。

Biden second booster shot 2022年3月30日 Youtube 

当院ではコロナワクチン4回目接種予定はありません。

4回目接種は3 回目から 5 か月経過した 60 歳以上 とハイリスク者が対象です。

若い人が多い医療従事者やエッセンシャルワーカーは入っていません。

なぜでしょうか

健康成人には期待できないから

最近の信頼性が高いデータとして、健康成人の方への接種ですが、2022年4月7日にNEJMで報告されたイスラエルからのデータがあります。この報告では、コロナワクチン4回目接種の感染予防効果はあまり期待できない内容です。

 

オミクロン株へ の有効性については、 60 歳以上の保険情報をもとにした後ろ向き コホート研究で、

ファイザー製ワクチン 4 回 接種から 7~30 日後の有効率は、3 回接種群 に比べて、

感染予防 45%、

発症予防 55%、

重 症化予防 62%、

死亡予防 74%でした。

70~79 歳の死亡が 72%、80~100 歳の死亡が 80%減 少しており、

超高齢者でも有効です。

このうち 感染予防効果2~3 か月後には著明に低下しま すが、

超高齢者でも重症化予防効果は維持されます(長期には不明)。

 

New: 2022年5月24日 BMJ イスラエルからの同様の10週間の報告では

感染予防効果3週間後ピーク 65.1% 10週間後 22%

重症化予防効果、 3週後 77% 10週間後 86% (10週以降の長期は不明)

 

👉 感染予防効果は、接種しても一ヶ月で効果はすぐに低下して、費用対効果が悪いことがわかります。

今のオミクロン株は以前の新型コロナに比べ重症化率や死亡率はかなり低下していますので、重症化の可能性が高い人へ絞った対応の方がワクチンの有効率を発揮します。

 超高齢者でも重症化予防効果は、いつまではか不明ですがしばらく維持されますので、

75歳以上の後期高齢者や全身状態が悪い高齢者および

癌の治療中の方や、免疫抑制の疾患の方、免疫抑制薬などを服用している方

重い基礎疾患がある方が

積極的に接種推奨の対象になるように思われます。

 60歳以上の元気な方への効果は限定的と考えて接種推奨と考えられます。

米国では50歳以上の方が対象になっています。

 

オミクロン株への4回目接種のNEJM 2022年4月7日での報告

一方、18 歳以上の医療従事者を対象とした 前向き臨床研究では、接種後 1 か月まで感 染予防効果はファイザー製 30%、モデルナ製 11%でしたが、いずれも統計学的有意差はなく若く健康な人では 4 回目接種の有効性は 限定的とされていますこの結果から、オミクロン株に対しての感染予防効果は、健康成人には効果はあまり期待できないようです。

この研究には、高齢者や基礎疾患がある方は含まれていません。

 

ハイリスク者(通院および入院中の基礎疾患あり)への接種について

慢性の呼吸器の病気 (COPDなど)

慢性の心臓病(高血圧を含む。)

慢性の腎臓病 (透析など)

慢性の肝臓病(肝硬変等)

インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病

血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)

免疫の機能が低下する病気(治療や緩和ケアを受けている悪性腫瘍を 含む。)

ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている

免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患

神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)

染色体異常 • 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態) • *睡眠時無呼吸症候群

重い精神疾患

およびBMI 30以上を満たす肥満の方

とされています(厚労省)。

担当の先生と相談して接種するか検討して下さい。

60歳未満の基礎疾患者は自己申告が必要です。

👉 まとめ

2019年の年末に新型コロナが報告されて以来、様々な変異株(アルファ、デルタなど)の出現で死亡率(ワクチン未接種65歳以上4%程度)の増加や人工呼吸器の使用が増加していましたが、ワクチンの普及による死亡率の低下(1%以下)認められるようになりました。

現在のオミクロン株では死亡率(0.13%)は低いが、インフル死亡率0.01~0.05%)よりは少し高い死亡率を維持しています。

インフル同様の状態に近づきつつあり、感染力が強いため、学校内や家族内感染が広がっています。

上気道が主の感染のため肺炎や人工呼吸器使用の方は減少して死亡率が低下、咽頭痛による嚥下障害の方が多くなっています。嗅覚味覚障害はほとんどみられなくなりました。オミクロン株による後遺症についてはまだわかっていません。

現在、2020年の初期のコロナワクチンをもとにして作られた現在のmRNAワクチンの方針転換が求められています。現在の方針では、ワクチンだけでの家族内や学校での感染予防は難しいと思われます。

イギリスなどのように、重症化率が低下した新型コロナに対して、インフル同様としての考えに変えれば、2類から5類に変えてもっと規制緩和していくことも可能でしょう。経済も上向きになります。国民の感染率が上がれば、ゆっくりと自然に感染が抑制されることは予想されます。外国との日本の大きな違いは、日本は高齢化率が非常に高いことが大きな問題となります。

規制緩和をすすめることは、重い基礎疾患を持っている方や、超高齢者への対応を医療体制でもっとカバーする必要性が出てきます。

 

 

今後の問題点

オミクロン株に特化、またはオミクロン株および予測される株を入れたワクチン(2価)を作るのか

mRNAワクチン以外のワクチンに期待するのか(組み換えタンパクなど)。

インフル同様に副反応が少ないワクチンで重症化予防を目的に年に一回程度の定期接種で対応するのか。

2類から5類(インフル同様)にいつ変更するのか

今年から来年にかけて新型コロナ感染対策行政の変化が待たれます。

身近な感染予防

また、新型コロナの接触感染の可能性はかなり低いことがわかっていますので、現在の過剰な感染対策として過剰なアルコールや次亜塩素酸消毒、スクリーンによる空気の流れの滞りなども問題となってきています。

結局、緩和されつつある感染対策を行い、必要な換気、石鹸での手洗い、必要な時のマスク、十分な睡眠、栄養管理、運動習慣を維持することは必要でしょう!!