吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

補聴器は好かん!! 耳鼻咽喉科医の役割

2024-09-25

 

8020運動:歯科

歯科では、8020運動が30年ほど前から行われ、その結果80歳以上で歯が20本以上ある方が現在(2022年)では、50%ほどいます。30年前は7%程度でした。20本以上あれば食生活にほほ満足できる本数のようです。

どのようにおこなったか

定期歯科検診で治療可能な歯は治療を

なんでも相談できる、かかりつけ歯科医を持つ

歯磨き口腔衛生習慣の徹底

禁煙や過度な飲酒避ける

栄養バランスの取れた食事

現場の歯科で行われているのは、定期歯科検診、むし歯や歯周病の治療を行い

正しい歯磨き指導や歯垢除去など口腔衛生への対応をしっかり行ないます、内科などでの生活習慣病の生活指導も重要です。

なんでも相談できる歯科医がそばにいて治療を行い、歯磨き指導と口腔衛生習慣徹底が非常にうまくいった結果と思われます。

8030運動:耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科でも、歯科を真似るように8030運動が最近始まりました。80歳でささやき声の30dBが聞こえるようにする活動です。現在、80歳で30dB聞こえるのは30%程度です。20年後に50%まで増加させる運動です。この運動に補聴器を使うことも含みます。

40dB以上が中等度難聴、30dB~40dBが軽度難聴、補聴器効果を期待できるのが40dB以上の難聴と考えられています。

現在の80歳の会話領域の平均聴力は35~40dB程度(国立長寿医療センター)ですので、30dBに近づかせるには、聴力を悪化させないような生活習慣の改善、騒音回避などの行動の変化を行い、治せる難聴は治療を行います。適切な補聴器の使用も重要になってきます。

どうしたらよいのか

定期耳鼻咽喉科受診で聴力検査を行います

なんでも相談できる、身近な、かかりつけ耳鼻咽喉科医に相談

加齢変化による難聴か、治せる可能性がある難聴かの鑑別を行います。

耳垢栓塞や中耳炎の可能性はないか?

精査が必要な難聴が隠れていないか専門医で確認することから始まります。

 

難聴を悪化させる騒音下の趣味や仕事があればどうすればよいのか専門医と対応を考えます。

喫煙や糖尿病、高血圧、脂質異常などあれば、生活習慣の改善を行い内耳への全身からの影響を軽減させます。

加齢による慢性難聴であれば、適切な補聴器を使い30dB程度へ難聴を改善させ、周りとのコミュニケーションを維持できるようにします。

 

補聴器を使うことのメリット

補聴器には、社会参加の維持認知症の進行の緩和うつ傾向の予防一部の方には耳鳴りの緩和効果など多くのメリットが存在します。

難聴は、周りの会話についていけず、孤立化やうつ傾向をもたらします。

中年期の難聴は、認知症の最も大きい悪化因子の一つ(7%)と考えられていますので、補聴器使用で認知症の進行を緩和させる可能性があります。

最近、年間300万円もする軽度認知症の注射薬(レカネマブ)が、保険適応になりましたが、副作用の問題もあり適応は限定されます。認知症の進行を遅らせる効果あるようですが完治する薬ではありません。

ここで、今 注目されているのが補聴器です!!

高額で、副作用が強い薬を使用しなくても、認知症を遅らせることができます。

 

難聴と認知症

2024年高齢者の15%が認知症です(軽度認知障害MCI含む)。80歳から急に増加して、90歳女性は55%、男性36%になります。特に女性は顕著に増加してきます。

最近の報告から、難聴があれば、難聴なしに比べ認知症リスク37%増加聴力の難聴が10dB増加すれば、リスク16%増加します。

実際に補聴器が認知症に効果あるのか

デンマークでの50歳以上で57万人以上の約8年の大規模な臨床研究(2003~2017年)で、補聴器使用で認知症リスクが減少しています。

米国の研究で、認知症のリスクが高い集団(高齢、一人暮らし、糖尿病、高血圧、喫煙者など)にて、補聴器の使用で認知機能の低下を大幅に減少させることが示されました。

 

補聴器は使いたくない

しかし、多くの方が、補聴器を使うことへの抵抗があります。

補聴器を使ってもうるさいだけで役に立たない

年寄りくさい

高い補聴器を買ってもたいして聞こえない

高齢者からよく聞かれる会話です。

使う前から、補聴器は好かん!!と言われることも多くあります。

 

補聴器への否定的な考えは、補聴器への、理解不足や誤解からきていることが多くあります

補聴器は眼鏡とは違う

眼鏡は調整が良ければ、すぐに見えます。

補聴器では、聞こえなかった耳に音が入ると、最初はうるさいと感じるため、使い始めは、目標の7割程度から開始して、音を次第に上げていき、補聴器の音に1~2か月かけて慣れていくことが必要です。適切なトレーニングが必要なこともあります。

メガネと違い、補聴器は買ってすぐには、目標とする効果をすべて期待できません

時間をかけて補聴器の音に対して脳の慣れを促すことが必要です。

テレビで宣伝されている安価な集音機を補聴器と勘違いしている。

補聴器はその人の様々な周波数の聴力パターンに合わせてオーダーメードで使うものです。集音機は音量以外、様々な個人の聴力パターンに合わせて使えません。また聴力保護機能もありません。聴力障害を起こすこともあります。集音機は様々な個人の耳の形状に合わせて作成されていません。デザイン的にも今の補聴器はお洒落な物になっています。

集音機は家電製品で、補聴器は管理医療機器です。

補聴器店で、聴力レベルや周波数パターンに合わない補聴器を購入している

以前から補聴器購入で問題となっていることで、日本では、知識や十分な技量がなくても、補聴器は販売することが可能で、一部にはビジネス優先と思われる補聴器店が存在していました。

これを改善するため必要な技能や十分な知識を持っている補聴器認定技能者育成や認定施設制度が、1990年代に設けられました。

耳鼻咽喉科医の中でも、補聴器相談医の認定資格制度が、2006年、日本耳鼻咽喉科学会に設けられました。

欧米では、聴覚の専門職のオーディオロジストが補聴器購入、調整に関与しています。

 

補聴器購入時は、補聴器相談医に相談の上、補聴器認定技能者がいる販売店での購入を勧めます。

当院の院長は補聴器相談医であり、予約制で補聴器認定技能者との補聴器外来を行っています。