吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

花粉症に新たな治療薬(ゾレア)

2020-01-28

今シーズンの花粉症に新たな治療薬が登場しました。Webニュースサイト)では、ノバルティスファーマの抗IgE抗体「ゾレア」(一般名・オマリズマブ)で、昨年12月に「季節性アレルギー性鼻炎」への適応拡大の承認を取得。すでに気管支喘息や慢性蕁麻疹の治療に使われている薬剤ですが、既存の治療で効果不十分な重症・最重症の花粉症にも使えるようになりました。花粉症に対する抗体医薬は世界でも初めてですという内容です。

日本医科大耳鼻咽喉科・頭頸部外科の大久保公裕教授によると、ゾレアの効果は「従来の薬はほぼやめられるほど」「ゾレアを投与すればアレルギー症状としては花粉症シーズン前とほぼ変わらない状態になるだろう」といっています。

 

👉 問題点として高薬価であること。

ゾレアをめぐっては、抗体医薬であるがゆえの薬価の高さと、花粉症に適応が広がることによる保険財政への懸念する声があります。

ゾレアの薬価は75mgで2万3625円、150mgで4万6490円。患者の体重と血中IgE濃度に応じて1回75~600mgを2週または4週に1回投与しますが、600mgを投与すると1回あたり18万5960円の薬剤費がかかることになります(患者の自己負担は3割負担5万5788円)。2週毎に注射すると薬剤費だけで一ヶ月37万円程度(3割負担約11万円)かかります。その他に診療費やその他の薬剤費がこの薬価に加算された支払いが必要になります。このゾレアは、ヒスタミンH₁受容体拮抗薬と併用して使用するとなっています。高額療養費制度については、保険加入先にお問合せ下さい。

高額な上、花粉症治療薬としては新規の作用機序を持つため、厚生労働省はゾレアの投与が最も適した患者に限って使用されるよう、「最適使用推進ガイドライン」を策定。これによると、ゾレアの投与対象は季節性アレルギー性鼻炎の中でもスギ花粉症の患者に限られ、鼻噴霧用ステロイド薬とケミカルメディエーター受容体拮抗薬(通常のアレルギー薬)による治療を受けてもコントロール不十分な鼻症状(重症・最重症)が1週間以上続くことを確認してからでないと使うことができません

その他に

初回投与前に採血が必要になります。

スギ花粉抗原がクラス3以上であることと血清中総IgE濃度の確認が必要になります。添付文書では、季節性アレルギー性鼻炎が効能になっていますが、厚労省の最適使用推進ガイドラインでは、スギ花粉症のみになっています。

投与前に1週間以上1日の鼻かみくしゃみの回数と1日の鼻閉の状態の毎日の記録が必要です。

鼻閉の評価は以下から選びます。

なし鼻閉あり、口呼吸なし鼻閉強い、口呼吸時々鼻閉非常に強い、口呼吸かなりの時間一日中完全に鼻閉

12歳以上であることが必要です。

一回600mg皮下注射するには別々の場所に4か所注射が必要です(1回の皮下注射は150mgまでです)。

本剤投与中にめまい、疲労、失神、傾眠があらわれること があるため、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事す る場合には十分に注意します

このゾレア治療は対症療法であることを理解して下さい。

従来の薬物療法やレーザー治療と同じ対症療法(効果は一時的)です。

アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法など)のように長期に改善を期待できる治療ではありません。

舌下免疫療法(スギ・ダニ)(当院お知らせ)を参照して下さい、長期に効果が期待できます。

オマリズマブ 最適使用推進ガイドライン2019年12月(厚労省 サイト

ゾレア添付文書2019年12月(ノバルティス:サイト

重症花粉症ドットコム(ノバルティス:サイト

はじめてのゾレア:季節性アレルギー性鼻炎(ノバルティス:サイト

👉 少なくはないアナフィラキシー発症のリスク

ゾレアの添付文書のその他の注意の項目

国内臨床試験において、アナフィラキシーは報告されていないが、気管支喘息患者を対象とした海外臨床試験に おいて報告されており、発現頻度は成人で0.1%(7例/5,367 例)、小児で0.2%(1例/624例であった。また、海外市販後の自発報告において、アナフィラキシー及びアナフィラキ シーの可能性のある過敏症反応の発現頻度は、少なくとも 0.2%と推定され、そのうち約30%は本剤投与2時間以降に発現していたと記載があります。

季節性アレルギー性鼻炎の国内第三相試験161名では、アナフィラキシーは認めてないようですが、もっと多い前述の海外臨床試験で、アナフィラキシーが喘息の5000例で0.1%、小児600例では0.2%は、見過ごせない数値です。海外市販後も0.2%(500人1人)のアナフィラキシー及び、その可能性の報告があり、その30%は投与後2時間以降の発現のため自宅や夜間に生じる可能性があります長期間の定期的投与後にお いても発現することもあります。

ポイント!!

スギ花粉症は、死亡する病気ではありません。

喘息は、稀に死亡することもあります。

ゾレアの効果は優れているようですが、高薬価の問題とアナフィラキシーのリスクの点でスギ花粉症への使用に関して慎重にあるべきと思われます。