マイコ検査は、総合診断で
マイコ検査は、コロナと違い迅速検査の感度が悪く、迅速検査は参考に、迅速検査以外の他の検査や症状を考えて総合診断を行います。
今年(2024年)は、夏以降マイコの患者さんが増えています。咳・発熱・咽頭痛などあれば以前はコロナ検査希望が多く、最近は、若い人や子供さんがいる保護者からは、マイコを心配される方が増えてきました。
➡潜伏期間を考えた検査
コロナ・インフルなどは、感染者と接触後、数日以内に発症することが多く、同じ感覚でマイコ感染者に接触後、すぐに検査希望されて受診されます。
マイコの潜伏期間は2~3週間と長く、接触したことを忘れたころに発症してきますので、潜伏期間を考慮して検査を考えましょう。
➡マイコ迅速検査は感度が低い
マイコの検査をコロナ・インフル同様に、診察時の迅速検査をすれば、すぐにわかると考えている方が多くいらっしゃいます。
マイコの抗原検出免疫クロマト迅速検査は感度が低く、臨床的にマイコを疑っても陰性になる場合が多くありますので、陽性であればマイコとして対応し、陰性でも検査結果は参考にしながら総合診断とします。最近は、この迅速検査キットが不足しています。
マイコ迅速検査の感度が低い理由は、菌は下気道の線毛上皮に定着増殖するため、線毛上皮がない咽頭では増殖しません。菌は、咳に伴い気道から咽頭へ排出さます、咽頭の菌量は下気道の1/10程度と考えらています。のどから菌で判断するには非常に感度が良い検査が必要になります。
➡マイコの検査は総合診断
周りの感染状態、臨床症状を参考に、その他の精度が高いDNAを検出するLAMP法を用いると診断の精度が上がります。
1週間以内の急性期の段階では、当日わかる咽頭ぬぐい液を用いるマイコ迅速検査または3日以上して結果判明するLAMP法を選択します。
または採血のPA法など組み合わせて総合診断を行います。このPA法、発症1週間以上してから陽性率が高くなりますので、急性期は陰性になることがあります。1回採血測定では抗体価320倍以上 2回採血(例:1週間と3週間後)ではペアで、4倍上昇で陽性と判断しますので、臨床的には治療が終わっているときに判明することもあります。
LAMP法やPA法はすぐに判明する検査ではなく、ともに結果で出るまで3日以上かかるのが問題です。
肺炎を疑えば、胸部レントゲンや精度が高いCTが必要になります。
検査結果を待ってはいられませんので、臨床症状からマイコを想定して治療を開始します。
マイコ感染による肺炎の確率は約10%程度です。マイコ感染症、マイコ肺炎は基本的に自然治癒する病気ですので、必ずしも抗菌薬を使わなくても、軽症の方は、体力の回復を待てば改善する病気です。
喘息などの合併症や体力・年齢などを参考に個別に治療を考えていきます。
➡マイコを疑う臨床症状・検査(成人肺炎診療ガイドライン2024から)
*60歳未満
*基礎疾患がないか軽微
*頑固な持続する咳
*聴診上所見に乏しい
*採血で白血球が1万未満
*迅速診断法で原因菌が証明されない
5項目以上合致すれば、マイコプラズマ肺炎を強く疑います。
初発症状は頭痛・発熱・倦怠感などで3~5日ごろから痰を伴わない頑固な咳に移行していきます。1か月近く咳が持続することもあります。発熱はないこともよくあります。喘息様の喘鳴が出現し喘息様気管支炎を呈することもあります。
➡注意すべき合併症
肝機能異常が4割程度、消化器症状1割程度、または発疹が出現することがあります、稀ですが髄膜炎・脳炎や心筋炎の報告もあります。
もし以下のような症状が出た場合は注意が必要です。
*黄疸
*疲れやすい
*発疹
*けいれん、意識障害