吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

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自分で行う医学的ボイトレ(音声治療)

2019-01-16

今回は、自分で行う声がれ対策(声の衛生)の続きで、音声障害音声治療の話です。

 音声治療とは
音声治療とは、望ましくない発声行動を変えて、声がれなどの音声障害を、時間をかけて治療していくことです。

音声障害は、声帯(声の乱用、誤用)、呼気(呼気不足)、聴覚(難聴)、ホルモン(変声期、性同一障害)心因に関連しておこります。

主に声帯呼気に関連した疾患で、声の乱用や誤用が原因となる機能的異常が、音声治療の対象です。喉頭癌対象外です。

 歌がうまくなるために行うボイトレ音声治療違いについて
ボイトレとは、ボイストレーニングの略で、ボイストレーナーが行います。

音声治療では、望ましくない発声行動により生じた声がれなどの音声障害を、医療行為として言語聴覚士などが治療していく行為です。

歌がうまくなるために行うボイトレとは目的が違います

クリニック・病院の音声外来では、医師が薬物治療、手術、声の衛生生活指導を行い、医師の指示のもと共同しながら言語聴覚士が、実際の音声治療と声の衛生指導を行います

音声治療ボイトレ目指す目的と一部の方法は違いますが、やり方の基本は似たところが多く音声治療医学的なボイストレーニング医学的ボイトレと考えてください。

望ましい発声行動は、こころを豊かにする
毎日のコミュニケーション、日常会話から仕事の接客、講演、そして趣味の合唱団、カラオケ、楽しみで歌うことなど、生活をしていくうえで声を使わないことは考えられません。
英語の発声にも、音声治療で必要な腹式呼吸を必要とします。
最近では、高齢者の誤飲性肺炎予防にもカラオケ、朗読を積極的にすすめます。

望ましい発声行動で話すことは相手に好印象をあたえ、自分にとっての自信にもつながります

イライラしたり怒っていては、腹式呼吸で共鳴が効いた落ち着いた良い声は出せません

腹式呼吸でゆっくり深呼吸すれば落ち着かせることも可能です。

良い発声を行い、音楽やコミュニケーションをとおして心豊かな生活をもたらしましょう。

音声外来について

音声外来とは、

耳鼻咽喉科医師言語聴覚士共同して、声をよく使う職業人(教師、インストラクター、アナウンサー、歌手など)から一般の人までの声の問題を、専門に治療をおこなう所です。
ネットで検索すると、東京、大阪、京都、福岡など都会には、音声外来がでてきますが、地方では、あまり見かけません。

専門の音声外来のプログラムでは、施設により異なりますが、言語聴覚士が担当して、週に1回30~60分通院して、自主訓練を行いながら音声治療を行います。
数ヶ月程度通院して行うようです。
報告によると、治療開始6週まではドロップアウト率は20%程度ですが、それ以上長期になると終了を待たずに、ドロップアウト率は60%程度に達するとようです

患者さんはとりあえず音声治療を試してみようと考えますが、効果が実感できずにドロップアウトにつながって行くようです

習慣化した望ましくない発声行動を、望ましい発声行動に再度習慣化することは簡単ではないと理解して下さい。

👉
当院も含めて通常の耳鼻咽喉科クリニックでは、言語聴覚士がいないため専門の音声外来と同じことは出来ません

たとえ言語聴覚士がいても音声障害を専門とする言語聴覚士は、日本では全体の1%にも満たないようですので、しっかりとした音声外来ができるところは限られています。

今回は、望ましい発声行動を導く考え方や方法論を学んでいただき、自分で行動をおこして時間をかけて、自分の間違った発声行動を変えていくきっかけにしてください

今回紹介する方法は、言語聴覚士を必要とする方法も多くありますが、自分で行える方法もありますので、自分で考え無理せずチャレンジしてみましょう。
Youtubeなどの動画を参考に行うとイメージがわきやすくなります

 音声治療の包括的訓練

(望ましい発声行動を導く考え方と方法論)

発声の生理を包括的に捉えることを基本として、
呼吸腹式呼吸で気流発声)
発声喉頭負荷を軽減
共鳴(鼻腔・咽頭共鳴を促進)のバランスを整え、内喉頭筋の緊張を調整することで、
声帯振動を正常化することを目的とした包括的訓練を行います。

れが、皆さんに行ってほしい訓練の考え方です。

その他に、声帯の緊張を緩めたり、声帯閉鎖を強化する症状対処的訓練がありますが、
近年では症状対処的訓練のみでの効果は乏しいことが報告されています。
本来音声は日常会話において行われるべきものであるので、症状対処的に限局して行うより包括的訓練のほうが一般的になってきています。

症状対処的訓練包括的訓練を組み合わせて行い、そして各個人の音声障害の背景を分析した声の衛生指導を行うことで発声機能の改善が期待されます。

 耳鼻咽喉科医師による病態の正確な把握

音声障害出現でまず第一に行うことです

音声治療を行う上で、留意点として、声がれなどの症状に対して音声治療の適応と限界の確認、癌の可能性がないかなどの病態を正確に把握することです。

音声治療の適応があれば、何が問題かを把握して適切な治療法を選択することです。

❸ アナウンサー、歌手、音楽教師の声に対する要求はかなり高いものになりますので、
声に対する要求度に応じた目標を明確にすることです。

声を使う職業人は専門の音声外来受診(言語聴覚士またはボイストレーナーが実際の指導を行う)が望ましいことがあります。

保険外診療のこともありますので確認して下さい。

具体的には、耳鼻咽喉科医師による以下の正確な病態把握を行います。
タバコ・食事・生活習慣・胃食道逆流症・ストレスに問題がないか
鼻呼吸障害・口呼吸はないか(鼻腔・上咽頭・副鼻腔の診察)
帯粘膜障害や喉頭の癌などの形態異常がないか(内視鏡)
発声時の咽喉頭症状や状態はどうか(内視鏡、喉頭ストロボ)
癌、動脈瘤、中枢疾患による声帯麻痺はないか(内視鏡、胸部・頭部などの画像診断)
仕事(教師、インストラクターなど)・生活・環境の中で発声行動に問題がないか
腹式呼吸は行われているか
胸式呼吸や喉に力を入れたのど詰め発声ではないか
高齢者では、筋力や体重減少、会話の減少、家族内孤立、独居、周りに話す人がいるか  

 音声訓練の実際
腹式呼吸:声は腹式呼吸と腹圧による気流発声から始まります。
腹式呼吸は、英語の発声、発音にも通じますので、子供のころから意識させるようにして下さい。
のあえぐような呼吸と発声も参考になります

腹式呼吸基本臥位youtube

南千重ボイトレ腹式呼吸YouTube 腹式呼吸は息をはくことから

松永敦耳鼻咽喉科医師による腹式呼吸・喉下げ・ベルカント YouTube ボイトレセミナーの一部です。

松永敦耳鼻咽喉科医師による腹式と胸式呼吸・母音発声YouTube 腹式呼吸は肩をあげずに行います。

松永敦耳鼻咽喉科医師による腹式呼吸・母音発声と顎の使い方YouTube

Dr Dの英語の発声腹式呼吸YouTube

セラの英語の発声とドッグブレスYouTube

症状対処的訓練

(症状に応じて、音声そのものを変える訓練です)

 声帯の緊張を緩め、軟らかい声を出すために身体の自然な反応を利用する方法

対象筋緊張性発声障害MTD

(内外喉頭筋の過度な緊張が原因、のどに力が入り過ぎです)

疾患と背景
下記の病気と関係して起こり事も多く薬物療法と組み合わせて行うこともあります。

胃食道逆流症による喉頭肉芽腫(PPIなどの胃薬併用)
鼻疾患による後鼻漏に刺激による声帯炎(鼻疾患の治療併用)
不適切な発声習慣による声帯炎、声帯結節
心理的背景の関与(心理療法の併用)

診断
発声時の内視鏡による喉頭声帯所見で判断します。
医学的タイプでは下記の分類の報告あります。
タイプ1声門後部の間隙 タイプ2両仮声帯の接近
タイプ3声門上部構造の前後方向の接近 タイプ4声門上部構造の前後方向の閉鎖

方法どうしたら喉の緊張が取れるか
あくびため息法
咽頭の奥を広くして喉を下げながら息を吸い、ため息のように息を吐き、吐き出す息に声をのせながら単語から文へと発声時間を長くします。咽頭共鳴を促進します。

南千重ボイトレあくび発声YouTube

松永敦耳鼻咽喉科医師 あくびため息法 Youtube 時間が無い方は、4分30秒あたりから視聴して下さい。

あくびで喉の奥を広げ、広げたイメージで普通の会話へ発展させます。赤ちゃんが大きな声で泣けるのもこの喉の使い方で行っています。

咀嚼法
ガムなどを噛みながら発声し、声帯の緊張を緩和する方法です。慣れたら噛んでいるつもりになって軟らかい発声を目指します。

喉頭マッサージ: 喉を高く固定して緊張した声を出している場合、外喉頭筋(胸骨甲状筋)のマッサージを行います。胸骨甲状筋が唯一のど下げる筋肉で、のどぼとけの下から胸骨に伸びる筋肉です。喉が高いと高音になり緊張した状態を作ります。胸骨甲状筋を使い喉を下げて歌うと、秋川 雅史千の風になってのように低い伸びのある声に変化します。あくびため息の状態に近づきます。

ストロー発声:気流の流れを意識して、腹式呼吸でのどは意識せず発声することを学びます。

この方法は、最近注目されていますので、あとで詳細に述べます。

 

 声門閉鎖の強化 対象声帯萎縮 高齢者で多く、声門間に隙間ができるため、かすれた力がない声になります。

プッシング法 で治療します。

東京医療センター動画 声帯萎縮の改善対策 を視聴して下さい。声を出す瞬間のみ力を入れて下さい。一ヶ月持続して、効果確認して下さい。声帯萎縮や声帯溝症に適応あります。

松永敦医師 プッシング法 YouTube  7分あたりから視聴して下さい。話はおもしろいですが、力は声を出す瞬間のみにしてください。この動画では、力を長く入れ過ぎています

 

包括的訓練
一連のプログラムとして行う方法で、個人で行うには限界があります。
プログラムとして行うには言語聴覚士を必要とします。

腹式呼吸で気流発声喉頭の内外筋を調整し喉頭負荷を軽減鼻腔・咽頭共鳴を促進

腹圧に始まり胸腔喉頭共鳴腔に至る一連の気流の流れとして発声を捉えていきます。
音色は音の波形の違いで、共鳴周波数で決まります

キーワード共鳴気流の流れです。以下に訓練の流れを示します。

 気流:述のストロー発声で気流の流れを意識します。

 咽頭を開き口唇を狭く逆メガホンで、

ハミング(動画)by IVANAトリル(動画)by DIGZを行い、
声帯への負担を軽減します。喉を下げるイメージで行います。
次の音声拡張訓練(VFE)へつなげていきます。

 VFE(音声拡張訓練)youtube
喉頭の筋力向上とバランスの調整を目指し、発声持続や高低、大小の発声を組み合わせた訓練を行います。
発声持続練習
音階上昇
音階下降
特定の高さでの発声持続練習
など通院と自主訓練を行います。
音声訓練を日常生活へ導く訓練です。

 レゾナント(共鳴)法
喉に負担をかけない効率よく響く声(レゾナントボイス)を得るために、鼻の奥や口唇周囲の振動の感覚の認識を重視して行います。
ハミングを使って鼻腔咽頭共鳴を促進させ発声法の習得を導きます。

振動のブルブルする感じのような身体内部感覚に焦点を置き、のどを逆メガホンにするイメージで行います。喉をさげて行います。
共鳴に重点を置いた訓練は、喉頭に負担をかけず、すべての機能性の喉頭疾患に効果があります。

ボイストレーナーIVANAによるハミング1 基礎 Youtube

ハミング2 応用 YouTube

南千重ボイトレ鼻腔共鳴 基礎 YouTube 

南千重 腹式呼吸 鼻から息 YouTube 

南千重 腹式呼吸 鼻から息2 YouTube

松永敦耳鼻咽喉科医師 ハミングと音程 YouTube

松永敦耳鼻咽喉科医師リラックスと共鳴YouTube 体の力を抜き共鳴腔を広げ腹式呼吸発声。

治療プログラムの進め方の一例 

(京都大学耳鼻咽喉科 平野 滋 2015 日耳鼻 から)
声の衛生指導
筋緊張緩和のストレッチ
腹式呼吸で気流を意識
基本となるレゾナントボイスの練習
レゾナントボイスによる詠唱
徐々に大きく徐々に小さく発声(メッサディボーチェ)
レゾナントボイスによる会話へ進展

その他の包括訓練を下記に提示しますが、これらの訓練は欧米ですすんでいます。

*LMRVT: Lesaac-Madson 共鳴訓練

*アクセント法: ラルゴ、アンダンテ、

*アレグロ 英語 youtube

*LSVT: パーキンソン病に適応

👉
包括的訓練は、言語聴覚士やボイストレーナーの指導で行う訓練が多く、自分で行うには難しく感じると思います。
前述のストロー発声は、簡単で自分でも行え、音声拡張訓練への応用ができます。

ストロー発声の詳細
日本では、まだ普及していませんが、簡単で自分でも行えるお勧めの方法です。

英国の歌手 サムスミス(Sam Smith) が声帯出血をこの方法で治療したようです。

◆ボイストレーナーko(カナダ在住)ストロー発声YouTube 歌う前のウオームアップに効果あります。

 

◆Vocal Straw Exercise Dr. Titze 動画英語

2006年、Dr Titzeが提唱した訓練プログラムは,ストロー発声での音 階の上昇・下降,同じく連続した強弱をつけたストロー 発声,さらにストロー発声による歌唱からなっています。

 

●『BS―NHK からだの秘密声はストレッチで若返る放映HP(2018年6月26日)にて、ストロー発声について紹介がありました。
内容:
ストローを用いウーと唇が振動するように声を出します。
口の中を広げ声のストレッチ効果あります。
腹式呼吸で、声の上げ下げ1日50回ストロー発声、5~10秒持続させ訓練します。番組では2週間行います。

声帯結節 声帯麻痺 声帯萎縮 MTD(筋緊張性発声障害)の効果の報告ありますが、
すべてに効果はなく、声帯結節の改善には1年以上必要すると報告されています。

参考資料

◆実践 音声治療マニュアル インテルナ出版 城本 修 訳   ◆音声障害診療ガイドライン2018金原出版

◆図解 やさしくわかる言語聴覚障害 ナツメ社    ◆音声障害 平野 滋 日耳鼻学会誌 118~273、 2015

◆チューブ発声法による声帯振動への影響 音声言語医学56:180~185  2015

◆音声障害のリハビリテーション 城本 修 日耳鼻 121;193~200、2018