お金をかけない肥満&健康対策
例年より1週間以上早い桜の開花:2018年3月25日 吉野公園 さくらまつり (早朝:朝日 クリックで拡大)
☞ 今回は時間栄養学に基づく肥満や健康対策の話です。
最近、注目を浴びている体内時計を考慮した時間栄養学があります。
時計遺伝子は、覚醒睡眠のリズムを操り、最も都合が良い時間に人の活動を決めています。
我々の健康や福祉に重要な影響をもたらす時計遺伝子の発見で2017年に米国の3博士にノーベル医学生理学賞が授与されました。
我々は健康やダイエットのために、ジムに通い、健康に良いと言われる高価な食材やサプリにお金を費やし、カロリーや糖質を制限し、多大な努力とお金を使っている方が多いかと思います。
多くの出費をせず、食事の栄養素や食費は変えなくても、時間栄養学を学び、
食べる時間・順番・速度と、どの栄養素をいつ食べるか
を気を付けるだけでダイエットや病気の予防が可能となります。
この方法を行っても、現在の運動習慣やジム通いは、続けてください。体に必要なサプリも継続して下さい。
運動や栄養素も健康維持に重要です。
☞ 自分で食事のプランを作るために、体内時計に基づく人間が本来もっている生理も同時に学んでみましょう。
【朝日を浴び、朝食を必ず食べる】
時計遺伝子は二つあります。
●中枢時計遺伝子
脳の視交叉上核に存在し、25時間周期を朝日で時計を朝に合わせる
●末梢時計遺伝子
肝臓や腸などに存在、朝食で活性しリセット、中枢時計遺伝子から指令を受ける
睡眠と活動に関して、時計遺伝子は、夜明け4時間前から睡眠ホルモンのメラトニンの
減少、活動に必要な副腎皮質ホルモンの増加に関与して、体調を整えます。
朝日で中枢時計遺伝子を25時間から24時間に合わせ、朝食で末梢時計遺伝子を活性させます。
【寿命と関連するテロメアと時計遺伝子】
寿命の回数券といわれるテロメア(染色体の末端にあり、人間の寿命を決めるもの)の管理下にあり時計遺伝子は寿命の調整を行っています。
朝食欠食、睡眠不足や乱れ、適度な運動不足は、時計遺伝子の乱れをおこしテロメアに影響を与え、近い将来の認知症、糖尿病、がん化など疾病リスクを高めます。
栄養素も重要で、葉酸、ビタミンB12,C,Eなど野菜・果物・魚介・海藻をしっかり食べた方がテロメアに好影響を与えます。
【朝食の熱産生は高く、夜食は肥満に】
肥満と直接関係するエネルギー発生による熱産生は、『朝、昼、夕食』と『昼、夕、夜食』と比較して、前者の朝食の熱産生は、後者の夜食の4倍となり朝型の食事パターンは肥満を予防します。
【朝食欠食と疾病リスク】
朝食欠食は、代償的に昼夕食での過食となり、食後高血糖から脂肪蓄積へ向かいます。
朝食欠食で糖尿病2倍、認知症3倍、肥満5倍となります。
【3食の良い栄養バランスが時計遺伝子を活性】
おにぎり・パンとコーヒーだけでなく、3食の栄養バランスが悪いと、時計遺伝子がうまく働かなくなります。
体内にあるmTORタンパク質で食事の肉・魚・大豆などのたんぱく質を検知して時計遺伝子の働きを高め、筋肉の合成を促進します。
おにぎりだけよりたんぱく質や野菜を一緒に食べれば、脳機能も高めます。
3食とも肉・魚・卵・乳製品・大豆や野菜・果物も含めたバランス良い食事にしましょう。
【脂肪合成のBmal-1が増加する日没後は食事を控える】
Bmal-1は脂肪合成を促進する時計遺伝子タンパク質です。
早朝5:00~夕方18:00までは低くそれ以降は増加するので日没前に夕食を食べましょう。
【胃・膵臓・肝臓・腎の活動性に合わせた食事内容】
胃:起床後、徐々に活動を高め昼頃にピーク
膵臓:血糖値を調整する膵臓の働きは、昼頃からだんだんと活発になります。
肝臓:エネルギー代謝に関わる肝臓は午前中がピークで夕方には休息に入ります。
お昼ご飯の時間帯は、胃・膵臓・肝臓がそろって活発で、最もエネルギーを消費されやすい時間帯です。脂肪や糖質過多になりやすい食べ物は、昼食であれば消化されやすくなります。
腎:朝から昼にかけて副腎皮質ホルモンが増加し、腎臓でのナトリウムと塩素の再吸収が
盛んにおこなわれ、夕方からは逆に排泄が行われることになります。
朝・昼食は香辛料を用い塩分控えめにして、夕食は普通食にすると高血圧には効果を
発揮します。
【カルシウムは朝より夕食で骨に蓄積】
朝は骨から血中にカルシウムは溶けだして、各種活動に利用されるため、骨の保護剤は朝に服用すると効果的です。夜は再びカルシウムが血中から骨へ蓄積されるため、カルシウムを含む食品は夕食に摂取します。
骨粗鬆症の高齢者や成長期のお子さんは参考にしましょう。
【3食の具体例】
朝食:欠食は絶対しない事、パンやご飯以外に肉・魚・卵・乳製品・大豆や野菜・果物も含めた塩分控えめでバランス良い食事にすること
昼食:塩分控えたバランスが良い食事で、ある程度の脂肪や麺類など炭水化物は許容されます。
夕食:脂肪や炭水化物は控えめで、塩分は普通で、バランス良い食事にして、
牛乳やヨーグルトなどカルシウムを食べます。鶏むね肉は、カロリーが低く脂肪が少なく
筋肉合成に必要なBCAAのバリン:ロイシン:イソロイシンの割合が良く、
イミダペプチドも多いのでお勧めです。
日没後、食事は控えます。特に21:00以降は食べないようにしましょう。
おやつ:15:00~16:00
3食で不足しがちな栄養素を補うため、ビタミンやミネラル豊富なナッツ類がお勧め
【食べる順と咀嚼回数】
一口30回咀嚼を行い、野菜➡肉➡炭水化物(ご飯、麺)の順に食べると食後の高血糖や脂肪の蓄積を
防ぎ、糖尿病や動脈硬化の予防、精神の安定や自律神経症状を防げます。
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