吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

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インフル・新型コロナに解熱鎮痛剤は大丈夫?

2020-03-20

新型コロナのパンデミックが、中国から欧米・米国・イランなどへ移行しています。フランス保健相が新型コロナ感染時にイブプロフェンの使用で悪化させるとSNSに書き込みアセトアミノフェンの使用を推奨、3月17日にWHOが新型コロナ疑いの患者にイブプロフェンの使用について注意喚起が行われ、死亡リスクを高めるかは調査中となっています。世界的雑誌ランセットでイブプロフェンやその他の解熱鎮痛剤(NSAIDs)が、新型コロナの重症のリスクを高める仮説が記載されたのがきっかけです。実際は根拠がなく不明というのが今の現状ですNSAIDsは腎・胃腸障害を生じさせ、インフルエンザにはサイトカインストームのリスクを高めますので、自分で使用する場合、新型コロナにも第一選択はアセトアミノフェンとしたほうがよさそうです。

自宅で熱が出ると風邪薬や解熱剤を使用して様子をみるのは誰も行うことです。冬から春にかけての発熱・風邪症状の初期はインフルエンザの初期症状と自分では区別つかないことがほとんどです。インフルエンザでの解熱剤(イブ・ロキソニンなど:NSAIDs)の使用で問題となるのが日本で小児に報告が多いインフルエンザ脳症と、稀なライ症候群です。 最近、風邪・インフルにイブ・ロキソニンなどのNSAIDsの使用で心臓発作のリスクが3.4倍高まる海外からの報告があります。以前から米国FDAからは、アスピリンを除くNSAIDsの連用で心臓発作や脳卒中のリスク増加が警告されています。NSAIDsの妊婦の方への使用について、先天奇形、動脈管収縮が報告されているので、原則使用しません。

NSAIDsは、広義にはステロイドではない抗炎症薬すべての総称です。シクロキシゲナーゼを阻害する作用を持っています。皆さんに馴染みのバファリン、イブ、ロキソニン、アスピリン、ポンタール、ボルタレン、インドメタシン、セレコックス、アセトアミノフェン、ピリン系など多数の種類があり、多くの風邪薬の中にも使われ、PLのサリチルアミド(サリチル酸系)・アセトアミノフェン、ノーシン・新セデス・ナロンエースなどのエテンザミド(サリチル酸系)、セデスハイ・サリドンA・リングルAPなどイソプロピルアンチピリン(ピリン系)など市販薬に多数含まれています。湿布薬にも含まれています。

ポイント!!

インフルと感冒が増える時期の解熱鎮痛剤は、小児から成人・妊婦の方まで、アセトアミノフェン(カロナール、タイレノール)がお勧めです。前述4項目への影響は少ないと考えられています。NSAIDsの新型コロナへの影響は調査中です。

インフルエンザ脳症

インフルエンザ脳症はインフルエンザの合併症です。死亡することもあり、後遺症が残ることも多くあるため危険な病気です。発熱後2日以内に発症することが多く、症状は嘔吐やけいれん、意識障害、異常行動などが報告されています。インフルエンザからインフルエンザ脳症にかかる頻度は多くはありませんが、特に子供ではインフルエンザ発症時のリスクとして注意する必要があります。発熱に何らかの神経症状が伴う場合、インフルエンザ脳症が疑われます。初期の異常行動は一過性の場合と脳症の初期症状の区別が難しいことがあります。脳症ではないと判断された後、3~5日後にけいれんや意識障害が出現するといった事例も報告されています。

子供の発症が多くみられますが、成人・高齢者も認めるためすべての人が注意すべき病気です。

2001年厚労省:医薬品等安全対策部会サイト

インフルへの解熱剤投与について

解熱剤を使用していない症例でもインフルエンザ脳炎・脳症は発症しており、因果関係はまだはっきりしていませんが、インフルエンザ脳炎・脳症に対してジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)は禁忌。メフェナム酸(ポンタール)の小児への使用は行わないとなっています。

日本小児科学会では(2000年)、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンが適切であり、一部の非ステロイド系消炎剤はインフルエンザ脳炎・脳症の発症因子ではないが、その合併に何らかの関与をしている可能性があり、インフルエンザ治療に際しては非ステロイド系消炎剤(NSAIDs:ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、アスピリンなど)の使用は慎重にすべきである旨の見解を公表しています。

結論:インフルエンザ脳症にはNSAIDs(ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、アスピリンなど)は慎重。ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)は禁忌。メフェナム酸(ポンタール)は小児に禁忌。欧米では小児のインフルの解熱剤にイブが使用されることがありますが、日本での使用は慎重となっています。アセトアミノフェンが適切です。

ライ症候群

ライ症候群はインフルエンザ脳症と同じものではありません。先行するウイルス感染から5~7日ごろ発症します。インフルエンザや水ぼうそうなどに罹った時、解熱剤(特にアスピリン:サリチル酸系薬剤)を服用している小児(18歳未満)が、急性脳症や、肝臓の脂肪浸潤を引き起こして、命にかかわる重症な病気になる事があります。これをライ症候群といいます。サリチル酸系薬剤の使用で35倍発生リスクが上昇します。米国では1980年代からサリチル酸系薬剤の使用の減少で、現在稀な疾患になっています。ライ症候群:MSDマニュアルサイト

また診断技術の進歩で、本当の原因が判明して以前アスピリンが原因と考えられていたライ症候群が減少しているとも考えられています。現在の診断技術によって過去のライ症候群の分析をすると、感染症、代謝疾患、中毒などの疾患がかなり混在していることが指摘されています。アスピリンが原因で生じるライ症候群は従来からいわれているよりもずっと少な いであろうと考えられています。

日本での対応:小児ライ症候群(厚労省:サイト

日本では、解熱鎮痛剤とライ症候群との明確な因果関係は確認されていません。厚労省は、1998年に、アスピリン等のサリチル酸系医薬品について、15歳未満の水痘、インフルエンザの患者に対する投与を原則禁忌とする措置を行っています。サリチル酸系ではないジクロフェナクナトリウム(ボルタレン、アデフロニック)もサリチル酸系医薬品と同様に、小児のウイルス性疾患(水痘、インフルエンザ等)の患者への投与を原則禁忌とすることが適当と判断されました。 アセトアミノフェン(カロナール、タイレノール)、メフェナム酸(ポンタール)、イブプロフェン(イブ)は評価困難、さらに注視となっています。

結論ライ症候群を予防するため、インフル・水ぼうそうの18歳未満(日本では15歳未満)への使用はジクロフェナクナトリウム(ボルタレン、アデフロニック)やサリチル酸系医薬品は禁忌。現在では、アスピリンが原因で生じるライ症候群は従来からいわれているよりもずっと少な いと考えられています。

サリチル酸系医薬品含有市販薬とはPL(サリチルアミド含有),ノーシン・新セデス・ナロンエースなど(エテンザミド含有医薬品)

心臓発作とインフル・風邪の時のイブ、ロキソニンの使用

以前からNSAIDsは、薬疹、腎臓や胃への障害は知られています。NSAIDsは、アスピリン喘息・NSAIDs不耐症の方には禁忌となり、頭痛への長期連用で薬剤乱用頭痛が指摘されています。アメリカFDAからは、NSAIDsの連用で心臓発作や脳卒中のリスク増加が警告されています。同じNSAIDsでも低用量アスピリンは当てはまりません。NSAIDsの代わりにアセトアミノフェンが推奨されています。2017年台湾からの1万人の入院患者の報告(Journal of Infectious Diseases)では、風邪・インフルにイブなどのNSAIDsの服用で心臓発作のリスクが3.4倍、注射で7.2倍に高まる海外からの報告があります。

FDA・NSADs・heart attackサイト

Flu・NSAIDs・heart attack risk(サイト

妊婦の方への使用

イブ・ロキソニンなどの解熱鎮痛薬(NSAIDs)は使用せずアセトアミノフェンを使用します妊娠初期の発熱は、先天奇形との関連が報告されていますのでアセトアミノフェンを使います。ボルタレン、ロキソニン、イブなどは胎児毒性として、動脈管収縮の報告があります。プロスタグランジン合成阻害しない塩基性のソランタールは使用できることもあります。唯一のアセトアミノフェンの問題は、ADHD,多動、自閉症が言われていますが結論は出ていません。低用量アスピリンだけは、抗リン脂質抗体症候群、妊娠高血圧症候群の予防で使用されます。尿路結石など激しい痛みにはペンタゾシンを屯用で使います。トラマドールは使いません。

妊婦&授乳と薬:飲んで大丈夫?(当院コラム