吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

アレルギー・漢方・小児耳鼻咽喉科&感冒・せき・声がれ・咽頭痛・口呼吸・喘息・めまい・耳鳴・難聴・補聴器・嗅覚/味覚障害・睡眠時無呼吸・頸部・甲状腺・禁煙治療・高齢者の飲み込みの問題・成人用肺炎球菌・インフルエンザワクチンなど幅広く対応できる体制をとっています。

インフル感染爆発:どう対応?

2025-02-02

インフル感染爆発:どう対応?

 

2020年~2023年

2020年コロナ渦の感染対策のため、インフルエンザなどの通常の感染症も流行しなくなり、2023年から感染対策が緩和されてから、急に通常の感染症の流行が始まり、

2023年夏にはインフルが流行するなど 様々な感染症の流行を予測できない状態となっています。コロナは、軽症化して定着した感染症のようになり、消えることはありません。

 

2024年はどうか? 

夏ごろまではコロナの流行が多く、温暖化の影響による夏の酷暑ともに発生して熱中症の影響もあってコロナ感染がきっかけの重症化した患者さんが増加していました。

暑い夏が終わることから、若い人中心にマイコ感染が爆発的に増加して、多くの若い方の肺炎患者さんが急増しています。暑い秋から、寒冷順化できていないうちに、12月から急に寒くなると、急にインフルの爆発的感染がおこり、今までに経験したことがない数のインフルの患者さんの治療を行うことになりました。

2024年12月初めから2025年1月初旬インフルの爆発的流行起こる

感染拡大が急な原因は

1)集団免疫低下

コロナ禍のコロナ以外の感染症の流行の減少で、インフルなど様々な免疫を持っている人が減少したこと(集団免疫低下)が大きな原因と思われます。

2)流行株が、抗体保有が少ないA(H1N1)pdm09型

2009年に世界的流行した新型ウイルスであったことです。その後 通常ワクチンにこのタイプも加えられ、通常の季節性インフルとなっていたウイルスです。

しかし、このタイプのインフルの歴史15年程度と歴史が浅く、集団免疫が少ないところに、コロナ禍のこともあり、2000年以降4年ほど流行がありませんでした。2023年のインフルA型の流行は、違うタイプのA(H3N2)型でした。

コロナワクチン接種に疲れ、最近のインフルワクチン接種率の低下も要因と考えられます。

国立感染症研究所による2024年夏の以下の4つのインフルエンザ抗体保有調査で

A(H1N1)pdm09型、 A(H3N2)型、B型(山形系統)、 B型(ビクトリア系統)

0~4歳を除くと、4つのサンプル調査で、昨年12月流行したA(H1N1)pdm09型の抗体保有は最も低く10~30%程度、A(H3N2)型は20~60%程度、B型(山形系統)は20~70%程度、B型(ビクトリア系統)10~40%程度。

0~4歳はすべてのインフル抗体で非常に低くなっています。

3)家族内感染者が多かった

家族内で、一人インフル感染者が出現すると2~3日のうちに、次々に発熱して、ドミノ倒しのように患者さんが急増します。通常はインフルの家族内感染率は10~20%程度と考えられていていますが、今回は家族内感染が非常に多く見られました。この状態はオミクロン株などのコロナでも多く見られています。インフル流行当初は成人の患者から、高齢者、学校へ広がり、学校と家族内で急速に広がっています。

当院の場合、

12月第1週は普通のインフル感染程度で、1日に数人程度のインフル患者が、

2週目は警報レベルの5~7人程度、

3週目には、前週の4倍の20人以上

4週目の学校の冬休み前からは1日に40人程度のインフル患者さんを診察する状態となりました。

20年以上の開業でここまでの急速で爆発的なインフル流行の経験は初めてです。

インフルの警報レベルは、1医療機関1日に6人程度です(週30人以上)

インフル感染爆発へどう対応

今回インフルの感染爆発をもたらしたA(H1N1)pdm09型の抗体保有が低かったことが大きな原因ですので、毎年インフルワクチンを行うことが基本

特に小さい子供さんや体力が弱った高齢者がいるご家庭は、家族内感染予防のためにも全員が接種することです。

通常の家族内感染の予防としては

手洗いの徹底、家族内でもマスク着用、感染家族の別部屋への隔離(子供の場合は近くで見守り必要)、タオルやコップを共有しない、部屋の換気と加湿 など考えられています。

家族内感染予防の難しさ

家族とは、3密が重なったような場所のため感染予防が難しいところです。

インフルの場合は発症の前日から感染力があり、潜伏期間は短く1~2日程度が多く(1~5日程度)、家族内に感染者が一人出ると、その後1~2日のうちに発熱、関節痛での受診を多く認めます。

最初の家族内感染者は、最初の発熱などの発症者の直前に、感染して短期間の潜伏期で発症していると思われ、家族内にインフル感染者が出てから行う通常の家族内感染予防を行っても難しいでしょう。4日程度以降の家族内発症については、家族内感染予防対策で、ある程度は、予防可能かもしれません。