吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

風邪・インフル予防の基本!!

2019-12-29

今年は暖冬ですが、インフルエンザの流行は早く、夏の後半から持続しています。当院でもインフルエンザは早くから認めましたが、例年より風邪にかかる方が少ないように感じていました。2019年12月16日の英国からの報告では、すでに風邪を引いている場合、インフルエンザにはかかりにくく、逆に、インフルエンザにかかっているときは風邪を引きにくいことが、英グラスゴー大学英国医学研究会議ウイルス研究センターが行った大規模研究で明らかにされました。今年は、インフル対応をまず第一に考えなければなりません

インフルエンザの感染経路として

  • 接触(手やドアノブなどから)
  • 飛沫(くしゃみ・鼻水・咳・唾液)周囲2m以内・
  • 飛沫核くしゃみ等で飛び散ったウイルスを含んで分泌物が、乾燥して微粒子として空気に浮遊)感染が考えられてきました。

最近の研究では、息をするだけで感染する報告や手のアルコール消毒だけでは防げない粘液中ウイルスの報告があります。今年は夏ごろからインフル感染が認められ湿度を高くしても防ぎきれない可能性が出てきました。

その他の感染症での空気感染では、結核、麻疹、水ぼうそうが有名で、特に麻疹・水ぼうそうは、すぐうつりますが、結核は相当長時間空間共有しないとうつりません。ノロウイルス嘔吐物からの空気粉塵感染もあります。

マスク・手洗い・ワクチン・換気が基本ですが、押さえておきたいポイントや知識が必要です。当たり前のことですが、睡眠・栄養・休養、冬は乾燥しやすく、こまめに水または白湯を飲むことも大事です。

近年外来・街中で、首にかける感染予防グッズをかけた患者さんも時々みかけます。効果はあるのでしょうか?感染予防対策の中には、ビジネス先行のネット情報もあふれているように思われます。

👉ご家庭ではどうすれば、インフルエンザや風邪ウイルスをどうすれば防ぐことが出来るのか?押さえておきたいポイントを学び、以下の風邪やインフル予防の基本を整理してみましょう。

うがいで風邪・インフルエンザを予防できるか?

水、イソジン、お茶で、効果が期待できるものは?

マスクで風邪・インフルエンザを予防できるか?

どんなマスクが良いのか?

手洗いで風邪・感染性胃腸炎・インフルエンザを予防できるか?

どんな石鹸を使うのか?手洗いの仕方は?

インフルとノロ食中毒対策の手洗い・消毒は同じでよいのか?

近年、手のアルコール消毒だけでは防げない粘液中ウイルスの報告があります

部屋の換気は重要か?

最近の研究では、息をするだけで感染する報告もあります。我々は、今後どう対応したらよいのでしょうか?

インフルワクチンの効果はどの程度か?

新しい鼻からのワクチンは効果あるのか?

首掛け感染予防グッズは、効果はあるか?

冬に多いインフルとノロウイルスで、まずは、厚労省のインフル予防やノロウイルスの食中毒対策は何が記載されているか確認しましょう。

厚労省のインフルエンザ感染予防の三つ

令和元年インフル総合対策サイト

咳エチケット:感染症を他人に感染させないために、個人が咳・くしゃみをする際にマスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえることです

予防接種:発症をある程度抑える効果や、重症化を予防する効果があり、特に高齢者や基礎疾患のある方など、罹患すると重症化する可能性が高い方には効果が高いと考えられます。

高齢者入所施設対策:施設内にインフルエンザウイルスが持ち込まれないようにすること

厚労省のノロウイルス食中毒対策サイト

予防対策まとめリーフレットサイト

手洗いまとめ図サイト

液体石鹸を使い、流水で手を洗います。ペーパータオルまたは自分用タオルで拭きます。最後にアルコール消毒を行います。

手洗い教育動画サイトyoutube

まとめると以下のようになります。

食品取扱者は、作業前の手洗い、調理者の健康管理、調理器具の消毒を行うこと。

ノロウイルスの感染経路として

ご家庭や学校での飛沫・接触感染

感染者の吐物・糞便からの二次感染

二枚貝(カキ、アサリ)などを加熱調理しないで食べた場合

感染食品取扱者からの汚染食品を食べての感染

乳幼児や高齢者は特に注意が必要です

ノロウイルスの検査は、3歳未満と65歳以上に保険で認められた糞便からの迅速キット検査があります。

手洗いは調理を行う前、食事の前、トイレに行った後、下痢等の患者の汚物処理やオムツ交換等を行った後には必ず行いましょう。石けんを十分泡立て、手指を洗浄します。すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオル又は ペーパータオルで拭きます。石けん自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。

消毒は一般的な感染症対策として、消毒用エタノールや逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム、オスバン)が用いられる ことがありますが効果は低く、ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウム(ハイター、ミルトン)や加熱・熱湯(85度以上1分以上) による処理があります。 調理器具等は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200pp m)で浸すように拭くことでウイルスを失活化できます。粉塵感染予防のため、嘔吐物を素早く、乾燥させないで、床を消毒(次亜塩素酸:ミルトン)して処理します。

うがいで風邪・インフルエンザを予防できるか?

前述の厚労省のインフルとノロ食中毒対策にうがいのことは記載されていません今まで、うがいによる予防効果の検証はほとんど行われていません。

ある報告では、風邪には、水うがいで、40%の予防効果イソジンうがいでは、10%程の効果のようです。イソジンが、のど粘膜細胞や細菌叢に影響を与えることが原因と推測されています。またビタミンDとうがいの予防効果の比較では、うがいの効果は認めていません。うがいの予防効果については未だに議論がありますインフルエンザには、20分以内に鼻・のどの粘膜から侵入するため、通常のうがい効果はありません

うがい薬の種類

イソジン(ヨウ素)うがい殺菌作用は強いが粘膜障害や菌交代現象あり実際のかぜ予防効果は高くないようです。しかし、フルーティ味などが販売されネットでは販売上位ランクになっています。喉の感染が強い時や衛生状態が悪い高齢者の口腔ケアで一時的に使用するなど限定される使い方が望ましいと思われますし、使用後の水うがいでイソジンを洗い流すことも大事です菌交代現象とは口腔細菌叢に影響を与え長期的には善玉菌が減少して口腔細菌のバランスが乱れ感染しやすくなることです。

のどヌールスプレーヨウ素が入っていますの注意して下さい。

アズノール(アズレン)うがい:粘膜再生効果ありますが殺菌作用はありませんので、粘膜障害や菌交代現象を気にせず使用できます。

水:一部の報告ですが、風邪予防に水だけでもかなりの効果があるようです。

お茶カテキンによる抗菌作用認めます。

塩水:水500mlに塩小さじ程度(0.9%)で浸透圧による抗菌作用を認めます。塩が多いと粘膜障害となります。

いずれもブクブク➡ガラガラうがいを行います。

鼻うがい:温度(体温程度)と前述の塩水で浸透圧(0.9%程度)を守れば鼻腔・上咽頭の粘液繊毛系などへの効果はあるようです。冷水は粘膜障害を生じます

マスクでインフルエンザを予防できるか?

マスクの性能に依存します。不織布マスクは、保温、保湿効果で増殖予防とのどの保護効果あり。マスクはくしゃみ・咳による飛散予防効果咳エチケット)がありますが、マスクによるウイルスの侵入予防は限られます.

マスクは鼻から口まで覆うこと、ティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえることです。手のひらでおさえると手から感染を広げることになります。

咳エチケット(厚労省サイト

マスクの種類

ガーゼマスク(織布マスク)

ガーゼを重ねて作られているマスクです。保湿・保温性に優れていて、洗濯することで何回も使用可能です。しかし網目が粗いため、インフルエンザウイルスを含んだ飛沫の侵入を十分に防ぐことはできません。

不織布(ふしょくふ)マスク(表に下向きプリーツあり)

繊維に科学的な処置を施して接着し、薄いシート状にした使い捨てのマスクです。

ガーゼマスクに比べて網目が小さく、インフルエンザウイルスを含んだ飛沫の侵入をある程度防ぐことが可能です。ガーゼマスクほどではないですが保湿性もあります。

また、医療関係者が使うサージカルマスクと呼ばれるものは、医療用の不織布マスク(3層、98%以上の細菌ろ過率)です。インフルエンザ予防に使用する場合、家庭用の不織布マスクは1層~3層など性能により価格に反映されています。

エバーマスク

スポンジ製で、歯科医院でよく使われているようです。防塵効果が高い。呼吸がしやすく口元と耳掛けが一体です。

濡れマスクも保湿効果もあるようですが、市販されているマスクは色々なタイプがあります。各国での好みや考え方も違い、国民性や個人の好みもありますので、自分に合ったもの考えましょう。

手洗いでインフルエンザを予防できるか?

手洗いは、接触感染予防の基本です。

石鹸と流水での手洗いに物理的除去はすべてのウイルスに効果を認めます。インフルウイルスは、消毒用エタノールで効果を認めますが、ノロ・ロタウイルスには効果はありません。

石鹸の選択

液体石鹸を使用しましょう。液体石けんの中身を詰め替える際は、残った石けんを使 い切り、容器をよく洗い乾燥させてから、新しい石けん液を詰めます。

固形石鹸は、共用はしない事 細菌が繁殖することあります。固形石けんは、1回ずつ個別に使用できる液体石けんと比較して、保管時に不潔になり やすいことに注意します。

通常の液体・固形石鹸は、殺菌効果はあまりありませんが、泡立ち効果が高く、手洗いでのウイルスや細菌除去に優れます。

逆性石鹸(オスバン、塩化ベンザルコニウム)は殺菌効果が高く、細菌、後述のエンベロープを持つウイルス対策に効果を認めます。緑膿菌、芽胞、結核菌は効果無く、真菌には高濃度長時間処理が必要です。泡立ち効果は高くありません。柔軟剤、リンスとしても使用されます。

薬用石鹸の問題(米国と日本)

2016年9月米国のFDA(米国食品医薬品局)は、殺菌剤(トリクロサン、トリクロカルバンなど19種類)入り抗菌せっけん(日本では薬用石けんで販売)の販売を禁止すると発表しました。2015年にはヨーロッパでは、トリクロサンの衛生用品の使用を禁止しています。特に、トリクロサンは経口・皮膚を経由して簡単に体内に浸透する性質があるようです。

FDAは、販売禁止にする理由を、消費者は、抗菌成分を含む石けんが細菌の繁殖を防ぐと思っているかもしれません。しかし、その成分が一般的な石けんを使った手洗い洗浄よりも、感染予防に優れているという科学的証拠をわれわれは持っていませんとなっています。抗菌剤は新たな耐性菌を生み出す危険性があります

茶のしずく石鹸と食物アレルギーの問題

添加物が多い石鹸は、添加物による経皮感さが生じて、食物アレルギーのリスクが増加する可能性があります。小麦アレルギーの原因となった茶のしずく石鹸は裁判にもなりました。特に、アトピーや肌荒れ・手荒れでお悩みの方は注意しましょう。

悠香(ゆうか)ウイキペディアサイト)で確認して下さい。

アルコール消毒の選択

通常の消毒用エタノール(街中や公共施設に置かれているもの)

エンベロープウイルス(インフル、RSV,麻疹、風疹、おたふく、ヘルペス、エイズ、B型肝炎ウイルスなど)には効果を認めます。

ノンエンベロープウイルス(主に夏風邪と感染性胃腸炎:ノロ、ロタのウイルスと鼻かぜのライノウイルス、A型肝炎ウイルスなど)には効果ありません。

酸性にした消毒エタノールウイルステラVHサラヤなど

エンベロープやノンエンベロープの両方のウイルスに効果を認めます。

アルコール消毒に頼るインフル対策の問題点

最近、手指に付着した感染粘液のもとでは、完全に乾燥するまでは消毒エタノールの効果は大幅に低下することが報告されています。報告では、流水による手洗いだけでもウイルスに対して十分な効果を認めています。鼻水などが付着した粘液中のインフルウイルスに対して、擦りこみ式手指消毒の効果を過信せず、こまめに手洗いを行うことでより高い消毒効果が得られる可能性があります。

部屋の換気は重要か?

部屋の換気は、飛沫核(空気)感染予防の基本です。

インフルエンザは、密閉、低温、乾燥の条件がそろうと、部屋にいるだけで感染します。くしゃみ・咳で飛び散った分泌物は、いったん付近のものに付着した後、乾燥して水分を含まない微粒子(直径5/1000mm)の感染を飛沫核感染と言います。2µ以下の飛沫核は長時間空中をただよう事ができるため、同じ部屋に一緒にいるだけでも感染します。部屋の換気は重要です

息をするだけで感染(エアロゾル)

2018年の報告では、咳やくしゃみをしなくても、インフルエンザ患者が呼吸するだけで周囲の空気にウイルスが放出されることが分かってきました。冬に外にて息をはくと白く見える範囲の空気感染は、もっと多いと考えた方が良いようです。したがって、報告では、「インフルエンザに感染した人が職場に現れた場合には、周囲への感染を防ぐため職場にとどまらせず、すぐに帰宅してもらうべきだ」と強調されています。部屋の換気はますます重要と考えられます。

ワクチン効果はどの程度か?

結論は、インフルワクチン効果は、重症化予防に効果があり、ウイルス侵入防御はなく、発病阻止効果は低いと考えられます。

高齢者(65 歳以上)を対象に、インフルエンザワクチンの発病阻止効果は34〜55%、インフルエンザを契機 とした死亡阻止効果は82と報告されています。乳幼児のインフエルエンザワクチンの有効性に関しては、報告によって多少幅がありますが、概ね20~60%の発病防止効果があったと報告されています。

現在のワクチン皮下注射では、分泌型IgAは誘導せず、血清IgG抗体を上昇させます。血清IgG抗体は、分泌型IgAのような鼻・口腔・気管での侵入を防ぐ効果や交差防御効果はありませんが、生体内でのウイルス活性を弱める効果がありますので感染後の症状発現予防や重症化予防は期待できます

ワクチン製造に使用されたウイルス株と異なるウイルス株が流行すると、現在の不活化ワクチンの効果は期待できません。その年の流行インフルウイルスが製造ワクチンのウイルス株とすこし異なると、ワクチンを打っても効果があまり期待できない年があるのはそのためです。現在のインフルワクチンは重症化予防に効果が高いと考えて下さい。

今後のワクチン:経鼻で痛くなく効果が注射より高い予測

フルミスト:

毒性を弱めた経鼻生ワクチンが米国(2003年)とヨーロッパで承認されていますが、日本では未承認のため輸入で行う施設もありますが、副反応が生じた場合には日本での救済制度が利用できず自己責任になります。2歳以上50歳未満が適応で、接種後の鼻水、咳、発熱が高確率で認めます。生ワクチンのため、妊婦さんは出来ません。高い発症予防効果と予想流行タイプと異なるウイルスに対しても軽症化させる効果があるようですが、米国では、2016~2017年は効果が疑問視され一時推奨されない時期がありました。

国産経鼻ワクチン:

阪大微生物病研究会が開発した国産の不活化経鼻ワクチンが日本で承認申請される方針のようです。このワクチンは、不活化のため副作用が少なく、高い発症予防効果と予想流行タイプと異なるウイルスに対しても軽症化させる効果があると期待されています(2019年11月の記事)。

首から下げるタイプの除菌用品(二酸化塩素など)

宮崎県薬剤師会サイト

ネームプレートのように首から提げて使用する二酸化塩素による除菌商品の問題点が説明されています。

二酸化塩素の成分は、細菌・ウイルスを殺す効果(水道水、プールなど使用)はありますが、今のところ、二酸化塩素の商品(除菌グッズ)で、細菌やウイルスの感染予防に効果があるとして医薬品や医薬部外品として認められているものはありません。現在CMでも見かけるスプレー、置きタイプ、ペンタイプなどの二酸化塩素除菌用品は、衛生管理製品という表現がなされていますが、医薬品や医薬部外品ではありません。つまり効能や効果は表示できない雑貨に分類されます。二酸化塩素には毒性があり、吸入による呼吸器毒性、目への毒性、生殖毒性、授乳中の子に害を及ぼすおそれが認められます(職場の安全サイト:厚労省から)除菌用品から二酸化塩素を吸入することもあり、乳幼児やぜんそく・気管支の弱い方などは充分注意が必要です。

職場の安全サイト(厚労省サイト二酸化塩素の健康への有害性について

平成26年3月27日、消費者庁から、「二酸化塩素を利用した空間除菌を標ぼうするグッズ販売業者17社に対する景品表示法に基づく措置命令について」という発表があったようです。

国民生活センター:2019年9月更新サイト

部屋等で使う据え置きタイプの二酸化塩素の商品に関する報告の問題点が記載されています。

国民生活センター:2019年4月更新サイト

首から下げるタイプの除菌用品で、次亜塩素酸ナトリウムの化学やけどの刺激性の報告が記載されています。

参考資料

保育所における感染症対策ガイドライン 2018年