秋の花粉とキウイ&スパイスアレルギー
食べたものが原因で食物アレルギーが起こると考えるのが一般的と思われます。最近では、成人の食物アレルギーでは、食べなくても起こる食物アレルギーが多くなっています。花粉・食物アレルギー症候群【Pollen-food-allergy syndrome:PFAS】と言います。口腔内に限局したアレルギーを生じるので口腔アレルギー症候群とも呼ばれます。
👉 まず【花粉-食物アレルギー症候群】について勉強してみましょう。
口腔アレルギー症候群とは、果物や生野菜を摂取後15分以内に口腔内違和感、口唇腫れ、口周囲蕁麻疹などを呈するアレルギー症状のことです。
通常、アナフィラキシーは起こしません。
稀に喘息、アナフィラキシーまで至る場合があります。
特定の果物・野菜に交叉反応性を示す花粉に対する花粉症を持った
成人に発症します。このような病態を花粉・食物アレルギー症候群とも呼ばれます。
最近、花粉症の低年齢化とともに学童からおこすことも多くなっています。
◆発症機序(少し理解するのが難しくなります)
次の二つの機序が重要です。
食物アレルギーではありませんが、蜂アレルギーは、まず、蜂に刺され感作(感作抗原)が起こり、次に同じもの(誘発抗原)が蜂から体内にはいると激しい反応を起こします。
食物アレルギーのエビ、イクラ、ソバ、ピーナッツなどのアレルギーも同様に、原因物質(感作抗原)で感作され、同じ原因物質(誘発抗原)が体内にはいると激しい反応を生じます。
感作抗原と誘発抗原は同じです、このような食物アレルギーの場合、クラス1食物アレルギーと呼びます。
【花粉・食物アレルギー症候群は、感作抗原と誘発抗原が違います。両方に類似の構造を持つタンパク質を含むため生じます】
>花粉・食物アレルギー症候群は、鼻や気道に原因になるタンパクを含む花粉が付着し感作が起こり、類似のタンパクを持つ食べ物を食べると口腔内を主に反応を起こします。
これをクラス2食物アレルギーと呼んでいます。花粉と食べ物は別物です。
通常、加熱や消化酵素に弱い特徴のため、口腔内に限局した症状となります。
●花粉-食物アレルギー症候群の頻度:
メロン、パイナップル、キウイ、モモ、リンゴの順で果物に多くスギ花粉関連のトマトは8番目、モモ・リンゴは、シラカバ(北海道)やハンノキ(その他の日本)と関係します。
●主な秋の花粉はヨモギとブタクサです
*ヨモギと交叉反応を示す野菜・果物
セリ科(セロリ、パセリ、ニンジン)ウルシ科(マンゴー)スパイス、キウイ、ピーナッツ、リンゴ、
ヨモギの場合花粉・食物アレルギー症候群は約40%合併します。
*ブタクサと交叉反応を示す野菜・果物
ウリ科(メロン、スイカ、キュウリ、ズッキーニ、カンタロープ)、バナナ
◆キウイは11~12月が旬、ヨモギと関連します。
キウイはニュージーランドからくると思っている方もいらっしゃると思いますが、
日本産が多く出回っています。愛媛、福岡、和歌山が日本のベスト3の生産地です。
世界では1位中国、2位イタリア、3位がニュージーランドで、収穫時期が違うため
ニュージーランドのイメージが強くなっています。
日本は世界の9番目で、ニュージーランドの約十分の一程度の収穫量です。
キウイは、ヨモギ:秋の花粉の他に、シラカンバ(北海道)・ハンノキ・
イネ科(オオアワガエリ:兎の餌になるチモシーのこと:初夏)・ラテックスと関係します。
◆メロンはブタクサと関連します。ほかには、カモガヤ、ラテックスと関連します。
◆スパイスアレルギー:
スパイスは野菜・果物でないため、注意が必要です。
秋の花粉のヨモギや北海道の春の花粉のシラカバ花粉症と関連します。
日本には少ないのですが、中央ヨーロッパに多く、ヨモギ花粉症にセロリアレルギーの
合併が多く認められ、セロリ・ニンジンやスパイスとの関連も認めます。
小児に少なく、女性に多く認めます。
セロリは生と調理後も反応が少なくありません。
(セロリ・ニンジン・ヨモギ・スパイス症候群)
北欧や北海道では(セロリ・ニンジン・シラカバ・スパイス症候群)として
スパイスアレルギーに関与します。重症化しやすく、アナフィラキシーに進展することがあります。
例:カレーピラフ接種後のジョギング中にアナフィラキシー出現など報告があります。
◆その他:PFASの中でアナフィラキシーに進展しやすい健康食品があります:豆乳です。日本ではハンノキ・シラカバ花粉の患者さんがソイラテ・豆乳を飲んでアナフィラキシーを起こした報告があります。
加工度が高い、納豆、みそ、醤油では起こりません。豆乳は液体のため吸収が早く起こしやすい面があります。
(関連ブログ)
・秋の花粉症とセイタカアワダチソウ 2017-10-21
・コスモスと秋の花粉 2017-10-27