吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

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よくわかる子供の漢方:食が細い・胃腸炎・便秘

2018-07-01

Mr. Genn became seven-month-old, he is waiting for food. The food plate  is above his head.

食養生
薬膳とは、食材も薬も『食べ物』として区別せず(医食同源)、中医学(黄帝内経;素問)の理論をもとに体質、体調、季節などに合わせて、個人ごとに作る食事(食養生)のことです。理論を知らなくても、基本の考えは、自然界にある物を食べ、自然とのバランスをとることです

 ご家庭では、下記の二つのことをまず心がけます。

一物全体いちもつぜんたい):一つの物を丸ごとすべて食べることです。
お米は、白米より皮や胚のついた玄米、野菜は根や葉や皮を、小魚は骨や頭も食べます

 

 

身土不二しんどふじ):その土地で育った旬のものを食べることです。
日本人が昔から行ってきた、その土地でその季節にとれた魚や野菜を食べる暮らしは、まさに身土不二です。

中医学で生命活動の源を『気』と言い、遺伝的なものは先天の気と言います。我々が日常できることは、後天の気の脾(消化機能)を整え、毎日、食べる事で補います。食べなれければ、生命活動の源が得られません。

腸内フローラの重要性
現代医学でも、腸は消化吸収の役割だけでなく、アレルギーなどの免疫の調整、肥満予防、ビタミン産生など腸内細菌叢(腸内フローラ)の重要性が徐々にわかってきました。
腸内フローラを整えるため、野菜、オリゴ糖、発酵食品を積極的にとり、抗生剤など細菌叢を乱す物は最小限にすることが重要です。幼少時からの抗生剤の服用はアレルギー疾患の増加をまねく報告もあります。

漢方の体内への作用は多様性があります。かぜに使用される麻黄は、アルカロイドのため、腸内の代謝を受けず吸収され、すぐに薬効を表し、桂皮の精油成分は匂いや神経を介して薬効を示します。
大半の漢方生薬は腸内細菌の資化菌の助けを借りて薬効を示すため、効果が出るまで時間を要し、腸内細菌が乱れると効果が薄れます

食を整えることは、漢方の体質改善本治)となり虚弱児、皮膚疾患、精神症状など様々な疾患の治療の基本になるものです。

食が細い虚弱児に対して
幼児の食が細く風邪を引き易い虚弱児は、漢方の良い適応となります。
その個人の証や状態に合わせ、六君子湯、補中益気湯 建中湯類などの補脾剤を用います。
感覚過敏を伴うお子さんは、甘麦大棗湯抑肝散など心や自律神経に作用する漢方を併用することもあります。

特殊なケースとして胃食道逆流症(GERD)があります。
乳児から1歳半程度までは、胃食道逆流症に伴う食事摂取不良は見逃してはいけませんが、食の症状より、咳・痰・喘鳴など他の症状が目立つこともあります
1~2歳以降、症状が強く体重増加が得られない場合、手術適応が優先されます。軽い場合は、授乳後30分は上半身を起こした姿勢を維持して下さい。
日本小児外科学会MSD家庭版を参考にしましょう。

GERDに対して漢方では、元気・食欲がない場合(気虚)は、六君子湯を用います。食欲亢進作用があるグレリン分泌増加あります。虚証から用いることができ使いやすい方剤です。
のどから腹部のつかえがあり、嘔気や不安が強い場合(気虚+気滞)は、茯苓飲半夏厚朴湯を用います。中間~実証に使う茯苓飲枳実には、胃運動促進を認めます。

胃腸炎
水分を欲しがるも飲むそばから嘔吐してしまう、いわゆる“水逆の嘔吐” は五苓散を使用。吐き気が強いときは、一口ずつ冷服(熱いお湯に溶かし、氷で冷たくして少しずつ服用)します。
2000年前の傷寒論の時代から、汗がでて口渇があり尿が少ないときの方剤です。
飲みにくいお子さんには、腹痛にも効果があり膠飴が含有されている小建中湯合方すると飲みやすくなります。

嘔吐・下痢で胃部不快感強い時に、胃苓湯(五苓散+平胃散)
腹部症状に、発熱・咳・痰など併存する時に、柴苓湯(五苓散+小柴胡湯)
腹痛持続する時小建中湯桂枝加芍薬湯を服用し、腹痛が特に強ければ芍薬甘草湯屯用します。
吐き気あり下痢が多く持続し、胃部が痞えお腹のゴロゴロが強いときは、半夏瀉心湯を使用しますが、苦味があります。
嘔気が強ければなま生姜の汁入れると効果が増します生姜瀉心湯)。

冷えて腹痛あれば、大建中湯上腹部の腹痛安中散を、ストレスと腹痛では、柴胡桂枝湯を使用します。

ふらつき、 下痢持続、ぐったり感あれば少陰病の症状)、真武湯 を用います。
下痢が続き、食欲なくよだれが時にあり、上腹部症状あれば、飲みやすい人参湯を使用します。 数週間持続する下痢には啓脾湯 が効果を認めることもあります。
ミルクの場合は乳糖不耐症のこともありますので、チラクターゼの内服や、特殊なミルクに変更します。

便秘
乳児便秘は、母乳栄養にみられ離乳食が進むにつれ改善します。
急性便秘は、日頃便秘なく、何らかの原因で急に便秘になり浣腸や一時的な下剤で対応します。
週3日以上排便がない、または週2回以下の排便習慣を慢性便秘とし、漢方の良い適応となります。

2~3歳ごろ発症が多くなり、トイレトレーニングの失敗で、4~5歳ごろも認めます。

すぐに下剤は使用せず、食と生活習慣の改善から始めます
適度な水分摂取、起床時の冷水、規則正しい食事と適度な運動、リンゴ・海藻など水溶性食物繊維、小児では、朝食後、定期的にトイレに座る習慣をみにつけます。
便秘の小児の多くは、排便時に何らかの苦痛を伴っていることが多く、薬を使ってでも排便はすっきりして気持ちよいものと体感させることが重要です。

西洋薬の大腸刺激性下剤(ピコスルファートナトリウム、生薬の大黄塩類下剤(酸化マグネシウム、生薬の芒硝早く効果を認めますが、止めると再発し離脱が難しいこともあります。場合によっては腹痛や量が多いと下痢が出現します。

大腸刺激性や塩類下剤大黄・芒硝含まない漢方薬の服用で、約半数の患者さんに効果を認める報告があり、服薬終了後も自然な排便を期待できます
まず1~2週間ほどの内服で、効果が感じられ、うまくいけば半年ほどで自然な排便を認めるようになります。副作用はあまりみられません。
一方、漢方は、薬の量が多く、味とにおいが問題となります。

まずは、苦く即効性大黄を含まない方剤から始めます。効果に時間がかかりますが、まずは漢方嫌いにしないように、シナモン味の甘い小建中湯を、皮膚症状あれば黄耆建中湯を服用します。
腹部が冷えて腹部膨満あれば、生姜の味がする腹部の術後に多く用いる大建中湯を用い、
腹痛伴えば小建中湯との合方を行います。
成人に多く使用する桂枝加芍薬大黄湯大黄甘草湯は、苦味があり、大黄を含むので効きすぎて下痢や腹痛を生じることもありますので、上記で効果が無いときは検討します。

漢方で効果が期待できないときは、西洋の下剤を併用していきます。下剤単独より、漢方薬併用で下剤の量を減らすこともできます。

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